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顔面神経麻痺は後遺障害認定される?|交通事故の医療鑑定

交通事故などの外傷で顔面神経麻痺を発症すると、片方の目が閉じにくくなったり、口が歪んだり、口からよだれが垂れたりします。後遺症が残ると大変ですね。

 

一方、顔面神経麻痺が後遺症として残った場合には、外貌の醜状障害や神経障害で後遺障害に認定される可能性があります。

 

本記事は、交通事故で発症した顔面神経麻痺が、後遺障害に認定されるヒントとなるように作成しています。

 

 

最終更新日: 2024/8/23

 

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顔面神経麻痺とは

 

顔面神経は、顔の表情を作る神経です。顔面神経(第7脳神経)は、脳から顔の筋肉まで伸びています。顔面神経のどこかが傷害を受けると、顔の筋肉が動かなくなってしまいます。

 

 

facial nerve paralysis

 

 

顔面神経麻痺の症状

 

顔面神経麻痺になると、片方の目が閉じにくくなったり、口が歪んだり、無意識のうちに口から水がこぼれたりします。

 

また、味覚の異常や、涙が出にくい、耳鳴り、難聴、めまいを訴えるケースもあります。

 

 

顔面神経麻痺で考えられる後遺障害

 

等級

認定基準

12級4号

外貌の醜状

12,14級

耳鳴り

9~14級

難聴

12級2号

瞼(まぶた)の運動障害

14級

味覚の障害

14級

嗅覚の障害

 

 

外貌の醜状障害

顔面神経麻痺による口唇周囲のゆがみなどの後遺症は、外貌の醜状障害として12級14号になります。顔面神経麻痺の程度は、柳原法で評価されます。

 

 

<参考>
【日経メディカル】「美形」は外貌醜状の後遺障害認定で有利?
【医師が解説】交通事故の顔の傷跡と後遺障害|外貌醜状
【医師が解説】外貌醜状が後遺障害に認定されるポイント|交通事故

 

 

耳鳴り

12級相当

 

耳鳴に係る検査によって耳鳴が存在すると医学的に評価できるものです。具体的には、ピッチマッチ検査およびラウドネスバランス検査によって、耳鳴りが存在すると医学的に評価できる場合に該当します。

 

一方、弊社の経験では、オージオグラムで難聴が証明されているだけで、耳鳴で12級相当が認定された事案も存在します。

 

 

14級相当

 

難聴に伴い常時耳鳴のあることが合理的に説明できるものです。この場合の「難聴に伴い」とは、平均純音聴力レベルが後遺障害等級認定上の難聴の基準である40dB以上を指すものではありません。

 

耳鳴が存在するであろう周波数純音の聴力レベルが、他の周波数純音の聴力レベルと比較して低下しているものを指します。

 

 

難聴

9級9号

 

1耳の聴力を全く失ったものです。具体的には、一耳の平均純音聴力レベルが90dB以上を満たすものが該当します。

 

 

10級6号

 

1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったものです。具体的には、一耳の平均純音聴力レベルが80dB以上90dB未満を満たすものが該当します。

 

 

11級6号

 

1耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったものです。具体的には、以下の基準を満たすものが該当します。

 

  • 一耳の平均純音聴力レベルが70dB以上80dB未満のもの
  • 一耳の平均純音聴力レベルが50dB以上であり、かつ、最高明瞭度が50%以下のもの

 

 

14級3号

 

1耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することができない程度になったものです。具体的には、一耳の平均純音聴力レベルが40dB以上70dB未満を満たすものが該当します。

 

 

<参考>
【医師が解説】耳鳴り・難聴の後遺障害認定ポイント|交通事故

 

 

Woman with hearing loss

 

 

まぶたの運動障害

顔面神経麻痺のために、瞼(まぶた)を閉じられないケースでは、眼の障害として12級2号認定される可能性があります。

 

 

味覚の障害

顔面神経麻痺のために、味覚が減退したケースでは、味覚の障害として14級相当に認定される可能性があります。

 

 

嗅覚の障害

顔面神経麻痺のために、嗅覚が減退したケースでは、嗅覚の障害として14級相当に認定される可能性があります。

 

嗅覚が減退したものと評価されるには、T&Tオルファクトメーターの検査結果が2.6以上5.5以下となる必要があります。

 

 

<参考>
【医師が解説】鼻骨骨折の後遺症が等級認定されるポイント|交通事故

 

 

 

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交通事故による顔面神経麻痺の原因

顔面神経麻痺は側頭骨骨折で発生しやすい

交通事故などが原因となる外傷性顔面神経麻痺のほとんどは、側頭骨骨折などの頭部外傷で生じます。

 

側頭骨骨折を受傷すると、骨折片が顔面神経を圧迫したり、切断してしまい、外傷性顔面神経麻痺を引き起こします。

 

<参考>
【医師が解説】頭蓋骨骨折の後遺症の後遺障害認定ポイント|交通事故

 

 

temporal bone fracture 3D

 

 

顔面神経麻痺の診断

 

顔面神経麻痺の診断には以下があります。

 

  • 柳原法(麻痺スコア)
  • 電気生理学的検査
  • CT検査
  • MRI検査

 

 

柳原法(麻痺スコア)

顔面神経麻痺の程度を評価するために、顔の表情筋の運動障害を点数化する柳原法という麻痺スコアを実施します。

 

柳原法では、8点以下を完全麻痺、10点以上を不全麻痺と評価します。柳原法は、顔面神経麻痺の程度の変化を観察するのに適しています。

 

 

<参考>
【医師が解説】交通事故の顔の傷跡と後遺障害|外貌醜状
【医師が解説】外貌醜状や醜状障害の後遺障害認定ポイント|交通事故

 

 

電気生理学的検査

NET(nerve excitability test)

 

NETでは、顔面神経刺激による顔面筋の収縮を観察して、患側と健側で筋収縮を起こす電流の最小閾値を比較します。

 

閾値差が3.5mA以内なら予後は良好ですが、3.5mA以上の場合は予後不良とされています。

 

 

ENoG(electroneuronography)

 

ENoGは誘発筋電図の一種です。最大レベルの刺激で得られた複合筋活動電位の振幅を患側と健側で比較して、神経変性に陥った神経線維の割合を評価します。

 

 

<参考>
【医師が解説】神経伝導速度検査は万能ではない|交通事故

 

 

CT検査

外傷性顔面神経麻痺では、側頭骨骨折の部位や転位状況、耳小骨連鎖、迷路骨包障害などを評価するために、CT検査を行います。

 

注意点は、頭部外傷のスクリーニングで撮像した頭部CT検査では、顔面神経管周囲の評価が難しいことです。このため、外傷性顔面神経麻痺では、側頭骨骨折のCT検査が必要です。

 

 

<参考>
【医師が解説】頭蓋骨骨折の後遺症の後遺障害認定ポイント|交通事故

 

 

MRI検査

外リンパ漏、髄液漏、顔面神経断裂を疑うケースでは、MRI検査で評価することが望ましいです。

 

 

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【弁護士必見】顔面神経麻痺の後遺障害認定ポイント

 

顔面神経麻痺では、柳原法で麻痺の程度を評価します。柳原法で10点以上であれば、外貌の醜状障害として12級14号が認定される可能性があります。

 

顔面神経麻痺の診断には、柳原法(麻痺スコア)、電気生理学的検査、CT検査、MRI検査がありますが、交通事故の後遺障害では、柳原法とCT検査が重要です。

 

CT検査は、頭部外傷のスクリーニングで撮像した頭部CT検査では顔面神経管周囲の評価が難しいことに注意が必要です。外傷性顔面神経麻痺では、側頭骨骨折のCT検査が望ましいでしょう。

 

顔面神経麻痺では、顔面筋の運動障害以外にも、難聴、耳鳴り、まぶたの運動障害、味覚障害、嗅覚障害などを併発する可能性があります。

 

 

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顔面神経麻痺の後遺障害認定で弊社ができること

弁護士の方へ

弊社では、交通事故による顔面神経麻痺が後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。

 

 

等級スクリーニング

 

現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。

 

等級スクリーニングは、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。

 

等級スクリーニングの有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニングを承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。

 

 

<参考>
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

 

 

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医師意見書

 
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。

 

医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。

 

医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。

 

弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。

 

 

<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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画像鑑定報告書

 

交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。

 

画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。

 

画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。

 

弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。

 

 

<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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交通事故による顔面神経麻痺でお悩みの被害者の方へ

弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。

 

また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。

 

もし、顔面神経麻痺の後遺障害認定で、弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。

 

尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。

 

 

Traffic accident patient

 

 

まとめ

 

顔面神経麻痺を合併すると、片方の目が閉じにくくなったり、口が歪んだり、口からよだれが垂れたりします。

 

交通事故による顔面神経麻痺は、側頭骨骨折などの頭部外傷を契機に生じます。

 

顔面神経麻痺の診断には、柳原法(麻痺スコア)、電気生理学的検査、CT検査、MRI検査がありますが、交通事故の後遺障害では、柳原法とCT検査が重要です。

 

顔面神経麻痺でお困りの事案があればこちらからお問い合わせください。

 

 

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