中足骨骨折は、日常生活はもちろん、仕事やスポーツにも大きな影響を及ぼすケガのひとつです。突然の事故や転倒などによって起こりやすく、歩行が困難になることも少なくありません。
「いつになったらまた歩けるのか?」「リハビリはどうすればいい?」「後遺症は残るのか?」といった不安や疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、中足骨骨折の症状や治療法、歩けるようになるまでの期間まで、専門的な視点でわかりやすく解説します。
回復までの道のりを正しく理解して、安心してリハビリに取り組めるような情報をお届けします。
最終更新日: 2025/5/5
Table of Contents
中足骨骨折とは?
第5中足骨基部骨折(下駄骨折)が最も多い
第5中足骨基部骨折は、足の小指側にある第5中足骨の基部が骨折するもので、特に足を内側にひねる動作や転倒時に発生しやすいです。
この骨折は「下駄骨折」とも呼ばれ、スポーツ活動中の急な方向転換やジャンプ、高齢者の転倒などが原因となります。
適切な治療を受けずに放置すると、骨が癒合しない偽関節になるリスクもあるため、早期の診断と治療が重要です。
中足骨骨折の一般的な症状
中足骨骨折の主な症状には、骨折部位の腫れや痛み、周囲の関節の動きの制限などがあります。骨折の程度によっては、趾の形が変形することもあります。
骨折した部位に体重をかけると痛みが増して、歩行が困難になることもありますが、踵で体重を支えることで歩行可能な場合もあります。
中足骨骨折の診断方法
中足骨骨折の診断には、主にレントゲン検査が用いられます。レントゲン検査は放射線被曝量が少なく、費用も比較的安価で、その場で撮影と診断が可能です。
中足骨骨折後に歩けるまでの期間と治療法
保存療法は4~6週間
中足骨骨折の保存療法では、ギプスや装具で患部を固定して、初期の1~2週間は免荷(体重をかけない)期間とします。
その後、段階的に部分荷重を開始します。受傷から4~6週間で骨癒合が進むケースが多いです。
尚、ジョーンズ骨折(疲労骨折)では運動の休止が必要で、リハビリテーションを通じて筋力や関節の可動域を回復させます。
手術療法は3~4週間
第5中足骨骨折などで転位(ずれ)が大きい症例では、手術療法が選択されるケースもあります。
金属製のネジで骨を固定して、術後は早期からリハビリを開始します。骨癒合は約3~4週間で進行して、保存療法よりも早期の回復が期待できます。
スポーツ復帰は2~3ヵ月
中足骨骨折後のスポーツ復帰は、骨癒合の進行とリハビリテーションの状況により異なりますが、一般的には2~3ヵ月が目安です。
一方、疲労骨折の一種であるジョーンズ骨折では、再発防止のため慎重なリハビリが求められます。復帰前には医師の判断を仰ぎ、段階的なトレーニングを行うことが重要です。
中足骨骨折の後遺症と後遺障害等級
中足骨骨折では、機能障害(関節の可動域制限)と神経障害(痛み)を残す可能性があります。
機能障害
骨折に対する保存療法によって長期の外固定を要した場合では、足関節の可動域制限が残存することがあります。
可動域制限の程度によって、以下のような後遺障害等級が認められる可能性があります。
可動域制限の評価には、【背屈+底屈の合計他動可動域】の数値がもちいられることに注意しましょう。
等級 | 認定基準 |
8級7号 | 下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの |
10級11号 | 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの |
12級7号 | 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの |
8級7号:足関節が強直したもの
足関節の可動域が健側の10%程度以下に制限されたものです。デグロービング損傷を伴った多発性中足骨骨折では、高度の関節可動域制限が残る可能性があります。
10級11号:足関節の関節可動域が、健側の1/2以下に制限されたもの
開放性の中足骨骨折で感染を併発すると、足関節の可動域が健側の半分以下になるケースもあります。
12級7号:足関節の関節可動域が、健側の3/4以下に制限されたもの
開放性の中足骨骨折では、足関節の可動域制限が残るケースもあります。
神経障害
中足骨骨折の治療後に、関節面の変形や段差が残存すると、痛みの原因となることがあります。
等級 | 認定基準 |
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの
偽関節など、疼痛の原因を他覚的に示すことができる場合には、12級13号に該当する可能性があります。
14級9号:局部に神経症状を残すもの
中足骨骨折では、手術の有無や治療経過、通院頻度などの要素を総合的に判断して、痛みの原因が医学的に説明可能な場合には14級9号に該当する可能性があります。
足指の機能障害
足指の機能障害に関しては、足部や足関節とは別の扱いとなります。詳細は下記をご確認ください。
<参考>
足指骨折の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
中足骨骨折の後遺障害認定ポイント【弁護士必見】
中足骨骨折の後遺障害認定では、リスフラン関節内に及ぶ骨折かどうかで、後遺障害に認定される可能性が異なります。
中足骨骨折の後遺障害認定のポイントを詳細に知りたい方は、こちらのコラム記事を参照してください。
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<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
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<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
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<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
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中足骨骨折後に歩けるまででよくある質問
中足骨骨折で松葉杖をするのはいつまでですか?
中足骨骨折後の松葉杖の使用期間は、骨折の部位や治療法によって異なります。一般的には、骨折後1~2週間は体重をかけない「免荷」期間とされ、その後、痛みや腫れの状態を見ながら徐々に部分荷重を開始します。
完全な荷重が可能になるまでには、通常4~6週間程度かかりますが、個人差があるため、医師の指示に従って段階的に進めることが重要です。
第5中足骨骨折のギプス期間はどれくらいですか?
一般的な第5中足骨基部骨折(下駄骨折)では、ギプス固定は1~4週間程度とされ、骨折のずれが少ない場合は湿布や包帯のみで対応することもあります。
一方、ジョーンズ骨折(疲労骨折)の場合は、骨癒合が難しいため、より長期間の固定や手術が必要となることがあります。
下駄骨折とジョーンズ骨折(Jones骨折)の違いは?
下駄骨折とジョーンズ骨折は、いずれも第5中足骨に発生する骨折ですが、発生部位や原因、治療法に違いがあります。
下駄骨折は第5中足骨の基底部に発生して、足首をひねった際に筋肉の牽引力で生じることが多く、比較的治癒しやすいとされています。
一方、ジョーンズ骨折は第5中足骨の骨幹端部に発生する、スポーツなどでの繰り返しのストレスによる疲労骨折です。
血流が少ない部位のため治癒に時間がかかり、再発のリスクも高いとされています。
まとめ
中足骨骨折は足の甲の骨が折れるケガで、特に第5中足骨基部に起こる「下駄骨折」が多く見られます。
ジャンプや転倒で発生しやすく、早期治療が重要です。主な症状は痛みや腫れで、歩くのが困難になることもあります。
治療にはギプスや手術があり、歩けるまでの期間は、保存療法で4~6週間、手術療法で3~4週間かかるケースが多いです。
ジョーンズ骨折のような疲労骨折では治癒が遅れるため、注意が必要です。後遺症として関節の動きに障害が残ることもあります。
交通事故で受傷した、中足骨骨折の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
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