出血性ショックという言葉をご存知でしょうか。出血性ショックは、交通事故などの外傷や大動脈瘤破裂などによる大量出血で引き起こされます。
交通事故では、骨盤骨折や大腿骨骨折などの大きな骨折に合併することが多く、死に至るケースも少なくありません。本記事は、出血性ショックを知るヒントとなるように作成しています。
最終更新日: 2024/5/13
Table of Contents
出血性ショックとは
出血性ショックとは、外傷などによる大量出血で身体の中の血液が急激に失われたために、血液の循環が悪くなって血圧が極端に低下した状態です。
組織や臓器に必要な血液が運ばれなくなる状態が続くと、重要な臓器に必要な酸素や栄養が届かなくなってしまい、重大な障害を引き起こす可能性が高くなります。
出血性ショックの原因
出血性ショックでは、以下のような原因で発症します。
- 外傷: 骨盤骨折、大腿骨骨折など
- 消化管出血: 消化管潰瘍、食道静脈瘤破裂など
- 周産期の異常: 子宮破裂や弛緩出血など
- 大動脈瘤破裂
- 手術
<参考>
【医師が解説】骨盤骨折の後遺症が等級認定されるポイント|交通事故
【医師が解説】大腿骨骨折が後遺症認定されるポイント|交通事故
出血性ショックの症状
血液量の20%以上(60kgの成人男性で約1000g)が失われると、以下のような出血性ショックの症状が現れます。
- 目がうつろになる、表情がぼんやりなる(意識障害)
- 息が速くなる(呼吸不全)
- 脈が速くなる
- 冷汗、皮膚が冷たくなる
- チアノーゼ: 皮膚が白くなる、唇が紫色になる
出血性ショックの症状が現れると、2時間以内に治療しないと多臓器不全を起こして死亡する可能性があります(※)。
(※)出血性ショックから死亡までの中央値は約2時間と言われています。
出血性ショックの治療
事故現場での出血性ショックの対応
交通事故や労災事故の現場では、以下のような応急手当が推奨されます。
- 被害者を仰向けに寝かせる
- 両足を30cmほど上げる
- 衣服をかけ保温する
治療
通常、急速に血液量の20%失われると出血性ショックに陥り、30%以上失われると死亡する可能性が高まります。
出血量を推定して、それに応じた量の補液や輸血を行います。同時に出血部位を特定して、止血処置を行います。
低体温予防のために保温することや、酸素を投与して重要臓器の保護に努めることも重要です。
出血性ショックの後遺症
出血性ショックから回復したとしても、低酸素のために脳などの重要臓器に大きな後遺症を残すことがあります。
また、出血性ショックの原因となった外傷による後遺症が残るケースも珍しくありません。
<参考>
【遷延性意識障害(植物状態)】医師意見書の有効性|交通事故
【医師が解説】高次脳機能障害が後遺症認定されるポイント|交通事故
【医師が解説】内臓破裂の後遺症が等級認定されるポイント|交通事故
【医師が解説】骨盤骨折の後遺症が等級認定されるポイント|交通事故
【医師が解説】大腿骨骨折が後遺症認定されるポイント|交通事故
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出血性ショックのまとめ
出血性ショックとは、大量出血で身体の中の血液が急激に失われたために、組織や臓器に必要な血液が運ばれなくなった状態です。
出血性ショックでは、脳などの重要な臓器に必要な酸素や栄養が届かなくなってしまい、重大な障害を引き起こす可能性が高くなります。
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