神経伝導速度検査は万能ではない

投稿日:2019年5月25日 更新日:

末梢神経障害の診断や治療の選択に際して、臨床では神経伝導速度検査を施行することがあります。神経伝導速度検査は、神経を電気で刺激した際の筋肉や神経の信号の伝わり方を記録する検査です。

この記録を評価することによって、神経や筋肉に異常があるかを調べます。検査結果は綺麗な数字で出てくるので、CR, CT, MRIなどの画像検査と同等の客観性を期待できそうなイメージが持たれがちです。

しかし、実際の神経伝導速度検査は画像検査と異なり、かなり被験者の局所状態や検査技師の技量に左右されます。振れ幅が大きいので、私の感覚ではむしろ超音波検査に近い印象を抱いています。

検査そのものの振れ幅が大きい原因として下記が挙げられます。

  1. 神経を直接見て刺激を与えたり受信電極を貼付するわけではない
  2. 被験者の解剖学的特性に依存する
  3. 測定する神経の解剖学的特徴に依存する

①に関しては、神経の場所を類推して検査を施行するので、経験豊富な検査技師とそうでない技師との差が大きいです。以前、明らかな腓骨神経麻痺にも関わらず神経伝導速度検査で有意所見無しの事案がありましたが、他院で再検したところ完全な腓骨神経麻痺だったことがあります。

②に関しては、太っていたり筋肉質な被験者の場合は神経への刺激がうまくいかないケースが多いです。理想は痩せていて軟部組織の少ない方なのですが、そのような方は少数派です。

③に関しては、正中神経・尺骨神経などは容易ですが、脛骨神経・腓骨神経の知覚枝などの解剖学的破格が多く、細い神経では難しくなります。特に腓骨神経知覚枝は高率に走行破格が存在します。

確かに神経伝導速度で有意所見があれば等級獲得では有利になりますが、検査をすれば必ず結果が出るものではなく、むしろ検査をしても有意所見が出ないことの方が多い印象です。

もし神経伝導速度検査の実施を検討するのであれば、 そのあたりの事情を考慮することをお勧めします。

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