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【医師が解説】追突事故の主な症状と後遺症とは?|医療鑑定

追突事故は、最も多い交通事故の1つです。追突事故では「むちうち」になることが多いですが、それ以外の症状が出ることも珍しくありません。

 

本記事は、追突事故の症状と後遺症を理解するヒントとなるように作成しています。また、自賠責保険で後遺障害に認定されるポイントも解説しています。

 

 

最終更新日: 2024/7/10

 

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Table of Contents

追突事故の主な症状と後遺症

 

追突事故では、さまざまな症状が出ます。そして追突事故で発症した症状は、そのまま後遺症として残ってしまうことも珍しくありません。

 

追突事故で出る可能性のある症状や後遺症は、首や腰の症状を中心として、以下のようなものが挙げられます。

 

 

首の症状

首の痛みや肩こりは、むちうち(頚椎捻挫)の症状として有名です。実臨床では、むちうち患者さんのほぼ全員に首の痛み、肩こり、違和感があります。首の痛みや肩こりは、むちうちの後遺症として残りやすい症状です。

 

 

<参考>
【医師が解説】むちうち後遺症が首の痛みだけで後遺障害認定される?

 

 

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頭部の症状

頭痛などの頭部の症状も、むちうちの症状として有名です。特に、後頭部の痛み、重だるさ、じびれも、むちうちの後遺症として残りやすいです。

 

 

<参考>
【医師が解説】むちうちの頭痛が後遺障害認定されるヒント|医療鑑定

 

 

耳鳴りとめまい

耳鳴りやめまいが、むちうちに合併するケースもあります。追突事故で首の骨の近くに炎症が発生すると、交感神経が刺激されて内耳という耳の機能をつかさどる部分の血流が低下します。その結果、耳鳴りやめまいが発症すると言われています。

 

首や頭の症状に耳鳴りやめまいが合併すると、「バレリュー症候群」「自律神経失調症」「頸肩腕症候群」といった傷病名がつけられるケースもあります。

 

 

<参考>
【医師が解説】むちうちのめまいが後遺症認定されるヒント|医療鑑定
【医師が解説】バレリュー症候群の後遺障害認定ポイント|医療鑑定
【医師が解説】頸肩腕症候群とは?症状のセルフチェックも|医療鑑定

 

 

腰の症状

腰痛や背中の痛みは、腰椎捻挫の症状として有名です。また腰痛は、後遺症としても残りやすいです。

 

 

<参考>
【医師が解説】腰椎捻挫が後遺障害認定されるポイント|医療鑑定

 

 

四肢の症状

むちうちでは上肢のしびれや痛みを、腰椎捻挫では下肢のしびれや痛みが出やすいです。首や腰の神経の圧迫や炎症が、症状の原因と言われています。四肢の痛みやしびれは、むちうちや腰椎捻挫の後遺症として有名です。

 

手足のしびれや痛み、脱力を生じる場合は、頚椎椎間板ヘルニアや腰椎椎間板ヘルニアを合併している可能性も考えられます。

 

 

<参考>
【日経メディカル】あなどれない「むち打ち」の後遺症、首にとどまらない驚きの症状とは

 

 

 

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追突事故の症状の治療法

できるだけ早く医療機関を受診する

追突事故に遭った時には、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。もちろん、夜間や祝祭日の場合には、症状が軽ければ翌日に受診でも問題ありません。

 

しかし、首や腰の症状が続いているにもかかわらず、追突事故から1週間以上も医療機関を受診しないなどは避けた方が無難でしょう。

 

 

医療機関での治療

薬物療法

痛み止めやしびれ止めなどのお薬による治療です。整形外科などの医療機関の治療の中心になります。

 

 

理学療法

いわゆるリハビリテーションです。牽引などの物理療法やホットパックなどの温熱療法も含まれます。理学療法を続けることで症状の改善が見込めます。

 

 

ブロック注射

最近ではあまり実施されなくなりましたが、ブロック注射も首や腰の痛みに対する治療です。注射してから数時間程度は効果があります。

 

 

整骨院に通うときの注意点

むちうちや腰椎捻挫の治療は、開業医(クリニック)や病院が基本です。しかし、通院が難しい場合には、代替療法として整骨院に通う選択肢もあります。

 

整骨院ではマッサージなどの施術が行われます。対処療法ですが、それなりの効果が期待されるケースが少なくありません。

 

ただし、むちうちや腰椎捻挫で整骨院に通う際には、必ず整形外科などの医療機関に、最低2回/月程度は受診する必要があります。

 

整骨院にばかり通っていると、治療効果を判定できず、保険会社か治療費を打ち切られやすくなります。

 

 

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むちうち症状が後から出てきた場合の対処法

追突事故当日は痛みが無いこともある

むちうちや腰椎捻挫では、追突事故当日には症状が出ないケースが珍しくありません。事故から数時間から1日経過して痛みがでることも多いです。

 

 

<参考>
【医師が解説】むちうちの症状が出るまでの期間|交通事故の後遺症

 

 

症状が出たら早めに医療機関受診が必要

追突事故の翌日になって首や腰の症状が出てきたら、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。早く治療を始めるほど、早く治りやすいからです。

 

また、もし後遺症が残った際にも、追突事故から1週間経過して初診すると、事故との因果関係が認められずに後遺障害非該当になります。

 

 

物損事故から人身事故への切り替え

交通事故には、人身事故と物損事故の区分があります。人身事故は身体的な損害が、物損事故は物体的な損害が対象です。

 

追突事故後に症状がない場合、物損事故として扱われる可能性があります。しかし、後から痛みが出たら速やかに人身事故に切り替えることをお勧めします。

 

 

人身事故に切り替えるべき理由

 

  • 警察の調書が作成されて事故の検証がしやすくなる
  • 加害者を刑事罰に問える
  • 保険金請求がスムーズになる

 

 

人身事故への切り替え方法

 

  1. 医療機関で診断書をもらう
  2. 警察署で事情聴取と実況見分を受ける
  3. 交通事故証明書を発行してもらう

 

警察に切り替えを依頼する際は、事前に警察署に連絡して日時を調整しましょう。また、交通事故証明書は、自動車安全運転センターで発行手続きを行います。

 

 

追突事故の後遺症は数年後に発症する?

数年後に追突事故の後遺症が出ることは無い

むちうちや腰椎捻挫の後遺症が、追突事故から数年後に発症することはありません。今は何も症状が無ければ、後から後遺症が出ることはないのです。

 

もし、首や腰に痛みやしびれなどの症状が出たとしても、追突事故とは無関係に発症したと思って良いでしょう。

 

 

<参考>
【医師が解説】むちうち症状が出るまでの期間|交通事故の後遺症

 

 

交通事故と頚椎捻挫後遺症の因果関係の証明は難しい

自賠責保険の後遺障害認定審査でも、追突事故から数年してから発症した痛みやしびれは、交通事故との因果関係無しと判断されます。

 

このため、追突事故から数年してから発症した症状が、むちうちや腰椎捻挫の後遺障害に認定される可能性はゼロです。

 

 

骨折の後遺症が数年後に発症しうる

膝や手首の関節内骨折では、交通事故から数年後で痛みや関節可動域制限などの症状が出る可能性が十分にあります。

 

このようなケースは、交通事故との因果関係の証明が比較的容易です。もしお困りであれば、主治医や弁護士に相談しましょう。

 

 

 

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むちうちや腰椎捻挫は治療費を打ち切られやすい

治療費が打ち切られやすいケース

骨折と違って、むちうちや腰椎捻挫などの画像検査ではっきりした異常所見が分かりにくい事案では、治療費が打ち切られやすいです。

 

むちうちや腰椎捻挫の中でも、特に以下に挙げるケースでは、治療費が打ち切られやすいと言われています。

 

  • 事故の規模が小さい
  • 通院頻度が少ない
  • 通院頻度が多過ぎる(毎日通院など)
  • 被害者が感情的になっている

 

 

治療費を打ち切られたときの対処法

むちうちの治療を続けていると、そのうち保険会社から治療を打ち切るという連絡が来るケースが多いです。

 

しかし、保険会社から治療打ち切りの連絡があっても、痛みやしびれなどの症状が残っていれば、安易に承諾してはいけません。

 

必ず、保険会社に治療が打ち切りになる理由を確認しましょう。そして、以下のような対処法を検討します。

 

 

主治医に相談

 

むちうち症状が残っていても、治療効果があれば、治療はまだ必要です。このようなケースは、主治医に相談しましょう。

 

保険会社から主治医に送られる「治療状況照会状に対する回答書」で、治療の必要性が記載されれば、治療打ち切りが延長される可能性があります。

 

 

弁護士に相談する

 

保険会社からの治療打ち切りの連絡があった際には、保険会社との交渉を弁護士に依頼するのも選択肢の1つです。

 

弊社は、豊富な実績を持つ全国の弁護士を紹介可能です。もし、弁護士紹介を希望される方がいらっしゃれば、以下のリンク先からお問い合わせください。

 

尚、弊社の弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアです。電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。

 

 

<交通事故被害者の方はこちら>
【弊社ホームページ】弁護士紹介サービス

 

 

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治療効果があれば終了してはいけない

主治医が治療状況照会状で治療が必要と回答して、弁護士が交渉にあたっても、保険会社から治療を打ち切られるケースもあります。

 

もし症状が治りつつある状況なら、自己負担金額が発生しますが健康保険を利用して通院を続けましょう。

 

 

症状固定後の示談交渉で請求する

保険会社には、症状固定までの治療費を支払う法的義務はあります。このため、治療の途中で治療費を打ち切られても、症状固定後の示談交渉で保険会社に治療費を請求できます。

 

 

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追突事故後の後遺障害

12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの

追突事故では、むちうち(頚椎捻挫)や腰椎捻挫の後遺症が残りやすいです。これらの事案では、12級13号に認定される可能性があります。

 

局部とは、首や腰をさします。神経症状とは、むちうちや腰椎捻挫に由来する症状です。首や腰の痛みだけではなく、肩こり、手足のしびれや痛み、めまいや頭痛、嘔気も含まれます。

 

14級9号との大きな違いは、「障害の存在が医学的に証明できるもの」である点です。12級13号が認定される必須条件は、MRI検査での客観的(他覚的)な異常所見です。

 

客観的な異常所見には、椎間板ヘルニアや骨棘(加齢の変化)、椎間板高の減少(加齢による変性で椎間板の厚みが減少する)も含みます。

 

また、客観的な身体の異常所見も必須です。客観的な身体所見は、筋力低下、筋肉の萎縮(やせて細くなる)、深部腱反射の異常(医師が打腱器を使って行う検査)です。

 

しびれ(知覚障害)の範囲も、損傷された神経の分布に一致していなければいけません。筋力低下は、徒手筋力テスト(MMT)で評価されます。

 

 

<参考>
【医師が解説】徒手筋力検査は後遺症12級認定のポイント|交通事故

 

 

14級9号:局部に神経症状を残すもの

12級13号ほど後遺障害認定要件は厳しくないですが、それでも後遺障害認定率は決して高いとは言えません。

 

14級9号が認定されるためには、事故規模が大きい、10回/月以上の通院頻度、症状に常時性がある、ある程度の画像所見が必要です。

 

あまりにも車体の損傷が小さい軽微な追突事故では、後遺障害非該当とされることが多いです。

 

 

【弁護士必見】追突事故の後遺障害認定ポイント

 

後遺障害に認定される確率は全体の約5.5%しかなく、自賠責保険から補償を受けることは難しいと言わざるを得ません。

 

一方、追突事故では、むちうちと腰椎捻挫が圧倒的に多いです。そしてこれらの外傷の後遺障害認定ポイントは、ほぼ同じと言えます。

以下に、むちうちと腰椎捻挫の後遺障害認定ポイントをまとめています。興味のある方はご参照いただければ幸いです。

 

 

<参考>
【日経メディカル】むち打ちの後遺障害が非該当になる理由
【医師が解説】むちうち後遺症が首の痛みだけで後遺障害認定される?
【医師が解説】腰椎捻挫が後遺障害認定されるポイント|医療鑑定

 

 

弁護士だけでは医学的判断が難しいため、後遺障害認定されるためには、脊椎脊髄外科指導医/専門医や整形外科専門医の評価が必須です。弊社では等級スクリーニングというサービスを提供しているのでご気軽にお問い合わせください。

 

 

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Traffic accident patient

 

 

【12級13号】むちうちの後遺障害認定事例

事案サマリー

  • 被害者:46歳
  • 初回申請:非該当
  • 異議申立て:12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)

 

交通事故後に頚部痛と右頚部から母指にかけて放散する痛みが持続していました。痛みのため、1年以上通院、治療を余儀なくされましたが、症状は改善しませんでした。初回申請時には非該当と判定されました。

 

 

弊社の取り組み

診療録を詳細に確認すると、受傷直後から頚椎椎間板ヘルニアに特徴的な「スパーリング徴候陽性」と複数箇所に記載されていました。

 

MRIで、C5/6レベルに椎間板ヘルニア(矢印)を認め、患者さんの上肢痛(右母指にかけての放散痛)は椎間板ヘルニアが圧迫しているC6神経根の知覚領域と完全に一致していました。

 

脊椎脊髄外科指導医が診療録を確認して、初回申請時に見落とされていた身体所見を記載した医師意見書を作成しました。異議申立てを行ったところ12級13号が認定されました。

 

 

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【14級9号】腰椎捻挫の後遺障害認定事例

事案サマリー

  • 被害者:39歳
  • 初回申請:非該当
  • 異議申立て:14級9号(局部に神経症状を残すもの)

 

交通事故後に腰痛を自覚されていました。受傷から8ヵ月通院されましたが、頑固な腰痛は改善せず、後遺障害診断書が作成されましたが、非該当と判定されたため、弊社に相談がきました。

 

 

弊社の取り組み

画像を脊椎外科専門医が詳細に読影したところ、事故の後から、L4/5椎間板高の減少(椎間板がすり減って、高さが低くなる現象)が進行していることが明らかになりました。

 

これらの所見について、医師意見書を作成して異議申立てを行ったところ14級9号が認定されました。

 

 

 

 

まとめ

 

追突事故で出る可能性のある症状は、むちうちや腰椎捻挫による首や腰の痛みが多いです。これらの症状は、後遺症になりやすい特徴があります。

 

首や腰の痛み以外にも、手足のしびれ、頭痛、耳鳴り・めまいなどの自律神経失調症も珍しくありません。

 

追突事故で、むちうちや腰椎捻挫を受傷して後遺症が残っても、自賠責保険から後遺障害に認定される確率は約5.5%しかありません。

 

このため、追突事故で後遺症が残りそうな時には、十分な対策が必要になります。

 

 

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