交通事故をきっかけにCRPS(複合性局所疼痛症候群)を発症したにもかかわらず、後遺障害等級の認定で「非該当」とされたり、予想よりも低い等級しか認められなかったという方は少なくありません。
CRPSは痛みや腫れ、皮膚の変化などが長期にわたり続く難治性の障害ですが、後遺症の立証が難しいため、認定結果に不満を感じるケースが多いです。
こうした場合に活用できるのが「異議申し立て」です。しかし、異議申し立てを成功させるには、非該当になった理由を正確に把握して、適切な医証や資料を追加する必要があります。
本記事では、CRPSの異議申し立ての流れや必要書類、成功のためのポイントを解説して、後遺障害認定で納得できる結果を得るための具体的な手がかりを紹介します。
最終更新日: 2025/8/25
Table of Contents
CRPSが非該当になる理由
CRPSで非該当と判断されやすいケース
CRPSが非該当と判断されやすいのは、症状が多彩で一貫性や客観的な診断が難しいためです。また、実臨床での診断基準と自賠責保険の後遺障害認定基準が大きく異なることも原因の1つです。
自賠責保険の後遺障害認定では、関節拘縮・骨萎縮・皮膚の変化という三要件がすべて揃っていないと認定されません。
実際は痛みだけが強かったり、骨萎縮の所見が乏しいと、専門医がCRPSと診断しても、自賠責保険で非該当となるケースが頻発しています。
CRPSの後遺障害認定基準
CRPSの後遺障害認定基準は、関節拘縮、骨萎縮、皮膚の変化が、健側(非罹患側)と比較して明らかな状態であることが要件になります。
具体的には、患部の関節可動域制限、レントゲン検査での骨密度低下、皮膚温や色調・萎縮が必須です。
自覚症状だけでなく、これら三要件の他覚的証拠がそろって初めて、後遺障害に認定される仕組みであり、1つでも欠けると非該当になります。
等級は重症度によって7級・9級・12級に分けられます。CRPSの後遺障害等級の詳細については、こちらのコラム記事を参照してください。
<参考>
CRPSの後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
CRPSの異議申し立て手順ガイド
異議申し立ての流れと必要書類
自賠責保険による後遺障害認定に納得できなければ、異議申し立てが可能です。
手順としては、後遺障害認定基準に足りない要素を補うために、診断書、検査結果、カルテ、医師意見書などの新たな医証を用意します。
これらの新規医証と一緒に、異議申立書を作成して提出します。異議申立書には、CRPSの後遺障害認定基準を満たすことを客観的に詳しく記載しましょう。
CRPSの異議申し立ての申請先
事前認定の場合は加害者側の任意保険会社へ、被害者請求の場合は自賠責保険会社へ申請します。
最終的には損害保険料率算出機構が審査を行い、結果に不服があれば紛争処理機構や裁判所への提訴も可能です。
異議申し立ての費用と時間は?
異議申し立て自体は原則無料ですが、新たな診断書や医証取得には費用がかかる場合があります。
審査期間は2~4ヶ月が目安ですが、内容や混雑状況によりさらに時間がかかることもあります。
CRPSの効果的な異議申し立て準備
効果的な異議申し立てには、初回申請時の不足点を確認して、新しい医証(診断書、画像検査、医師意見書など)を充実させることが重要です。
特に症状の裏付けは客観的データが重要となり、弁護士や専門医の支援を受けて内容を整理することで成功率が高まります。
CRPSの異議申し立て成功のポイント【弁護士必見】
CRPSが非該当になる原因を分析
CRPSが後遺障害で「非該当」と判断されやすい理由は、後遺障害の認定基準で関節拘縮・骨萎縮・皮膚変化という3つの客観的所見が全て揃うことが厳格に要求されるためです。
実際の診療でCRPSと診断されていても、後遺障害認定ではこれらの所見に不足があると非該当となるケースが多く、痛みなどの自覚症状だけでは認められません。
<参考>
後遺障害の異議申し立て成功のポイント|交通事故の医療鑑定
CRPSの後遺障害認定条件をクリア
自賠責保険の後遺障害認定基準では、健常側と比較した患部の関節の可動域制限、骨の萎縮(レントゲン像や骨塩定量)、皮膚温や色調・萎縮の変化が客観的に認められることが必要です。
医師が、これらの所見を診断書で明記して、画像検査、サーモグラフィ、局所のマクロ画像などで、他覚的に証明することが認定条件となります。
<参考>
【日経メディカル】治療期間の長いCRPSが後遺障害に認定されにくい理由
異議申し立てでは新たな医証が必須
異議申し立ての成功には、前回申請時に不足していた新たな医証が必要不可欠です。具体的には、追加の画像検査、サーモグラフィ、主治医の診断書、第三者による医師意見書、画像鑑定などです。
「新証拠がない異議申し立て」は後遺障害認定に結びつきにくいため、足りない検査や診断記録を補う医学的資料を集めることが重要です。
<参考>
CRPSの後遺障害認定ポイント
CRPSの後遺症が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事でも紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
CRPSの後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
CRPSの後遺障害認定で弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、交通事故で受傷したCRPSの後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
CRPSの後遺障害認定でお悩みの被害者の方へ
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。
CRPSの異議申し立てでよくある質問
なぜCRPSが「非該当」と判断されることが多いのですか?
自賠責保険の後遺障害認定基準は、関節拘縮、皮膚の変化、骨萎縮という3つの所見すべてが揃わないと認定されません。
実際には、これらの3つの所見のすべてを満たさない事案が多いため、非該当となるケースが頻発しています。
異議申し立てではどのような資料を追加すれば有効ですか?
後遺障害認定基準に不足している所見を補うために、新たな診断書、画像検査、サーモグラフィ、医師意見書などの客観的資料が必要となるケースが多いです。
前回の認定結果から、何が足りなかったかを分析して、具体的な客観的医証を提出することが重要です。
CRPSの診断名だけで後遺障害が認められるのですか?
診断名だけでは認定されません。診断名に加えて、客観的な検査所見など具体的な証拠が必要であり、基準を満たす医証がなければ異議申し立ても通りません。
12級と9級の違いは何ですか?
9級は労働能力が相当制限される重度の場合に認定されます。一方、12級は神経症状が残るものの、労働の制限が軽度であるケースです。
異議申し立てでは主治医に再度診断書を書いてもらうべきですか?
必要に応じて、追加の診断書を依頼するケースもあります。ただし記載内容が曖昧だと逆効果になるため、弁護士や後遺障害に詳しい専門家と相談したうえで依頼するのが望ましいです。
CRPSは労災や自賠責で基準が違いますか?
基本的な認定基準は似ています。しかし、実際の運用では労災の方が生活や労働への影響も考慮して柔軟に判断されるため、等級や認定結果に差が出ることがあります。自賠責保険は、客観的証拠を重視します。
まとめ
CRPS(複合性局所疼痛症候群)は、痛みや腫れなどの症状が強くても、自賠責保険の後遺障害認定では「関節拘縮・骨萎縮・皮膚の変化」という3要件がすべて揃わなければ認められません。
そのため、専門医でCRPSと診断されていても、非該当となる例が多くあります。異議申し立てでは、診断書や画像検査、サーモグラフィーなどの新たな医証を提出して、不足していた所見を補うことが重要です。
後遺障害等級は、重症度に応じて7級・9級・12級に分かれます。異議申し立ての成功には客観的な医証が欠かせません。
CRPSの後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で承ります。
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