交通事故などで脳挫傷を負うと、さまざまな後遺症が日常生活に長く影響する可能性があります。
記憶力や集中力の低下、感情コントロールの難しさといった高次脳機能障害が現れるケースも少なくありません。
こうした後遺症を適切に後遺障害認定してもらうには、医学的な裏付けが不可欠です。そこで重要になるのが医師意見書です。
本記事では、脳挫傷における医師意見書の基礎知識から、その有効性や取得方法、実際の活用法までを分かりやすく解説しています。
最終更新日: 2025/9/29
Table of Contents
脳挫傷と医師意見書の基礎知識
脳挫傷はどのようなケガか
脳挫傷は、頭部への強い衝撃によって、脳実質そのものが損傷を受ける外傷です。
損傷部位の脳機能障害だけでなく、頭蓋内での出血や浮腫などが生じて、数時間〜数日で症状が重篤化するケースもあります。
症状として、頭痛・意識障害・麻痺・失語・認知機能障害が現れることがあり、場合によっては長期のリハビリテーションが必要です。
<参考>
脳挫傷の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
医師意見書とは何か
医師意見書とは、主治医ではない別の医師が医学的資料を調べたうえで作成する文書です。
診療記録や画像検査を確認して、事故とケガの関係や後遺症の有無・程度について、医学的な根拠を示しながら中立的にまとめます。
医師意見書は、異議申し立てや訴訟などで自賠責保険や裁判所に提出され、当方の主張を補強するために使われます。
医師意見書と診断書の違い
医師意見書は、専門医がカルテや検査結果、画像検査などを精査して、後遺症について客観的にまとめた医学的な文書です。異議申し立てや裁判の場で使われます。
これに対して、診断書は主治医が作成します。診断書は、ケガの部位や治療の経過、症状を簡単に示したものです。保険会社や警察に提出する証明書として利用されます。
脳挫傷で医師意見書が重視される理由
脳挫傷の後遺症を医学的に証明
脳挫傷による後遺症は、画像検査(MRIやCT等)や神経心理学的検査など、医学的な証拠が極めて重要となります。
脳損傷による高次脳機能障害は外見から判断しづらいですが、医師意見書によって後遺症の有無や程度を客観的に証明できます。
医師意見書には、診療録や検査結果が詳細に記載されています。医学的に裏付けられているため、異議申し立てや裁判で重要な判断材料となります。
<参考>
神経心理学的検査は高次脳機能障害の等級認定ポイント|後遺障害
脳挫傷の後遺障害認定基準への適合性を主張
脳挫傷で発症した高次脳機能障害や身体性機能障害では、診断書や検査結果が後遺障害認定基準を満たしているかが審査されます。
そして、医師意見書では、脳の損傷を示す画像所見や、認知・行動面での症状を具体的に解説しています。
このため、医師意見書は、脳挫傷の後遺障害認定を審査する際の重要な資料となります。
<参考>
異議申し立てや訴訟での証拠としての有用性
医学的な根拠がはっきり示された医師意見書は、後遺症が実際にあることを証明する強力な材料になります。
そのため、初回の申請で思ったよりも低い等級と判断されても、医師意見書を添えて異議申し立てをすれば、等級が上がる可能性があります。
さらに、高次脳機能障害のような後遺障害をめぐる裁判でも、医師意見書が被害者側の有力な証拠として認められることがあります。
脳挫傷の医師意見書を活用する方法
脳挫傷の異議申し立てで後遺障害認定の根拠を補強する
脳挫傷で発症した高次脳機能障害で異議申し立てする際には、医師意見書が大きな力を発揮します。
医師意見書は、診療記録、画像検査、神経心理学的検査などをもとにして作成されています。
医学的根拠に基づいているため、審査においても当方の主張がより信頼されて、後遺障害に認定される可能性が高まります。
保険会社との示談交渉を有利に進める
医師意見書によって、脳挫傷で発症した高次脳機能障害の認知機能障害を医学的に説明できます。
医師意見書をもとに保険会社と交渉すれば、こちらの主張に説得力が増して、より有利な条件を得やすくなります。
裁判や調停で医学的根拠として活用する
裁判や調停においても、医師意見書は高次脳機能障害の程度や事故との因果関係を、医学的に主張できる重要な文書です。
医師意見書があると裁判官が病態を把握しやすくなるため、被害者の主張の信頼性を高める効果が期待できます。
脳挫傷の医師意見書を取得する方法
脳挫傷の医師意見書を取得する手順
脳挫傷の医師意見書を取得するためには、相談書、診断書、画像検査、神経心理学的検査などの必要資料を準備して、医療鑑定会社に依頼します。
見積金額の了承後に、医師意見書の検討項目が提案されます。検討項目に問題が無ければ、約4週間で初稿(医師意見書案)が提出されます。
医師意見書案に問題が無ければ、費用を支払います。医療鑑定会社が入金を確認した後に、医師意見書の原本が発送されます。
脳挫傷の医師意見書作成に必要な書類と情報
脳挫傷の異議申し立てで使用する医師意見書の作成には、以下のような書類や資料が必要です。
- 相談書(依頼時にお渡しします)
- 画像検査
- 神経心理学的検査
- 後遺障害診断書
- 神経系統の障害に関する医学的意見
- 日常生活状況報告
- 診断書
- 診療報酬明細(レセプト)
- 損害確認報告書 / 事故現場実況見分調書 / 車の損傷写真 など
- 後遺障害等級結果連絡書
- 診療録(カルテ)
症状や治療経過、日常生活の支障程度が分かる資料が多いほど、医師意見書の信頼性が高まります。
医師意見書の費用
概要 | 価格 |
整形外科 | 23万円 |
脳神経外科、脳神経内科 | 29万円 |
耳鼻科、眼科、歯科など | 29万円 |
精神科 | 31万円 |
訴訟加算(整形外科) | 4万円 |
訴訟加算(その他の科) | 1万円 |
多部位加算(3部位以上) | 3万円/数 |
特急対応加算 | 2万円 |
難事案加算 | 6万円~ |
反論意見書 | -5万円 |
医師意見書の作成に必要な料金は、基本料金をベースとして以下の要素で変動します。
- 診療科目
- 訴訟事案
- 顧問契約の有無
- 弁護士特約の有無
- 納品時期
脳神経科領域における一般的な事案では、30万円前後の料金負担で医師意見書の作成が可能なケースが多いです。
弊社の医師意見書作成にかかる、加算や割引などの詳細は、こちらをご確認ください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
脳挫傷の医師意見書取得にかかる期間
医師意見書を取得するまでの期間は依頼内容によります。一般的には4週間ほどで初稿(医師意見書案)が納品されます。
医師意見書案への修正依頼に、専門医が対応するのにかかる期間は、1~2週間のケースが多いです。
脳挫傷の後遺障害認定ポイント【弁護士必見】
脳挫傷が、適切な後遺障害等級に認定されるには、以下のような後遺障害認定基準をすべて満たす必要があります。
- 事故と症状に整合性がある
- 後遺症と各種検査が一致している
- 事故後から症状固定まで症状が続いている
- 常に後遺症が存在している
シンプルに見えますが、すべてをクリアしている事案は少ないです。また、これら以外にも、たくさんの後遺障害認定基準が存在します。
医師意見書の価値は、後遺障害認定基準に足りていない要素を補強して、後遺障害の蓋然性を主張する点にあります。
この目的を達成するためには、医師意見書を受任する医療鑑定会社が、後遺障害認定基準を知り尽くしている必要があります。
脳挫傷で後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事で詳しく紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
脳挫傷の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
脳挫傷の後遺障害認定で弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、交通事故で受傷した、脳挫傷の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
脳挫傷の後遺障害認定でお悩みの患者さんへ
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。
脳挫傷の医師意見書でよくある質問
高次脳機能障害の有無は意見書で判断されますか?
医師意見書では、画像所見に加えて、意識障害や記憶障害、神経心理学的検査の内容を踏まえて、高次脳機能障害の程度を専門的に評価します。
特に、事故後の意識・行動の変化や社会生活への影響も記載されるため、医師意見書の内容が後遺障害認定で重要な判断材料となります。
後遺障害等級認定に意見書はどの程度重要ですか?
後遺障害等級認定は、事故後の医学的所見・画像所見・各種の検査結果などによる書類審査が原則です。
医師意見書は、患者の症状や社会適応状況を客観的に補足して、診断書のみでは伝わりにくい医学的根拠や障害の程度を詳細に主張できます。
このため、脳挫傷の後遺障害等級認定において、医師意見書は重要な役割を果たします。
意見書を書いてもらう際のポイントは何ですか?
意見書を依頼する際は、経過が分かる診療録、診断書、画像検査、神経心理学的検査などの関連資料を収集する必要があります。
その上で、高次脳機能障害による日常生活への具体的な支障や支援している内容を、明確に伝える必要があります。
医師意見書にはどのような内容が含まれますか?
医師意見書には、診療録の要点、画像検査の所見、神経心理学的検査の結果、日常生活状況報告などが網羅されます。
また、後遺症の永続性や後遺障害認定基準を満たす医学的根拠も具体的に記載されます。必要に応じて医学文献も引用されます。
複数の医師に意見書を依頼することは可能ですか?
例えば、診療科が異なるケースでは、同一症例であっても複数の科の医師から意見書を得ることは可能です。
意見書を書いてもらう際に患者や家族が準備すべきことは?
患者や家族が準備すべきことは、受傷後の経過が分かる資料や具体的なエピソードの書面化です。
医師に、詳細な後遺症や困っている点を分かりやすく伝えることで、意見書の内容がより充実します。
まとめ
脳挫傷は頭部への強い衝撃で脳が損傷する外傷で、頭痛や麻痺、失語などの症状が出て、重症例は開頭手術や長期リハビリが必要です。
後遺障害認定では、外見から判断しづらい高次脳機能障害を医学的に証明するため、医師意見書が重要な役割を果たします。
医師意見書は異議申し立てや裁判で有力な証拠となり、等級認定や示談交渉を有利に進めるために重要な文書です。
脳挫傷の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で承ります。
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