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MRIの誤診で損害賠償請求できる?|医療訴訟・医師意見書

医療の現場では日々高度な診断技術が用いられていますが、MRI検査でも誤診が起こることは少なくありません。

 

実際に「異常なし」と診断された後に重大な病気が発覚したケースや、誤った診断によって適切な治療が遅れた事例も報告されています。

 

こうしたMRIの誤診は、患者の健康や生活に大きな影響を及ぼすだけでなく、損害賠償請求の対象となることもあります。

 

本記事では、MRI誤診が発生する原因や技術的限界、誤診が疑われる代表的なケース、さらには損害賠償請求のポイントまで、実例を交えて詳しく解説しています。

 

MRI誤診への理解を深めて、適切に対応する一助となれば幸いです。

 

 

最終更新日: 2025/6/10

 

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MRI検査と誤診の概要

 

MRI検査は軟部組織の描出に優れ、脳や脊髄、関節などの異常を非侵襲で検出できる高度な診断装置です。

 

しかし、MRI検査の検査結果の正確性は、撮像技術や装置の性能、検査結果を読影する医師の経験に大きく左右されます。

 

画像ノイズやアーティファクト、患者のわずかな動き、磁場強度による限界もあり、微小病変や平坦な病変の見逃しが発生しやすくなります。

 

例えば、オープン型MRIは画質が著しく低いため、誤診が深刻な結果をもたらす状況では避けた方が無難でしょう。

 

 

<参考>
MRI検査が怖い?それでもオープン型MRIを避けるべき理由

 

 

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代表的なMRI誤診のケーススタディ

 

くも膜下出血(SAH)では、初期MRIで所見が見逃される事例が多く、日本の病院で579件の誤診例が報告されました。

 

また、腰椎MRIでは10施設による同一スキャンの読影結果に解釈のばらつきがあり、誤診率が高いことも明らかになっています。

 

医師間の主観や経験差が、MRI検査における診断のバラつきや見落としを生む一因となっています。

 

 

MRI誤診の原因と医療技術の限界

技術的制約と限界

MRI検査は、信号強度の制約や撮影ノイズ、アーティファクト(患者の動きや金属による画像乱れ)に影響されやすく、病変の見落としリスクがあります。

 

また、0.3T/1.5T/3Tなど磁場強度による感度差でも微小病変が検出されにくく、検査画像そのものの限界が診断精度に直結します。

 

 

MRIの誤診が起きやすい病態

筋骨格系や脳腹部領域では、動きの影響やアーティファクト、画像解釈ばらつきが大きく、誤診頻度が高いです。

 

たとえば腰椎や腹部MRIでは、専門医間で報告に差があり、診断エラー率が目立つ傾向にあります。画像だけで判断せず臨床情報との併用が重要です。

 

 

業務フローの影響

予約・撮像・読影・主治医による確認という多段階の業務フローのため、情報伝達ミスなどの誤診を誘発する可能性があります。

 

 

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損害賠償請求できる条件

医療過誤が成立するための3要件

MRI検査の誤診に対する損害賠償請求には、以下の3つの要件が全て必要です。

 

  1. 医師・病院の過失(債務不履行や不法行為)
  2. 患者に実際の損害が発生
  3. 医療過誤と損害の因果関係

 

これらが1つでも欠けると損害賠償請求は難しく、立証のために医師意見書や医療記録など綿密な資料整理が求められます。

 

 

<参考>
医療過誤の3要件とは?損害賠償請求の流れも解説|医療調査・医師意見書

 

 

過失(注意義務違反)の判断基準

医療水準に対する注意義務を医師が果たしていたかが争点になります。例えば、専門医でも異常を見逃すような微妙な所見であれば、過失は問われにくいです。

 

 

因果関係と金銭的損害の算定

過失と結果の間に因果関係が認められることが必要で、因果が不明瞭でも「適切な医療が行われていれば避けられた可能性」があれば、慰謝料が認められる可能性があります。

 

また、逸失利益や通院費などの積極損害は、金額に換算して損害額に含める必要があります。

 

 

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損害賠償請求の流れ

病院の説明を聞く

MRI検査の誤診を疑ったら、まずは病院に対して経緯・診断内容・調査結果を丁寧に説明してもらいます。できれば書面で確認して、不明点や主張の食い違いがあれば記録しておくことが大切です。

 

 

弁護士に依頼する

病院とのやり取りや専門的な因果関係の証明のために、医療過誤に詳しい弁護士へ相談・委任します。

 

初動段階で弁護士の関与がないと、適切な資料収集・交渉が困難になる可能性が高いです。信頼できる弁護士選びが、解決への第一歩です。

 

 

資料収集と医療調査

弁護士はカルテ開示請求や診療記録の証拠保全を法的手段で進め、また必要に応じて医学文献や協力医による医師意見書を収集します。

 

これらの医療調査を通じて、「過失」「因果関係」「損害」の3要件がクリアできるかを精査して、後の交渉や訴訟の方針決めを行います。

 

尚、弁護士は医療の専門家ではないので、第三者の協力医(各科の専門医)による医療調査が重要です。

 

協力医による医療調査によって、適切な診断や治療が行われていたかを評価することで、医療機関の過失の有無を判断できます。

 

 

<参考>

 

 

示談交渉

まずは話し合いによる解決を目指します。示談交渉は費用を抑えられ、かつ迅速に合意に至る可能性があるので、最初に実施するべき対応です。

 

 

調停と医療ADR

示談で合意に至らないと、裁判外の医療ADRや裁判所の調停を活用します。過失が明確なケースでは医療ADR、争点がある場合には調停が適用されて、双方の合意での解決を図るケースが多いです

 

 

裁判

示談・医療ADR・調停が不調の場合、最終的に民事訴訟により裁判所が判断します。訴訟では証人尋問や鑑定手続が入り、熟練した証拠整理と立証力が求められます。

 

 

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メディカルコンサルティングができること

医療ミスなのかについての医療調査

医療訴訟の多くは、単に治療結果が悪いだけで医療ミスではありません。単に治療結果が悪いだけでは、医療訴訟で勝てる確率は著しく低いです。

 

勝訴できる可能性の無い不毛な医療訴訟を防ぐためには、第三者による、医療ミスかどうかについての医療調査の実施が望ましいです。

 

弊社では、ほぼすべての科の事案で医療ミスか否かの医療調査(意見書作成可否調査)が可能です。詳細は、以下のコラム記事をご確認ください。

 

 

<参考>
医療事故における医療調査の基本内容とは?費用も解説|医師意見書

 

 

医療調査できる診療科一覧

弊社では、以下のようにほぼ全科の医療調査を実施できます。

 

  • 整形外科
  • 脳神経外科
  • 耳鼻咽喉科
  • 眼科
  • 消化器外科
  • 呼吸器外科
  • 心臓血管外科
  • 産婦人科
  • 泌尿器科
  • 脳神経内科
  • 循環器内科
  • 消化器内科
  • 呼吸器内科
  • 腎臓内科
  • 血液内科
  • 小児科
  • 放射線科
  • 精神科
  • 皮膚科
  • 形成外科
  • ⻭科
  • 麻酔科
  • 救急科
  • 感染症科
  • ペイン科
  • 病理

 

 

医療訴訟で使用する医師意見書

意見書作成可否調査で医療ミスであることが判明した場合、各科の専門医による顕名の医師意見書を作成することが可能です。

 

医療ミスの可能性がある事案で、お困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

尚、個人の方は、必ず弁護士を通じてご相談ください。個人の方からの直接のお問い合わせは、固くお断りしております。

 

 

<参考>
医療訴訟の医師意見書|160名の各科専門医による圧倒的実績

 

 

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医師意見書の作成にかかる費用

医療調査(意見書作成可否調査)

医療訴訟用の医師意見書を作成できるのかを判断するために、医療調査(意見書作成可否調査)を必須とさせていただいています。

 

意見書作成可否調査では、各科の専門医が、診療録や画像検査などの膨大な資料を精査いたします。

 

概要

価格

基本料

140,000円

動画の長い事案

170,000円

追加質問

45,000円 / 回

 

※ すべて税抜き価格
※ 意見書作成には医療調査(意見書作成可否調査)が必須です
※ 意見書作成には別途で意見書作成費用がかかります
※ 意見書作成に至らなくても医療調査の返金は致しません

 

 

医師意見書

医療調査(意見書作成可否調査)の結果、医療ミスが判明して、医師意見書を作成する際には、別途で医師意見書作成費用がかかります。

 

概要

価格

一般の科

400,000円~

精神科

450,000円~

心臓血管外科

500,000円~

施設(老健、グループホームなど)

350,000円~

 

 

弊社が医療訴訟で医師意見書を作成した実例

 

弊社には全国の法律事務所から医療訴訟の相談が寄せられます。これまで下記のような科の医師意見書を作成してきました。
 

  • 脳神経外科
  • 脳神経内科(神経内科)
  • 整形外科
  • 一般内科
  • 消化器外科
  • 消化器内科
  • 呼吸器外科
  • 心臓血管外科(成人)
  • 心臓血管外科(小児)
  • 循環器内科
  • 産科
  • 婦人科
  • 泌尿器科
  • 精神科
  • 歯科

 

 

一方、眼科や美容整形外科に関しては相談件数が多いものの、実際に医療過誤である事案はほとんど無いです。このため弊社においても、医師意見書の作成実績がありません。

 

 

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MRIの誤診でよくある質問

CTとMRI どっちが正確?

CT検査はX線を使って骨や肺、血管の形状描出に優れる一方、MRI検査は磁場と電波で軟部組織や脳・脊髄・靱帯などの描出に強い特長があります。症状や疑う疾患によって、両者を使い分けるのが正確な診断の鍵です。

 

 

MRIの欠点は何ですか?

MRIは検査時間が長く(部位によって15~30分)、装置内が狭く・騒音も大きいため、閉所恐怖症や高い静止を要求される点が難点です。また、体内金属があると検査できないケースもあります

 

 

病院で誤診されたらどうしたらいいですか?

まず病院に経緯や検査結果を説明してもらい、必要ならセカンドオピニオンを取得します。次に、誤診が疑われる場合は、弁護士など専門家に相談して、医療記録を確認・保存すると良いでしょう。

 

 

MRIとCTではどちらが被爆しますか?

MRI検査では放射線を使わないため、被爆はありません。一方、CT検査はX線を用いるため、ある程度の放射線被ばくがありますが、健康影響が出るほど強くはないとされています。

 

 

MRIでガンはわかりますか?

MRI検査は軟部組織や臓器内の構造変化を詳細に描出できるため、脳腫瘍・軟部腫瘍・前立腺がんなどの検出に有用です。

 

ただし、種類や大きさによっては見えにくいこともあり、他検査や造影剤併用との併用が推奨されます。

 

 

 

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まとめ

 

MRI検査は、脳や脊髄、関節などの異常を詳しく調べられる優れた医療機器ですが、撮影技術や医師の経験により診断の精度が左右されます。

 

画像の乱れや微小な病変の見逃し、オープン型MRIの画質の低さなどが誤診の原因になります。実際、くも膜下出血や腰椎疾患などで多くの誤診例が報告されています。

 

誤診で損害賠償を請求するには、医師の過失・損害の発生・因果関係の3つを証明する必要があり、専門的な医療調査が不可欠です。

 

MRIの誤診で、お困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

尚、個人の方は、必ず弁護士を通じてご相談ください。個人の方からの直接のお問い合わせは、固くお断りしております。

 

 

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