交通事故コラム詳細

fv fv

採血時に神経損傷しやすい部位は2ヵ所|医療訴訟の医師意見書

採血は、日常診療で頻繁に行われますが、ときどき神経損傷して患者さんに障害が残ることがあります。

 

神経損傷による症状は、数日する治る痛みやしびれが多いですが、中には症状が何年も続くケースもあります。

 

本記事は、採血時に神経損傷しやすい部位と、神経損傷が発生した場合の対処法を理解するヒントとなるように作成しています。

 

 

最終更新日: 2025/6/10

 

book

 

 

採血時の神経損傷とは

神経損傷の定義

採血時に刺した針先で、血管の近くを走行している神経を損傷してしまうことを言います。問題になるのは、しばらくしても損傷した神経の支配領域に痛みやしびれが続く場合です。

 

 

発生頻度

正確な発生頻度は不明ですが、約0.01~0.05%程度と推定されています。

 

 

神経損傷の症状

神経を損傷すると、穿刺に伴う電撃痛の後にも神経支配領域の強い痛みやしびれが残ります。

 

 

nerve injury

 

ネッター解剖学アトラスより転載

 

 

橈骨神経浅枝損傷の症状

 

橈骨神経浅枝損傷であれば、穿刺に伴う電撃痛の後に母指と示指の間にある水かき部を中心にして、痛みやしびれが持続します。

 

 

内側前腕皮神経損傷の症状

 

内側前腕皮神経損傷であれば、穿刺に伴う電撃痛の後に前腕尺側(小指側)の痛みやしびれが持続します。

 

 

正中神経損傷の症状

 

正中神経損傷であれば、穿刺に伴う電撃痛の後に母指から環指の親指側の痛みやしびれが持続します。

 

 

採血時に神経損傷しやすい部位

手関節親指側の橈骨皮静脈

radial styloid process

ネッター解剖学アトラスより転載

 

 

手関節の親指側にある茎状突起を走行する橈骨皮静脈は、橈骨神経浅枝が近くを走行しているため神経損傷を併発する可能性が高いです。この部位での穿刺は極力避ける必要があります。

 

 

肘関節内側の尺側皮静脈

medial forearm cutaneous nerve

ネッター解剖学アトラスより転載

 

 

肘関節内側の尺側皮静脈は、内側前腕皮神経が近くを走行しているため、神経損傷を併発する可能性が高いです。また、より深層には正中神経本幹が走行しています。この部位での穿刺は極力避ける必要があります。

 

 

採血時の神経損傷に対する治療方法

採血時の神経損傷に対する薬物療法

ビタミンB12製剤を処方して、神経修復を促進します。通常は経時的に神経損傷の症状は軽快します。

 

 

採血時の神経損傷に対する神経ブロック

神経損傷の症状が強くて難治性の場合には、星状神経節ブロックや持続硬膜外ブロックを施行するケースもあります。

 

 

 

 

採血時の神経損傷で考えられる後遺障害

 

採血時の神経損傷では、CRPS II型(カウザルギー)を併発する可能性があります。もし、CRPS II型(カウザルギー)は難治性であり、現在の医療をもってしても完治が難しい傷病です。

 

不幸にも重度のCRPSを併発した場合、後遺症の等級認定は、症状、労働能力喪失の程度、他覚所見の有無などを総合的に勘案して決定されます。後遺障害等級としては、7級~14級が認められる可能性があります。

 

<参考>
【医師が解説】CRPSの後遺症が等級認定されるポイント|交通事故
【医師が解説】CRPS、RSD、カウザルギーの違いと後遺障害

 

 

 

7級4号

神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの。具体的には、身体性機能障害や機能障害の以下のものに準ずる程度の障害と思われます。

 

身体性機能障害:中等度の単麻痺がみとめられるもの

 

  • 上肢においては、障害を残した一上肢では仕事に必要な軽量な物(概ね500g)を持ち上げることができないもの
  • 障害を残した一上肢では文字を書くことができないもの

 

 

機能障害

 

  • 1手のおや指を含み3の手指の用を廃したもの
  • おや指以外の4の手指の用を廃したもの

 

 

9級10号

神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの。具体的には、身体性機能障害や機能障害に準ずる程度の障害と思われます。

 

身体性機能障害:軽度の単麻痺がみとめられるもの

 

  • 上肢においては、障害を残した一上肢では文字を書くことに困難を伴うもの

 

 

機能障害

 

  • 1手のおや指を含み2の手指の用を廃したもの
  • おや指以外の3の手指の用を廃したもの
  • 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

 

 

12級13号

7級や9級は満たさないものの、後遺障害認定基準に合致するものが該当します。

 

 

14級9号

CRPSによる14級9号は存在しませんが、後遺障害認定基準に該当しなかった事案が、救済等級として14級9号に認定される可能性はゼロではありません。

 

 

 

nikkei medical

 

 

医療訴訟のポイント【弁護士必見】

医療ミスなのかについての医療調査

医療訴訟の多くは、単に治療結果が悪いだけで医療ミスではありません。単に治療結果が悪いだけでは、医療訴訟で勝てる確率は著しく低いです。

 

勝訴できる可能性の無い不毛な医療訴訟を防ぐためには、第三者による、医療ミスか否かについての医療調査実施が望ましいです。

 

弊社では、ほぼすべての科の事案で医療ミスか否かの医療調査(意見書作成可否調査)が可能です。詳細は、以下のコラム記事をご確認ください。

 

 

<参考>
医療事故における医療調査の基本内容とは?費用も解説|医師意見書

 

 

医療調査できる診療科一覧

弊社では、以下のようにほぼ全科の医療調査を実施できます。

 

  • 整形外科
  • 脳神経外科
  • 耳鼻咽喉科
  • 眼科
  • 消化器外科
  • 呼吸器外科
  • 心臓血管外科
  • 産婦人科
  • 泌尿器科
  • 脳神経内科
  • 循環器内科
  • 消化器内科
  • 呼吸器内科
  • 腎臓内科
  • 血液内科
  • 小児科
  • 放射線科
  • 精神科
  • 皮膚科
  • 形成外科
  • ⻭科
  • 麻酔科
  • 救急科
  • 感染症科
  • ペイン科
  • 病理

 

 

医療訴訟で使用する医師意見書

意見書作成可否調査で医療ミスであることが判明した場合、各科の専門医による顕名の医師意見書を作成することが可能です。

 

医療ミスの可能性がある事案でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

尚、個人の方は、必ず弁護士を通じてご相談ください。個人の方からの直接のお問い合わせは、固くお断りしております。

 

 

<参考>
医療訴訟の医師意見書|160名の各科専門医による圧倒的実績

 

 

inquiry

 

 

医師意見書の作成にかかる費用

医療調査(意見書作成可否調査)

医療訴訟用の医師意見書を作成できるのかを判断するために、医療調査(意見書作成可否調査)を必須とさせていただいています。

 

意見書作成可否調査では、各科の専門医が、診療録や画像検査などの膨大な資料を精査いたします。

 

概要

価格

基本料

140,000円

動画の長い事案

170,000円

追加質問

45,000円 / 回

 

※ すべて税抜き価格
※ 意見書作成には医療調査(意見書作成可否調査)が必須です
※ 意見書作成には別途で意見書作成費用がかかります
※ 意見書作成に至らなくても医療調査の返金は致しません

 

 

医師意見書

医療調査(意見書作成可否調査)の結果、医療ミスが判明して、医師意見書を作成する際には、別途で医師意見書作成費用がかかります。

 

概要

価格

一般の科

400,000円~

精神科

450,000円~

心臓血管外科

500,000円~

施設(老健、グループホームなど)

350,000円~

 

 

弊社が医療訴訟で医師意見書を作成した実例

 

弊社には全国の法律事務所から医療訴訟の相談が寄せられます。これまで下記のような科の医師意見書を作成してきました。
 

  • 脳神経外科
  • 脳神経内科(神経内科)
  • 整形外科
  • 一般内科
  • 消化器外科
  • 消化器内科
  • 呼吸器外科
  • 心臓血管外科(成人)
  • 心臓血管外科(小児)
  • 循環器内科
  • 産科
  • 婦人科
  • 泌尿器科
  • 精神科
  • 歯科

 

 

一方、眼科や美容整形外科に関しては相談件数が多いものの、実際に医療過誤である事案はほとんど無いです。このため弊社においても、医師意見書の作成実績がありません。

 

 

fv_advisor_sp

 

 

まとめ

 

採血時の神経損傷の症状は、穿刺に伴う電撃痛の後にも残る神経支配領域の強い痛みやしびれです。

 

採血時に神経損傷しやすい部位は、手関節親指側の橈骨皮静脈と肘関節内側の尺側皮静脈の2ヵ所です。

 

採血時の神経損傷では、CRPS II型(カウザルギー)を併発する可能性があります。採血時の神経損傷でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

尚、個人の方は、必ず弁護士を通じてご相談ください。個人の方からの直接のお問い合わせは、固くお断りしております。

 

 

inquiry

 

 

関連ページ

 

 

 

 

 

book

 

 

資料・サンプルを無料ダウンロード

 

以下のフォームに入力完了後、資料ダウンロード用ページに移動します。

    関連記事

    ランキング