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高次脳機能障害の診断基準とは?後遺障害認定基準との違い|交通事故

高次脳機能障害は、交通事故や脳卒中などによって脳組織が損傷を受けることで発生する障害です。高次脳機能障害は、記憶力や注意力、判断力などの認知機能に影響を及ぼし、日常生活に大きな支障をきたします。

 

本記事では、高次脳機能障害の具体的な診断基準について詳しく解説しています。また、診断基準と後遺障害認定基準の違いについても触れて、補償を受けるためのポイントを明確にします。

 

 

最終更新日: 2024/11/10

 

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高次脳機能障害の診断基準

Ⅰ. 主要症状等

  1. 脳の器質的病変の原因となる疾病の発症や事故による受傷の事実が確認されている。
  2. 現在、日常生活または社会生活に制約があり、その主たる原因が記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害である。

 

Ⅱ. 検査所見

脳MRI、頭部CT、脳波などにより認知障害の原因と考えられる脳の器質的病変の存在が確認されているか、あるいは医学的に十分に合理的な根拠が示された診断書等により脳の器質的病変が存在したと確認できる。

 

 

Ⅲ. 除外項目

  1. 脳の器質的病変に基づく認知障害のうち、身体障害として認定可能である症状を有するが上記主要症状(Ⅰ-2)を欠く者は除外する。
  2. 発症または受傷以前から有する症状や検査所見が存在する場合には、発症または受傷後に新たに現れた症状や検査所見に基づき診断し、それらが十分とは言えない者は除外する。
  3. 先天性疾患、発達障害、進行性疾患、周産期における脳損傷を原因とする者は除外する。

 

診断に際しての留意事項

  1. Ⅰ〜Ⅲをすべて満たした場合に高次脳機能障害と診断する。
  2. 高次脳機能障害の診断は脳の器質的病変の原因となった外傷や疾病の急性期症状を脱した後に行う。
  3. 神経心理学的検査の所見を参考にすることができる。

 

なお、診断基準のⅠとⅢを満たす一方で、Ⅱの検査所見で脳の器質的病変の存在を明らかにできない症例については、慎重な評価により高次脳機能障害者として診断されることがあり得ます。

 

また、この診断基準については、今後の医学・医療の発展を踏まえ、適時、見直しを行うことが適当であるとされています。

 

 

<参考>
令和4年版 高次脳機能障害 診断基準 ガイドライン

 

 

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高次脳機能障害の診断基準と認定基準の違い

診断基準の目的は行政支援

高次脳機能障害の診断基準は、主に行政支援を目的としています。具体的には、病院で行われるリハビリテーションの費用や、精神障害者保健福祉手帳の取得、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの申請に使われます。

 

 

認定基準の目的は障害に対する補償

一方で、高次脳機能障害の認定基準は、残存している障害に対する補償を目的としています。障害の程度に応じて等級が設けられており、脳の損傷の程度や症状の重さに基づいて決定されます。

 

具体的には、意思疎通能力、問題解決能力、作業負荷に対する持続力・持久力、社会行動能力の喪失程度によって評価されます。

 

 

<参考>
高次脳機能障害の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定

 

 

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高次脳機能障害で後遺障害が認定されるポイント

自賠責保険の高次脳機能障害の認定基準

高次脳機能障害が後遺障害に認定されるためには、症状固定時のCT検査やMRI検査で、脳損傷の存在が証明されることが必要です。

 

更に、事故後に意識障害があり、その症状が一定期間持続していることも重要な要件です。意識障害の推移に関しては、頭部外傷後の意識障害についての所見という医証で審査されます。

 

 

<参考>

 

 

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どの等級に認定されるかが第二段階

高次脳機能障害に認定された後は、1級から14級までのどの等級に該当するのかが審査されます。等級認定の基準は、労災保険や自賠責保険の基準に準じています。

 

1級は常に介護が必要な状態で、2級は随時介護が必要な状態です。等級が下がるにつれて、必要な介護の頻度や障害の程度が軽減されます。高次脳機能障害の等級認定では、以下の資料で審査されます。

 

 

 

これらの資料を基に、認知機能や社会的行動能力の喪失度合いが評価されて等級が決定されます。特にチェックするべき資料は、神経系統の障害に関する医学的意見日常生活状況報告です。

 

適切な後遺障害等級が認定されるためには、これらの資料が実際の障害と合致しているのか、および後遺障害認定基準を満たしているのかを精査する必要があります。

 

高次脳機能障害が後遺障害に認定されるポイントを詳しく知りたい方は、こちらのコラム記事を参照いただければ幸いです。

 

 

<参考>

 

 

 

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高次脳機能障害の後遺障害認定で弊社ができること

弁護士の方へ

弊社では、交通事故で残った高次脳機能障害が後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。

 

 

等級スクリーニング

 

現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。

 

等級スクリーニングは、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。

 

等級スクリーニングの有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニングを承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。

 

<参考>
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

 

 

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医師意見書

 

医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。

 

医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。

 

医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。

 

弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。

 

<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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画像鑑定報告書

 

交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。

 

画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。

 

画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。

 

弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。

 

<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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高次脳機能障害の後遺障害認定でお悩みの被害者の方へ

弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。

 

また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。

 

もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。

 

 

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尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。

 

弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

 

 

 

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高次脳機能障害でよくある質問

高次脳機能障害とは何か

高次脳機能障害とは、脳の損傷により認知機能や行動に障害が生じる状態を指します。具体的には、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などが含まれます。これらの障害は、交通事故や脳卒中、脳腫瘍、感染症などが原因で発生します。

 

 

高次脳機能障害の4大症状

高次脳機能障害の主な4つの症状は、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害です。記憶障害は新しい情報を覚えることが難しくなり、注意障害は集中力が続かないことを指します。

 

遂行機能障害は計画を立てて実行する能力が低下し、社会的行動障害は感情や行動のコントロールが難しくなることを意味します。

 

<参考>
高次脳機能障害の4大症状は?|交通事故の後遺障害

 

 

高次脳機能障害の原因とリスク要因

高次脳機能障害の主な原因は、脳卒中、交通事故、脳腫瘍、感染症、低酸素脳症などです。これらの要因が脳にダメージを与えることで、認知機能や行動に障害が生じます。

 

また、高血圧や糖尿病、喫煙、飲酒などの生活習慣は、高次脳機能障害を発症するリスク要因となります。

 

 

高次脳機能障害の診断方法

高次脳機能障害の診断には、脳画像検査(MRI検査やCT検査)や神経心理学的検査が用いられます。これらの検査により、脳の損傷の有無や認知機能の低下を確認します。診断には、患者本人や家族からの問診も重要な役割を果たします。

 

 

高次脳機能障害と誤診されやすい疾患

高次脳機能障害と誤診されやすい疾患には、せん妄や認知症があります。せん妄は一時的な意識障害や認知機能の低下を伴い、認知症は持続的な認知機能の低下を特徴とします。これらの疾患と高次脳機能障害は症状が似ているため、正確な診断が求められます。

 

<参考>

 

 

 

nikkei medical

 

 

日常生活への影響

高次脳機能障害は、日常生活に大きな影響を与えます。例えば、記憶障害により新しい情報を覚えることが難しくなり、注意障害により集中力が続かないため、仕事や家事が困難になります。

 

また、社会的行動障害により感情のコントロールが難しくなり、人間関係に支障をきたすこともあります。

 

 

高次脳機能障害の治療とリハビリテーション

高次脳機能障害の治療には、薬物療法やリハビリテーションが含まれます。リハビリテーションでは、記憶力や注意力、遂行機能の改善を目指した訓練が行われます。

 

作業療法や言語療法、理学療法などが組み合わされ、患者の生活の質を向上させることを目指します。

 

 

高次脳機能障害の公的支援サービス

高次脳機能障害のある方は、障害者総合支援法に基づく福祉サービスを利用できます。これには、介護給付や訓練等給付、地域生活支援事業などが含まれます。

 

また、精神障害者保健福祉手帳や身体障害者手帳の申請も可能で、各種税金や公共料金の控除、公営住宅入居の優遇などのサービスを受けることができます。

 

 

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まとめ

 

高次脳機能障害の診断基準は、まず脳に器質的病変があることが確認され、記憶障害や注意障害などの日常生活や社会生活に支障をきたす認知障害が主な原因とされています。

 

また、MRIやCTスキャンなどの検査で脳の異常が確認されることが必要です。先天性疾患や発達障害など、他の要因による認知障害は除外されます。

 

診断は、脳の外傷や病気の急性期症状が治まった後に行われ、複数の資料を基に総合的に評価されます。

 

診断基準は、リハビリや手帳の取得など行政支援が目的です。一方、認定基準は障害の補償が目的で、1級から14級まで分けられます。

 

交通事故で受傷した高次脳機能障害の後遺障害認定に関してお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

 

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