交通事故コラム詳細

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2024.4.8

自賠責実務

【医師が解説】自賠責診断書の書き方と記入例|交通事故

自賠責診断書(自賠責様式診断書)は、交通事故において後遺障害診断書と並んで重視されている医証です。自賠責診断書に記載される内容によって、後遺障害が認定されると言っても過言ではありません。

 

しかし、自賠責診断書は、医師からぞんざいに扱われがちです。このため、後遺障害認定の観点では、不適切な記載内容の自賠責診断書も散見されます。

 

本記事は、おそらく日本で最も多くの自賠責診断書を精査してきた整形外科医が、後遺障害認定で有利になる自賠責診断書の書き方や記入例が分かるように作成しています。

 

 

最終更新日:2024/5/9

 

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自賠責診断書とは

自賠責診断書は毎月作成する

自賠責診断書は、その月に医療機関が行った治療内容や検査結果を、簡潔に記載した診断書です。

 

症状固定後に作成される後遺障害診断書と異なり、自賠責診断書は毎月作成されます。自賠責診断書が毎月作成されるのは、治療経過の把握が目的だからです。

 

 

自賠責診断書は主治医が記載する

自賠責診断書は医師しか作成できません。整骨院(接骨院)の柔道整復師は医師ではないので、自賠責診断書を記載できません。

 

医師であれば誰でも作成できますが、一般的には主治医が自賠責診断書を記載するケースがほとんどです。

 

 

<参考>
【医師が解説】交通事故で診断書が極めて重要な理由|提出先や期限も

 

 

自賠責診断書の費用の費用

医療機関によって異なりますが、自賠責診断書の費用は3000円~5000円程度のケースが多いです。

 

 

自賠責診断書の費用の作成期間

自賠責診断書の作成期間は、一般的には1~2週間程度です。しかし、各医療機関の診断書を処理するシステムに左右されるため、1ヶ月以上かかるケースもあります。

 

 

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自賠責診断書が後遺障害認定で極めて重要な理由

自賠責診断書は後遺障害認定審査で最も重要な医証のひとつ

自賠責保険の後遺障害は書類審査です。具体的には以下の資料をみて総合的に判断されます。

 

  • 後遺障害診断書
  • 画像検査
  • 自賠責診断書
  • 診療報酬明細書(レセプト)
  • 交通事故証明書
  • 車両の修理費用明細等

 

 

これらの中でも、自賠責診断書は後遺障害診断書や画像検査と並んで最も重視される資料です。自賠責診断書の記入内容によって、後遺障害に該当するか否かが判断されます。

 

 

<参考>
【医師が解説】むちうちは診断書で後遺障害が決まる?!|交通事故

 

 

傷病名が自賠責診断書に記入された日付が重要

交通事故診療では、首や腰など複数個所の治療を同時に行うケースが多いです。しかし、初診時からすべての傷病名が記載されていないことは珍しくありません。

 

限りある医療資源を有効に活用するため、医師は症状の軽重に応じて、治療するべき部位の優先順位を付けます。

 

このため、首ほど腰が痛くない患者さんでは、初診時には腰椎捻挫の傷病名が、自賠責診断書に記載されない可能性があります。

 

受傷した月の自賠責診断書に傷病名が記載されていないと、自賠責保険は、その症状と交通事故との因果関係を認めない傾向にあります。

 

交通事故によって発症した症状であっても、受傷した月の自賠責診断書に記入されていない傷病名は「交通事故と無関係」と同義なのです。

 

 

自賠責診断書の後遺障害認定に有利な記入例

 

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傷病名

症状のある部分の傷病名が漏れなく記入されているのかを確認する必要があります。例えば、初診時に首と腰の痛みがあっても、首のレントゲン検査しか実施していなければ、腰椎捻挫などの腰の傷病名が抜けている場合もあります。

 

 

<参考>

 

 

治療開始日

最も望ましいのは、医療機関の初診日が治療開始日になっている状態です。自賠責保険は、症状や治療内容と交通事故との因果関係を治療開始日で判断しています。

 

例えば、交通事故から1ヵ月してから発症した首の痛みや腰痛は、私病と判断されて交通事故との因果関係を認めない傾向にあります。

 

 

治ゆまたは治ゆ見込み日

少しでも症状が残っている場合には、治ゆまたは治ゆ見込み日に日付を記載しないことが望ましいです。日付が記載されると、たとえ症状が残っていても、後遺障害に認定される可能性が低くなります。

 

 

症状の経過・治療の内容および今後の見通し

診療経過、身体所見を簡潔に記載することが望まれます。

 

 

初診時の意識障害

頭部外傷などの脳神経外科領域では、意識障害の続いた期間を記載します。

 

 

<参考>

 

 

既往症および既存障害

内科的疾患は、四肢や頭部外傷にあまり大きな影響を与えません。一方、陳旧性脊椎圧迫骨折などの既往症があると、加重障害の対象となります。

 

 

<参考>
【日経メディカル】2回目の交通事故は後遺障害に認定されない?

 

 

nikkei medical

 

 

ギプス固定期間

手足の骨折や靭帯損傷では、ギプス固定を行う場合があります。このような事案では、診療録に記載されている期間と一致した期間を記載します。

 

 

診断日

当月における最終受診日を記載します。通常、転帰は継続となります。症状が消失したものは、治癒ではなく中止を選択する方が無難です。

 

 

<参考>

 

 

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【弁護士必見】自賠責診断書のポイント

治療開始日と通院回数の確認が基本

交通事故事案を多く扱う弁護士にとって、自賠責診断書の分析は当然の業務でしょう。しかし、自賠責診断書のどこをチェックするべきなのかを、はっきり理解していない方が少なくありません。

 

自賠責診断書で確認するべき事項は、治療開始日と通院回数です。この2点に関して確認するだけで、後遺障害に認定される可能性がある程度判断できます。

 

 

<参考>
【医師が解説】後遺障害診断書の等級認定に有利な記入例|交通事故

 

 

治療内容や通院頻度の把握が重要

自賠責診断書では、治療開始日や通院回数を確認できますが、治療内容までは分からないケースが多いです。

 

後遺障害に認定される確率を知るためには、医療機関で実際に行われた治療内容を確認する必要があります。

 

これには自賠責診断書だけでは不足で、毎月のレセプトに記載されている治療内容や処方薬も確認する必要があります。

 

例えば、頚椎捻挫(むちうち)や腰椎捻挫に対して、湿布しか処方されていなければ、比較的症状は軽いと判断されます。

 

一方、ロキソニンやリリカなどのプレガバリン製剤まで処方されていれば、症状は重そうだと判断できます。

 

自賠責診断書の記載内容でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。初回法律事務所は無料にて対応いたします。

 

 

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まとめ

 

自賠責診断書(自賠責様式診断書)は後遺障害認定に必須の書類で、主治医によって毎月作成されます。自賠責診断書は後遺障害認定に必須の書類です。

 

自賠責診断書では治療開始日が重要です。受傷した月の自賠責診断書に傷病名が記載されていないと、自賠責保険は、その症状と交通事故との因果関係を認めない傾向にあります。

 

 

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