交通事故コラム詳細

fv fv

破裂骨折と圧迫骨折の違いとは?|交通事故の後遺障害

交通事故などの強い衝撃を受けた際に発生しやすい破裂骨折と圧迫骨折。どちらも骨折の一種ですが、具体的にどう違うのかをご存じでしょうか?

 

破裂骨折と圧迫骨折は、発生のメカニズムや症状、治療法において違いがあります。特に「どちらの骨折が重症なのか」「治療にどのような差があるのか」は、適切な対応をする上で重要なポイントです。

 

本記事では、それぞれの骨折の定義や臨床的な違いを詳しく解説しています。正しい知識を得て、必要な対策を考える参考にしてください。

 

 

最終更新日: 2025/3/17

 

book

 

 

破裂骨折と圧迫骨折の定義

破裂骨折

破裂骨折は、脊椎に強い外力が加わった際に、椎体が粉砕されるように破壊される骨折です。

 

破裂骨折は、交通事故や高所からの転落など、大きな外力が直接脊椎に作用した場合に多く見られます。

 

このタイプの骨折は、椎体の前方だけでなく、後方にも骨片が飛び出すため、脊髄や神経根を圧迫するリスクが高まります。

 

脊柱管内に骨片が飛び出した骨片が脊髄や神経根を圧迫すると、麻痺などの深刻な神経学的症状を引き起こす可能性があります。

 

 

burst fracture

 

 

圧迫骨折

圧迫骨折は、椎体が上下からの圧力によって潰れるように変形する骨折です。特に骨粗鬆症の患者や高齢者に多く見られ、軽微な外力や日常的な動作でも発生することがあります。

 

この骨折では、椎体の前方部分が楔形に潰れることが多く、背中の痛みや姿勢の変化(円背)を引き起こすことがあります。

 

一般的に、神経症状を伴うことは少ないですが、複数の椎体が連続して圧迫骨折を起こすと、姿勢の著しい変化や慢性的な痛みの原因となることがあります。

 

 

破裂骨折と圧迫骨折の違い

画像所見の違い

圧迫骨折では、椎体の前方部分が楔形に潰れて、全体として前屈した形状がレントゲン画像で確認されます。

 

一方、破裂骨折では、椎体全体が粉砕されて、骨片が脊柱管内に突出します。このため、脊髄や神経根を圧迫するリスクが高まります。

 

 

原因の違い

圧迫骨折は、骨粗鬆症などで骨が脆くなった高齢者に多く、軽微な外力や日常的な動作でも発生することがあります。

 

一方、破裂骨折は、交通事故や高所からの転落など、強い外力が直接脊椎に作用した場合に多く見られます。

 

 

症状の違い

圧迫骨折では、背中や腰の痛みが主な症状で、通常は神経障害や麻痺などの神経症状を伴いません。

 

しかし、破裂骨折では、骨片が脊髄や神経根を圧迫することで、下肢の運動麻痺や膀胱直腸障害などの深刻な症状を引き起こす可能性があります。

 

 

治療法の違い

圧迫骨折は、安静やコルセットの着用などの保存療法が主に選択され、多くの患者は保存療法で症状が改善します。

 

一方、破裂骨折は、椎体後方の骨片が脊髄や神経を圧迫するリスクが高いため、手術による骨片の除去や脊椎の固定が必要となるケースがあります。

 

 

予後の違い

圧迫骨折は、適切な治療によって、多くのケースで良好な回復が期待できます。

 

しかし、破裂骨折は、神経損傷の程度によっては、麻痺や感覚障害が残る可能性があり、予後が不良となることがあります。

 

 

 

nikkei medical

 

 

破裂骨折や圧迫骨折の後遺障害

 

交通事故で受傷した破裂骨折や圧迫骨折の後遺障害には、以下のような5つの障害があります。

 

  • 脊柱の変形障害(6級、8級、11級)
  • 脊柱の運動障害(6級、8級)
  • 脊柱の荷重機能障害(6級、8級)
  • 局部の神経障害(12級、14級)
  • 脊髄損傷の後遺障害

 

 

脊柱の変形障害(6級、8級、11級)

等級

認定基準

6級5号

脊柱に著しい変形を残すもの

8級2号

脊柱に中程度の変形を残すもの

11級7号

脊柱に変形を残すもの

 

6級5号:脊柱に著しい変形を残すもの

 

2個以上の椎体の前方椎体高の高さの合計が、後方椎体の高さの合計よりも、1個の椎体分以上低くなっているものです。端的に言うと、椎体1個以上の椎体前方高の減少したものです。

 

この場合の1個の椎体分とは、骨折した椎体の後方椎体高の平均値です。脊柱変形障害の詳細については、こちらのコラム記事を参照してください。

 

 

8級2号:脊柱に中程度の変形を残すもの

 

1個以上の椎体の前方椎体高の高さの合計が、後方椎体の高さの合計よりも、1/2個の椎体分以上低くなっているものです。端的に言うと、椎体の1/2以上の椎体前方高の減少したものです。

 

具体的な胸椎圧迫骨折の後遺障害8級の画像を知りたい方は、こちらのコラム記事を参照してください。

 

 

11級7号:脊柱に変形を残すもの

 

下記3つのいずれかに該当すれば認定されます。

 

  • 脊椎圧迫骨折等を残しており、そのことがエックス線写真等により確認できるもの
  • 脊椎固定術が行われたもの
  • 3個以上の脊椎について、椎弓切除術などの椎弓形成術を受けたもの

 

 

 

脊柱の運動障害(6級、8級)

等級

認定基準

6級5号

脊柱に著しい運動障害を残すもの

8級2号

脊柱に運動障害を残すもの

 

6級5号:脊柱に著しい運動障害を残すもの

 

脊柱に著しい運動障害を残すものとは、次のいずれかの原因で頚部および胸腰部が強直したものです。
 

  • 頚椎および胸腰椎のそれぞれに脊椎圧迫骨折等が存しており、それがレントゲン等によって確認できるもの
  • 頚椎および胸腰椎のそれぞれに脊椎固定術が行われたもの
  • 項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの

 

 

8級2号:脊柱に運動障害を残すもの

 

脊柱に運動障害を残すものとは、次のいずれかに該当する場合です。

 

  • 頚椎、腰椎それぞれに圧迫骨折等があることが画像上確認できるもの
  • 頚椎または胸腰椎に脊椎圧迫骨折等を残しており、そのことがレントゲン撮影などによって確認できるもの
  • 頚椎または胸腰椎に脊椎固定術が行われたもの
  • 項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの
  • 頭蓋や上位頚椎間に著しい異常可動性が発生したもの

 

 

脊柱の運動障害を詳細に知りたい方は、こちらのコラム記事を参照してください。

 

 

 

脊柱の荷重機能障害(6級、8級)

等級

認定基準

6級5号

脊柱に著しい荷重機能障害を残すもの

8級2号

脊柱に荷重機能障害を残すもの

 

年間1000事案の取り扱いがある弊社においても、圧迫骨折で脊柱の荷重機能障害に認定された事案の経験はほとんど存在しません。

 

その理由は、ほとんどの事案は脊柱の変形障害で処理されるためと思われます。

 

実臨床で、脊柱の荷重機能障害に認定される可能性がありそうな事案は、圧迫骨折後の偽関節ではないでしょうか。

 

若年者では少ないですが、高齢者では圧迫骨折後に椎体の前方が偽関節になる症例は珍しくありません。

 

このような症例では頑固な腰背部痛が残るため、コルセットを常用せざるを得ない症例を散見します。

 

 

6級5号:脊柱に著しい荷重機能障害を残すもの

 

頚部及び腰部の両方が、次のいずれかの理由で保持が困難であり、常に硬性補装具が必要なもの
 

  • 頚椎または腰椎に脊椎圧迫骨折等を残しており、そのことがレントゲン撮影などによって確認できるもの
  • 項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの

 

 

8級2号:脊柱に荷重機能障害を残すもの

 

頚部または腰部のいずれかが、次のいずれかの理由で保持が困難であり、常に硬性補装具が必要なもの
 

  • 頚椎または腰椎に脊椎圧迫骨折等を残しており、そのことがレントゲン撮影などによって確認できるもの
  • 項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの

 

 

脊柱の荷重機能障害を詳細に知りたい方は、こちらのコラム記事を参照してください。

 

 

 

破裂骨折や圧迫骨折による神経障害(12級、14級)

等級

認定基準

12級13号

局部に頑固な神経症状を残すもの

14級9号

局部に神経症状を残すもの

 

圧迫骨折の程度がごく軽度の場合には、脊柱の変形障害ではなく、神経障害(痛み)として後遺障害に認定される可能性もあります。

 

 

12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの

 

通常、レントゲン検査やCT検査で、破裂骨折や圧迫骨折の存在を確認できます。このため、画像検査で骨折が確認できるのであれば、脊柱の変形障害(11級7号)を念頭に置いて、異議申し立てするべきでしょう。

 

 

14級9号:局部に神経症状を残すもの

 

レントゲン検査やCT検査では破裂骨折や圧迫骨折の存在を確認できないものの、MRI検査で骨折が疑われる事案では14級9号に認定される可能性があります。

 

MRI検査で骨折が疑われる場合には、骨挫傷と骨折の両方の可能性があります。治療経過で椎体に化骨形成を認めるケースは骨折なので、11級7号や12級13号を念頭において異議申し立てするべきでしょう。

 

 

 

脊髄損傷の後遺障害

破裂骨折では、脊髄損傷を合併するケースがあります。脊髄損傷の後遺障害に関しては、こちらのコラム記事を参照してください。

 

 

book

 

 

破裂骨折や圧迫骨折の後遺障害認定ポイント【弁護士必見】

 

破裂骨折や圧迫骨折の後遺障害認定には、さまざまなピットフォールがあります。

 

特に、脊柱の変形障害は、後遺障害に認定されても、労働能力喪失率や労働能力喪失期間で高率に争いになります。

 

破裂骨折や圧迫骨折の後遺障害認定に関するポイントは、こちらのコラム記事にまとめています。興味のある方はご参照ください。

 

 

<参考>

 

 

 

nikkei medical

 

 

破裂骨折や圧迫骨折の後遺障害認定で弊社ができること

弁護士の方へ

弊社では、交通事故で受傷した破裂骨折や圧迫骨折の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。

 

 

等級スクリーニング

 

現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。

 

等級スクリーニングは、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。

 

等級スクリーニングの有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニングを承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。

 

<参考>
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

 

 

fv_appraisal_pc

 

 

 

医師意見書

 

医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。

 

医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。

 

医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。

 

弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。

 

<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

download

 

 

 

画像鑑定報告書

 

交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。

 

画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。

 

画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。

 

弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。

 

<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

inquiry

 

 

 

破裂骨折や圧迫骨折の後遺障害認定でお悩みの被害者の方へ

弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。

 

また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。

 

もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。

 

 

Traffic accident patient

 

 

尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。

 

弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

 

 

 

doctor

 

 

破裂骨折と圧迫骨折の違いでよくある質問

破裂骨折はどのくらいで治りますか?

破裂骨折の治癒期間は、損傷の程度や治療方法、患者の全身状態によって異なります。一般的には、骨の癒合には6~12週間程度かかるとされています。

 

しかし、神経損傷を伴う場合や手術が必要なケースでは、リハビリテーションを含めた全体の回復期間が長引くことがあります。

 

 

破裂骨折になったらやってはいけないことは?

破裂骨折の治療中は、以下の点に注意することが重要です。

 

無断での活動再開

医師の許可なしに日常活動や運動を再開すると、骨の癒合を妨げたり、麻痺症状を引き起こす可能性があります。

 

適切な固定の怠り

コルセットやブレースなどの固定具の使用指示を守らないと、骨の安定性が損なわれ、麻痺症状を引き起こす可能性があります。

 

過度な負荷のかかる動作

重い物を持ち上げる、激しい運動を行うなど、脊椎に過度な負荷がかかる動作は避けるべきです。

 

 

download

 

 

まとめ

 

破裂骨折は強い衝撃で椎体が粉砕し、神経を圧迫することで麻痺などを引き起こすことがあり、手術が必要な場合が多いです。

 

一方、圧迫骨折は骨粗鬆症により骨が潰れるように変形して、高齢者に多く、主に保存療法で治療されます。

 

破裂骨折は後遺障害のリスクが高く、脊髄損傷を伴うこともあります。適切な診断と治療が重要で、特に破裂骨折では予後の管理が必要とされます。

 

破裂骨折や圧迫骨折の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらのお問い合わせから気軽にご相談ください。

 

 

inquiry

 

Traffic accident patient

 

 

関連ページ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

book

 

 

資料・サンプルを無料ダウンロード

 

以下のフォームに入力完了後、資料ダウンロード用ページに移動します。

    関連記事

    ランキング