交通事故で大腿骨を骨折して手術を受けたにもかかわらず、後遺障害が非該当または低い等級にとどまり、納得できない方は少なくありません。
「骨折しているのに、なぜ等級が認められないのか」「今の等級から変更できる可能性はあるのか」と疑問を抱くのは自然なことです。
大腿骨骨折の等級変更では、痛みの強さだけでなく、可動域制限や変形、画像所見など、明確な認定基準を満たしているかが重要になります。
本記事では、大腿骨骨折の等級変更が認められる条件、具体的な進め方、ポイントを分かりやすく解説しています。
最終更新日: 2025/12/29
Table of Contents
- 1 大腿骨骨折の後遺障害を等級変更する方法は?
- 2 大腿骨骨折の等級変更を成功させる弊社サービス
- 3 大腿骨骨折の等級変更でよくある質問
- 3.1 なぜ大腿骨を骨折しているのに後遺障害が非該当になるのですか?
- 3.2 手術(髄内釘・プレート固定)をしても等級変更は可能ですか?
- 3.3 可動域制限があれば必ず機能障害として等級が上がりますか?
- 3.4 変形治癒があるのに等級が認められなかったのはなぜですか?
- 3.5 痛みが強く日常生活に支障があるのに、なぜ等級が低いのですか?
- 3.6 人工骨頭置換術・人工股関節になった場合、等級変更は有利ですか?
- 3.7 脚長差(短縮障害)があるのに評価されなかったのはなぜですか?
- 3.8 後遺障害診断書を書き直してもらえば等級は変わりますか?
- 3.9 画像検査(CT・MRI・X線)を追加すれば等級変更の可能性は上がりますか?
- 3.10 今の後遺障害等級は妥当なのか、医学的に見て「上の等級」が狙えるケースなのかをどう判断すればよいですか
- 4 まとめ
- 5 関連ページ
- 6 資料・サンプルを無料ダウンロード
大腿骨骨折の後遺障害を等級変更する方法は?
大腿骨骨折が後遺障害に認定されない理由とは
大腿骨骨折は重い外傷ですが、後遺障害に認定されないケースが珍しくありません。主な理由は、以下のとおりです。
- 骨幹部骨折で関節から距離がある
- 骨癒合が良好である
- 痛みが画像所見で裏付けられていない
- 適切な脚長差測定検査が実施されていない
- 長管骨変形が軽微である
最も多い理由は、大腿骨骨幹部骨折であることです。大腿骨骨幹部骨折は股関節や膝関節から距離があり、関節への影響が少ないとされています。
そのため、股関節や膝関節の可動域制限との因果関係が否定されやすく、非該当となることが多いです。
大腿骨骨折が非該当になった理由を把握する
非該当になった理由を正確に把握することが、等級変更の第一歩です。自賠責保険から届く「後遺障害等級認定結果のご連絡」を精査しましょう。
典型的な非該当理由には、画像検査の有意所見がないことが挙げられます。自賠責保険は、骨癒合していると症状が残らないと判断しやすいです。
大腿骨骨折が非該当になった原因が明確になれば、それを埋めるための対策を立てやすくなります。

後遺障害の認定基準を満たすための医証を取得する
非該当の原因が判明したら、それを補う新たな医証を追加取得します。具体的には、以下のような医証です。
- 新たな画像検査
- 追加の診断書
- 医療照会の回答書
- 診療録
- 医師意見書
- 画像鑑定報告書
CT検査で骨癒合状態や関節内損傷の有無を明らかにすることは重要です。必要に応じて、後遺障害診断書の修正や追記を依頼しましょう。
また、医師意見書や画像鑑定報告書を取得することで、症状と画像所見の関連性を客観的に説明できます。
医師意見書では、画像検査、診療録、身体所見などを総合的に考慮して、後遺症が残る蓋然性を医学的に解説します。
画像鑑定報告書は、主に画像所見が争点になっている事案において、画像所見と症状の関連性、後遺症が残る蓋然性を医学的に解説します。
前回審査で画像所見が不足していた場合は画像鑑定報告書が、因果関係の立証が必要な場合は医師意見書が適しています。
<参考>
異議申し立てを行う
追加の医証が揃ったら、自賠責保険に対異議申し立てします。異議申立書を作成して、前回の認定で不足していた要素を補う資料を提出します。
窓口は、初回真だが事前認定の場合は加害者側の任意保険会社、被害者請求の場合は加害者側の自賠責保険会社です。
審査は損害保険料率算出機構で行われて、通常2〜3ヶ月程度かかります。異議申し立ては原則無料ですが、検査費用や診断書料は別途必要です。
前回と同じ資料だけでは結論は変わらないため、どの新しい証拠でどの判断を覆すのかを論理的に示すことが重要です。
尚、実臨床において、大腿骨骨幹部骨折は、骨折部の癒着のために膝関節拘縮を併発しやすいです。
大腿骨骨幹部骨折後の膝関節機能障害が非該当になれば、関節拘縮を併発する機序を証明するために、医師意見書が必要になります。
大腿骨骨折が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事で詳しく紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
大腿骨骨折の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
訴訟提起を検討する
異議申し立て後も納得のいく等級認定が得られない場合は、訴訟を起こすことが可能です。
保険会社の提示額や認定内容に納得できない場合の最終手段として、損害賠償請求訴訟が活用されています。
訴訟では、裁判所が医学的証拠を改めて評価します。医師意見書や画像鑑定報告書などの専門的な資料が重要な役割を果たします。
ただし、訴訟には時間と費用がかかるため、交通事故に精通した弁護士に相談することをおすすめします。
大腿骨骨折の等級変更を成功させる弊社サービス
弁護士向けのサポートサービス
弊社では、交通事故で受傷した大腿骨骨折の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
被害者向けの弁護士無料紹介サービス
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

大腿骨骨折の等級変更でよくある質問
なぜ大腿骨を骨折しているのに後遺障害が非該当になるのですか?
大腿骨を骨折しても、後遺障害として認定されないケースは実務上しばしばあります。骨折したという事実だけでは、後遺障害に認定されません。
特に、大腿骨骨幹部骨折では、関節への影響が少ないとされるため、関節の可動域制限が残っても、非該当になることが多いです。
また、手術後に骨癒合して、可動域制限や脚長差、変形が認定基準を満たさなければ、手術は成功して後遺障害は残らなかったと評価されます。
重要なのは、現在残っている後遺症の程度を画像検査などの医証で裏付けられるかどうかです。
手術(髄内釘・プレート固定)をしても等級変更は可能ですか?
手術を受けた事実自体は、後遺障害認定の要件ではありません。手術をしても、骨癒合が良好で認定基準を満たさなければ非該当とされます。
しかし、手術後も偽関節や変形癒合が残っている場合は、等級変更の可能性があります。
CT検査を精査したうえで、医師意見書や画像鑑定報告書で異議申し立てをすると、変形障害が認定される可能性があります。
また、手術によって関節の可動域制限が残った場合も、機能障害として評価される可能性があります。
可動域制限があれば必ず機能障害として等級が上がりますか?
可動域制限があっても、必ず等級が上がるわけではありません。大腿骨骨幹部骨折では、関節から離れているため因果関係が否定されやすいです。
可動域制限が後遺障害に認定されるには、医師意見書で大腿骨骨幹部骨折後に膝関節の可動域制限を併発しやすい原因を証明する必要があります。
変形治癒があるのに等級が認められなかったのはなぜですか?
変形治癒があっても、等級が認められないケースがあります。変形障害は、画像検査で明確な変形癒合や偽関節が確認できる必要があります。
大腿骨の場合、15度以上屈曲して不正癒合したものや、外旋45度以上または内旋30度以上回旋変形癒合しているものが対象となります。
また、大腿骨の直径が2/3以下に減少したものも該当します。変形障害を証明するには、骨折部のCT検査や画像鑑定報告書が有効です。
痛みが強く日常生活に支障があるのに、なぜ等級が低いのですか?
痛みや関節の可動域制限が後遺障害に認定されるには、レントゲンやCT検査などの画像所見による医学的な裏付けが必要です。
しかし、画像検査で骨癒合が良好な場合、主観的な症状だけでは後遺障害認定に結びつきにくいのが実情です。
適切な等級認定のためには、新たな画像検査や診断書、そして医師意見書や画像鑑定報告書で補強することが有効です。
人工骨頭置換術・人工股関節になった場合、等級変更は有利ですか?
人工骨頭や人工関節への置換術が行われた場合、原則として10級11号が評価されます。人工関節置換は、後遺障害認定において有利な要素です。
人工関節置換術を受けただけで、痛みや可動域制限が軽減されても、後遺障害等級が認定されます。
さらに、もし可動域が2分の1以下に制限された場合は、8級7号が認定される可能性もあります。
脚長差(短縮障害)があるのに評価されなかったのはなぜですか?
大腿骨骨折後の脚長差が1cm未満の場合は、原則として後遺障害認定の対象外となります。
下肢の短縮障害は、1cm以上で13級8号、3cm以上で10級8号、5cm以上で8級5号と定められています。
脚長差の測定には、SMDという計測法が用いられます。これは骨盤の上前腸骨棘から足関節の内果までの距離をメジャーで測定する方法です。
通常のレントゲン検査だけでは正確な数値を証明できないため、下肢全長撮影が推奨されます。
<参考>
脚長差(短縮障害)の評価はSMDが妥当?|交通事故の後遺障害
後遺障害診断書を書き直してもらえば等級は変わりますか?
後遺障害診断書の修正や追記は、等級変更において重要な要素です。しかし、後遺障害診断書の書き直しだけでは不十分なケースが多いです。
新たな画像検査の実施や、医師意見書や画像鑑定報告書などの客観的証拠も併せて提出することが重要です。
画像検査(CT・MRI・X線)を追加すれば等級変更の可能性は上がりますか?
画像検査の追加は、等級変更の可能性を高める有効な手段です。治療はレントゲン検査が使われますが、後遺症の原因精査はCT検査が有効です。
CT検査は、骨癒合状態や関節面の不整像を明確に示すことができます。特に、偽関節や変形癒合の証明には、CT検査が重要です。
画像検査で得られた所見を、画像鑑定報告書でまとめることで、異議申し立ての成功率が上がります。
今の後遺障害等級は妥当なのか、医学的に見て「上の等級」が狙えるケースなのかをどう判断すればよいですか
現在の等級が妥当かを判断するには、専門家への相談が必要です。後遺障害認定基準に精通した弁護士や整形外科専門医への相談をお勧めします。
尚、弊社の等級スクリーニング®では、診療録や画像検査を専門医が分析して、後遺障害認定に足りない要素をレポート形式で報告します。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
まとめ
大腿骨骨折は重い外傷でも、骨幹部骨折で関節から離れている、骨癒合が良好などの理由から後遺障害が非該当となることがあります。
等級変更には、まず自賠責保険の認定理由を確認して、後遺障害認定基準に不足している点を把握することが重要です。
そのうえで、CTなどの追加画像検査や診断書の修正、医師意見書や画像鑑定報告書を用いて、症状と画像所見の関連性を医学的に補強します。
新たな医証をそろえて異議申し立てを行い、それでも納得できない場合は訴訟を検討します。
大腿骨骨折の後遺障害認定でお困りなら、こちらからお問い合わせください。初回の法律事務所様は無料で等級スクリーニング®を承ります。
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