交通事故による脳挫傷は、外見からは分かりにくい後遺症を残すことが多く、適切な後遺障害等級が認定されないケースも少なくありません。
「この症状で本当に非該当なのか」「もっと高い等級が認められるのでは」と疑問を抱いたまま、保険金の支払いを諦めていませんか?
異議申し立てを通じて、認定結果を覆すことは十分可能かもしれません。ただし、そのためには医学的な根拠や的確な手続きが必要となります。
本記事では、脳挫傷による後遺障害等級に不満を感じている方に向けて、異議申し立ての具体的な方法と成功のポイント、実際の事例をわかりやすく解説しています。
最終更新日: 2025/7/24
Table of Contents
脳挫傷の後遺障害等級
脳挫傷の後遺障害等級は、後遺障害の種類によって以下のような等級があります。
- 身体性機能障害:1,2,3,5,7,9,12級
- 高次脳機能障害:1,2,3,5,7,9,12級
- 遷延性意識障害:1,2級
- 外傷性てんかん:5,7,9,12級
自賠責保険の後遺障害等級認定では、日常生活や就労への影響、記憶障害などの症状の有無や程度、画像診断(MRIやCT)、神経学的・心理学的検査結果などが、提出された医証をもとに総合的に判断されます。
診断書や医療記録が基準を十分満たしていないと、想定より低い等級となるケースが多いため、詳細な症状の記録や専門医の意見が重要です。詳細な後遺障害等級は、こちらのコラム記事を参照してください。
<参考>
脳挫傷の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
予想より低い後遺障害等級になりやすいケースとは?
脳挫傷の影響が目立たず、見た目や簡単な会話では障害が認識されにくい場合や、症状の一貫性や客観的な証拠が不足しているケースでは、低い等級に判定されやすいです。
また、検査や診察時に症状が十分に記録されていない場合や、主治医が後遺障害診断書を十分に作成していない場合も同様です。後遺症の実態に即した資料提出が不可欠です。
脳挫傷で予想より低い後遺障害等級になる理由
医学的な証拠や検査結果が不十分
症状固定前の画像検査や、神経心理学的検査が揃っていなかったり、症状を裏付ける客観的な資料が不足していると、後遺障害の重症度が十分に伝わらず、等級評価が低くなりがちです。
症状が「見えにくい」
高次脳機能障害は記憶・注意・感情・社会性などの障害が中心で、外見からは分かりづらいことが多いです。
普段の生活や職場での困難が、審査時に十分伝わっていないと、実態より軽い評価を受けやすくなります。
家族や第三者の意見書、日常生活状況の記録が足りない
高次脳機能障害では、本人の自覚症状が乏しいのが特徴です。このため、家族などの第三者が記載する日常生活状況報告書で、生活上の変化や苦労のエピソードの記載が不十分だと、過小評価されてしまいます。
<参考>
日常生活状況報告の書き方とポイント|高次脳機能障害の後遺障害
主治医に丸投げしている
主治医は医療のプロですが、自賠責保険の後遺障害認定基準に詳しいわけではありません。
このため、主治医に丸投げしていると、後遺障害診断書や医学的意見の記載内容が不十分になってしまい、低い等級認定になるリスクが高まります。
<参考>
神経系統の障害に関する医学的意見|高次脳機能障害の後遺障害
脳挫傷の異議申し立ての方法と進め方
異議申し立ての具体的な流れと必要書類
異議申し立ては、自賠責保険の後遺障害等級決定後、不服がある場合に認められます。まず「異議申し立て書」を提出して、審査請求を行います。
必要書類は、認定結果通知書および理由書、診断書、検査結果、新たに提出する後遺症を裏付ける資料などです。
完了まで数ヶ月かかるケースもあるため、早期の準備と正確な書類提出が重要です。
異議申し立てで効果的な追加資料は?
脳挫傷の症状は複雑なため、新たな神経心理学的検査、画像検査(MRI、CT)、医師意見書など、予想された後遺障害等級に足りない医証を提出する必要があります。
日常生活動作の変化や就労状況を示す資料も後遺障害認定で重要視されるため、幅広く揃えることが望まれます。
費用と時間は?
異議申し立て自体の手数料は無料ですが、専門家に依頼すると相談料や書類作成費が発生します。
専門家への依頼費用は内容によって異なりますが、簡易な書類作成支援であれば数万円程度から、詳細な医師意見書作成を伴う場合は20万円以上かかるケースもあります。
審査期間は通常3~6ヶ月程度かかり、その後も長期戦になる覚悟が必要です。早めの準備で対応がスムーズになります。
<参考>
医療鑑定の費用と相場はどれぐらい?|交通事故、遺言能力鑑定
脳挫傷の異議申し立てが認められるポイント【弁護士必見】
予想より低い後遺障害等級の原因を分析する
予想より低い等級となる主な原因は、診断書の記載内容不備や、症状に対応した神経心理学的検査が不足しているケースが挙げられます。原因分析は異議申し立て成功の第一歩です。
<参考>
高次脳機能障害の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
後遺障害の認定条件をクリアする
脳挫傷の後遺障害では、各等級に認定基準が定められています。後遺障害認定基準を満たすための医証を取得して、異議申し立てする必要があります。
異議申し立てでは新たな医証が必須
異議申し立てで成功するには、初回申請では出せなかった新たな医療証拠(医師意見書、画像鑑定、客観的所見が記載された診断書、定期的な通院記録等)の提出が不可欠です。
新たな医証を添付せずに、漫然と異議申し立てするだけでは、等級が変更される可能性は無いことに注意が必要です。
<参考>
脳挫傷の異議申し立てを成功させるためのポイント
脳挫傷による高次脳機能障害で適切な後遺障害認定を受けるためには、他の傷害とは異なる戦略が必要になります。詳細に関しては、こちらのコラム記事を参照していただければ幸いです。
<参考>
高次脳機能障害の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
脳挫傷の異議申し立て成功事例(7級4号)
事案サマリー
- 被害者:50歳(事故当時)
- 初回申請:9級10号
- 異議申立て:7級4号が認定されました
自賠責保険は、高次脳機能障害と神経因性膀胱に関係する画像検査の所見が乏しいことを根拠に、9級10号の等級認定となりました。
弊社の取り組み
弊社で画像検査を再度確認したところ、被害者の症状を説明し得る検査所見を新たに指摘することができました。異議申し立てによって7級4号が認定されました。
頭部MRI検査(DWI)で左前頭葉に浮腫性病変(高信号域(白色))を新たに指摘することができました(赤矢印)。
脳挫傷の後遺障害認定で弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、脳挫傷が後遺障害に等級認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
脳挫傷の後遺障害認定でお悩みの被害者の方へ
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。
脳挫傷の異議申し立てでよくある質問
異議申し立てとは何ですか?
異議申し立てとは、自賠責保険などの後遺障害等級認定に不満がある場合、再審査や見直しを求める正式な手続きです。
申請者自身または代理人(弁護士等)が、認定結果に納得できない場合に、追加資料や医師意見書を添えて再評価を請求します。新たな証拠提出が必須とされています。
異議申し立ての成功率はどのくらいですか?
異議申し立ての成功率は、追加医証で明確な医学的裏付けがあるかによって大きく異なります。2023年度(2022年度統計)の成功率は、約10.7%でした。
一般に、統計上5~15%程度とされていますが、適切な医証を提出すると成功率が上昇します。事案ごとの事情が大きく影響します。
<参考>
後遺障害の異議申し立て成功のポイント|交通事故の医療鑑定
異議申し立てで等級が上がらない場合、他に方法はありますか?
異議申し立てで等級が上がらなかったら、裁判を提起して争う方法があります。損害賠償請求訴訟の中で後遺障害の認定を主張して、法的判断を仰ぐのが一般的です。
脳挫傷の場合、どのような後遺症が残ることがありますか?
脳挫傷による後遺症には、記憶障害、注意障害、感情のコントロール困難、言語障害、運動障害など、高次脳機能障害と呼ばれる多様な症状が含まれます。
症状の度合いは個人差がありますが、日常生活や社会活動に長く影響するケースが少なくありません。
異議申し立ての期間は決まっていますか?
自賠責保険の異議申し立てには明確な期限は設けられていませんが、証拠保全や時効の観点から、等級認定後はできるだけ早く申し立てることが推奨されます。
まとめ
脳挫傷による後遺障害は、記憶障害や感情のコントロール困難など高次脳機能障害を含み、見た目では分かりにくいことが多く、等級が低く認定されることがあります。
自賠責保険の認定では、MRIなどの画像診断や検査結果、家族の証言など総合的な資料が必要です。
異議申し立てには、新たな医師の意見書や検査資料を提出して、症状の実態を客観的に示すことが成功のカギとなります。
脳挫傷の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で承ります。
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