交通事故コラム詳細

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2022.12.26

自賠責実務

【医師が解説】交通事故の初診遅れを挽回するヒント|後遺障害

交通事故の初診遅れは、2つの問題を引き起こす可能性があります。それは、事故との因果関係を否定されて治療費が支払われないこと、および後遺障害に認定される可能性が著しく低下することです。

 

本記事は、年間1000例の交通事故事案を取り扱っている整形外科医師が、交通事故の初診遅れが引き起こす2つの問題と、対処法について説明しています。

 

 

最終更新日:2023/3/5

 

 

交通事故の初診遅れが引き起こす2つの問題

治療費が支払われない

交通事故で初診遅れると、交通事故との因果関係が無いとされて治療費が支払われない可能性があります。

 

受傷日と初診日が離れるほど、症状と交通事故との因果関係の証明が難しくなります。 自賠責保険や保険会社では、おおむね14日以内に受診しないと、症状と交通事故との因果関係を認めてくれません。

 

 

後遺障害認定の可能性が低下する

受傷日と初診日が離れるほど、自賠責保険では後遺障害に認定される可能性が低下します。 弊社の経験では、むちうちなどの神経障害の場合、おおむね7日以内に受診しないと後遺障害に認定されません。

 

ただし、7日なら大丈夫というわけではなく、何か特殊な事情があった場合にのみ認定されるという感覚です。一般的には、3日以内に初診することが推奨されます。

 

 

neck pain

 

 

交通事故の初診遅れが発生する理由

 

むちうちなどで症状が強くなるのは事故直後ではなく、数時間~1日経ってからのケースが多いです。

 

具体的には、事故当初は首の違和感が少しある程度だったのに、翌日起きると首が動かなくなっていたというパターンです。

 

このため、交通事故当日に医療機関を受診せずに、そのままずるずると初診が先送りされるケースを散見します。

 

 

医療機関を受診するべき時期

受傷当日が望ましい

交通事故後に医療機関を受診する時期は、受傷当日から3日目までが必須です。診療時間内であれば、受傷当日が望ましいでしょう。

 

 

夜間や祝祭日の事故では翌日

夜間や祝祭日の事故の場合には、軽い症状なら救急外来を受診するほどではありません。しかし、翌日には必ず受診するようにしましょう。

 

 

症状が強い場合には救急外来

症状が強い場合には、夜間や祝祭日の事故であっても救急外来を受診せざるを得ないでしょう。

 

 

<参考>
【医師が解説】軽いむちうち症状でも病院受診するべき理由|交通事故

 

 

nurse

 

 

交通事故の初診遅れの対処法

治療費が支払われない場合の対処法

自賠責保険への異議申し立て

 

交通事故の初診遅れのために自賠責保険が支払を拒否した場合、まずは異議申し立てすることになります。

 

ただし実務では、異議申し立てしても交通事故との因果関係を認められないケースが圧倒的に多いです。

 

 

自賠責保険・共済紛争処理機構への紛争処理申請

 

自賠責保険への異議申し立てでも、症状と交通事故との因果関係が認められなかった場合には、自賠責保険・共済紛争処理機構に紛争処理を申請する選択肢もあります。

 

ただし実務では、自賠責保険・共済紛争処理機構に紛争処理を申請しても、交通事故との因果関係を認められないケースが多いです。

 

 

訴訟

 

最終手段は訴訟ですが、残念ながら訴訟提起しても交通事故との因果関係を認められるケースは多くありません。

 

 

非該当になった場合の対処法

【弁護士必見】交通事故の初診遅れ対応のヒントに記載している対処法を、すべて実施する必要があります。それでも後遺障害に認定される可能性は低いと言わざるを得ません。

 

 

【弁護士必見】交通事故の初診遅れ対応のヒント

やむを得ない事情を精査する

まずは交通事故で初診遅れが発生した原因をヒアリングします。自賠責保険が納得できる理由であれば、交通事故との因果関係を認められる可能性もあります。

 

 

やむを得ない事情の具体例

過去に弊社で対応した具体例を以下に示します。

 

  • ゴールデンウィークや年末年始などの連休のため
  • 旅行先であったため受診できなかった
  • 親族の不幸
  • 新型コロナウイルス感染症による受診抑制
  • 新型コロナウイルス感染症に罹患したため

 

 

ただし、自賠責保険を納得させることは容易ではありません。新型コロナウイルス感染症関係の理由は初診遅れが認定されやすかったですが、その時期も過ぎ去ろうとしています。

 

 

事故後から症状が存在した証拠を提示

自賠責保険に以下のような資料を提示することで、交通事故後から症状が存在した間接的な証明になります。

 

  • 薬局で購入した鎮痛剤の領収書やレシート
  • 整骨院や整体院の領収書

 

 

医師意見書で事故との因果関係を主張

これまで提示した資料た対処法をもってしても、実務では、交通事故との因果関係が認められる可能性は低いです。

 

このような場合には、専門医による医師意見書で症状と交通事故との因果関係を主張する選択肢もあります。

 

医学的に交通事故と症状の因果関係を主張することで説得力が増します。ただし、非該当に対する異議申し立てで使用する医師意見書とは、若干主張する内容が異なるので注意が必要です。

 

交通事故の初診遅れでお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

 

<参考>

 

 

 

nikkei medical

 

 

まとめ

 

交通事故の初診遅れは、事故との因果関係を否定されて治療費が支払われないことと、後遺障害認定可能性が著しく低下するという2つの問題点を引き起こします。

 

このため、交通事故後に医療機関を受診する時期は、受傷当日から3日目までが望ましいです。

 

もし交通事故で初診遅れが発生した場合には、やむを得ない事情を精査したうえで、事故後から症状が存在した証拠や医師意見書を添付して異議申し立てする必要があります。

 

 

関連ページ

 

 

 

 

 

 

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