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2025.6.4

医療訴訟

癌の病理検査が誤診かどうかの確認法は?|医療訴訟・医師意見書

癌と診断されるかどうかを左右する重要な検査のひとつに「病理検査」があります。

 

顕微鏡を使って細胞や組織の状態を確認し、癌かどうか、どのような性質かを調べる検査ですが、この過程で誤診が起こる可能性があることをご存じでしょうか。

 

検体の取り扱いや判断する医師の経験、さらには検体の取り違えなど、誤診の原因はさまざまです。実際に、病理検査の誤診がきっかけで裁判や損害賠償に発展するケースもあります。

 

本記事では、癌の病理検査で誤診が起こる原因、実際の事例、そして誤診が疑われる場合の対処法について詳しく解説します。

 

病理検査の正確性に不安を感じている方や、過去の診断結果に疑問を持っている方にとって、判断材料の一つとなる内容です。

 

 

最終更新日: 2025/6/10

 

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Table of Contents

癌の病理検査とは

病理検査の目的

病理検査は、癌の確定診断や性質の評価を目的としています。細胞や組織を顕微鏡で観察して、悪性か良性か、進行度、治療効果の予測などを判断します。

 

病理検査の結果は、画像検査よりも優先されるケースが多いです。病理検査によって、適切な治療方針の決定や予後の予測が可能となります。

 

 

病理検査の流れ

病理検査は、患者から採取した組織や細胞を標本化して、顕微鏡で観察するプロセスです。組織検査では、組織を固定・切断・染色して標本を作成し、病理医が診断します。

 

細胞診検査では、採取した細胞をスライドガラスに塗布して、染色後に観察します。これらの結果は、主治医に報告され、治療方針の決定に活用されます。

 

 

病理検査でわかること(悪性・良性の判定、がんの性質など)

病理検査により、腫瘍が悪性か良性かの判定、がんの組織型(例:腺がん、扁平上皮がん)、分化度(高分化、低分化)、浸潤や転移の有無などが明らかになります。

 

 

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癌の病理検査で誤診が起こる原因

検体採取の部位や数が充分ではなかった

病理検査では、適切な部位から十分な量の組織を採取することが重要です。不適切な部位や少量の検体では、がん細胞を検出できず、誤診のリスクが高まります。

 

特に腫瘍が不均一な場合、代表的な部位を選定して、複数のサンプルを採取することが求められます。

 

 

検体処理がうまくいかなかった(標本の不備)

採取された検体は、固定・切断・染色などの処理を経て標本化されます。この過程でのミスや不備(例:不適切な固定、染色の失敗、標本の破損など)は、病理医の正確な診断を妨げ、誤診の原因となります。

 

 

病理医の診断能力や経験による差

病理診断は、病理医の知識や経験に大きく依存します。特に希少な腫瘍や微妙な所見の解釈では、診断に差が生じることがあります。また、病理医の不足や過重労働も、診断精度に影響を与える要因となっています。

 

 

情報伝達の問題(他患者との検体取り違えなど)

検体の取り違えやラベルの誤貼付など、情報伝達のミスは重大な誤診を引き起こします。実際に、熊本大学病院では、検体の取り違えにより、癌でない患者が手術を受ける事例が発生しました。

 

 

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病理検査の誤診が疑われるケース例

良性と診断されたが実際は悪性だった

病理医が、悪性腫瘍を良性腫瘍や炎症性病変と診断してしまうケースです。特に、良性と悪性の境界病変などの診断が難しいケースで発生する可能性があります。

 

また、病理検査に提供される検体の採取部位や量が充分でないと、悪性所見が検出されない可能性もあります。

 

 

癌と診断されたが手術後にがんが見つからなかった

癌と診断され手術を受けたが、術後の病理検査で癌が見つからなかったケースも報告されています。このような誤診は、患者に不必要な手術や治療を受けさせることになります。

 

 

他患者との検体取り違えによる誤診

病理検査において、他の患者との検体取り違えによる誤診も発生しています。

 

千葉県がんセンターでは、乳がんが疑われた2人の患者の検体が取り違えられ、不適切な治療方針で手術が実施された可能性があると報告されています。

 

このようなヒューマンエラーは、患者に重大な影響を及ぼすため、検体の取り扱いには細心の注意が求められます

 

 

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病理検査の誤診が疑われた時の対処法

病院の説明をきく

誤診が疑われたら、まずは診断を行った病院に連絡して、詳細な説明を求めましょう。主治医や病院の医療安全管理部門と面談して、診断結果や検査の経緯について確認することが重要です。

 

 

弁護士に相談する

医療過誤が疑われたら、医療問題に詳しい弁護士に相談することが有効です。弁護士は、診療記録の開示請求や損害賠償請求の可否、今後の対応方針などについてアドバイスを提供してくれます。

 

 

医療調査を行う

弁護士は、診療録、看護記録、検査結果などを収集して、医療過誤に該当するかどうかの医療調査を実施します。

 

弁護士だけでは医学的な判断が難しいので、協力医(各科の専門医)に医療調査の判断や評価を依頼するケースが多いです。

 

<参考>

 

 

示談交渉を行う

病院側との話し合いにより、示談交渉を行うことも選択肢の一つです。示談では、損害賠償や再発防止策などについて合意を目指します。

 

 

調停と医療ADR

裁判を避けたい場合、調停や医療ADR(裁判外紛争解決手続)を利用する方法があります。これらは中立的な第三者が関与し、当事者間の合意形成を支援する制度で、迅速かつ柔軟な解決が可能です。

 

 

裁判

示談や調停で解決しない場合、裁判を通じて問題解決を図ることになります。裁判では、証拠や証言に基づき、法的な判断が下されます。

 

時間や費用がかかることを考慮して、弁護士と相談の上、慎重に判断することが重要です。

 

 

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メディカルコンサルティングができること

癌の病理検査が誤診かどうかの確認

弊社は、日本病理学会の専門医と提携しており、癌の病理検査が誤診かどうかの調査が可能です。

 

ただし、病理検査が単独で争点になる事案は少なく、主科の治療方針の是非も検討する必要があるケースが多いです。

 

 

医療ミスなのかについての医療調査

医療訴訟の多くは、単に治療結果が悪いだけで医療ミスではありません。単に治療結果が悪いだけでは、医療訴訟で勝てる確率は著しく低いです。

 

勝訴できる可能性の無い不毛な医療訴訟を防ぐためには、第三者による、医療ミスかどうかについての医療調査の実施が望ましいです。

 

弊社では、ほぼすべての科の事案で医療ミスか否かの医療調査(意見書作成可否調査)が可能です。詳細は、以下のコラム記事をご確認ください。

 

 

<参考>
医療事故における医療調査の基本内容とは?費用も解説|医師意見書

 

 

医療調査できる診療科一覧

弊社では、以下のようにほぼ全科の医療調査を実施できます。

 

  • 整形外科
  • 脳神経外科
  • 耳鼻咽喉科
  • 眼科
  • 消化器外科
  • 呼吸器外科
  • 心臓血管外科
  • 産婦人科
  • 泌尿器科
  • 脳神経内科
  • 循環器内科
  • 消化器内科
  • 呼吸器内科
  • 腎臓内科
  • 血液内科
  • 小児科
  • 放射線科
  • 精神科
  • 皮膚科
  • 形成外科
  • ⻭科
  • 麻酔科
  • 救急科
  • 感染症科
  • ペイン科
  • 病理

 

 

医療訴訟で使用する医師意見書

意見書作成可否調査で医療ミスであることが判明した場合、各科の専門医による顕名の医師意見書を作成することが可能です。

 

医療ミスの可能性がある事案で、お困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

尚、個人の方は、必ず弁護士を通じてご相談ください。個人の方からの直接のお問い合わせは、固くお断りしております。

 

 

<参考>
医療訴訟の医師意見書|160名の各科専門医による圧倒的実績

 

 

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医師意見書の作成にかかる費用

医療調査(意見書作成可否調査)

医療訴訟用の医師意見書を作成できるのかを判断するために、医療調査(意見書作成可否調査)を必須とさせていただいています。

 

意見書作成可否調査では、各科の専門医が、診療録や画像検査などの膨大な資料を精査いたします。

 

概要

価格

基本料

140,000円

動画の長い事案

170,000円

追加質問

45,000円 / 回

 

※ すべて税抜き価格
※ 意見書作成には医療調査(意見書作成可否調査)が必須です
※ 意見書作成には別途で意見書作成費用がかかります
※ 意見書作成に至らなくても医療調査の返金は致しません

 

 

医師意見書

医療調査(意見書作成可否調査)の結果、医療ミスが判明して、医師意見書を作成する際には、別途で医師意見書作成費用がかかります。

 

概要

価格

一般の科

400,000円~

精神科

450,000円~

心臓血管外科

500,000円~

施設(老健、グループホームなど)

350,000円~

 

 

弊社が医療訴訟で医師意見書を作成した実例

 

弊社には全国の法律事務所から医療訴訟の相談が寄せられます。これまで下記のような科の医師意見書を作成してきました。
 

  • 脳神経外科
  • 脳神経内科(神経内科)
  • 整形外科
  • 一般内科
  • 消化器外科
  • 消化器内科
  • 呼吸器外科
  • 心臓血管外科(成人)
  • 心臓血管外科(小児)
  • 循環器内科
  • 産科
  • 婦人科
  • 泌尿器科
  • 精神科
  • 歯科

 

 

一方、眼科や美容整形外科に関しては相談件数が多いものの、実際に医療過誤である事案はほとんど無いです。このため弊社においても、医師意見書の作成実績がありません。

 

 

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癌病理検査の誤診でよくある質問

癌の手術後に病理検査をするのはなぜですか?

手術後の病理検査は、切除した組織を詳細に分析して、癌の正確な診断や進行度(ステージ)を確認するために行われます。

 

手術後に病理検査によって、術前の診断との整合性を確認して、再発リスクや追加治療の必要性を評価します。

 

 

癌の病理検査でわかることは何ですか?

病理検査では、癌の種類、悪性度、浸潤の有無、リンパ節転移の有無、ホルモン受容体の状態などが明らかになります。これらの情報は、治療方針の決定や予後の予測に重要な役割を果たします。

 

 

病理検査をやる理由は何ですか?

病理検査は、病気の確定診断や原因の特定、治療効果の判定などを目的として行われます。組織や細胞を顕微鏡で観察することで、疾患の性質や進行度を詳細に評価できます。

 

 

癌の検査で誤診される確率は?

癌の検査における誤診の可能性は、使用される検査法や癌の種類、進行の段階によって異なります。報告によっては、誤診率が2~10%とされており、決してまれなことではありません。

 

特に、がんの初期段階や腫瘍が小さい場合は、画像検査で見落とされることがあり、また病理検査でも誤診が発生することがあります。

 

 

 

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まとめ

 

癌の病理検査は、癌の確定診断や性質の把握、適切な治療方針の決定に不可欠な検査です。

 

組織や細胞を顕微鏡で調べて、悪性か良性か、癌の種類、進行度、転移の有無などを詳しく評価します。

 

検体の採取や処理に問題があると誤診の可能性があり、実際に取り違えなどの人為的ミスによる誤診も報告されています。

 

誤診が疑われる場合は、病院に説明を求めたり、弁護士に相談して医療調査を行うことが重要です。

 

癌病理検査の損害賠償請求で、お困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

尚、個人の方は、必ず弁護士を通じてご相談ください。個人の方からの直接のお問い合わせは、固くお断りしております。

 

 

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