むちうちの症状に悩む方の中には、腕のだるさを感じる方も多いのではないでしょうか。むちうちは交通事故で首に強い衝撃が加わって発症します。
むちうちの症状は、首の痛みや頭痛だけではありません。腕のだるさなどの首とは関係無さそうな症状も、むちうちで発症する可能性があります。
本記事では、むちうちによる腕のだるさの原因や、症状の改善方法、さらには後遺障害認定のポイントについて詳しく解説します。
最終更新日: 2024/11/27
Table of Contents
むちうちによる腕のだるさの原因とは?
首にある神経の炎症
むちうちによる腕のだるさの一因は、首にある神経の炎症です。むちうちを受傷すると、首の神経が圧迫されることがあります。
この圧迫によって、神経の周囲に炎症が起こります。神経の炎症は、腕のだるさ、しびれ、痛みを誘発します。
筋肉の緊張
もう1つの原因は、筋肉の緊張です。むちうちによって首や肩の筋肉が緊張して、その緊張が腕に波及することがあります。
筋肉の緊張が続くと、その部分の血流が悪くなって、腕のだるさや疲労感が生じます。
むちうちで腕がだるい時に改善する方法
鎮痛剤や処方薬の利用方法
むちうちによる腕のだるさを改善するためには、鎮痛剤や処方薬の利用が効果的です。
市販の鎮痛剤や、医師から処方される薬を適切に使用することで、痛みや炎症を抑えることができます。
特に、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、炎症を軽減して、痛みを和らげる効果があります
物理療法や鍼治療の活用
物理療法や鍼治療も、むちうちによる腕のだるさを改善する方法として有効です。
物理療法では、温熱療法、電気療法、マッサージなどが行われます。これらによって筋肉の緊張をほぐして、血流を改善します。
鍼治療は、特定のツボを刺激することで、むちうちによる痛みやだるさを軽減する効果があります
効果的なストレッチとエクササイズ
むちうちによる腕のだるさを改善するためには、効果的なストレッチとエクササイズが重要です。
首や肩の筋肉をゆっくりと伸ばすストレッチや、軽いエクササイズを行うことで、筋肉の緊張を和らげ、血流を促進します。
特に、首を左右にゆっくりと倒すストレッチや、肩を回すエクササイズが効果的です
適切な休息と姿勢の整え方
適切な休息と姿勢の整え方も、むちうちによる腕のだるさを改善するために重要です。首や肩に負担をかけないように、正しい姿勢を保つことが大切です。
寝るときには、首をしっかりと支える枕を使用し、仰向けや横向きで寝ることを心がけましょう。また、適度な休息を取り、無理をしないことも重要です。
むちうちによる腕のだるさの持続期間
一般的な回復期間
むちうちによる腕のだるさの一般的な回復期間は、症状の重さや個人差によりますが、通常は2〜3ヶ月程度です。
軽度の場合は1ヶ月ほどで回復することもありますが、重症の場合は4〜6ヶ月かかることもあります。
症状が長引く場合の対処法
症状が長引く場合は、医師の指導のもとでリハビリテーションや物理療法を行うことが推奨されます。また、痛み止めや筋肉の緊張を緩和する薬の使用も効果的です。
むちうちの症状は腕のだるさ以外にも!
むちうちの後遺症はさまざまですが、特に首の痛みがよく見られます。他にも、腕の痛みやしびれ、肩こり、頭痛などが一般的です。
また、めまいや嘔気、耳鳴り、全身のだるさ、動悸などの自律神経失調症の症状が現れることもあります。むちうちの症状について詳しく知りたい方は、以下のコラム記事をご覧ください。
<参考>
【日経メディカル】あなどれない「むち打ち」の後遺症、首にとどまらない驚きの症状とは
むちうちの4つのタイプ
頚椎捻挫型
むちうちの約8割が頚椎捻挫型です。レントゲン検査では異常は見られませんが、椎間板や靭帯が損傷している可能性があります。
主な症状は首や肩の筋肉の痛みで、肩が重く感じたり、動かしにくさを感じることがあります。
神経根症状型
神経根症状型のむちうちは、腕の強い痛みや知覚異常が特徴です。これは、腕の感覚をつかさどる神経が、椎間板に挟まれて発症します。
首を動かしたときや咳、くしゃみなどの衝撃で痛みが強く感じられることがあります。
バレリュー症候群型
バレリュー症候群型は、自律神経の異常が原因で、頭痛、めまい、耳鳴り、吐き気などの症状が現れます。
特に後頭部の痛みを伴うことが多く、視力や聴力に障害が出ることもあります。
<参考>
バレリュー症候群の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
脊髄症状型
脊髄症状型のむちうちは、手足の麻痺やしびれが特徴です。首や腕よりも四肢の症状が現れて、歩行に支障が出たり、排泄が困難になるケースも稀にあります。
むちうちの後遺障害認定基準
むちうちで後遺症が残ると、自賠責保険の後遺障害に認定される可能性があります。むちうちで認定されるのは、12級13号と14級9号です。
等級 | 認定基準 |
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの
自賠責保険における神経症状とは痛みです。しかし、腕のだるさだけで後遺障害12級13号が認定されるハードルは極めて高いと言えるでしょう。
何故なら、12級13号が認定されるためには自覚症状だけでは不十分で、客観的な身体所見が必要とされるからです。身体所見は神経学的所見の推移についてという書式に記載されます。
腕から手にかけての客観的な身体所見には、筋力低下、筋肉の萎縮(やせて細くなる)、深部腱反射の異常(医師が打腱器を使って行う検査)があります。
しかし、腕のだるさに関しては、客観的な身体所見は想定されません。このため実務的には、腕のだるさだけでは後遺障害12級13号が認定される可能性は極めて低いと言わざるを得ません。
むちうちが後遺障害12級の認定を受けるためのポイントについて知りたい方は以下を参照してください。
<参考>
むちうち後遺症が首の痛みだけで後遺障害認定される?|交通事故の医療鑑定
14級9号:局部に神経症状を残すもの
局部とは、むちうちでは頚椎(首)をさします。神経症状とは、むちうちに由来する症状をさします。首の痛みや頭痛だけでなく、上肢のしびれや痛み、めまい、嘔気なども含まれます。
12級13号と14級9号の最大の違いは、14級9号では症状の原因を客観的に証明する必要が無い点です。画像所見や神経学的所見がはっきりしていなくてもよいのです。
14級9号であっても、腕のだるさだけでは難しいですが、首の痛みがあれば後遺障害に認定される可能性があります。
<参考>
【医師が解説】むちうち後遺障害12級、14級のポイント|医療鑑定
むちうちの後遺障害認定ポイント【弁護士必見】
できるだけ早く整形外科を受診する
むちうちの後遺障害認定を受けるためには、事故後できるだけ早く整形外科を受診することが重要です。
早期の受診により、事故との因果関係を明確になるため、後遺障害の認定確率が高まります。
<参考>
頚椎捻挫の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
整形外科で治療を続ける
整形外科での継続的な治療も、後遺障害認定において重要です。整骨院メインでは、後遺障害認定確率は下がります。
定期的な診察とリハビリを受けることで、症状の一貫性と連続性を証明することができます。
また、整形外科医が作成する後遺障害診断書は、後遺障害認定の際に重要な資料となります。
<参考>
【日経メディカル】交通事故で接骨院通院が勧められない3つの理由
必要に応じてMRI検査を
むちうちの症状が続く場合、必要に応じてMRI検査を受けることが推奨されます。MRI検査は、骨以外の軟部組織や神経の損傷を確認するために有効です。
MRI検査で椎間板ヘルニアなどの画像所見があれば、後遺障害の認定において有利になる可能性があります
むちうちの後遺障害認定で弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、むちうちの後遺症が後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニングは、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニングの有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニングを承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
むちうちの後遺症でお悩みの被害者の方へ
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。
むちうちが後遺障害認定されると損害賠償金を請求できる
むちうちが後遺障害に認定されると、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を請求できます。
後遺障害慰謝料とは
むちうちの後遺障害が残ってしまった精神的苦痛に対する補償金です。後遺障害慰謝料は、下の表のように後遺障害等級によって異なります。
後遺障害等級 | 後遺障害慰謝料 |
1級 | 2800万円 |
2級 | 2370万円 |
3級 | 1990万円 |
4級 | 1670万円 |
5級 | 1400万円 |
6級 | 1180万円 |
7級 | 1000万円 |
8級 | 830万円 |
9級 | 690万円 |
10級 | 550万円 |
11級 | 420万円 |
12級 | 290万円 |
13級 | 180万円 |
14級 | 110万円 |
後遺障害慰謝料の相場は?
むちうちによる後遺障害慰謝料の相場は、後遺障害等級によって異なります。例えば、12級13号の場合、慰謝料の相場は約290万円、14級9号の場合は約110万円です。
等級が高いほど慰謝料の金額も高くなります。また、弁護士基準を用いることで、より高額な慰謝料を受け取ることができる場合もあります。
後遺障害逸失利益とは
むちうちで首の痛みなどの後遺症が残ると、労働能力が低下してしまいます。労働能力が低下したために失うであろう収入の不足分に対する補償金です。
後遺障害逸失利益は、交通事故被害者の年収、年齢をベースにして、後遺障害等級に応じた労働能力喪失率と労働能力喪失期間で決まります。後遺障害逸失利益は、以下の計算式で算出されます。
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数
後遺障害慰謝料の相場は?
むちうちによる後遺障害逸失利益の相場は、後遺障害等級や被害者の年収によって異なります。一般的には、年収または平均賃金の5%から14%を数年から最大10年分として計算されます。
例えば、12級13号の場合、労働能力喪失率は14%、14級9号の場合は5%とされています。
むちうちの腕のだるさのまとめ
むちうちによる腕のだるさは、首の神経の炎症や筋肉の緊張が原因です。これにより、腕のだるさやしびれ、痛みが発生します。
鎮痛剤や処方薬を適切に使用し、物理療法や鍼治療、ストレッチとエクササイズ、適切な休息と正しい姿勢を保つことが重要です。
回復期間は一般的に2〜3ヶ月で、症状が長引く場合は医師の指導のもと、リハビリや薬の使用が推奨されます。
むちうちの後遺症には首の痛みやめまい、腕のしびれなどがあります。後遺障害認定には、早期の整形外科受診と継続的な治療が必要です。
むちうちの後遺症が後遺障害に認定されなくてお困りの事案があれば、こちらから気軽にご相談ください。
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