交通事故コラム詳細

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2023.9.28

自賠責実務

後遺障害診断書を書いてくれない理由と対応法|交通事故の医療鑑定

交通事故の後遺障害認定では、医師によって作成された後遺障害診断書がとても重要です。後遺障害診断書の記載内容によって、後遺障害の等級認定が決まると言っても過言ではありません。

 

これほど大事な後遺障害診断書ですが、医師に後遺障害診断書の作成を依頼しても書いてくれないケースがあります。

 

本記事は、医師が後遺障害診断書を書いてくれない理由と、そのような場合の対処法を理解するヒントとなるように作成しています。

 

 

最終更新日: 2024/9/29

 

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医師が後遺障害診断書を書いてくれない6つの理由

 
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医師法の規定によって、医師には患者さんに対して診断書を発行する義務があります。

 

しかし実際には、後遺障害診断書を含むさまざまな診断書において、主治医が診断書の作成を拒否するケースが多く見受けられます。

 

医師が交通事故の後遺障害診断書を書いてくれない理由として、私の経験も含めると以下のものが挙げられます。

 

  • なか飛ばし(初診時と症状固定時のみ医療機関を受診)
  • 経過後初診(症状固定時が初めての受診)
  • 医師が整形外科医や脳神経外科医ではない
  • まだ治療が必要な状態
  • 交通事故との因果関係が疑わしい場合
  • 交通事故であることを初診時に申告していない

 

 

なか飛ばし(初診時と症状固定時のみ医療機関を受診)

少し前まで多かったのですが、初診時と症状固定時だけ医療機関を受診して、その間は接骨院に通うパターンです。

 

なか飛ばしの場合も、受傷から症状固定までの経過が全く分かりません。このため、医師の立場では正確な後遺障害診断書を作成できないです。

 

一方、なか飛ばしの事案は保険会社から任意一括対応を早期に打ち切りされます。このため最近は、なか飛ばしの患者さんは減少しました。

 

 

<参考>
【ケアネット】交通事故診療で困ることとその対応

 

 

carenet

 

 

 

経過後初診(症状固定時が初めての受診)

私たち医師が最も苦慮するのはこのパターンです。遠方の救急病院を受診した後、そのまま接骨院に行ってしまい、症状固定時になって近くの医療機関を初診するケースです。

 

経過後初診の事案では、交通事故の受傷日を確かめることさえ難しいケースがあります。経過が全く分からないので、責任を持って後遺障害診断書を記載できません。

 

なか飛ばしや経過後初診に共通した、医師が後遺障害診断書を書いてくれない理由は以下のとおりです。

 

  • 患者さんの経過を把握できていないため、責任をもって後遺障害診断書を書けない
  • 患者さんの申告のみで後遺障害診断書を書くと、虚偽記載になる可能性を否定できない

 

 

医師の立場では、これまでの経過を全く知らない患者さんの後遺障害診断書を書くと、思わぬトラブルに巻き込まれる恐怖感があります。この点が、医師が後遺障害診断書を書いてくれない主な理由です。

 

 

医師が整形外科医や脳神経外科医ではない

開業医(クリニック)は、外科、内科、整形外科など、さまざまな診療科目を標榜していることがよくあります。しかし、実際には、それぞれの医師は専門的な分野を持っています。

 

例えば、ある開業医が「外科・整形外科・内科」と標榜している場合、高い確率で整形外科医ではありません。何故なら、自分の専門科を最初に記載するのが通常だからです。このような開業医は整形外科医ではなく、外科医だと思うべきでしょう。

 

整形外科や脳神経外科ではなく、外科や内科のバックグラウンドしか持たない医師は、専門的な後遺障害診断書の作成が難しいケースがあります。

 

医師自身も自分の限界を理解しており、専門外の複雑な事案に関しては後遺障害診断書の作成を断ります。外科や内科の医師に後遺障害診断書の作成を依頼しても、書いてもらえない可能性があると考えておいたほうが良いでしょう。

 

 

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まだ治療が必要な状態

医師は、自分の患者さんが治るまで診ようという気持ちが強いです。このため、後遺症として症状が残っている場合は、少しでも治そうとして治療を続けるケースが珍しくありません。

 

私が取り扱った事案で特に印象に残っているのは、下腿切断後の患者さんで創が3年しても治らなかった事案です。

 

下腿断端の状態が悪いので創が治癒しなかったのですが、主治医は未だ治る可能性があると考えて症状固定時期ではないと判断しました。

 

このように、医師が未だ治っていないと考えている場合には、後遺障害診断書を書いてくれないケースを散見します。

 

 

交通事故との因果関係が疑わしい場合

医師が後遺障害診断書を書いてくれないパターンとして、外傷の原因が交通事故ではない事案があります。例えば、外傷歴の無い高齢者の圧迫骨折です。

 

高齢者は骨粗鬆症があるため、大きな外傷が無くても圧迫骨折を受傷することが珍しくありません。しかし、一般の方は、何もしていないのに骨折するわけないと思いがちです。

 

何もしていないのに発生した圧迫骨折は「いつの間にか骨折」と言われています。いつの間にか骨折が、交通事故の前後で発生していると、患者さんは交通事故が原因であると思いがちです。

 

医師が、圧迫骨折と交通事故との因果関係が疑わしいと感じた場合には、後遺障害診断書を書いてくれない可能性があります。

 

 

<参考>
【日経メディカル】「いつの間にか骨折」悪化と判断され慰謝料が減額?!
【医師が解説】圧迫骨折が後遺症認定されるポイント|交通事故

 

 

 

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交通事故であることを初診時に申告していない

初診時に交通事故で受傷したと申告していない患者さんが一定数存在します。交通事故で受傷したと申告しないとは、にわかに信じ難いかもしれませんね。これらの事案の多くは、交通事故から1ヵ月ほどして痛みが出てきたケースです。

 

当の本人も、当初は交通事故が原因と思っていなかったのですが、治療終了の段階になって「交通事故が原因だ」と思い至るパターンです。

 

医学的な常識では、むちうちなどの症状が交通事故から1ヵ月して発症することはありません。このため、医師は後遺障害診断書を書いてくれない可能性が高いです。

 

 

<参考>
【医師が解説】むちうち症状が出るまでの期間|交通事故の後遺症

 

 

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医師が後遺障害診断書の修正や追記に応じない理由

 
弊社では等級認定サポートを実施しています。交通事故被害者の適正な補償を目的として、自賠責認定基準に沿った後遺障害診断書が作成される支援しています。

 

ほとんどの整形外科医や脳神経外科医は、自賠責保険の後遺障害認定基準を知りません。このため、後遺障害診断書の記載内容が不適切であるケースは珍しくありません。

 

等級認定サポートでは、依頼元の弁護士に自賠責保険の後遺障害認定基準に合致する後遺障害診断書の記載例を提示します。

 

しかし、等級認定サポートで後遺障害診断書の記載例を提示しても、記載内容の修正依頼を主治医に断られるケースも多いです。

 

ここでは後遺障害診断書の修正や追記に応じてもらえない代表的なパターンを紹介いたします。

 

 

何度も修正や追記の依頼をする

主治医は、基本的に自分の患者さんに対して好意的です。しかし、複数回にわたって修正や追記を依頼すると、回数を重ねるごとに応じてもらえなくなる確率が上昇します。

 

後遺障害診断書の修正や追記依頼は、1回で終了するように、医師に対する丁寧な説明が必要でしょう。

 

 

診療録に記載されていない内容の修正や追記を依頼する

後遺障害診断書の修正や追記依頼を受けると、医師は診療録を確認して修正できるかを判断します。

 

後遺障害診断書の修正や追記に応じてもらえないケースでよくあるのは、実際は痛みで困っているのに、主治医の前では調子いいとしか言わない患者さんです。

 

過度に痛みを訴え過ぎるのは問題ですが、主治医の前で「いい感じ」を演じる患者さんも、後遺障害認定では問題が生じる可能性があります。

 

症状を誇張してはいけませんが、痛みを感じているのであれば、率直に主治医に伝えることが大切です。

 

 

自分のやり方を変えない医師

比較的高齢の開業医の中には、独自の診療スタイルを続けており、標準的な治療から外れたアプローチや思考パターンに固執する人を散見します。

 

このような自分の信念や考え方を変えることを極端に嫌がる医師が主治医になると、後遺障害診断書の作成時に問題が発生する可能性があります。

 

 

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【弁護士必見】後遺障害診断書を書いてくれない場合の対応

あらかじめ適切な主治医を選んでおく

主治医の治療方針や後遺障害診断書は、後遺障害が認定される確率を大きく左右します。

 

あくまでも私見ですが、以下のコラムに該当する医師であれば、交通事故被害者に寄り添った治療をしてくれる可能性が高いと考えます。

 

 

<参考>
【医師が解説】頚椎捻挫が後遺症認定されるポイント|交通事故

 

 

後遺障害診断書を書いてくれない場合の対応法

医師法には規定があるものの、医師に後遺障害診断書を書いてもらえないと、後遺障害認定が難しくなります。

 

このようなケースでは、次善の策として手術を受けた医療機関、近隣の他の医療機関、または交通事故時に搬送された医療機関などに相談してみることを検討しましょう。

 

 

後遺障害診断書の修正や追記を断られた場合の対応法

主治医に依頼した後遺障害診断書の修正や追記が、後遺障害の審査に及ぼす影響の大きさで、その後の対応が異なります。

 

もともとの後遺障害診断書の記載内容が致命的でなければ、医師から修正や追記を断られた場合は、そのまま提出せざるを得ません。

 

一方、その記載があるために、ほぼ確実に非該当になるようであれば、手術を受けた医療機関、近隣の他の医療機関、交通事故の受傷時に搬送された医療機関などに、新たな後遺障害診断書の作成を依頼せざるを得ないでしょう。

 

 

 

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後遺障害認定で弊社ができること

弁護士の方へ

弊社では、交通事故の後遺障害認定で困っている法律事務所様に、さまざまなサービスを提供しております。

 

 

等級スクリーニング

 

現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。

 

等級スクリーニングは、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。

 

等級スクリーニングの有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニングを承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。

 

 

<参考>
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

 

 

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医師意見書

 
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。

 

医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。

 

医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。

 

弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。

 

 

<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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画像鑑定報告書

 

交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。

 

画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。

 

画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。

 

弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。

 

 

<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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後遺障害診断書でお悩みの被害者の方へ

弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。

 

また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。

 

もし、後遺障害で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。

 

尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。

 

 

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後遺障害診断書を書いてくれないケースのまとめ

 

医師が交通事故の後遺障害診断書を書いてくれない理由として以下が挙げられます。

 

  • なか飛ばし(初診時と症状固定時のみ医療機関を受診)
  • 経過後初診(症状固定時が初めての受診)
  • 医師が整形外科医や脳神経外科医ではない
  • まだ治療が必要な状態
  • 交通事故との因果関係が疑わしい場合
  • 交通事故であることを初診時に申告していない

 

 

医師が後遺障害診断書を書いてくれないことには理由があります。そして、その理由は事前に回避できることが多いです。

 

医師が後遺障害診断書を書いてくれなくてお困りの事案があればこちらからお問い合わせください。

 

 

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