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指が曲がらない後遺障害の認定条件と傷病名|交通事故、労災事故

交通事故の後遺症のひとつに、指が曲がらない症状があります。指が曲がらない原因として、骨折、腱断裂、関節拘縮、神経麻痺があります。

 

本記事は、指が曲がらない後遺症が、自賠責保険や労災保険で後遺障害に認定されるヒントとなるように作成しています。

 

 

最終更新日: 2025/2/25

 

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指が曲がらない後遺障害の原因は

指の骨折(指節骨骨折)

指の骨折には、末節骨骨折、中節骨骨折、基節骨骨折があります。これらの骨折が、DIP関節、PIP関節、MP関節などの関節内に及ぶと、痛みや可動域制限を残す可能性があります。

 

一方、指節骨の骨幹部で骨折すると、骨折部で腱が癒着するため、隣接する関節の可動域制限を併発する可能性が高いです。

 

特にPIP関節とMP関節は関節の可動域制限を残す可能性が高いため、積極的なリハビリテーションが必要です。

 

<参考>
【医師が解説】手、指の骨折が後遺障害認定されるポイント|交通事故

 

 

手の甲の骨折(中手骨骨折)

中手骨骨折には、中手骨骨幹部骨折や中手骨頚部骨折(ボクサー骨折)があります。

 

中手骨骨幹部骨折は、指の外傷ではないにもかかわらず、中手骨の表面を走行する伸筋腱と癒着する症例が多いため、指の可動域制限を残しやすいです。

 

一方、中手骨頚部骨折は、MP関節に近い骨折なので、MP関節の可動域制限を残す可能性が高いです。

 

 

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腱の断裂や癒着

屈筋腱や伸筋腱が切れたり周囲の軟部組織と癒着すると、指が曲がりにくくなります。

 

<参考>
【医師が解説】伸筋腱断裂(手、足)の後遺症|交通事故

 

 

神経麻痺

指を動かす筋肉を支配している神経が障害されると、指が曲がらなくなります。具体的には以下のような麻痺で指が動かなくなる可能性があります。

 

 

 

 

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指が曲がらない後遺障害の認定条件

 

指節骨骨折(末節骨骨折、中節骨骨折、基節骨骨折)や中手骨骨折では指の機能障害や神経障害に該当する可能性があります。

 

一見すると中手骨骨折は指の機能障害と無関係に思えますが、伸筋腱が癒着しやすいため指の機能障害を残す事案が多いです。

 

 

指の機能障害

等級

認定基準

7級7号

1手の5の手指又はおや指を含み4の手指の用を廃したもの

8級4号

1手のおや指を含み3の手指の用を廃したもの又はおや指以外の4の手指の用を廃したもの

9級13号

1手のおや指を含み2の手指の用を廃したもの又はおや指以外の3の手指の用を廃したもの

10級7号

1手のおや指又はおや指以外の2の手指の用を廃したもの

12級10号

1手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの

13級6号

1手のこ指の用を廃したもの

 

MP関節(中手指節間関節)、PIP関節(近位指節間関節)、母指のIP関節(指節間関節)の可動域が健側可動域の1/2以下に制限されると、手指の用を廃したものとして後遺障害に認定されます。

 

 

指の神経障害

等級

認定基準

12級13号

局部に頑固な神経症状を残すもの

14級9号

局部に神経症状を残すもの

 

MP関節(中手指節間関節)、PIP関節(近位指節間関節)、母指のIP関節(指節間関節)の可動域が、健側可動域の1/2以下まで制限されてない事案は、手指の用を廃したものとして後遺障害に認定されません。

 

一方、関節内骨折などで関節面に不整があるケースには、関節の痛みが後遺症として残ることが珍しくありません。このような事案では、指の神経障害に認定される可能性があります。

 

 

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指が曲がらない事案の後遺障害認定ポイント【弁護士必見】

 

指が曲がらない事案の後遺障害認定では、指が曲がらなくなった原因が何なのかを理解する必要があります。具体的には、骨折、伸筋腱や屈筋腱の癒着、神経障害のいずれかです。

 

例えば、中手骨骨幹部骨折は指の外傷ではありませんが、中手骨の表面を走行する伸筋腱と癒着する症例が多いため、指が曲がりにくくなります。

 

また、隣接する指の機能障害が残す可能性もあります。例えば、第3中手骨骨幹部骨折では中指(第3指)だけではなく、示指(第2指)や環指(第4指)の可動域制限を残すケースが珍しくありません。

 

その理由は、中手骨骨折を受傷すると骨折部から出血しますが、この出血が治る過程で隣の伸筋腱まで癒着してしまうからです。

 

実臨床では全く違和感無く受け入れられている病態ですが、残念ながら自賠責保険では後遺障害に認定されない事案が多いです。

 

このような事案では、手外科医師による医師意見書が有効であるケースが多いです。お困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

 

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指が曲がらない事案の後遺障害認定で弊社でできること

弁護士の方へ

弊社では、指が曲がらない事案が後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。

 

 

等級スクリーニング

 

現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。

 

等級スクリーニングは、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。

 

等級スクリーニングの有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニングを承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。

 

<参考>
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

 

 

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医師意見書

 

医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。

 

医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。

 

医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。

 

弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。

 

<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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画像鑑定報告書

 

交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。

 

画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。

 

画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。

 

弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。

 

<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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指が曲がらない後遺障害でお悩みの被害者の方へ

弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。

 

また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。

 

もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。

 

 

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尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。

 

弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

 

 

 

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指が曲がらない後遺障害では損害賠償金を請求できる

 

指が曲がらないために後遺障害が認定されると、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を請求できます。

 

 

指が曲がらない後遺障害の慰謝料とは

指が曲がらない後遺障害が残ってしまった精神的苦痛に対する補償金です。後遺障害慰謝料は、下の表のように後遺障害等級によって異なります。

 

後遺障害等級

後遺障害慰謝料

1級

2800万円

2級

2370万円

3級

1990万円

4級

1670万円

5級

1400万円

6級

1180万円

7級

1000万円

8級

830万円

9級

690万円

10級

550万円

11級

420万円

12級

290万円

13級

180万円

14級

110万円

 

 

指が曲がらない後遺障害の慰謝料の相場は?

指が曲がらない後遺障害における慰謝料の相場は、後遺障害等級によって大きく異なります。

 

たとえば、指の可動域が50%以下に制限されると、9級や12級といった等級が認定されるケースがあります。この場合、慰謝料の相場は約300万円から500万円程度とされます。

 

特に重度の障害が認定されれば、さらに高額な補償が得られる可能性もあります。また、等級によっては逸失利益の請求も可能で、詳細な状況の確認が重要です。

 

 

指が曲がらない後遺障害の逸失利益とは

逸失利益とは、後遺障害が原因で将来的に得られるはずだった収入が減少した場合、その補償として請求できるものです。

 

指が曲がらない場合は、等級に応じた労働能力喪失率が定められており、それに基づいて算出されます。

 

たとえば、9級の場合は労働能力喪失率が35%とされ、基礎収入や就労可能年数を考慮して計算されます。指が曲がらない後遺障害の逸失利益は、以下の計算式で算出されます。

 

 

基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数

 

 

指が曲がらない後遺障害の逸失利益の相場は?

逸失利益の相場は、被害者の収入や障害等級によって異なります。

 

例として、月収30万円の人が10級の後遺障害に該当する場合、給付基礎日額に基づいて302万円程度の補償が得られることがあります。

 

これに障害特別支給金などが加算され、総額がさらに増えるケースもあります。

 

 

指が曲がらない後遺障害でよくある質問

指や手の骨には何がある?

外から見ているだけではわかりませんが、指や手の甲にはたくさんの小さな骨があります。指や手の甲を構成する骨は、以下のごとくです。

 

  • 末節骨(第1~5末節骨)
  • 中節骨(第2~5中節骨)
  • 基節骨(第1~5基節骨)
  • 中手骨(第1~5中手骨)
  • 手根骨(豆状骨、三角骨、月状骨、舟状骨、大菱形骨、小菱形骨、有頭骨、有鈎骨)

 

 

hand bone

 

Wikipediaから転載

 

 

腱には屈筋腱と伸筋腱がある

指が曲がらない原因のひとつに、腱断裂や腱の癒着があります。腱とは、骨に付着している繊維性のひも状組織で、筋肉の収縮を伝える役割を果たしています。手のひら側の腱を屈筋腱、手の甲側の腱を伸筋腱と呼びます。

 

屈筋腱は強靭な腱で、分厚い皮下組織の中にあるので切れてしまうことは少ないですが、周囲の組織と癒着しやすいです。一方、伸筋腱はペラペラで、しかも手の甲は皮膚の直下に伸筋腱が走行しているので切れやすいです。

 

屈筋腱や伸筋腱が切れてしまうと、筋肉の力が骨に伝わらなくなります。その結果、手や指を動かせなくなります。

 

 

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ネッター解剖学アトラス第3版より転載

 

 

労災で障害が残ったらどうなりますか?

労災(労働災害)で障害が残った場合、いくつかの支援が受けられます。まず、労働者災害補償保険(労災保険)があります。

 

これにより、障害の程度に応じて障害年金や一時金が支給されます。また、医療費や生活支援なども提供されます。

 

 

まとめ

 

指が曲がらなくなる傷病には、指の骨折(指節骨骨折)、手の甲の骨折(中手骨骨折)、腱の断裂や癒着、神経麻痺があります。

 

指が曲がらない事案の後遺障害認定では、指が曲がらなくなった原因が何なのかを理解する必要があります。

 

一方、後遺障害認定においては、実臨床では全く違和感無く受け入れられている病態でさえ否認される事案が多発しているので注意が必要です。

 

このような事案では、手外科医師による医師意見書が有効であるケースが多いです。お困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

 

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