交通事故で脛骨腓骨骨折を負い、治療後も痛みや可動域の制限が残っているにもかかわらず、後遺障害等級の認定で「非該当」と判断される方は少なくありません。
納得できないまま後遺障害の結果を受け入れてしまうと、本来得られるはずの補償を逃してしまう可能性があります。
こうしたときに取れる手段が「異議申し立て」です。しかし、ただ不満を伝えるだけでは認められず、医学的な根拠や適切な書類が必要になります。
本記事では、脛骨腓骨骨折の異議申し立てでよくある非該当の理由や成功のための準備、具体的な手順について分かりやすく解説します。
最終更新日: 2025/9/13
Table of Contents
脛骨腓骨骨折が非該当になる理由
脛骨腓骨骨折で非該当と判断されやすいケース
脛骨腓骨骨折は、骨折部位が骨癒合していると、膝関節や足関節の可動域制限や痛みが残っていても非該当とされやすいです。
部位別では、膝関節の脛骨高原骨折(プラトー骨折)や、足関節の脛骨天蓋骨折(ピロン骨折)は後遺障害に認定されやすいです。しかし、骨幹部骨折は非該当になりやすいです。
<参考>
脛骨腓骨骨折の後遺障害認定基準
脛骨腓骨骨折の後遺障害認定では、骨癒合の不完全さ(偽関節、癒合不全)、変形(特に脛骨・腓骨の角度変形や回旋変形)、可動域の制限、痛みなどが評価されます。
後遺障害等級の認定基準に関しては、以下のコラム記事を参照してください。
<参考>
脛骨腓骨骨折の異議申し立て手順ガイド
異議申し立ての流れと必要書類
異議申し立ては、認定結果に不満がある場合に行います。まず非該当・低い等級になった理由を調べて、異議申立書を作成します。
新たな診断書や画像検査、医師意見書、画像鑑定報告書などの客観的な根拠資料を追加添付することが、認定率アップのポイントです。
脛骨腓骨骨折の異議申し立ての申請先
書類提出先は初回申請の方法で異なり、事前認定の場合は加害者側の任意保険会社、被害者請求の場合は加害者の自賠責保険会社が窓口となります。
保険会社に提出された書類は、損害保険料率算出機構に送付されて、後遺障害に該当するかが再審査されます。
異議申し立ての費用と時間は?
異議申し立て自体は無料ですが、追加診断書や画像検査などの医証取得の実費が数千~数万円ほどかかるケースがあります。
後遺障害認定の審査期間は通常2~4ヶ月ほどですが、複雑な事案では長期化する可能性もあります。
脛骨腓骨骨折の効果的な異議申し立て準備
異議申し立て成功のためには、等級通知書で非該当理由をきちんと把握して、新たな診断書や画像検査、医師意見書を準備することが大切です。
一般的には、痛みの持続性や関節の可動域制限の原因を、客観的に明示できる各種の医証の提出が不可欠です。
脛骨腓骨骨折の異議申し立て成功のポイント【弁護士必見】
脛骨腓骨骨折が非該当になる原因を分析
非該当になる主な理由は、可動域制限や痛みなどの原因を客観的に証明できないためです。
関節内骨折では可動域制限や痛みを残しやすいですが、関節面の不整が軽度だと非該当になりやすいです。
また、骨幹部骨折の髄内釘手術では膝周囲のしびれを残しやすいですが、初回審査では非該当になりやすいです。
<参考>
後遺障害の異議申し立て成功のポイント|交通事故の医療鑑定
脛骨腓骨骨折の後遺障害認定条件をクリア
脛骨腓骨骨折の後遺障害認定基準を満たすためには、膝や足関節などの可動域制限や痛みの存在を、画像検査や医療記録で客観的に示すことが重要です。
特に、可動域制限などの機能障害は、画像検査で原因を特定する必要があります。また、医師意見書や画像鑑定報告書も認定の可否に大きく影響します。
異議申し立てでは新たな医証が必須
脛骨腓骨骨折の異議申し立ての成功には、後遺障害認定基準を満たすための新たな医証が必要不可欠です。
具体的には、追加の画像検査、第三者による医師意見書、画像鑑定報告書などです。
新たな医証がない異議申し立ては、後遺障害認定に結びつきにくいです。足りない検査や診断記録を補う医学的資料を集めることが重要です。
<参考>
脛骨腓骨骨折の後遺障害認定ポイント
脛骨腓骨骨折の後遺症が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事でも紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
脛骨腓骨骨折の異議申し立て成功事例【12級7号】
事案サマリー
- 被害者:40歳代 女性
- 初回申請:14級9号
- 異議申立て:12級7号(1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの)
脛腓骨開放骨折に対して一時的に創外固定を行った後に、プレートで内固定をしたケースです。骨癒合は得られたものの、足関節の背屈制限が残りました。
自賠責保険では足関節の背屈制限について事故との因果関係を否定されて、骨癒合が得られているという理由から14級9号の判断にとどまりました。
弊社の取り組み
関節に近い骨折では、骨折によって併発した内出血によって軟部組織が癒着するケースが多いです。軟部組織が癒着すると、関節可動域制限を併発します。
足関節の機能障害が残存し得ることを主張した医師意見書を添付して異議申し立てを行いました。その結果、12級7号が認定されました。
脛骨腓骨骨折の後遺障害認定で弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、交通事故で受傷した脛骨腓骨骨折の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
脛骨腓骨骨折の後遺障害認定でお悩みの被害者の方へ
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。
脛骨腓骨骨折の異議申し立てでよくある質問
骨折後に可動域制限が残っているのに、非該当とされたのはなぜですか?
膝や足首の可動域制限と骨折との因果関係が不明確なケースで、後遺障害が非該当になりやすいです。
可動域制限の原因を証明できる検査結果を資料にして、異議申し立てすることが重要です。
プレートやスクリューを抜釘しても後遺障害等級は認められますか?
抜釘後でも偽関節や骨変形、神経症状、可動域制限などの医学的根拠があれば、後遺障害が認定されます。
痛みや可動域制限などの症状が残っている場合は、治療経過や画像検査を異議申し立ての際に必ず添付しましょう。
X線やCTだけでなく、MRI画像も異議申し立てに有効ですか?
MRI画像は骨折部周囲の軟部組織の評価に有効ですが、X線やCTほど異議申し立てに有効ではありません。
歩行障害や痛みが強い場合、神経症状として主張できますか?
歩行障害や持続的な痛みは神経症状として主張可能であり、画像検査や診断書、医師意見書、画像鑑定報告書で症状を裏付けることが重要です。
既往症(過去の骨折や変形)があると認定に不利になりますか?
既往症がある場合でも、新たな障害や症状と交通事故との医学的因果関係が明確であれば不利になりません。
ただし、既往症があると加重障害に該当する可能性はあり、賠償金額が減額される可能性はあります。
<参考>
加重障害(既存障害)対策の考え方|交通事故の後遺障害認定
労災や健康保険の診療記録も異議申し立てに利用できますか?
労災や健康保険の診療記録は異議申し立てに有効活用できます。治療経過や主治医記載の詳細がある診療録を提出すれば、障害や症状の客観的根拠となります。
まとめ
脛骨腓骨骨折は交通事故で多く見られる重傷ですが、骨癒合が得られていると痛みや可動域制限が残っていても「非該当」と判断されやすいのが実情です。
特に骨幹部骨折は等級認定が難しく、納得できない結果に悩む方も少なくありません。その場合に有効なのが異議申し立てです。
異議申し立てでは、新たな診断書や画像検査、医師意見書、画像鑑定報告書など客観的な医証を追加することが成功の鍵となります。
手続き自体は無料ですが、資料取得には実費がかかることもあり、審査期間は数ヶ月に及ぶ場合があります。
脛骨腓骨骨折の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で承ります。
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