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2025.6.11

医療訴訟

膵臓癌の誤診は損害賠償請求できる?|医療訴訟・医師意見書

膵臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれています。そのため、膵臓癌は自覚症状に乏しく、早期発見が非常に難しい癌の一つです。

 

膵炎や胃腸の不調と誤診されるケースも少なくなく、適切な治療が遅れることで、命に関わる深刻な状況に陥る可能性があります。

 

実際、膵臓癌の診断遅れや誤診によって患者が受ける影響は甚大で、場合によっては医療過誤として損害賠償請求の対象となるケースもあります。

 

本記事では、膵臓癌に関する誤診の典型例や原因、誤診された場合の初動対応、さらには医療訴訟や法的手続きについて詳しく解説しています。

 

正しい知識を持つことで、万が一の際に適切な行動を取る手助けとなれば幸いです。

 

 

最終更新日: 2025/6/11

 

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Table of Contents

膵臓癌でよくある誤診・診断遅れのケース

膵炎などの消化器疾患との混同

膵臓癌はしばしば胆石、胃食道逆流症、潰瘍、過敏性腸症候群などと症状が重なり、初期に誤診されやすいです。

 

1回目の診察でガンと特定されないケースも多く、複数回の診察や検査を経て正確な診断に至ることもあります

 

 

画像診断や血液検査の限界

CT検査やMRI検査による初回検査で、膵癌が見逃される率は、約7.7%と言われています。小さな腫瘍や主膵管の狭窄・微小病変は、造影無しでは判別が難しいです。

 

また、腫瘍マーカーCA19‑9の感度や血液検査単独では、膵臓癌の早期発見には不十分です。

 

 

症状が無い、もしくは非特異的で見逃されやすい

膵癌の患者の約20~30%は無症状で、腹痛や体重減少はそれぞれ約37%、6%と少数です。

 

倦怠感や食欲不振などの非特異的症状も多いです。これらだけでは膵癌を疑いにくく、診断に繋がりにくいです。

 

 

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膵臓癌誤診の主な原因

適切な検査の未実施

膵臓癌は、他の消化器疾患と混同されやすいため、CTやMRI検査、腫瘍マーカー、内視鏡的膵管造影(EUS‑FNA)などが必要です。

 

一方、これらの検査が適切に実施されないと、診断が先延ばしになるケースも少なくないのが実情です。

 

 

診療記録や情報伝達の不備

患者の初期症状や他院での検査結果が診療記録に反映されない、あるいは医師間・患者とのコミュニケーションが不十分だと、重要な「赤信号」を見逃す要因になります。

 

 

転院措置の遅れや不適切な判断

「膵癌の疑い」があっても、専門医療機関への紹介・転院が行われないと、精密検査が受けられず、診断が遅れる要因となります。

 

法的には、必要な転院措置を怠ることは、医療過誤として問題視される可能性もあります。

 

 

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膵臓癌誤診が疑われる場合の初動対応と証拠収集

病院の説明を受ける

誤診が疑われる場合、まずは医師や病院に事情説明を求めて、「なぜ誤診されたのか」「診断過程で何が行われたか」「今後の治療方針」はどうなるのかを記録します。

 

院内クレーム対応窓口に苦情申立てをすることは、転院や治療継続の手配を依頼するきっかけにもなります。

 

 

弁護士に依頼

医療過誤を疑う場合、専門の弁護士に相談することが重要です。症状や検査経緯を整理して、調査・交渉・訴訟判断へと進めます。

 

弁護士は、診療記録の開示請求や証拠保全、専門医の意見書取得、示談や訴訟の代理などを担当して、患者の代弁者となります。

 

 

診療記録や検査結果を収集する

誤診の証拠として、カルテ、検査データ、画像、診断書、処方記録などを収集します。

 

患者自らの請求でも可能です。しかし、拒否された場合は、弁護士を通じて証拠開示請求や裁判所の証拠保全手続きを行います。

 

 

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膵臓癌誤診に対する損害賠償請求の流れ

医療過誤と認定される条件

膵臓癌の誤診で損害賠償請求が認められるには、医療過誤があったと認定される必要があります。

 

患者側が、証拠をもって立証しなければなりません。主な条件は、以下の3つの項目です。

 

  1. 医師や病院に過失(通常求められる注意義務違反)があること
  2. 患者に実際の損害が生じていること
  3. その過失と損害の間に因果関係があること

 

<参考>
医療過誤の3要件とは?損害賠償請求の流れも解説|医療訴訟・医師意見書

 

 

損害賠償請求の流れ(医療調査→示談→調停→裁判)

損害賠償請求は、まず医療調査から始まります。調査で過失が認められたら、病院側と示談交渉を行い、合意に至れば迅速に解決します。

 

示談が不成立の場合は、裁判所を介さない調停や医療ADRへ進みます。それでも解決しない場合、最終的に裁判で法的判断を仰ぐ流れとなります。

 

 

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弁護士が知っておきたい医療調査と医師意見書の活用法

専門医による医療調査の意義

弁護士が関与する際、まず行うのが医療調査です。弁護士は医療の専門家ではないので、第三者の協力医(各科の専門医)による評価が重要です。

 

医療調査では、カルテや検査データから診療過程を洗い出して、当時の医療水準に照らして「過失や因果関係」があったかを評価します。

 

医療調査により、示談交渉や訴訟の見通しが立てやすくなり、不毛な訴訟を避ける重要な判断材料となります

 

 

<参考>

 

 

医師意見書が訴訟や示談交渉で果たす役割

診断ミスや治療経過への第三者専門医による医師意見書は、医療訴訟における「過失」「因果関係」の立証に不可欠です。

 

医師意見書は、示談交渉でも信頼性の高い証拠となり、病院側の応諾を引き出す強いカードになります。

 

特に、書面での体系的な意見書は交渉力を飛躍的に高めて、和解や調停における有利な条件を創出します。

 

 

<参考>
医療訴訟の医師意見書|160名の各科専門医による圧倒的実績

 

 

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メディカルコンサルティングができること

医療ミスなのかについての医療調査

医療訴訟の多くは、単に治療結果が悪いだけで医療ミスではありません。単に治療結果が悪いだけでは、医療訴訟で勝てる確率は著しく低いです。

 

勝訴できる可能性の無い不毛な医療訴訟を防ぐためには、第三者による、医療ミスかどうかについての医療調査の実施が望ましいです。

 

弊社では、ほぼすべての科の事案で医療ミスか否かの医療調査(意見書作成可否調査)が可能です。詳細は、以下のコラム記事をご確認ください。

 

 

<参考>
医療事故における医療調査の基本内容とは?費用も解説|医師意見書

 

 

医療調査できる診療科一覧

弊社では、以下のようにほぼ全科の医療調査を実施できます。

 

  • 整形外科
  • 脳神経外科
  • 耳鼻咽喉科
  • 眼科
  • 消化器外科
  • 呼吸器外科
  • 心臓血管外科
  • 産婦人科
  • 泌尿器科
  • 脳神経内科
  • 循環器内科
  • 消化器内科
  • 呼吸器内科
  • 腎臓内科
  • 血液内科
  • 小児科
  • 放射線科
  • 精神科
  • 皮膚科
  • 形成外科
  • ⻭科
  • 麻酔科
  • 救急科
  • 感染症科
  • ペイン科
  • 病理

 

 

医療訴訟で使用する医師意見書

意見書作成可否調査で医療ミスであることが判明した場合、各科の専門医による顕名の医師意見書を作成することが可能です。

 

医療ミスの可能性がある事案で、お困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

尚、個人の方は、必ず弁護士を通じてご相談ください。個人の方からの直接のお問い合わせは、固くお断りしております。

 

 

<参考>
医療訴訟の医師意見書|160名の各科専門医による圧倒的実績

 

 

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医師意見書の作成にかかる費用

医療調査(意見書作成可否調査)

医療訴訟用の医師意見書を作成できるのかを判断するために、医療調査(意見書作成可否調査)を必須とさせていただいています。

 

意見書作成可否調査では、各科の専門医が、診療録や画像検査などの膨大な資料を精査いたします。

 

概要

価格

基本料

140,000円

動画の長い事案

170,000円

追加質問

45,000円 / 回

 

※ すべて税抜き価格
※ 意見書作成には医療調査(意見書作成可否調査)が必須です
※ 意見書作成には別途で意見書作成費用がかかります
※ 意見書作成に至らなくても医療調査の返金は致しません

 

 

医師意見書

医療調査(意見書作成可否調査)の結果、医療ミスが判明して、医師意見書を作成する際には、別途で医師意見書作成費用がかかります。

 

概要

価格

一般の科

400,000円~

精神科

450,000円~

心臓血管外科

500,000円~

施設(老健、グループホームなど)

350,000円~

 

 

弊社が医療訴訟で医師意見書を作成した実例

 

弊社には全国の法律事務所から医療訴訟の相談が寄せられます。これまで下記のような科の医師意見書を作成してきました。
 

  • 脳神経外科
  • 脳神経内科(神経内科)
  • 整形外科
  • 一般内科
  • 消化器外科
  • 消化器内科
  • 呼吸器外科
  • 心臓血管外科(成人)
  • 心臓血管外科(小児)
  • 循環器内科
  • 産科
  • 婦人科
  • 泌尿器科
  • 精神科
  • 歯科

 

 

一方、眼科や美容整形外科に関しては相談件数が多いものの、実際に医療過誤である事案はほとんど無いです。このため弊社においても、医師意見書の作成実績がありません。

 

 

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膵臓癌誤診でよあくある質問

腹部エコーで膵臓癌はわかりますか?

腹部エコーは手軽で体への負担が少ない一次検査ですが、解像度が低いため、2cm以下の小さながんを発見できる確率は低いです。

 

主膵管の拡張や嚢胞などの異常を指摘する手がかりにはなりますが、疑いがあればEUSや造影CTなど精密検査が必要です。

 

 

膵臓癌はあと何年生きられますか?

膵臓癌の全体的な5年生存率は約8〜13%です。ステージIで発見できれば、5年生存率は約56.2%に上昇します。

 

進行がんでは非常に予後が悪く、5年生存率は6%前後に留まります。診断時のステージが生存年数に大きく影響します。

 

 

膵臓がんだとわかるきっかけは?

「腹痛」「背中の痛み」「黄疸」「体重減少」「糖尿病の悪化」などがきっかけになります。多くは漠然とした症状で、自覚後にはすでに進行しているケースが多いです。

 

人間ドックや画像検査、腫瘍マーカーでの異常所見から発覚するケースも少なくありません。

 

 

腹部エコーで膵臓が描出不能と言われたのですが、なぜですか?

膵頭部や尾部は胃や十二指腸、消化管のガスや脂肪によって超音波が届きにくく、見えないことが多いです。

 

 

すい臓がんの平均余命は?

ステージ分類によって大きく異なりますが、診断時に早期段階(I期)であれば比較的長期生存が期待できます。

 

それ以外の中〜進行期では、5年生存率は10%前後かそれ以下に留まります。平均余命は1年以内という現実を踏まえた治療と支援が求められます。

 

 

 

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まとめ

 

膵臓癌は初期症状が乏しく、腹痛や体重減少などの非特異的な症状から他の消化器疾患と誤診されやすいため、発見が遅れがちです。

 

画像診断や血液検査にも限界があり、特に小さな腫瘍や微細な異常は見逃されることがあります。

 

適切な検査が行われなかったり、転院が遅れたりすることで診断の遅れが生じて、医療過誤とされることもあります。

 

誤診が疑われる場合は診療記録を収集して、弁護士に相談することで法的対応が可能です。

 

膵臓癌の誤診で、お困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

尚、個人の方は、必ず弁護士を通じてご相談ください。個人の方からの直接のお問い合わせは、固くお断りしております。

 

 

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