交通事故コラム詳細

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2025.9.6

神経損傷 頚椎

中心性脊髄損傷の異議申し立てを成功させるポイント|交通事故の後遺障害

交通事故で中心性脊髄損傷を負ったにもかかわらず、後遺障害等級が「非該当」や「思ったより低い等級」と判断されてしまうケースは少なくありません。

 

中心性脊髄損傷はMRIなどの画像検査で異常が目立ちにくい一方、上肢の麻痺やしびれ、巧緻運動障害など、日常生活に深刻な影響を残すことも珍しくありません。

 

認定結果に納得いかない時に有効なのが「異議申し立て」です。医学的証拠を補強して再審査に臨むことで、後遺障害が認定される可能性は十分にあります。

 

本記事では、中心性脊髄損傷の異議申し立てで非該当となりやすい理由や、成功に導くための具体的な準備、実際の成功事例を分かりやすく解説しています。

 

 

最終更新日: 2025/9/6

 

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Table of Contents

中心性脊髄損傷が非該当になる理由

中心性脊髄損傷で非該当と判断されやすいケース

中心性脊髄損傷という診断名がついていても、客観的所見(MRIの画像所見や神経学的所見)が乏しいと、非該当になるケースも珍しくありません。

 

特に、上肢しびれや軽微な麻痺のみでは、画像所見・深部腱反射異常・感覚障害などが医学的に証明がされないと、後遺障害に認定されません。

 

 

中心性脊髄損傷の後遺障害認定基準

中心性脊髄損傷の後遺障害認定は、運動麻痺や感覚障害の程度に加えて、MRI等の画像所見と神経学的検査結果が総合的に評価されます。

 

症状の重さによって、5級2号(著しい労働制限)、7級4号、9級10号、12級13号(局所に頑固な神経症状)などが認定されます。

 

頚椎MRI検査などによる後遺症の医学的な証明や、受傷後早期の診療録(カルテ)の記録、診断書が極めて重視されます。

 

 

等級

認定基準

5級2号

せき髄症状のため、きわめて軽易な労務のほか服することができないもの

7級4号

せき髄症状のため、軽易な労務以外には服することができないもの

9級10号

通常の労務に服することはできるが、せき髄症状のため、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの

12級13号

通常の労務に服することはできるが、せき髄症状のため、多少の障害を残すもの

 

 

5級2号

 

軽度の対麻痺の具体例は以下のごとくです。

 

  • 障害を残した一下肢を有するため、杖もしくは硬性装具なしには階段を上ることができないもの、または障害を残した両下肢を有するため杖もしくは硬性装具なしには歩行が困難であること

 

 

一下肢の高度の単麻痺(片腕、もしくは片足の麻痺)の具体例は以下のごとくです。

 

  • 完全強直またはこれに近い状態にあるもの
  • 三大関節および5つの手指のいずれの関節も自動運動によって可動させることができないもの、またはこれに近い状態にあるもの
  • 随意運動の顕著な障害により、障害を残した一上肢では物を持ち上げて移動させることができないもの
  • 随意運動の顕著な障害により、一下肢の支持性および随意的な運動性をほとんど失ったもの

 

 

7級4号

 

一下肢の中等度の単麻痺の具体例は以下のごとくです。

 

  • 障害を残した一下肢を有するため、杖もしくは硬性装具なしには階段を上ることができないもの、または障害を残した両下肢を有するため杖もしくは硬性装具なしには歩行が困難であること

 

 

9級10号

 

一下肢の軽度の単麻痺の具体例は以下のごとくです。

 

  • 日常生活はおおむね独歩であるが、障害を残した一下肢を有するため不安定で転倒しやすく速度も遅いもの、または障害を残した両下肢を有するため杖もしくは硬性装具なしには階段を上ることができないもの

 

 

12級13号

 

  • 運動性、支持性、巧緻性(手の細かい動き)及び速度についての障害はほとんど認められない程度の軽微な麻痺を残すもの
  • 運動障害は認められないものの、広範囲にわたる感覚障害が認められるもの

 

 

<参考>

 

 

頚椎捻挫が中心性脊髄損傷と診断された際の後遺障害

単なる頚椎捻挫にもかかわらず、中心性脊髄損傷という診断名がついている事案は、頚椎捻挫に準じた後遺障害等級認定となります。

 

等級

認定基準

12級13号

局部に頑固な神経症状を残すもの

14級9号

局部に神経症状を残すもの

 

 

12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの

 

12級13号で認定される症状は、四肢のしびれや脱力感です。14級9号との大きな違いは、「障害の存在が医学的に証明できるもの」という箇所です。

 

12級13号認定のためには、MRIで客観的(他覚的)な異常所見があることが前提になります。

 

異常所見には骨折や脱臼はもちろんですが、その他にも椎間板ヘルニアや骨棘(頚椎加齢の変化)、椎間板高の減少(加齢による変性で椎間板の厚みが減少する)も含まれます。

 

神経症状に関しても14級9号では、自覚症状(患者さんの訴え)だけで良いのですが、12級13号では、より条件が厳しくなります。

 

自覚症状だけでは不十分で、客観的な症状が必要とされます。客観的な症状には、筋力低下、筋肉の萎縮(やせて細くなる)、深部腱反射の異常(医師が打腱器を使って行う検査)をさします。

 

しびれ(知覚障害)の範囲も、損傷された神経の分布に一致している必要があります。頚椎捻挫で行われる頻度は非常に低いですが、筋電図や神経伝導検査といった特殊な検査の異常値も客観的な所見に含まれます。

 

筋力低下は、医学的には徒手筋力テスト(MMT)で評価され、筋力が正常な5から完全運動麻痺の0までの6段階で記載されます。

 

 

<参考>
徒手筋力検査は後遺障害12級認定のポイント|交通事故の医療鑑定

 

 

14級9号:局部に神経症状を残すもの

 

症状の常時性(時々しびれがあるのではなく、常にしびれがある)が認定要件です。「天気が悪いときに症状がきつい」といったように症状の消失する時間があると認定されません。

 

また、交通事故と本人の感じる後遺症に因果関係が認められることが条件となるため、あまりに車体の損傷が小さい軽微な交通事故は非該当とされることが多いです。

 

 

<参考>
頚椎捻挫の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定

 

 

MRI

 

 

中心性脊髄損傷の異議申し立て手順ガイド

異議申し立ての流れと必要書類

異議申し立ては、新たに取得した診断書や画像検査、医師意見書画像鑑定報告書など、後遺障害認定基準を満たすための医学的資料を収集します。

 

異議申立書に理由や必要事項を記載して、新たに取得した医学的資料と一緒に申請します。

 

 

中心性脊髄損傷の異議申し立ての申請先

異議申し立ての申請先は、初回申請時の方法によって異なります。事前認定では加害者側の任意保険会社、被害者請求なら加害者側の自賠責保険会社です。

 

書類の提出後、保険会社経由で損害保険料率算出機構や紛争処理機構に送付されて、後遺障害が審査されます。

 

 

異議申し立ての費用と時間は?

異議申し立て自体は無料ですが、再取得する診断書や画像検査の作成費用が1~5万円程度かかります。

 

審査期間は通常2~4ヶ月ですが、紛争処理機構への異議申し立てでは6ヶ月程度かかるケースもあります。

 

 

中心性脊髄損傷の効果的な異議申し立て準備

非該当や想定よりも等級が低かった理由を十分に分析した上で、それに反証できる新たな医学的証拠や論拠を明確にして、医師意見書や新たな画像検査等を揃えます。

 

また、非該当理由に着目して、主治医に後遺障害診断書への追記や修正を依頼するケースもあります。

 

 

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中心性脊髄損傷の異議申し立て成功のポイント【弁護士必見】

中心性脊髄損傷が非該当になる原因を分析

中心性脊髄損傷で非該当となる主な要因は、画像検査や神経学的検査などで有意所見が明確ではない、症状の一貫性や持続性が認められないなどです。

 

よくあるのは、症状が強いというだけで中心性脊髄損傷という診断名が付けられるケースです。後遺症の存在を証明できないケースでは、後遺障害に認定されません。

 

 

<参考>
後遺障害の異議申し立て成功のポイント|交通事故の医療鑑定

 

 

中心性脊髄損傷の後遺障害認定条件をクリア

中心性脊髄損傷の後遺障害認定条件を満たすには、脊髄損傷のMRI所見と、症状固定時に麻痺などの神経症状が残存していることが必要です。

 

さらに、受傷時から症状が存在しており、治療・検査・通院の経過が客観的に記録されていることが条件となります。

 

 

<参考>
【日経メディカル】中心性脊髄損傷というアヤシイ傷病名

 

 

 

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異議申し立てでは新たな医証が必須

中心性脊髄損傷の異議申し立ての成功には、後遺障害認定基準を満たすための新たな医証が必要不可欠です。

 

具体的には、追加の画像検査、第三者医師による医師意見書画像鑑定報告書などです。

 

新たな医証がない異議申し立ては、後遺障害認定に結びつきにくいです。足りない検査や診断記録を補う医学的資料を集めることが重要です。

 

 

<参考>

 

 

中心性脊髄損傷の後遺障害認定ポイント

中心性脊髄損傷の後遺症が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事でも紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。

 

 

<参考>
中心性脊髄損傷の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定

 

 

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中心性脊髄損傷の異議申し立て成功事例【11級7号】

事案サマリー

  • 被害者:60歳代 男性
  • 初回申請:非該当
  • 異議申立て:11級7号(脊柱に変形を残すもの)

 

 

交通事故後に四肢麻痺になりましたが、症状は自然に軽快しました。しかし、上肢の頑固なしびれが残存したため、頚椎椎弓形成術が施行されました。

 

術後の経過が良くて、しびれはかなり改善しましたが、一部の症状は残存していました。初回申請時には、中心性脊髄損傷の存在を否定されて非該当でした。

 

 

弊社の取り組み

受傷後の経過や深部腱反射の推移を詳細に検討するとともに、CT、MRIの読影を脊椎外科専門医が行いました。

 

その結果、椎弓形成術の妥当性が認められたため、「3椎以上の脊椎について,椎弓形成術を受けたもの」という基準に該当して、後遺障害等級11級7号「脊柱に変形を残すもの」が認定されました。

 

 

CT&MRI

 

 

中心性脊髄損傷の後遺障害認定で弊社ができること

弁護士の方へ

弊社では、交通事故で受傷した中心性脊髄損傷の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。

 

 

等級スクリーニング®

 

現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。

 

等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。

 

等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。

 

<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

 

 

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医師意見書

 

医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。

 

医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。

 

医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。

 

弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。

 

<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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画像鑑定報告書

 

交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。

 

画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。

 

画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。

 

弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。

 

<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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中心性脊髄損傷の後遺障害認定でお悩みの被害者の方へ

弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。

 

また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。

 

もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。

 

 

Traffic accident patient

 

 

尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。

 

弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

 

 

 

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中心性脊髄損傷の異議申し立てでよくある質問

MRIやCTで明らかな異常がなくても、症状を理由に後遺障害等級が認められることはあるか?

MRIやCT検査で明確な異常が確認できなくても、臨床症状(麻痺やしびれ、巧緻運動障害等)の一貫性、神経学的検査で異常が説明できれば、14級などの後遺障害等級が認められる可能性はあります。

 

 

手の巧緻運動障害やしびれといった自覚症状を、どのように医学的に裏付ければよいか?

巧緻運動障害やしびれは、筋力検査、知覚検査、深部腱反射などの身体所見や、日常生活動作(ADL)の詳細な記録などで裏付けることが重要です。

 

 

排尿障害や感覚障害などの自律神経症状も後遺障害等級に反映されるのか?

排尿障害、排便障害などの膀胱直腸障害があれば、それらも総合的に判断されて後遺障害の認定対象になります。

 

 

異議申し立ての際、どのような検査(MRIの再撮影、脊髄造影、神経伝導検査など)が有効か?

MRI検査の再撮像、神経伝導速度検査(NCS)、筋電図(EMG)など、より客観的なデータを取得できる検査が有効です。

 

 

治療先の医師が後遺障害診断書に協力的でない場合、どう対応すべきか?

セカンドオピニオンとして専門医療機関を受診して、協力的な医師に後遺障害診断書の作成を依頼することが推奨されます。

 

また、メディカルコンサルティング合同会社のような医療鑑定機関の活用も検討しましょう。

 

 

中心性脊髄損傷で多い等級認定(例:9級、12級、14級など)の目安や判断基準は何か?

神経障害の重症度や日常生活・労働への影響によって、9級10号(労働制限)、12級13号(頑固な神経症状)、14級9号(神経症状)が認定されます。

 

詳細な等級判断は、MRI検査や神経学的検査などで、ADLへの影響を医学的に証明できているか否かに左右されます。

 

 

 

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まとめ

 

中心性脊髄損傷は、交通事故でときどき見られる外傷ですが、MRI検査などで異常がはっきり出にくいため「非該当」と判断されやすいのが特徴です。

 

上肢のしびれや軽い麻痺だけで、画像検査で有意所見が無ければ、後遺障害に認定されません。

 

後遺障害認定では、画像検査や神経学的検査に基づき、後遺症の重さに応じて5級から14級までが決まります。

 

異議申し立てでは、新しい画像検査や医師意見書など客観的な証拠を集めて、症状の一貫性や日常生活への影響を示すことが成功のポイントとなります。

 

中心性脊髄損傷の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で承ります。

 

 

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