徒手筋力検査(MMT)は筋力評価方法です。自賠責保険の実務では、徒手筋力検査は最も一般的な検査のひとつです。
頚椎捻挫(むちうち)、腰椎捻挫、脊髄損傷などの後遺障害で、12級以上の等級認定のためには、徒手筋力検査で筋力低下を証明することが極めて重要です。
本記事は、徒手筋力検査を理解することで、12級13号以上の後遺障害等級認定されるヒントとなるように作成しています。
最終更新日: 2024/5/16
Table of Contents
徒手筋力検査(MMT)とは
徒手筋力検査は筋力の評価方法で、それぞれの筋肉がどの程度筋力が低下しているかを数字で表します。
徒手筋力検査の検査結果は、6段階で表します。正常が5で、筋肉の収縮が全く認められない状態が0です。
徒手筋力検査の判定法
5 Normal
強い抵抗を加えても、重力に抗して関節可動域全体にわたって動かせる(正常)
4 Good
いくらか抵抗を加えても、関節可動域全体にわたって動かせる
3 Fair
抵抗を加えなければ重力に抗して、関節可動域全体にわたって動かせる
2 Poor
重力を除去すれば、関節可動域全体にわたって動かせる
1 Trace
筋の収縮がわずかに認められるだけで、関節は動かせない
0 Zero
筋の収縮は認められない
NT
評価できないもの
関節固定術後、判定ができないほどの激痛、四肢の切断、または正常運動領域の50%の関節拘縮など
【弁護士必見】神経障害高位別の徒手筋力検査
徒手筋力検査を考える際には、
検査する筋肉の種類 ⇒ 神経障害の高位ではなく、
神経障害の高位 ⇒ 検査する筋肉の種類
を考えた方が理解しやすいです。
例えば、C4/5に右後外側への頚椎椎間板ヘルニアがある事案では、障害される可能性があるのは右第5頚髄神経根(C5)です。このケースでは、C5=肘の屈曲(上腕二頭筋)を検査します。
<参考>
C2,3:僧帽筋
肩を挙上させる筋力で判断します。
C5:肘の屈曲(上腕二頭筋)
前腕回外位で肘を屈曲する筋力で判断します。
C6:手関節伸筋(長橈側手根伸筋)
前腕回内位と回外位の中間で肘を屈曲する筋力で判断します。
C7:肘伸筋(上腕三頭筋)
肘を屈曲させた状態で伸展する筋力で判断します。
C8:手指屈筋(深指屈筋)
手関節中間、MP関節とPIP関節を伸展位で固定して、中指を屈曲する筋力で判断します。
T1:小指外転筋
手関節中間で固定して、小指を外転する筋力で判断します。
L2:股関節屈曲筋(腸腰筋)
股関節と膝関節を曲げた状態で股関節をさらに屈曲する筋力で判断します。
L3:膝伸展(大腿四頭筋)
膝を伸展する筋力で判断します。
L4:足関節の背屈(前脛骨筋)
足首を背屈(伸展)する筋力で判断します。
L5:長母趾伸筋
足の親指を伸展する筋力で判断します。
S1:足関節底屈筋(腓腹筋)
足首を底屈(屈曲)する筋力で判断します。
徒手筋力検査の具体的記載例
左下肢の中等度運動麻痺
MMT(右/左)
腸腰筋 5/3
大腿四頭筋 5/3
前脛骨筋 5/3
長母趾伸筋 5/3
腓腹筋 5/3
右半身の高度運動麻痺
MMT(右/左)
三角巾 1/5
上腕二頭筋 1/5
長橈側手根伸筋 1/5
上腕三頭筋 1/5
深指屈筋 1/5
小指外転筋 1/5
腸腰筋 1/5
大腿四頭筋 1/5
前脛骨筋 1/5
長母趾伸筋 1/5
腓腹筋 1/5
まとめ
頚椎捻挫(むちうち)、腰椎捻挫、脊髄損傷などの後遺障害で12級以上の等級認定のためには、徒手筋力検査で筋力低下を証明することが極めて重要です。
画像所見で神経障害が疑われる事案では、神経の障害高位に対応する筋力を、徒手筋力検査で測定する必要があります。
徒手筋力検査でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
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