交通事故で鎖骨を骨折して、治療を続けたにもかかわらず、後遺障害等級の認定結果に納得できない…。そんな悩みを抱えていませんか。
鎖骨骨折は見た目にもわかりやすい外傷でありながら、「後遺障害が残らない」と判断されることも珍しくありません。
しかし、実際には肩の可動域制限や慢性的な痛み、骨癒合後の変形などが生活に大きな支障をきたす場合もあります。
本記事では、鎖骨骨折による後遺障害等級が「非該当」や「低い等級」と判断された時に、どのように異議申し立てを進めればよいのか、その手順と成功のポイントをわかりやすく解説しています。
最終更新日: 2025/7/25
Table of Contents
鎖骨骨折で非該当になる理由
鎖骨骨折の後遺障害認定基準
鎖骨骨折の後遺障害は、「神経障害」「変形障害」「機能障害」があり、それぞれの状態に応じた等級が定められています。
痛みやしびれなどの神経症状は12級13号や14級9号、関節機能に重大な障害があれば8級や10級や12級、裸になったとき目立つ変形があれば12級5号が認定の対象です。
1. 神経障害(痛みやしびれ)
等級 | 認定基準 |
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
骨が部分的にしかついていない場合(遷延治癒)では、変形障害(12級5号)ではなく、12級13号が認定されるケースがあります。
また、鎖骨骨折の手術を受けた場合、必ずといっていいほど出現するのが鎖骨上神経障害です。
手術によって鎖骨上神経が切断されるため、手術痕の足側に感覚障害を起こす症例を多く経験します。
症状がある場合には、「局所に神経症状を残すもの」として第14級9号が認定されるケースが多いです。
しかし、患者さん本人が自覚されていない場合があり、見逃されやすい障害です。
2. 機能障害(肩を動かしにくい)
等級 | 認定基準 |
8級6号 | 上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの |
10級10号 | 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの |
12級6号 | 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの |
鎖骨骨折における機能障害とは、肩関節の可動域制限です。特に、肩に近い骨折ほど、肩関節の機能障害が出現しやすくなります。
8級6号は、肩関節が強直またはこれに近い状態にあるものです。これに近い状態とは、自動(自分で動かすこと)で健側(ケガをしていない側)の可動域の10%程度以下に制限された状態です。
10級10号は肩関節の関節運動が、健側の1/2以下の可動域に制限されているもので、12級6号は肩関節の関節運動が、健側の3/4以下の可動域に制限されているものです。
3. 変形障害(偽関節、鎖骨の出っ張り)
全く骨癒合していない状態を偽関節、一部分だけしか骨癒合していない状態を遷延治癒と呼びます。いずれも「鎖骨に著しい変形を残すもの」として12級5号に認定される可能性があります。
また、鎖骨の変形そのものでも「鎖骨に著しい変形を残すもの」として12級5号に認定される可能性があります。
非該当と判断されやすいケース
主な非該当事例としては、レントゲン検査上の変形があったとしても、それが衣服を脱いだときに明らかでないケースです。
また、偽関節や遷延治癒が無いのに、痛みや肩関節の可動域制限が残っていると非該当になる傾向があります。
鎖骨骨折の異議申し立て手順ガイド
異議申し立ての流れと必要書類
鎖骨骨折の後遺障害認定に異議がある場合、まず異議申立書を作成します。この書類は「異議申立の趣旨」と「理由」の記載が必要で、前回認定への不服や新たな資料の説明を明記します。
必要書類としては、異議申立書のほか、新しい診断書、医師意見書、新たな画像検査、カルテなどを添付します。
初回申請が事前認定なら加害者の任意保険会社へ、被害者請求なら自賠責保険会社へ提出します。審査には通常2~3ヶ月かかり、結果が通知されます。
効果的な異議申し立てのための準備
効果的な異議申し立てには、医学的な裏付けの強化が不可欠です。新たな診断書、医師意見書、画像鑑定などが認定結果を覆す決め手になります。
また、過去の申請に足りなかった説明や資料を充実させることも重要です。症状の経過や日常生活への影響を具体的に記載した陳述書は、単独では効果ありません。
しかし、新たな診断書、医師意見書、画像鑑定報告書などと併せて異議申し立てすると有効でしょう。
鎖骨骨折の異議申し立て成功のポイント【弁護士必見】
非該当の原因を分析
鎖骨骨折の後遺障害申請で非該当となる要因には、外見上著しい変形が認められない、肩関節の可動域制限の根拠が乏しい、あるいは神経症状の医学的証明が不足している場合が多いです。
レントゲン検査やMRI検査で変形や機能障害が明確でない、主観的な痛みだけで客観的診断がないといったケースは、特に非該当の判定を受けやすいことが特徴です。
<参考>
後遺障害の異議申し立て成功のポイント|交通事故の医療鑑定
鎖骨骨折の後遺障害認定条件をクリアする
後遺障害認定には、変形障害・機能障害・神経症状それぞれに厳密な条件が設けられています。
「変形障害」はレントゲン上の変形だけでは認定されません。上半身裸で外見上明確な変形を確認できることが必要です。
「機能障害」は画像検査で明白な原因を特定できる必要があります。「神経障害」も画像所見があれば有利です。
異議申し立てでは新たな医証が必須
異議申し立てで成功するには、前回申請時に不足していた要素を補う内容の新たな医証が重要です。
具体的には、医師意見書、画像鑑定、客観的所見が記載された診断書、新たな画像検査などです。
これらの新しい医証に加えて、日常生活への影響を詳細に書いた陳述書などを準備して、異議申し立てしましょう。
<参考>
鎖骨骨折の後遺障害認定ポイント
鎖骨骨折で後遺障害認定されるには、それぞれの後遺障害の認定基準をクリアする必要があります。
鎖骨骨折の後遺症が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事でも紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
鎖骨骨折の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
鎖骨骨折の異議申し立て成功事例(12級13号)
事案サマリー
- 被害者:48歳
- 事前認定:14級9号
- 異議申し立て:神経障害として12級13号が認定
弊社の取り組み
鎖骨骨幹部骨折に対して、プレート固定術が施行されましたが痛みが残りました。
単純X線像(レントゲン検査)では骨癒合しているように見えるため、事前認定では14級9号にとどまりました。
弊社でCT検査を追加施行することを提案したところ、骨幹部に遷延癒合を確認できました。
術後に痺れが残存した鎖骨上神経障害も加味された可能性もありますが、神経障害として12級13号が認定されました。
鎖骨骨折の後遺障害認定で弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、交通事故で受傷した、鎖骨骨折の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
鎖骨骨折の後遺障害認定でお悩みの患者さんへ
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。
鎖骨骨折の異議申し立てでよくある質問
どのような場合に異議申し立てができますか?
鎖骨骨折による後遺障害の等級認定結果に納得できない場合、異議申し立てが可能です。
例えば「非該当」となった場合や、思ったより等級が低いと感じたとき、医学的資料や写真、診断書を追加して再審査を求めることができます。
異議申し立てには費用がかかりますか?
異議申し立て自体は無料です。しかし、新たな診断書や画像検査、弁護士に相談する場合は、実費や相談料が発生します。
弁護士費用特約があれば費用負担を抑えられるケースも多いです。
異議申し立てには期限がありますか?
異議申し立てに明確な期限は設定されていないものの、等級認定の結果が通知されてからできるだけ早く手続きを進めることが推奨されています。
通常は半年以内、遅くとも1年程度以内に行うのが望ましいとされています。
後遺障害等級によって、どのような影響がありますか?
認定された後遺障害等級によって慰謝料や逸失利益の金額が大きく変わります。等級が高いほど補償金額も増加して、労働能力への影響も認められる場合が多いです。
また、慰謝料は自賠責基準と弁護士基準で差があり、弁護士に依頼することで金額が上がるケースもあります。
異議申し立てをしても、等級が上がらないこともありますか?
異議申し立てをしても、新たな医学的証拠や説明が不十分であれば、等級が変わらない、もしくは非該当のままという結果が多いです。
鎖骨骨折の慰謝料の相場はどのくらいですか?
慰謝料は後遺障害等級や基準によって大きく異なります。例えば弁護士基準の場合、14級は約110万円、12級は約290万円、10級は約550万円となる例が多いです。
これに加えて通院期間に応じた入通院慰謝料が加算されるため、相場は数十万円から数百万円以上となります。
まとめ
鎖骨骨折による後遺障害には、「変形障害」「機能障害」「神経障害」があります。
裸で明らかに変形が確認できる場合は12級5号、肩関節の可動域制限があれば8級・10級・12級、痛みやしびれなどの神経症状は12級13号や14級9号が認定される可能性があります。
ただし、画像でしか確認できない変形や、客観的な根拠の乏しい訴えでは非該当となることも多いです。異議申し立てには新たな医証が不可欠です。
鎖骨骨折の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で承ります。
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