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【医師が解説】事故の記憶がないのはなぜ?交通事故の記憶障害

交通事故の記憶がないことは珍しくありません。事故の記憶だけがない原因には、脳震盪などの頭部外傷による逆行性健忘症と、精神的ストレスによる解離性健忘の2つが考えられます。

 

一方、事故の記憶がないだけではなく、新しい出来事を覚えられないなどの記憶障害が続く場合には、広範な脳組織損傷による高次脳機能障害の可能性があります。

 

本記事は、交通事故の記憶がなくなる理由と、永続的な記憶障害が残ったときに、自賠責保険の後遺障害に認定されるヒントとなるように作成しています。

 

 

最終更新日: 2024/5/13

 

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交通事故の記憶がない理由

頭部外傷による逆行性健忘症

脳震盪などの頭部外傷では、新しい出来事に対する記憶力が正常にもかかわらず、事故前後の記憶が無いことがあります。

 

頭部外傷から少し前の記憶が無い状態を逆行性健忘症と言います。逆行性健忘症が起こる理由は、頭部外傷のため、記憶を司る海馬という部分の機能が一時的に停止したためと考えられています。

 

 

精神的ストレスによる解離性健忘

交通事故のようなショッキングな出来事に遭うと、その事実を受け入れられなくなったり、感覚や感情が麻痺することがあります。

 

このような状態になるのは、耐え難い出来事に対する精神の防衛反応と考えられています。この中でも、精神的ストレスによって交通事故の記憶が失われることを解離性健忘と言います。

 

 

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交通事故による記憶障害|新しいことを覚えられない

記憶障害と高次脳機能障害

交通事故前後の記憶だけではなく、新しいことを覚えられない場合には、広範な脳組織損傷による記憶障害である可能性があります。

 

高次脳機能障害は、交通事故後に続く記憶障害の原因として、最も考えられる傷病です。しかし、退院後すぐの時点では、周囲の人に記憶障害の存在が分かりにくいケースもあるので注意が必要です。

 

 

高次脳機能障害の原因

高次脳機能障害は以下の原因によって発症しますが、厚生労働省による報告では高次脳機能障害の原因の4分の3は頭部外傷によるものです。

 

  • 頭部外傷
  • 脳卒中
  • 脳腫瘍
  • 脳感染症
  • 神経変性疾患
  • 脳代謝性疾患

 

 

頭部外傷による高次脳機能障害には、脳の特定の部位に損傷が生じ、その部位が担っていた機能が脱落して症状として出る巣症状と、広範囲の脳損傷であるびまん性脳損傷によって生じる症状があります。

 

交通事故で発症する高次脳機能障害では、脳の特定の部位に損傷が生じるのではなく、広範囲脳損傷(びまん性軸索損傷など)が問題となるケースが多いです。

 

 

<参考>
【医師が解説】びまん性軸索損傷が後遺症認定されるヒント|交通事故

 

 

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高次脳機能障害の症状

 

高次脳機能障害は、 外傷や脳卒中などの疾患のために脳組織が損傷して発症します。主に以下の4つ症状が顕在化します。

 

 

記憶障害

記憶障害には以下の3つがあります。高次脳機能障害で問題になるのは、新しい出来事を覚えることができない前向性健忘です。

 

 

前向性健忘

 

交通事故より前の出来事は覚えていますが、交通事故以降の出来事を覚えられなくなります。具体的には、昔のことは思い出せるものの、新しい出来事は記憶できない状態です。

 

 

逆行性健忘

 

交通事故以前の記憶を失ってしまいます。失った記憶の期間は、交通事故から数日以内のケースが多いですが、中には交通事故から数十年前までさかのぼる長い期間の記憶がなくなるケースもあります。

 

 

全健忘

 

新しい出来事を記憶できなくなるだけではなく、古い記憶や体感的に学習した記憶も、すべて無くなった状態です。記憶障害の中で最も重度の障害です。

 

 

注意障害

同時に2つのことを実行できない、集中力が続かないといった状態です。主な症状として以下のようなものがあります。

 

  • 同じことを長く続けられない
  • 他人の会話を自分事として聞いてしまう
  • 物を探すときに同じ場所ばかり探す
  • 周囲が気になって作業の手を止める

 

 

遂行機能障害

自分で考えてスムーズに行動できない状態です。主な症状として以下のようなものがあります。

 

  • 変化に対応できない
  • スムーズに作業できない

 

 

社会的行動障害

情緒不安定になりやすい、周囲とのトラブルをおこしやすい状態です。主な症状として以下のようなものがあります。

 

  • 喜怒哀楽などの感情コントロールができなくなる
  • 子供っぽくなる
  • 欲求をコントロールできない
  • 人間関係が下手になる
  • 同じことを何度もする
  • 行動を起こす意欲がなくなり物事をやめる
  • 窃盗や暴力など反社会的行動

 

 

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【弁護士必見】高次脳機能障害認定のポイント

 

交通事故で発症した高次脳機能障害等級が、後遺障害に認定されるのは決して容易ではないのが実情です。

 

その理由は、びまん性軸索損傷では明確な外傷性異常所見がないケースも多く、医学的な後遺症の評価も難しいためです。

 

このため、本来の後遺障害等級よりも、低い等級でしか認定されないケースも少なくありません。

 

高次脳機能障害が後遺障害に認定されるポイントは多岐に渡ります。詳細は以下を参照してください。

 

 

<参考>
【医師が解説】高次脳機能障害の後遺症が認定されるコツ|交通事故

 

 

交通事故による記憶障害でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

 

 

nikkei medical

 

 

まとめ

 

交通事故の記憶だけがない原因には、脳震盪などの頭部外傷による逆行性健忘症と、精神的ストレスによる解離性健忘の2つが考えられます。

 

一方、交通事故前後の記憶だけではなく、新しいことを覚えられない場合には、広範な脳組織損傷による高次脳機能障害である可能性があります。

 

 

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