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2025.6.1

医療訴訟

手術ミスは損害賠償請求できる?裁判の注意点は?|医療訴訟・医師意見書

手術を受ける患者やその家族にとって、医療の現場で万全の体制が整っていることは当然の前提です。

 

しかし、残念ながら現実には、医師の判断ミスや処置ミスなどによる「手術ミス」が発生してしまうケースがあります。

 

手術ミスによって健康を損なったり、後遺症が残ったら、患者や家族は精神的・経済的に大きな負担を抱えることになります。

 

そうしたとき、「損害賠償はできるのか」「訴えるにはどうすればいいのか」といった疑問や不安を抱えるのは当然のことでしょう。

 

本記事では、手術ミスに対して法的な対応が可能なのか、損害賠償請求のために知っておくべきポイントや手続きの流れ、注意点について分かりやすく解説しています。

 

 

最終更新日: 2025/6/10

 

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Table of Contents

手術ミスを損賠賠償請求できる可能性はある

手術ミスの損害賠償請求には医療過誤の3要素が必要

手術ミスを損賠賠償請求できる可能性はあります。しかし、損害賠償請求が成立するには、以下の「医療過誤の3要素」が全て揃う必要があります。

 

  • 過失(医師が標準医療から逸脱したこと)
  • 損害(後遺症や追加治療費など具体的被害)
  • 因果関係(過失と損害が直結している)

 

 

これらが1つでも欠けると、裁判所は損害賠償請求を棄却するため、まず3要素を満たすかを確認することが重要です。

 

 

<参考>
医療過誤の3要件とは?損害賠償請求の流れも解説|医療調査・医師意見書

 

 

医療過誤の3要件の証明には医療調査が必須

医療過誤の3要素を裁判で立証するには、専門的な医学判断が不可欠です。

 

カルテや検査結果だけでは医師の過失や因果関係を裏付けにくいため、第三者の協力医による医療調査が必要なケースが多いです。

 

 

<参考>

 

 

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手術ミスの損害賠償請求を検討する際のポイント

術前説明の内容

手術前に医師から行われる説明は、患者が手術のリスクや代替手段を理解して、同意するために重要です。

 

説明が不十分であった場合、たとえ同意書に署名していても、医師の説明義務違反が問われる可能性があります。

 

特に、合併症や後遺症のリスクについての説明がなかった場合、損害賠償請求の根拠となることがあります。

 

 

手術ミスと不利益の間に因果関係はあるか

手術ミスによる損害賠償請求では、医師の過失と患者の被害との間に因果関係があることを証明する必要があります。

 

例えば、手術中のミスが原因で神経を損傷して、後遺症が残った場合などです。因果関係の立証には、カルテや手術記録、医療調査などの客観的な証拠が重要となります。

 

 

手術ミス後の説明内容

手術後に予期しない結果が生じたら、医師はその原因や今後の治療方針について患者に説明する義務があります。

 

手術後の説明内容や対応は、医師の責任を判断する上で重要な要素となります。

 

 

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手術ミスで損害賠償請求できる4項目

慰謝料

手術ミスによって患者やその家族が受けた精神的苦痛に対する補償です。入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料などが含まれます。

 

具体的な金額は、入通院期間や後遺障害の等級、被害者の社会的立場などにより異なります。

 

例えば、死亡慰謝料の相場は、被害者が一家の支柱であれば約2,800万円、配偶者や母親であれば約2,500万円とされています。

 

 

休業損害

手術ミスにより就労が困難となり、収入が減少したら、その損失分を請求できます。

 

会社員であれば事故前3か月の平均給与、自営業者であれば前年の申告所得を基に計算されます。

 

具体的には、1日あたりの収入を算出し、それに休業日数を掛け合わせて算出します。

 

 

逸失利益

手術ミスにより将来的に得られるはずだった収入が減少したら、その差額を請求できます。

 

逸失利益は、1年あたりの基礎収入に労働能力喪失率と労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数を掛け合わせて算出されます。

 

後遺障害等級に応じて労働能力喪失率が定められており、例えば1級では100%、5級では79%とされています。

 

 

治療費

手術ミスによって新たに発生した治療費や、症状の悪化に伴う追加の医療費などが対象となります。

 

これには、入院費、通院費、手術費、薬代、リハビリ費用、介護費用、装具・器具の購入費用などが含まれます。

 

また、将来的に必要となる治療費が請求の対象となるケースもあります。

 

 

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手術ミスの損害賠償請求をするためのステップ

病院の説明を受ける

手術後に予期しない結果が生じたら、まずは病院からの説明を求めましょう。医師には、診療経過や手術の結果について説明する義務があります。

 

この段階での説明内容は、後の損害賠償請求において重要な証拠となるため、詳細な記録を残すことが推奨されます。

 

 

弁護士に相談する

医療ミスに関する損害賠償請求は、医療と法律の専門知識が必要です。医療過誤に精通した弁護士に相談することで、適切なアドバイスを受けることができます。

 

弁護士は、証拠の収集、医療調査、示談交渉、訴訟手続きなど、全般的なサポートを提供します。

 

 

医療調査を行う

医療ミスの有無や過失の程度を明らかにするため、協力医(専門医)による医療調査を実施します。

 

この調査では、診療記録や手術内容を精査し、医師の過失や因果関係の有無を判断します。調査結果は、損害賠償請求の根拠となる重要な資料です。

 

<参考>

 

 

示談交渉

病院側と直接交渉して、裁判を避けて解決を図る方法です。示談では、損害賠償金額や支払い方法などを合意します。

 

交渉は弁護士を通じて行うことで、適切な条件での合意が期待できます。

 

 

調停や医療ADR

示談が成立しない場合、裁判所の調停や医療ADR(裁判外紛争解決手続き)を利用することができます。

 

これらの手続きは、裁判よりも迅速かつ柔軟な解決が可能です。中立的な第三者が関与するため、公平な解決が期待できます。

 

 

裁判

調停やADRでも解決に至らないと、裁判を提起することになります。裁判では、証拠や証人を基に、医療ミスの有無や損害の程度が判断されます。

 

裁判には時間と費用がかかるため、弁護士と十分に相談し、慎重に進めることが重要です。

 

 

和解

裁判中でも、双方が合意すれば和解が成立します。和解では、裁判所の判断を待たずに、損害賠償金額や条件を決定します。和解により、裁判の長期化を避けて、早期解決が可能となります。

 

判決

和解に至らない場合、裁判所が判決を下します。判決では、医療ミスの有無、損害の程度、賠償金額などが明確にされます。判決に不服がある場合、上級裁判所に控訴することも可能です。

 

 

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手術ミスにおける損害賠償請求の注意点

時効は意外と短い

医療ミスに基づく損害賠償請求には、時効が存在します。2020年4月1日以降に発生した事案では、「損害および加害者を知った時から5年」または「医療過誤の日から20年」のいずれか早い方が時効となります。

 

 

医療訴訟は解決まで長期間要する

医療訴訟は、専門的な知識や証拠の収集が必要であり、解決までに長期間を要することがあります。

 

裁判所が公表しているデータによると、医療訴訟の認容率(原告の主張が認められる割合)は20%前後で推移しており、訴訟の難しさがうかがえます。

 

 

示談や和解が現実的な解決法であるケースが多い

医療ミスに関する損害賠償請求では、示談や和解による解決が現実的な選択肢となることが多いです。訴訟に比べて時間や費用を抑えられ、精神的な負担も軽減されます。

 

また、裁判では得られない謝罪や再発防止策の提示を受けられる可能性もあります。

 

 

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メディカルコンサルティングができること

医療ミスなのかについての医療調査

医療訴訟の多くは、単に治療結果が悪いだけで医療ミスではありません。単に治療結果が悪いだけでは、医療訴訟で勝てる確率は著しく低いです。

 

勝訴できる可能性の無い不毛な医療訴訟を防ぐためには、第三者による、医療ミスかどうかについての医療調査の実施が望ましいです。

 

弊社では、ほぼすべての科の事案で医療ミスか否かの医療調査(意見書作成可否調査)が可能です。詳細は、以下のコラム記事をご確認ください。

 

 

<参考>
医療事故における医療調査の基本内容とは?費用も解説|医師意見書

 

 

医療調査できる診療科一覧

弊社では、以下のようにほぼ全科の医療調査を実施できます。

 

  • 整形外科
  • 脳神経外科
  • 耳鼻咽喉科
  • 眼科
  • 消化器外科
  • 呼吸器外科
  • 心臓血管外科
  • 産婦人科
  • 泌尿器科
  • 脳神経内科
  • 循環器内科
  • 消化器内科
  • 呼吸器内科
  • 腎臓内科
  • 血液内科
  • 小児科
  • 放射線科
  • 精神科
  • 皮膚科
  • 形成外科
  • ⻭科
  • 麻酔科
  • 救急科
  • 感染症科
  • ペイン科
  • 病理

 

 

医療訴訟で使用する医師意見書

意見書作成可否調査で医療ミスであることが判明した場合、各科の専門医による顕名の医師意見書を作成することが可能です。

 

医療ミスの可能性がある事案で、お困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

尚、個人の方は、必ず弁護士を通じてご相談ください。個人の方からの直接のお問い合わせは、固くお断りしております。

 

 

<参考>
医療訴訟の医師意見書|160名の各科専門医による圧倒的実績

 

 

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医師意見書の作成にかかる費用

医療調査(意見書作成可否調査)

医療訴訟用の医師意見書を作成できるのかを判断するために、医療調査(意見書作成可否調査)を必須とさせていただいています。

 

意見書作成可否調査では、各科の専門医が、診療録や画像検査などの膨大な資料を精査いたします。

 

概要

価格

基本料

140,000円

動画の長い事案

170,000円

追加質問

45,000円 / 回

 

※ すべて税抜き価格
※ 意見書作成には医療調査(意見書作成可否調査)が必須です
※ 意見書作成には別途で意見書作成費用がかかります
※ 意見書作成に至らなくても医療調査の返金は致しません

 

 

医師意見書

医療調査(意見書作成可否調査)の結果、医療ミスが判明して、医師意見書を作成する際には、別途で医師意見書作成費用がかかります。

 

概要

価格

一般の科

400,000円~

精神科

450,000円~

心臓血管外科

500,000円~

施設(老健、グループホームなど)

350,000円~

 

 

弊社が医療訴訟で医師意見書を作成した実例

 

弊社には全国の法律事務所から医療訴訟の相談が寄せられます。これまで下記のような科の医師意見書を作成してきました。
 

  • 脳神経外科
  • 脳神経内科(神経内科)
  • 整形外科
  • 一般内科
  • 消化器外科
  • 消化器内科
  • 呼吸器外科
  • 心臓血管外科(成人)
  • 心臓血管外科(小児)
  • 循環器内科
  • 産科
  • 婦人科
  • 泌尿器科
  • 精神科
  • 歯科

 

 

一方、眼科や美容整形外科に関しては相談件数が多いものの、実際に医療過誤である事案はほとんど無いです。このため弊社においても、医師意見書の作成実績がありません。

 

 

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手術ミスでよくある質問

手術ミスした医師の法的責任は?

医師が手術ミスを犯した場合、主に以下の3つの法的責任が問われる可能性があります。

 

民事責任

患者やその家族が、医師や病院に対して損害賠償を請求することができます。

 

刑事責任

手術ミスが業務上過失致死傷罪などに該当する場合、警察や検察が捜査を行い、起訴されることがあります。

 

行政上の責任

医師免許の停止や取消しなど、行政処分が科されることがあります。

 

 

ただし、患者やその家族が直接追及できるのは民事責任に限られます。刑事責任や行政上の責任の追及は、捜査機関や行政機関の判断に委ねられます。

 

 

手術ミスの慰謝料相場は?

手術ミスによる慰謝料の金額は、被害の程度や後遺症の有無などにより大きく異なります。一般的な相場は以下の通りです。

 

死亡慰謝料

2000万円〜2800万円。被害者の年齢や家族構成により変動します。

 

後遺障害慰謝料

後遺障害の等級に応じて110万円〜2800万円。

 

入通院慰謝料

通院1日あたり2711円〜9333円、入院1日あたり7555円〜1万7666円。

 

 

これらの金額はあくまで目安であり、具体的な事情により増減することがあります。

 

 

病院がミスをして治療費を請求できますか?

医療ミスがあっても、病院は治療費を請求することが可能です。ただし、患者やその家族は、医療ミスによって生じた損害について、病院に対して損害賠償を請求することができます。この場合、治療費は損害賠償の一部として取り扱われることになります。

 

例えば、新生児に重篤な後遺症が残った場合、1億円を超える損害賠償が認められることもあり、治療費はその損害のごく一部に過ぎません

 

 

 

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まとめ

 

手術ミスによる損害賠償請求は、医師の過失・損害・因果関係の「医療過誤の3要素」をすべて証明する必要があります。

 

医療過誤の3要素の証明には専門医による医療調査が不可欠で、カルテ(診療記録)や検査結果だけでは不十分です。

 

損害賠償の対象には慰謝料、治療費、休業損害、逸失利益が含まれ、示談・調停・裁判と段階的に対応します。

 

ただし、時効があるため迅速な行動が重要で、訴訟は長期化する可能性もあるため、弁護士との相談が欠かせません。

 

手術ミスの損害賠償請求で、お困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

尚、個人の方は、必ず弁護士を通じてご相談ください。個人の方からの直接のお問い合わせは、固くお断りしております。

 

 

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