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歯折損の異議申し立てを成功させるポイント|交通事故の後遺障害認定

交通事故で歯が折れてしまったら、その影響は見た目だけでなく、噛む力や発音にも大きく関わります。

 

本来なら後遺障害等級として認定されて、適切な補償を受けられるべきですが、実際には「非該当」とされてしまうケースも少なくありません。

 

後遺障害認定を受けられないままでは、将来にわたり治療費や生活面で大きな負担を抱えてしまうことになります。そんなときに有効なのが「異議申し立て」です。

 

しかし、異議申し立てを成功させるには、歯折損に特有の認定基準や、よくある非該当理由を理解して、必要な証拠を揃える必要があります。

 

本記事では、歯折損で異議申し立てを検討している方に向けて、その手順や成功のポイントを分かりやすく解説していきます。

 

 

最終更新日: 2025/8/24

 

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Table of Contents

歯折損で非該当になる理由

歯折損で非該当と判断されやすいケース

後遺障害認定の基準に該当しないケースとして、折れた歯が根元まで失われていない、歯冠の欠損が4分の3未満、また乳歯や事故以前に喪失・欠損していた、などが挙げられます。

 

該当基準に満たないと、歯が3本以上欠損しても非該当になるため、事故による損傷であると診断書に明記してもらうことが重要です。

 

 

歯折損の後遺障害認定基準(歯牙障害)

等級

認定基準

10級4号

14歯以上に対し歯科補てつを加えたもの

11級4号

10歯以上に対し歯科補てつを加えたもの

12級3号

7歯以上に対し歯科補てつを加えたもの

13級5号

5歯以上に対し歯科補てつを加えたもの

14級2号

3歯以上に対し歯科補てつを加えたもの

 

交通事故による歯の折損では、歯科補綴を加えた本数によって、上記のような後遺障害が認定されます。

 

 

歯折損の後遺障害認定基準(言語機能障害)

等級

認定基準

1級2号

咀嚼及び言語の機能を廃したもの

3級2号

咀嚼又は言語の機能を廃したもの

4級2号

咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの

6級2号

咀嚼又は言語の機能を著しい障害を残すもの

9級6号

咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの

10級3号

咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの

12級相当

開口障害等を原因として咀嚼に相当時間を要するもの

 

歯牙障害で障害されうる語音は子音の中でも“歯舌音”と呼ばれるものが考えられます。

 

具体的には“さ行“や“だ行“など、発音時に舌を上顎前歯に接触させるものや上下顎前歯の隙間から発音するものは、歯牙障害により発音が困難になることが多く、日常生活に大きく影響します。

 

その結果、単純な歯牙の補綴治療だけでなく、舌に接触する部分の形態や噛み合わせる対顎の歯牙との隙間の大小など細かい部分の回復が必要になります。

 

尚、言語機能障害の評価対象になる4種の語音は以下のごとくです。

  • 口唇音:ま行、ぱ行、ば行、わ行、ふ
  • 歯舌音:な行、た行、だ行、ら行、さ行、ざ行、しゅ、じゅ、し
  • 口蓋音:か行、が行、や行、ひ、にゅ、ぎゅ、ん
  • 咽頭音:は行

 

 

1級2号:咀嚼及び言語の機能を廃したもの

 

咀嚼の機能を廃したものとは、固形物を食べられず流動食以外は摂取できない状態です。一方、言語の機能を廃したものとは、語音4種のうち3種以上の発音ができない状態です。

 

 

3級2号:咀嚼又は言語の機能を廃したもの

 

固形物を食べられず流動食以外は摂取できない状態、もしくは語音4種のうち3種以上の発音ができない状態です。

 

 

4級2号:咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの

 

咀嚼の機能に著しい障害を残すものとは、お粥と同じくらいの物しか食られない状態です。一方、言語の機能に著しい障害を残すものとは、語音4種のうち2種以上の発音ができない状態、もしくは綴音(てつおん)機能の障害のために、言葉で意思疎通できない状態です。

 

 

6級2号:咀嚼又は言語の機能を著しい障害を残すもの

 

以下のいずれかの状態です。

  • お粥と同じくらいの物しか食られない
  • 語音4種のうち2種以上の発音ができない
  • 綴音(てつおん)機能の障害のために、言葉で意思疎通できない

 

 

9級6号:咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの

 

咀嚼の機能に障害を残すものとは、咀嚼できない固形物がある状態、もしくは十分に咀嚼できない物があって医学的に確認できるものを指します。

 

一方、言語の機能に障害を残すものとは、語音4種のうち1種以上の発音ができない状態です。

 

 

10級3号:咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの

 

以下のいずれかの状態です。

  • 咀嚼できない固形物がある
  • 十分に咀嚼できない物があって医学的に確認できる
  • 語音4種のうち1種以上の発音ができない

 

 

12級相当:開口障害等を原因として咀嚼に相当時間を要するもの

 

口を開けづらいため、咀嚼に時間がかかることを医学的に証明できる状態です。

 

 

歯折損の後遺障害認定基準(咀嚼障害)

等級

認定基準

1級2号

咀嚼及び言語の機能を廃したもの

3級2号

咀嚼又は言語の機能を廃したもの

4級2号

咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの

6級2号

咀嚼又は言語の機能を著しい障害を残すもの

9級6号

咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの

10級3号

咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの

12級相当

開口障害等を原因として咀嚼に相当時間を要するもの

 

咀嚼に関連する器官の障害により咀嚼機能が低下していることを指します。関連器官としては、舌や顎顔面周囲筋、歯牙、顎骨などがあります。

 

咀嚼とは、これらの器官が協調して行う動作ですが、これらの器官に一つでも障害が生じれば食物を意図通りに噛み砕けないため、咀嚼障害が生じる可能性があります。

 

歯牙障害が起因する咀嚼障害としては、歯牙の喪失に伴う上下顎の歯牙接触の喪失や接触部位の変化などが考えられます。

 

評価方法として、患者や家族の主観的評価による“そしゃく状況報告表”やピーナッツなど具体的な試料を用いる方法があります。

 

しかし、試料を用いる試験は一般的な歯科医院では施行できないことが多く、大学病院口腔外科などで施行することが多いと思われます。

 

 

1級2号:咀嚼及び言語の機能を廃したもの

 

咀嚼の機能を廃したものとは、固形物を食べられず流動食以外は摂取できない状態です。一方、言語の機能を廃したものとは、語音4種のうち3種以上の発音ができない状態です。

 

 

3級2号:咀嚼又は言語の機能を廃したもの

 

固形物を食べられず流動食以外は摂取できない状態、もしくは語音4種のうち3種以上の発音ができない状態です。

 

 

4級2号:咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの

 

咀嚼の機能に著しい障害を残すものとは、お粥と同じくらいの物しか食られない状態です。一方、言語の機能に著しい障害を残すものとは、語音4種のうち2種以上の発音ができない状態、もしくは綴音(てつおん)機能の障害のために、言葉で意思疎通できない状態です。

 

 

6級2号:咀嚼又は言語の機能を著しい障害を残すもの

 

以下のいずれかの状態です。

  • お粥と同じくらいの物しか食られない
  • 語音4種のうち2種以上の発音ができない
  • 綴音(てつおん)機能の障害のために、言葉で意思疎通できない

 

 

9級6号:咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの

 

咀嚼の機能に障害を残すものとは、咀嚼できない固形物がある状態、もしくは十分に咀嚼できない物があって医学的に確認できるものを指します。

 

一方、言語の機能に障害を残すものとは、語音4種のうち1種以上の発音ができない状態です。

 

 

10級3号:咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの

 

以下のいずれかの状態です。

  • 咀嚼できない固形物がある
  • 十分に咀嚼できない物があって医学的に確認できる
  • 語音4種のうち1種以上の発音ができない

 

 

12級相当:開口障害等を原因として咀嚼に相当時間を要するもの

 

口を開けづらいため、咀嚼に時間がかかることを医学的に証明できる状態です。

 

 

歯折損の後遺障害認定基準(開口障害)

これは受傷者の意図通りに開口ができない、具体的には開口量や開口路に変化が生じることを指します。

 

直接的に開閉口動作に影響を与える器官は、顎関節や顎顔面に付着する筋肉、それらを支配する神経系となり、歯牙はそれに含まれません。

 

一方で、閉口動作における最終的な顎の位置を決定するのは上下顎歯牙の接触なので、受傷によってそれらが障害され閉口時の顎の位置が不安定になれば、顎関節症が発症して二次的に開口障害が生じる可能性があります。

 

しかし、こちらは理論上関連があったとしてもその診断が困難であり、受傷前の顎関節症状の有無や程度、その他の口腔内状況を示す資料から関連性を主張する形となります。

 

 

12級相当:開口障害等を原因として咀嚼に相当時間を要するもの

 

口を開けづらいため、咀嚼に時間がかかることを医学的に証明できる状態です。

 

 

<参考>

 

 

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歯折損の異議申し立て手順ガイド

異議申し立ての流れと必要書類

異議申し立ては、損害保険料率機構や自賠責保険会社を通じて実施されます。申請には異議申立書、歯科医師の意見書、診断書やレントゲン検査、新たな医学的資料などが必要です。

 

初回申請時に提出した資料に加えて、認定結果に納得できない理由を具体的に記載して、根拠資料の添付を徹底するのが重要です。

 

 

異議申し立ての申請先

異議申し立ての申請先は、加害者側の任意保険会社や自賠責保険会社を経由して、損害保険料率機構へ提出します。

 

異議申し立ての結果に納得できなければ、紛争処理機構へ申請することができ、場合によっては裁判を起こすことも可能です.

 

 

異議申し立ての費用と時間は?

異議申し立て自体は基本的に手数料は不要ですが、新たな証拠資料や歯科医師の意見書作成などに費用が発生する場合があります。

 

弁護士に依頼すると着手金や報酬金が必要となり、費用相場は請求額の10〜20%程度です。審査期間は、数週間から数ヶ月程度かかるのが一般的です。

 

 

効果的な異議申し立てのための準備

効果的な異議申し立てのためには、認定結果の理由分析に加えて、医学的根拠のある新たな資料や詳細な経過説明、専門医の意見書提出が欠かせません。

 

事実関係や症状を客観的に示す資料が審査に大きな影響を与えるため、事前準備を入念に行うことが重要です。

 

 

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歯折損の異議申し立て成功のポイント【弁護士必見】

歯折損が非該当になる原因を分析

歯折損の異議申し立てが非該当と判断される主な原因は、損傷の程度が認定基準を満たなかったり、診断書の記載内容が不十分なケースです。

 

例えば、歯冠の欠損が4分の3未満だったり、治療済み・事故前から欠損していた歯が対象となっていたケースでは非該当となりやすいです。

 

 

<参考>
歯牙欠損の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定

 

 

歯折損の後遺障害の認定条件をクリアする

後遺障害認定を受けるためには、永久歯を歯根まで喪失した、または歯冠の4分の3以上が欠損した歯が3本以上存在することが条件です。

 

加えて、その歯へ歯科補綴(クラウン、ブリッジ等)治療が施されている必要があり、これを証明する具体的な書類や画像が求められます。

 

 

 

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異議申し立てでは新たな医証が必須

異議申し立てを成功させるには、初回申請時に提出した書類だけでなく、新規の医証(追加の画像検査、診断書、歯科医師作成の意見書画像鑑定等)が必須です。

 

弁護士意見書や本人の上申書だけでは効果が薄いです。後遺障害認定基準に不足している部分を、具体的に新証拠で補うことで、認定が覆る可能性が高まります。

 

 

<参考>

 

 

歯折損の後遺障害認定ポイント

歯折損の後遺症が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事でも紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。

 

 

<参考>
歯牙欠損の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定

 

 

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歯折損の後遺障害認定で弊社ができること

弁護士の方へ

弊社では、交通事故で受傷した歯折損の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。

 

 

等級スクリーニング®

 

現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。

 

等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。

 

等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。

 

<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

 

 

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医師意見書

 

医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。

 

医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。

 

医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。

 

弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。

 

<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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画像鑑定報告書

 

交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。

 

画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。

 

画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。

 

弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。

 

<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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歯折損の後遺障害認定でお悩みの被害者の方へ

弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。

 

また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。

 

もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。

 

 

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尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。

 

弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

 

 

 

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歯折損の異議申し立てでよくある質問

折れた歯に差し歯やインプラントを入れても後遺障害に認定されますか?

歯が喪失または4分の3以上の欠損があれば、差し歯やインプラントなど歯科補綴治療を受けた本数に応じて後遺障害認定されます。クラウンやブリッジだけでなく、インプラントも対象になります。

 

 

治療中でも異議申し立てはできますか?

治療が継続中でも症状固定(治療しても改善が見込めない状態)が確定していれば、異議申し立ては可能です。

 

症状固定前は後遺障害認定が出にくいため、主治医と相談して症状固定の判断を仰ぐと良いでしょう。

 

 

歯の神経を失った場合も後遺障害の対象になりますか?

歯の神経損傷のみで後遺障害認定されることは基本的にはありません。神経喪失だけではなく、歯自体の大きな損傷や喪失が認定基準です。

 

 

歯科医師に後遺障害診断書を書いてもらう際の注意点はありますか?

歯科の後遺障害診断書は専用書式があるため、専用用紙で依頼することが重要です。

 

また、自覚症状や日常生活への支障を具体的に伝えて、必要な画像・検査結果も記載してもらうよう歯科医師に依頼しましょう。

 

 

異議申し立ては何回でも可能ですか?

自賠責保険会社への異議申し立ては回数制限がなく、納得のいく結果が得られるまで何度でも申請可能です。ただし、自賠責紛争処理機構への申立は1回までとなります。

 

 

歯折損による咀嚼障害や発音障害は等級認定に影響しますか?

歯折損が原因で咀嚼障害や発音障害が残ったら、それぞれの障害が後遺障害等級認定に影響します。

 

歯科補綴だけでなく、顎や口腔機能の障害が重いと、上位等級が認定される可能性もあります。

 

 

 

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まとめ

 

歯折損による後遺障害等級の認定は、交通事故案件の中でも争点になりやすい分野です。

 

折損本数や欠損の程度、咀嚼・発音機能への影響などが細かく審査されるため、被害者の多くが「非該当」とされてしまいます。

 

しかし、後遺障害認定基準を正しく理解して、必要な医証を揃えた上で異議申し立てを行えば、認定に至る可能性は十分にあります。

 

歯折損の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で承ります。

 

 

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