交通事故に遭った際に、強い味方になるのが自動車保険の弁護士特約です。弁護士特約は、自動車保険の中ではマイナーな取り扱いですが、絶対に附帯しておくべき特約でしょう。
本記事は、年間1000例の交通事故事案を取り扱っている整形外科医師が、弁護士特約について説明しています。
最終更新日: 2024/5/16
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弁護士特約とは
弁護士特約(弁護士費用特約)とは、交通事故に遭った際に、保険会社が弁護士費用を出す特約です。
弁護士特約を附帯していると、1事故あたり10万円の法律相談料と、300万円までの弁護士報酬(着手金、報酬など)を保険会社が負担してくれます。
法律相談料や弁護士報酬の支払いに免責額はありません。前述の限度額までは、保険会社が費用を全額出してくれます。
弁護士特約のメリット
自己負担無しで弁護士に依頼できる
交通事故に遭うと、さまざまな手続きや交渉があります。相手側の保険会社が代行してくれますが、一任していると不利な扱いを受けやすいです。
弁護士に委任すると、手続きや交渉にかける手間が省くことができます。また弁護士は交通事故実務に精通しているので非常に安心できます。
しかし、弁護士報酬は高額です。このため、自費で弁護士報酬を支払わなければいけないのであれば、弁護士に依頼できないケースが多いことでしょう。
一方、自動車保険に弁護士特約を附帯していると、保険会社が300万円まで弁護士報酬を支払うので、気軽に弁護士に依頼できます。
示談交渉が有利になる
多くの弁護士は、交通事故実務のプロです。このため、弁護士に委任すると、交渉を有利に進めることができます。
また、交通事故では、弁護士と被害者では賠償金の計算基準が異なります。弁護士が交渉すると、より高額な弁護士基準(裁判所基準)が適用されるので賠償金額が大きくアップします。
弁護士特約のデメリット
保険料が年間2000~3000円上がる
自動車保険に弁護士特約を附帯するデメリットはほとんどありません。唯一と言って良いデメリットは、保険料が若干上がることでしょう。
弁護士特約は、年間2000~3000円程度の費用です。つまり、自動車保険の費用が2000~3000円程度上がることがデメリットと言えます。
しかし、弁護士特約を附帯していないと、いくら保険の補償内容が充実していても、適正な補償を得られない可能性があります。
自動車保険の補償が支払わない絵に描いた餅にならないように、弁護士特約の附帯は必須と言えます。
弁護士特約を利用すると等級が下がる?
自動車保険では、事故を起こして保険を利用すると等級が下がります。しかし、弁護士特約に関しては、利用しても等級は下がりません。
実質的に弁護士特約のデメリットは無い
弁護士特約を適用しても自動車保険の等級は下がらないので、交通事故に遭えば積極的に使いたいものです。実質的には弁護士特約のデメリットは無いと言えます。
弁護士特約を使えないケースとは
交通事故に遭った際には非常にメリットの大きい弁護士特約ですが、残念ながら以下のケースのように被害者に故意や重過失があると弁護士特約を使えない可能性が高いです。
- 被保険者の故意や重大な過失によって発生した事故
- 無免許運転
- 薬物を使用して運転
- 酒気帯び運転や酒酔い運転
- 闘争行為、自殺行為、犯罪行為で発生した事故
- 台風、洪水、地震などの天変地異で発生した事故
- 自転車事故などの自動車に関わらない事故
- 事業用自動車の事故
弁護士特約にデメリットは無いので必ず附帯しよう
ここまで弁護士特約について説明してきましたが、結論的には、弁護士特約に大きなデメリットはありません。
交通事故に遭ってから弁護士特約を附帯しても適応されません。このため、自動車保険加入時には、必ず弁護士特約を附帯しましょう。
<参考>
【日経メディカル】保険加入時には「弁護士特約」付帯が必須!
【弁護士必見】後遺障害認定のためのリンク集
弊社は、年間1000例の交通事故事案を取り扱っています。その経験から作成した自賠責保険の実務に関するコラムを厳選しました。
日々の交通事故業務でお困りの際には参考にしていただければ幸いです。
<参考>
【医師が解説】交通事故の後遺障害|認定確率を上げるポイント
【医師が解説】軽いむちうち症状でも病院受診するべき理由|交通事故
【医師が解説】交通事故にあったら毎日通院した方がいいのか?
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【医師が解説】整骨院に行かない方がいいのか|交通事故の後遺障害
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まとめ
弁護士特約とは、交通事故に遭った際に、1事故あたり10万円の法律相談料と、300万円までの弁護士報酬(着手金、報酬など)を保険会社が負担してくれる特約です。
弁護士特約には、自己負担無しで弁護士に依頼できる、示談交渉が有利になるなどのメリットが多いです。
一方、保険料が年間2000~3000円上がる以外に、弁護士特約のデメリットは無いと言えます。
交通事故でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
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