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【医師が解説】整形外科のリハビリはいつまで通う?|交通事故後遺症

交通事故のケガでは、整形外科に通院することが多いです。しかし、いつまで通院すれば良いのか明確な基準がありません。

 

症状が完全に無くなるまで通院するのか、症状が改善しなくなった時点で通院を終了するのか、後遺障害認定のためにはいつまで通院するべきか、など悩みは多いことでしょう。

 

本記事は、年間1000例の交通事故事案を取り扱っている整形外科医師が、整形外科にいつまで通うべきかについて説明しています。

 

 

最終更新日:2022/12/24

 

 

一般的な医療制度(健康保険)のリハビリ期限

健康保険にはリハビリ期限がある

健康保険を使用する通常の医療では、リハビリテーションを実施できる期間が定められています。リハビリテーションできる期間は、疾患別に異なります。

 

 

運動器リハビリテーションは150日

健康保険を使用する場合、骨折、腰痛、五十肩など整形外科疾患のリハビリテーション(運動器リハビリテーション)の期限は、ケガをした日もしくは手術日から150日です。

 

 

脳血管疾患等リハビリテーションは180日

健康保険を使用する場合、脳や脊髄の外傷や病気などの中枢神経疾患のリハビリテーション(脳血管疾患等リハビリテーション)の期限は、受傷日もしくは診断を受けた日から180日です。

 

 

その他の疾患は90~150日

疾患別リハビリテーションには、運動器リハビリテーションと脳血管疾患等リハビリテーション以外にも、患者数は少ない者の以下のようなものがあります。

 

  • 廃用症候群リハビリテーション:120日
  • 呼吸器リハビリテーション:90日
  • 心大血管疾患リハビリテーション:150日

 

 

 

 

交通事故のリハビリ期限

保険会社の任意一括対応とは

交通事故では、健康保険ではなく保険会社の任意一括対応となるケースが多いです。任意一括対応とは、保険会社が治療費を病院に直接支払ったり、損害賠償金をまとめて支払ってくれるサービスです。

 

 

任意一括対応には明確なリハビリ期限が無い

一般的な医療制度にはリハビリテーションの期限がありますが、交通事故で保険会社の任意一括対応になった場合には、明確なリハビリテーション期限はありません。

 

 

任意一括対応のリハビリ期限の目安

任意一括対応には明確な期限が無いと言っても、無制限に治療できるわけではありません。一般的には以下の期間が目安になります。

 

  • 打撲:1ヵ月
  • むちうち:3ヵ月
  • 骨折:6ヵ月
  • 重症外傷:1年

 

 

任意一括対応が打ち切られる原因

 

交通事故で負ったケガの症状が治っていないのに、保険会社から任意一括対応が打ち切られるケースも多いです。任意一括対応が打ち切られる理由は以下の通りです。

 

 

一般的なリハビリ期限を超えている

任意一括対応の一般的なリハビリ期限を超えると、保険会社は一括対応対応を打ち切る傾向にあります。

 

 

通院頻度が低い場合

医療機関に1ヵ月で1度程度しか通院していないと、保険会社は一括対応対応を打ち切る傾向にあります。この場合、整骨院(接骨院)への通院はカウントされないので注意が必要です。

 

 

物理療法や薬だけの通院

牽引や温熱療法などの物理療法や、鎮痛剤やシップ処方のみなど治療が続いていると、保険会社は一括対応対応を打ち切る傾向にあります。

 

 

任意一括対応の打ち切り対策

 

保険会社の任意一括対応が打ち切られると、それ以上通院を続けるためには治療費を支払う必要があります。

 

任意一括対応が打ち切りを打診されたら、以下の対策を考えてみましょう。

 

 

主治医に相談する

主治医に現在の治療の状況や治癒見込みを確認しましょう。症状固定時期を判断するのは、保険会社ではなく主治医だからです。

 

 

保険会社に主治医の見解を伝える

主治医に確認した治療の状況を、保険会社に伝えましょう。主治医の判断は、ある程度保険会社に尊重される可能性があります。

 

 

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むちうちで後遺障害が認定される通院期間

後遺障害が認定される通院期間は6ヵ月

通院期間としては、医療機関のみの場合にも、整骨院併用の場合でも、6ヵ月以上が必須です。

 

 

任意一括対応を打ち切られたら健康保険利用で通院継続

症状が残っているにもかかわらず保険会社から任意一括対応を打ち切られたら、健康保険を利用して治療を継続しましょう。

 

症状固定時までに支払った治療費は、示談交渉の際に保険会社へまとめて請求できます。

 

 

<参考>
【医師が解説】交通事故にあったら毎日通院した方がいいのか?

 

 

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【弁護士必見】通院期間6ヵ月未満はいつまでOK?

後遺障害認定のデッドラインは5.5ヵ月

弊社の年間1000事案の経験では、自賠責保険で後遺障害が認定される期間のデッドラインは5.5ヵ月です。しかし、5.5ヵ月ではかなり厳しいと認識するべきでしょう。

 

 

後遺障害認定可能性ゼロは5ヵ月

5ヵ月を少し超える程度では、後遺障害に認定される可能性はほぼゼロです。5ヵ月と1週で症状固定されている事案を散見しますが、残念ながら非常に厳しいと言わざるを得ません。

 

 

6ヵ月に数日足りないは問題無し

一方、6ヵ月に数日足りない程度は問題ないケースが多いです。1週間では少し厳しくなり、デッドラインの2週間に向けて後遺障害認定確率が下がっていきます。

 

 

<参考>
【医師が解説】むちうち(頚椎捻挫)後遺症認定のポイント|交通事故

 

 

まとめ

 

交通事故での整形外科リハビリ通院期間には、明確な基準はありません。一方、保険会社任意一括対応が打ち切られる目安は、以下の通りです。

 

  • 打撲:1ヵ月
  • むちうち:3ヵ月
  • 骨折:6ヵ月
  • 重症外傷:1年

 

 

むちうちで後遺障害が認定されるために必要な通院期間は6ヵ月です。症状が残っているにもかかわらず保険会社から任意一括対応を打ち切られたら、健康保険を利用して症状固定まで治療を継続しましょう。

 

症状固定までの通院期間が足りなくてお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

 

 

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