交通事故で発生するもっとも一般的な外傷に打撲があります。打撲は骨折や靭帯損傷と異なり軽傷と思われがちです。しかし打撲で後遺症を残す人がいるのも事実です。
本記事は、打撲の後遺症が等級認定されるヒントとなるように作成しています。
最終更新日:2024/9/8
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打撲とは
何かにぶつかったり転倒したりすると、大きな外力のために皮下組織や筋肉などが損傷します。 この状態を打撲と言います。骨折や、関節の靭帯が切れた場合には、傷病名として骨折や靱帯損傷を優先します。
このため、打撲は骨折や靭帯損傷には至らなかった外傷の総称となっており、一般的には軽傷と思われがちです。
交通事故での打撲の受傷機序
交通事故ではどのような状況でも打撲は発生します。しかし、後遺障害の観点からは、車内で受傷する打撲と歩行中や自転車で転倒した際に受傷する打撲とでは、明らかに軽重が異なります。
当然、車外での受傷の方が大きな外力が加わりますが、その中でも転倒していると事故規模は比較的大きいと判断されます。
打撲の症状
打った部位の皮下組織が傷ついて内部で出血するため、痛みや腫れが出現します。皮膚の下に青黒い出血斑が出現することも多いです。
骨折や靱帯損傷が無ければ1~2週間で症状が軽快する人が多いですが、中には1ヵ月しても痛みや腫れが続くケースもあります。
打撲の診断
単純X線像(レントゲン)、CT検査、MRI検査などで、骨折や靱帯損傷が無いことを確認します。骨折まで至らなくても、打撲では皮下血種(いわゆるコブ)をきたしているケースは少なくありません。
このような事案では、MRI検査で皮下血種を確認できることが多いです。ただし、打撲(皮下血種)の診断目的でMRI検査を実施することはありません。
あくまでも骨折や靭帯損傷の有無を精査する過程で、副次的に皮下血種が発見されるという流れです。
打撲に対する治療
軽度の打撲なら、包帯で打った部位を圧迫固定すると1~2週間で治ります。 関節の打撲では、骨折や靭帯損傷を除外するためにも整形外科医による診察と治療が必要です。
痛みや腫れが強い場合にはRICE処置を行います。RICE処置とは、Rest(安静)、Icing(冷却)、 Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字から名付けられました。
RICE処置を実施することで、打撲による痛みや腫れが軽減して早期に治癒する可能性が高まります。
打撲で考えられる後遺症
14級9号:局部に神経症状を残すもの
傷病名が打撲の場合、多くの事案は非該当となります。骨折や捻挫などの明らかな器質的障害が無いので、12級13号以上に該当することはありません。
【弁護士必見】打撲の後遺障害認定ポイント
打撲では14級9号が上限
前述のように、傷病名が打撲の事案では14級9号が後遺障害等級の上限です。しかも14級9号でさえも等級認定のハードルは高いと言わざるを得ません。
自賠責認定基準のすべての条件をクリアしている事案でしか、14級9号が認定されることはありません。
だからと言って「打撲」病名での14級9号認定事案が珍しいのかというと、そういう訳でもありません。弊社でも多数の打撲事案で14級9号が認定されました。
頚部打撲や腰部打撲はもちろんのこと、肩関節打撲や足部打撲であっても14級9号が認定された事案があります。
<参考>
【医師が解説】筋挫傷の後遺症が等級認定されるヒント|交通事故
打撲は救済傷病名となりうる
打撲では14級9号が上限と言いましたが、打撲病名にも意義があると考えています。それは自賠責保険では等級認定されにくい骨挫傷、線維筋痛症、CRPSなどの救済病名となり得るからです。
周知のように、これらの傷病が後遺障害診断書に記載されてしまった事案では、重い後遺症が残っていても後遺障害に等級認定される可能性は極めて低いです。
<参考>
【日経メディカル】骨挫傷は交通事故診療では禁忌ワード!
【医師が解説】骨挫傷の後遺症で等級認定されるヒント|交通事故
【医師が解説】線維筋痛症の後遺症が等級認定されるヒント|交通事故
【医師が解説】CRPSの後遺症が等級認定されるポイント|交通事故
これらの傷病名が記載された後遺障害診断書であっても、打撲病名が併記されている場合には、救済等級である14級9号認定の対象となります。
これと同じ理屈で、腱板断裂やTFCC損傷の自賠責認定基準を満たさない事案であっても、打撲病名も記載されていれば救済等級である14級9号認定の対象となります。
<参考>
【医師が解説】腱板断裂の後遺症が等級認定されるポイント|交通事故
【医師が解説】TFCC損傷が後遺症認定されるポイント|交通事故
このように自賠責保険では後遺障害の対象となっていない傷病名や、自賠責認定基準を満たさない器質性外傷であっても、打撲の傷病名が併記されることで救済等級である14級9号認定の可能性があります。
膨大な数の交通事故事案を取り扱いしていると、打撲という傷病名の持つ意味の深さを再認識します。
打撲でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
打撲の後遺障害認定で弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、交通事故による打撲の後遺症が後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング
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等級スクリーニングは、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニングの有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニングを承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
交通事故による打撲の後遺症でお悩みの被害者の方へ
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まとめ
交通事故で発生するもっとも一般的な外傷である打撲は、骨折や靭帯損傷と異なり軽傷と思われがちです。しかし打撲で後遺症を残す人がいるのも事実です。
打撲では14級9号が上限ですが、打撲病名にも意義があります。それは自賠責保険では等級認定されにくい傷病や、自賠責認定基準を満たさない事案の救済病名となり得ることです。
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