交通事故で発生するむちうちは、首や肩の痛みやしびれだけでなく、腕にまで症状が現れることがあります。
特に「腕が上がらない」という症状は、日常生活に大きな支障をきたすため、非常に不安に感じることでしょう。
本記事では、むちうちが原因で腕が上がらなくなる理由や、その症状を改善するための治療法について詳しく解説します。
さらに、むちうちが後遺障害に認定されるポイントについても詳しく解説しています。
最終更新日: 2024/12/9
Table of Contents
むちうちで腕が上がらない原因
神経への影響
むちうちによる腕が上がらない原因の1つは、首の神経への影響です。むちうちを受傷すると、首の神経が圧迫されることがあります。
この圧迫によって神経の周囲に炎症が起こり、腕のだるさやしびれ、痛みを引き起こします。特に、神経根症状型のむちうちでは、腕の強い痛みや知覚異常が特徴的です。
筋肉と靭帯の損傷
むちうちによる腕が上がらないもう1つの原因は、筋肉と靭帯の損傷です。むちうちでは首や肩の筋肉や靭帯が損傷し、その結果として腕の動きに支障をきたすことがあります。
痛みのために筋肉の緊張が続くと、その部分の血流が悪くなり、腕のだるさや疲労感が生じます。
<参考>
むちうちで腕がだるい原因と改善法とは?後遺障害認定ポイントも解説
その他の可能性
その他の可能性としては、肩関節の構造物の損傷や炎症が考えられます。例えば、肩腱板の損傷や関節包の炎症が原因で腕が上がらなくなることがあります。
<参考>
交通事故後の肩が上がらない原因とは?後遺障害認定ポイントも解説
むちうちで腕が上がらない症状の診断方法
医師の診察と検査
むちうちで腕が上がらない症状の診断方法として、まず医師の診察が重要です。医師は患者の症状の始まりや経過、痛みの部位、他の症状(感覚異常など)を詳しく聞き取ります。
また、身体検査を行い、肩や腕の動きを確認します。これらによって症状の原因を特定して、適切な治療方針を立てることができます。
レントゲンやMRIの活用
診断を確定するためには、レントゲン検査やMRI検査などの画像検査が有効です。レントゲン検査では骨の異常を確認し、MRI検査では神経の状態を詳細に調べることができます。
むちうちによる腕が上がらない症状の治療法
リハビリテーション
むちうちによる腕が上がらない症状の治療法として、リハビリテーションが重要です。リハビリテーションでは、肩や首の筋肉をほぐし、血流を改善するためのストレッチやエクササイズが行われます。
特に、首を左右にゆっくりと倒すストレッチや、肩を回すエクササイズが効果的です。これにより、筋肉の緊張を和らげ、腕の動きを改善します。
薬物療法
薬物療法も、むちうちによる腕が上がらない症状の治療に有効です。痛みや炎症を抑えるために、鎮痛剤や抗炎症薬が使用されます。
特に、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、炎症を軽減し、痛みを和らげる効果があります。また、必要に応じて筋肉の緊張を緩和する薬も処方されることがあります。
むちうちによる後遺障害の認定基準
むちうちで腕が上がらない状況で考えられる後遺障害等級には、以下のように12級13号と14級9号があります。
一方、腕が上がらない状況であっても、むちうちで機能障害は認定されません。腕が上がらないのが麻痺症状であれば、脊髄損傷として評価されます。
等級 | 認定基準 |
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの
むちうちが原因で、局部に頑固な神経症状(しびれ)が残った場合、後遺障害12級13号に認定される可能性があります。
12級13号は、MRI検査や神経学的検査の結果を基に、医学的に証明された場合にのみ認定されます。
14級9号:局部に神経症状を残すもの
むちうちが原因で、局部に神経症状(しびれ)が残った場合、後遺障害14級9号に認定される可能性があります。
14級9号は、画像所見がなくても、治療の経過や症状の一貫性が認められれば認定される可能性があります。
むちうちで腕が上がらない時の後遺障害認定ポイント
症状に応じて通院を継続する
むちうちの後遺障害認定を受けるためには、症状に応じて適切に通院を継続することが重要です。
特に、初期段階では週3回程度の通院が推奨され、症状が改善するまで継続的に治療を受けることが求められます。
通院頻度が少ないと、後遺障害認定が難しくなるため、医師の指示に従い、定期的に通院することが大切です。
<参考>
むちうち後遺障害認定は週4通院が必要?週1通院は?|交通事故の医療鑑定
整骨院に行く場合の注意点
整骨院に通う場合は、必ず整形外科の医師の許可を得てから通うことが重要です。整骨院にしか行っていないと、後遺障害に認定されません。
また、整骨院のみでは、保険会社から早期に任意一括対応を打ち切られる可能性が高まります。
このため、むちうちで腕が上がらない場合には、整形外科専門医の診察を受けることを強く推奨します。
<参考>
MRIを撮像してもらう
むちうちの後遺障害認定を受けるためには、MRI検査を受けることが推奨されます。MRIは神経の状態を詳細に確認できるため、後遺障害の有無を判断する重要な資料となります。
むちうちでは、MRI検査を受けていないと12級13号は認定されません。14級9号であれば認定される可能性はありますが、MRI検査を受けている方が、後遺障害に認定される確率は高いです。
<参考>
むちうちのMRIが後遺障害認定で必要な理由|交通事故の医療鑑定
後遺障害診断書の整合性をチェックする
後遺障害の認定審査は、醜状を除いて書類審査です。このため、後遺障害診断書の記載内容は、後遺障害認定に大きな影響を与えます。
このため、後遺障害診断書には、傷病名、症状、所見、障害内容の見通しなどが正確に記載されていることが重要です。
さらに、後遺障害診断書に記載されている症状と所見の整合性も審査されます。整合性が無いと後遺障害に認定されませんが、整合性を正確に判断できるのは、整形外科専門医だけです。
弁護士だけでは、後遺障害診断書に記載されている内容の整合性をチェックするのは難しいです。むちうちでお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
<参考>
むちうちは後遺障害診断書で等級が決まる!チェックポイントを解説
むちうちで腕が上がらない時の後遺障害で弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、むちうちで腕が上がらない後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニングは、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニングの有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニングを承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
むちうちで腕が上がらない時の後遺障害でお悩みの被害者の方へ
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
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弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。
むちうちで腕が上がらない時の慰謝料
後遺障害慰謝料
むちうちで腕が上がらなくなった場合、後遺障害慰謝料が支払われることがあります。後遺障害慰謝料は、後遺障害等級に基づいて算定され、等級が高いほど慰謝料も高額になります。
例えば、後遺障害12級の場合、慰謝料は約290万円、14級の場合は約110万円が相場です1。後遺障害等級の認定には、医師の診断書や画像検査の結果が重要です
後遺障害逸失利益
後遺障害逸失利益は、交通事故によって労働能力が低下し、将来的な収入が減少することに対する補償です。
逸失利益は、基礎収入(年収)に労働能力喪失率と労働能力喪失期間を掛け合わせて算出されます。
例えば、基礎収入が500万円で労働能力喪失率が20%、労働能力喪失期間が10年の場合、逸失利益は約1000万円となります。
逸失利益の計算には、ライプニッツ係数を用いることが一般的です
むちうちで腕が上がらない状況でよくある質問
むちうちで腕がだるいのはなぜですか?
むちうちによる腕のだるさは、主に筋肉の緊張や神経の圧迫が原因です。むちうちを受傷すると、首の筋肉が緊張し、その緊張が腕に波及することがあります。
この緊張が持続すると血流が悪くなり、腕のだるさや疲労感が生じます。また、神経が圧迫されることで、腕のだるさやしびれ、痛みが引き起こされることもあります。
腕が上がらなくなった場合、障害認定はどうなるのか?
むちうちで腕が上がらなくなっても、単独では後遺障害に認定されにくいです。一方、首の痛みと抱き合わせで14級9号が認定される可能性はあります。
<参考>
むちうち後遺症が首の痛みだけで後遺障害認定される?|交通事故の医療鑑定
むちうちによる肩こりは後遺症になりますか?
むちうちによる肩こりは、単独では後遺障害に認定されません。後遺障害等級の認定を受けるためには、肩こりだけではなく、首の痛みや腕の痛み・しびれが必要です。
重いむちうちの症状
重いむち打ちの症状には、首の強い痛みや頭痛、めまい、吐き気、手足のしびれなどがあります。特に、脊髄液が漏れる脳脊髄減少症や、自律神経の異常によるバレリュー症候群などが重症例として挙げられます。
これらの症状は、適切な治療を行わないと長期間続くことがあり、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。
<参考>
バレリュー症候群の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
まとめ
むちうちで腕が上がらない主な原因は、神経の圧迫や筋肉・靭帯の損傷です。神経の圧迫は炎症を引き起こし、痛みやしびれを伴います。筋肉や靭帯の損傷では、血流悪化や疲労感が現れます。
診断には、医師の診察やMRIが有効です。治療には、リハビリや薬物療法が効果的で、ストレッチや抗炎症薬を用います。
むちうちの後遺障害認定では、定期的な通院や整形外科専門医の診断が重要です。適切な検査と治療で改善を目指しましょう。
むちうちで腕が上がらないのに、後遺障害が非該当となってお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
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