交通事故の影響で高次脳機能障害を負ったにもかかわらず、後遺障害の等級認定で非該当や想定より低い等級と判断された方は少なくありません。
納得のいかない結果に直面して、この審査結果は本当に正しいのか?と疑問を抱いたときに、検討すべきなのが「異議申し立て」です。
しかし、高次脳機能障害の異議申し立てを成功させるには、医学的な専門知識や認定基準の理解が求められるため、決して簡単ではありません。
本記事では、後遺障害認定基準から異議申し立ての具体的な方法、成功事例までを分かりやすく解説しています。
最終更新日: 2026/2/14
Table of Contents
高次脳機能障害の後遺障害等級
高次脳機能障害の後遺障害認定は難しい
高次脳機能障害の後遺障害認定は、外見から判断しにくい認知機能障害が主症状であるため、客観的な評価が難しいです。
また、書面審査なので、神経心理学的検査や日常生活報告書の記載内容が不足しているケースでは、等級が低く評価されがちです。
後遺障害認定基準を熟知している医師がほとんど存在しないのも、高次脳機能障害の後遺障害認定を難しくしています。
等級ごとの具体的な後遺症
高次脳機能障害の後遺障害等級は、症状の重さや日常生活への影響度により異なります。具体的には以下のとおりです。
- 1級: 常時介護が必要な状態
- 2級: 随時介護が必要な状態
- 3級: 就労できない状態
- 5級: 一人で生活するのが難しく、軽易な労務しかできない
- 7級: なんとか一人で生活できるが、一般的な仕事は困難
- 9級: ある程度の社会生活や仕事は可能だが、トラブルが多い
- 12級: 軽度の障害~無症状
後遺障害認定に必要な診断書と画像検査
後遺障害認定には、後遺障害診断書、神経系統の障害に関する医学的意見書、神経心理学的検査、家族による日常生活状況報告が必要です。
また、CTやMRI検査で脳損傷が認められることも重要です。これらの資料を適切に準備することで、後遺障害に認定される可能性が高まります。
後遺障害等級の認定基準
後遺障害等級の認定には、事故後の意識障害の有無や程度、脳の画像所見、日常生活への影響などが考慮されます。
第一段階では、意識障害(6時間以上)、画像検査の異常所見、脳外傷の傷病名があるという3条件がそろうと、高次脳機能障害と判断されます。
第二段階では、高次脳機能障害が何級かを審査します。神経心理学的検査、医学的意見、日常生活状況報告で、後遺障害等級が判断されます。
<参考>
高次脳機能障害の認定基準は2ステップが分かりやすい|交通事故の医療鑑定
高次脳機能障害の具体的な後遺障害等級
高次脳機能障害では、話す力や考える力、集中力、疲れにくさ、人との関わり方などの後遺症の重さによって、1~12級の等級に分けられます。
高次脳機能障害の後遺障害認定基準を詳細に知りたい方は、以下のコラムを参照してください。
<参考>
高次脳機能障害の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定

高次脳機能障害の異議申し立てが難しい理由
書面審査の限界
自賠責保険の後遺障害認定は、原則として書面審査のみで行われます。例外は醜状障害だけで、高次脳機能障害も含めてすべて書面審査です。
しかし、記憶障害や注意障害などの症状は外見から判断しづらく、書類だけでは実際の生活への影響を十分に伝えることが難しいです。
高次脳機能障害審査会も万能ではない
自賠責保険の審査会では、高次脳機能障害の専門部会が設置されています。しかし、すべての症状を完全に把握することは困難です。
特に、画像所見が明確でない場合や症状が軽度な場合は、適切な後遺障害が認定されないケースも珍しくありません。
そのため、患者家族や周囲の人が、日常生活状況報告で症状の詳細を補足することが求められます。
認定基準に足りない医証を自分で補足する必要がある
高次脳機能障害の認定基準は一定の指標に基づいていますが、個々の症状や生活への影響を完全にカバーしているわけではありません。
そのため、認定基準でカバーされない部分については、追加の医証証拠や専門医の医師意見書を自ら収集・提出する必要があります。
高次脳機能障害の異議申し立て戦略【弁護士必見】
認定基準で足りない医証を調べる
高次脳機能障害の後遺障害等級認定では、提出された医証が不十分であると、適切な等級が認定されません。
そのため、後遺障害認定基準に照らし合わせて、不足している医証を特定して、必要な検査や診断書を追加で取得することが重要です。
非該当なら追加の画像検査が必要
後遺障害認定で非該当とされたら、脳の損傷を示す画像所見が不足している可能性があります。
このような場合、MRI検査やCT検査などの追加の画像検査を受けて、脳萎縮などの異常所見を明確に示すことが重要です。
ただし、すでに画像所見がある場合は、追加の画像検査が不要なこともあるため、状況に応じた対応が求められます。
等級が低いケースは神経心理学的検査を確認する
認定された後遺障害等級が実際の症状よりも低いと感じれば、神経心理学的検査の結果を再確認することを推奨します。
記憶力や注意力、遂行機能などの検査結果が適切に評価されているかを確認する必要があります。
もし評価に不足があれば、追加の検査を受けることで、より正確な等級認定につながる可能性があります。
高次脳機能障害が後遺障害に認定されるポイントを詳しく知りたい方は、以下のコラムにまとめています。ご参考にしていただければ幸いです。
<参考>
高次脳機能障害の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
解釈が問題なら医師意見書が必要
提出された医証の解釈が問題になっているのであれば、主治医や第三者の専門医による医師意見書を追加で提出することが効果的です。
医師意見書では、症状の具体的内容や日常生活への影響、就労状況などを詳細に記載して、後遺障害認定基準に合わせて説明する必要があります。
さらに医師意見書について詳しく知りたい方は、以下のコラム記事にまとめています。ご参考にしていただければ幸いです。
また、交通事故で発症した高次脳機能障害の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
高次脳機能障害の後遺障害認定で弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、交通事故で受傷した高次脳機能障害の後遺症が、後遺障害に等級認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的データ量をベースにしています。整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくため、初回事務所様は無料で承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した専門医が作成します。作成前に検討項目を共有して、クライアントと意見書の内容を擦り合わせます。
必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックで、意見書の質を担保しています。
弊社は、数千におよぶ医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例があります。是非、弊社の医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの画像検査や資料を精査して、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では、事案の分析から画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
高次脳機能障害の後遺障害認定でお悩みの被害者の方へ
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解のほどお願いいたします。

高次脳機能障害の異議申し立て成功事例
事案サマリー
- 被害者:30代男性
- 初回申請:12級13号
- 異議申し立て:7級4号(軽易な労務以外の労務に服することが出来ないもの)
弊社の取り組み
被害者はバイク走行中に普通自動車に追突され転倒し、頭部を強く打ち、外傷性くも膜下出血、急性硬膜下血腫を負いました。
受傷から1年以上経過し症状が固定した後も、社会行動能力が著明に低下、以前の営業職に復帰できず、職場での配置転換を余儀なくされました。
受傷後に軽度の意識障害が1時間しか継続していないことを理由に、後遺障害等級は12級13号にとどまりました。
弊社の脳神経科専門医が、各種の医証を精査したうえで、医師意見書によって以下を主張しました。
- MRI検査でびまん性脳損傷をみとめる
- 意識障害は高次脳機能障害の程度を判断する材料として必須ではない
- 社会行動能力が半分程度喪失している
その結果、異議申し立てで「軽易な労務以外の労務に服することが出来ないもの」として7級4号が認定されました。


T2*強調画像にて、右前頭葉、右中脳、両側頭頂葉などにびまん性脳損傷を認めます。
高次脳機能障害の異議申し立てでよくある質問
高次脳機能障害の後遺障害の異議申し立ての成功率は?
高次脳機能障害の後遺障害認定に対する異議申し立ての成功率は、約10%と言われています。
成功率を高めるためには、医師と提携している、専門的な知識を持つ弁護士に相談して、適切な対応を行うことが重要です。
<参考>
後遺障害認定は厳しい!等級獲得する2つのポイントとは?|交通事故の医療鑑定
新たな医証は必要ですか?
高次脳機能障害の異議申し立てを成功させるには、新たな医学的資料の提出が極めて重要です。
追加の神経心理学検査や画像検査、医師意見書などを添付して、初回審査で後遺障害認定基準に不足していた点を補強します。
MRIやCTで異常がないと認められませんか?
画像所見がなくても認定される可能性はゼロではありません。ただし、外傷の存在や症状の一貫性、検査結果との整合性が重要です。
特に、びまん性軸索損傷などは画像で明確に出ない場合もあり、総合的評価が求められます。
神経心理学検査はやり直せますか?
神経心理学検査はやり直せます。高次脳機能障害の評価に不足している検査を再施行することで適切な評価が得られることがあります。
特に、障害されている能力に応じて、WAISやWMSなど複数の検査を組み合わせることが説得力を高めます。
家族の陳述書は効果がありますか?
家族の日常生活状況報告は有効です。日常生活での変化や社会適応能力の低下は、家族の具体的な観察が重要な資料になります。
単なる感想ではなく、事故前後の本人の状況を比較して、具体的に記載することがポイントです。
就労していると認定は難しいですか?
就労していても認定される場合はあります。配置転換や業務軽減など配慮がある場合、それは能力低下の裏付けにもなります。
発症まで時間が空いていると不利ですか?
事故直後に診断がなくても、医学的に説明可能であれば直ちに否定されるわけではありません。
ただし受診の遅れは因果関係の判断に影響するため、経過記録の整理が重要です。
等級が上がる可能性はどれくらいありますか?
事案によりますが、新たな有力医証があれば変更される可能性はあります。単なる主張の繰り返しでは難しく、医証が結果を左右します。
まとめ
高次脳機能障害の後遺障害等級認定は、記憶力や注意力の低下など外見で分かりづらい症状が多いです。
このため、書類審査では正確な評価が難しく、適切な等級が認定されないことがあります。
等級は1級から12級まであり、介護の必要性や就労・日常生活への支障に応じて決まります。
後遺障害認定には、画像検査や神経心理学的検査、生活状況の報告書などが重要で、不十分だと等級が低くなる可能性があります。
適正な後遺障害認定を受けるには、医師意見書や追加検査を通じて証拠を補強する必要があります。
交通事故の高次脳機能障害でお困りなら、こちらからお問い合わせください。初回の法律事務所様は無料で等級スクリーニング®を承ります。
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