交通事故コラム詳細

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大腿骨骨折の種類は?治療や後遺症も解説|交通事故の医療鑑定・意見書

大腿骨骨折は高齢者を中心に多く発生して、転倒や交通事故などが主な原因となります。

 

骨折の種類や年齢、既往症の有無によって治療法や回復のスピードには個人差がありますが、共通して言えるのは「入院による治療とリハビリが長期に及ぶことが多い」という点です。

 

特に初期治療から回復期までを見越した入院生活には、数週間から数ヶ月にわたる期間が必要となり、それに伴う医療費や介護の備えも重要です。

 

本記事では、大腿骨骨折の入院期間の平均日数やリハビリの流れ、入院中の生活に必要な準備、さらには退院後に残る後遺症や後遺障害等級の認定についても詳しく解説します。

 

入院に向けた不安や疑問を解消して、治療やリハビリに前向きに取り組めるよう、具体的な情報をお届けします。

 

 

最終更新日: 2025/8/9

 

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大腿骨骨折とは

大腿骨は人体で最も太く長い骨

大腿骨は、股関節から膝関節までをつなぐ人体最大の骨で、非常に太く頑丈な構造を持っています。

 

その長さは成人男性で約41cm、女性で約37〜38cmとされ、上半身の体重を支えるとともに、歩行や走行、跳躍などの動作を可能にします。

 

大腿骨には多くの筋肉が付着しており、運動機能の中心的な役割を果たしています。

 

 

骨折すると歩行困難と強い痛みが生じる

大腿骨を骨折すると、激しい痛みが生じるだけでなく、自力で立つことや歩くことがほぼ不可能になります。

 

骨折部位によっては脚の変形や腫れも現れて、他者が足を動かそうとしただけでも強い痛みを感じます。

 

特に高齢者では骨折後の回復が遅れやすく、適切な治療を受けないと寝たきりや生活機能の低下につながる可能性もあります。

 

 

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大腿骨骨折の主な種類

大腿骨頚部骨折

大腿骨頚部骨折は、太ももの付け根に近い「頚部」と呼ばれる部分の骨折です。高齢者や骨粗鬆症の方に多く、転倒が主な原因です。

 

骨癒合しにくく偽関節や骨頭壊死を起こしやすいため、人工骨頭置換術や骨接合術などの手術が選択されることが多いです。

 

 

大腿骨転子部骨折

大腿骨転子部骨折は、頚部の下にある大転子・小転子付近で発生します。こちらも高齢者に多く、骨癒合しやすいのが特徴です。

 

骨折部のずれが大きい場合は手術で金属固定を行います。偽関節や骨頭壊死のリスクは頚部骨折より低いです。

 

 

大腿骨転子下骨折

大腿骨転子下骨折は、転子部のさらに下、太ももの上部で発生します。比較的若年層にもみられますが、高齢者の転倒でも起こります。

 

激しい痛みと歩行困難を伴い、骨粗鬆症があるとリスクが高まります。治療は手術が主流です。

 

 

大腿骨骨幹部骨折

大腿骨骨幹部骨折は、太ももの中央部分に発生する骨折です。交通事故や高所からの転落など、強い外力が原因となることが多いです。

 

骨折部位が大きくずれたり、粉砕骨折になる場合もあり、手術とリハビリが必要です。

 

適切な治療で回復は比較的良好ですが、偽関節や変形癒合などの後遺症もあります。

 

 

大腿骨顆上骨折

大腿骨顆上骨折は、太ももの膝に近い部分(顆上)で発生する骨折です。交通事故やスポーツ外傷で多くみられ、歩行困難や膝の変形を伴います。

 

治療には手術が選択されることが多く、膝関節の可動域制限などの後遺症が残ることもあります。

 

 

大腿骨顆部骨折

大腿骨顆部骨折は、膝関節に近い大腿骨の末端(顆部)で発生する骨折です。膝周辺の激痛や腫れ、歩行困難を伴い、膝窩動脈損傷などの合併症を起こすこともあります。

 

治療は手術が主流ですが、重症例ではリハビリに長期間を要して、後遺症が残るケースも少なくありません。

 

 

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年齢層別にみる大腿骨骨折の傾向

高齢者に多い骨折例

高齢者、とくに70歳以上の女性に多くみられるのが大腿骨近位部(頚部や転子部)の骨折です。

 

主な原因は骨粗鬆症による骨の脆弱化と、立った高さからの軽微な転倒です。75歳未満では頚部骨折が多く、75歳以上では転子部骨折が増加します。

 

90歳を超えると発生率がさらに高くなり、骨折をきっかけに寝たきりや歩行能力の低下につながることも少なくありません。

 

 

若年者が遭遇する骨折

若年者の大腿骨骨折は、交通事故や高所からの転落など強い外力が加わることで発生します。

 

骨の強度が十分にあるため、日常生活の中での転倒では骨折しにくいのが特徴です。

 

骨折部位は骨幹部や顆部など多様で、スポーツ外傷や労働災害も原因となります。

 

治療には手術が必要なケースが多く、適切なリハビリにより回復も期待できますが、重症例では後遺症が残ることもあります。

 

 

 

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大腿骨骨折の後遺症

関節の可動域制限

股関節や膝関節が十分に動かなくなり、曲げ伸ばしが困難になることがあります。特に大腿骨頚部骨折では股関節の可動域が大きく制限されるケースが多いです。

 

 

痛みやしびれ

骨折部位やその周辺に慢性的な痛みやしびれが残ることがあり、歩行や体重をかけた際に強く感じる場合もあります。

 

 

歩行困難・筋力低下

骨折後は下肢の筋力が低下して、歩行能力が著しく落ちることがあります。リハビリを行っても元通りにならないケースも見られます。

 

 

脚の長さの左右差(短縮障害)

骨折の治癒過程で脚の長さに差が生じ、歩行時のバランスが崩れることがあります。

 

 

骨の変形癒合や偽関節

骨が曲がってくっついたり(変形癒合)、骨がうまく癒合せず偽関節となることもあり、機能障害が残る可能性があります。

 

 

大腿骨骨折で考えられる後遺障害等級

 

交通事故で受傷した大腿骨骨折で後遺症が残ると、以下のような後遺障害に認定される可能性があります。

 

 

機能障害

等級

認定基準

8級7号

下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの

10級11号

1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

12級7号

1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

 

8級7号:1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの

  • 股関節がほとんと動かない状態(関節可動域が10%以下)
  • 人工関節を挿入して、関節可動域が2分の1以下に制限された状態

 

 

10級11号:1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

  • 関節可動域が2分の1以下に制限された状態

 

 

12級7号:1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

  • 関節可動域が4分の3以下に制限された状態

 

 

 

神経障害(痛み)

等級

認定基準

12級13号

局部に頑固な神経症状を残すもの

14級9号

局部に神経症状を残すもの

 

12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの

  • 画像所見などで痛みの原因を証明できるもの

 

 

14級9号:局部に神経症状を残すもの

  • 画像所見で痛みの原因を証明できないものの、治療内容などから痛みの存在を類推できるもの

 

 

 

変形障害(骨が治癒しなかった)

12級8号:長管骨に変形を残すもの

  • 大腿骨または脛骨の骨端部に癒合不全を残すもの

 

 

 

短縮障害(下肢が短くなった)

等級

認定基準

8級5号

1下肢を5センチメートル以上短縮したもの

10級8号

1下肢を3センチメートル以上短縮したもの

13級8号

1下肢を1センチメートル以上短縮したもの

 

いずれも下肢の長さはSMDで計測します。SMD(Spina Malleollar Distance:棘果長)は、下肢の長さの計測法のひとつです。骨盤にある上前腸骨棘から足関節の内果(内くるぶし)までの距離をメジャーを用いて計測します。

 

 

<参考>
脚長差(短縮障害)の評価はSMDが妥当?|交通事故の後遺障害

 

 

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大腿骨骨折の後遺障害認定ポイント【弁護士必見】

 

大腿骨骨折は、交通事故などの強い衝撃によって生じることが多く、負傷した本人にとっては「重傷だ」と強く感じられるケースが少なくありません。

 

確かに、大腿骨骨折は重大なケガであることに間違いはありません。しかし、そのすべてが自賠責保険における後遺障害として認定されるわけではなく、必ずしも後遺症が残るとは限らないのが現実です。

 

むしろ、受傷時の衝撃の大きさに反して、後遺症がまったく残らないことも多く見られます。こうした背景には、近年の医療技術の著しい進歩が大きく関係しています。

 

たとえば、かつてであれば深刻な後遺症を避けられなかったような骨折でも、現在では高度な手術やリハビリの技術により、良好な回復が期待できるケースが増えているのです。

 

そのため、大腿骨骨折に関する後遺障害の有無や程度については、当事者間で見解の相違が生じやすく、争いに発展することも少なくありません。

 

大腿骨骨折の後遺障害認定のポイントは、こちらのコラムで詳述しています。尚、初回の法律事務所様は、無料で等級スクリーニング®を実施いたします。

 

<参考>
大腿骨骨折の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定

 

 

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大腿骨骨折の後遺障害認定で弊社ができること

弁護士の方へ

弊社では、交通事故で受傷した大腿骨骨折が後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。

 

 

等級スクリーニング

 

現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。

 

等級スクリーニングは、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。

 

等級スクリーニングの有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニングを承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。

 

<参考>
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

 

 

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医師意見書

 

医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。

 

医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。

 

医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。

 

弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。

 

<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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画像鑑定報告書

 

交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。

 

画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。

 

画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。

 

弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。

 

<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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大腿骨骨折の後遺障害認定でお悩みの被害者の方へ

弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。

 

また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。

 

もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。

 

 

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尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。

 

弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

 

 

 

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大腿骨骨折の種類でよくある質問

大腿骨頸部骨折の分類は?

大腿骨頸部骨折は、骨折の位置や骨のずれ(転位)の程度によっていくつかの分類方法がありますが、臨床現場で最も一般的に用いられているのが「ガーデン分類」です。

 

ガーデン分類では、X線画像をもとに骨折の状態を4つのタイプ(ステージI〜IV)に分けます。

 

ステージIとIIは転位がないかごくわずかな骨折、ステージIIIとIVは明らかな転位を伴う骨折です。治療方針や予後の判断において重要な指標となります。

 

 

ガーデン分類の3と4の違いは?

ガーデン分類のステージIIIとIVは、いずれも完全骨折で骨がずれている「転位型」ですが、その転位の程度が異なります。

 

ステージIIIは「部分的な転位」があり、骨頭が外転し回旋している状態です。一方、ステージIVは「完全転位」で、骨折端同士が全く接触していない状態です。

 

治療の選択や骨癒合の予後に大きな影響があるため、両者の区別は重要です。一般的に、ステージIIIよりもIVの方が骨癒合しにくく、人工骨頭置換術が選択されることが多くなります。

 

 

 

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まとめ

 

大腿骨は人体で最も太く長い骨で、骨折すると激痛や歩行困難を引き起こします。

 

高齢者では転倒が原因で頚部や転子部を骨折しやすく、寝たきりの原因にもなります。

 

若年者は交通事故など強い衝撃で骨幹部などを骨折することが多く、いずれも手術とリハビリが必要です。

 

後遺症としては可動域制限や痛み、脚長差、偽関節などがあり、後遺障害等級として8級〜14級が認定される可能性もあります。

 

大腿骨骨折の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で承ります。

 

 

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