交通事故による脳出血で後遺症が残ったにもかかわらず、後遺障害が「非該当」や「想定よりも低い等級」と判断されて、不安や不満を感じていませんか?
脳出血による後遺症は外見上わかりづらく、画像所見や症状の訴えが適切に伝わらなければ、後遺障害に認定されにくいケースがあります。
本記事では、脳出血に関する異議申し立ての基本的な流れから、成功のための重要なポイント、過去の成功事例までを詳しく解説しています。
適切な異議申し立てを行うことで、等級が認定される可能性は十分にあります。ご自身やご家族の権利を守るため、ぜひ最後までご覧ください。
最終更新日: 2025/8/4
Table of Contents
脳出血の後遺障害等級
脳出血の後遺障害認定では、日常生活や社会復帰への影響度が重視されます。後遺障害の種類によって以下のような等級があります。
- 身体性機能障害:1,2,3,5,7,9,12級
- 高次脳機能障害:1,2,3,5,7,9,12級
- 遷延性意識障害:1,2級
- 外傷性てんかん:5,7,9,12級
認定基準では、「移動」「食事」「排泄」などのADL(日常生活動作)だけでなく、「社会生活の適応度」や「就労状況」も重視され、等級が決定されます。
診断書や検査結果が基準を十分満たしていないと、想定より低い等級となるケースが多いです。詳細な後遺障害等級は、こちらのコラム記事を参照してください。
<参考>
脳出血の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
脳出血で予想より低い後遺障害等級になる理由
画像検査や神経心理学的検査が不十分
症状固定前の画像検査や、後遺症に応じた神経心理学的検査が実施されていないと、後遺障害の重症度が判定できないため、等級評価が低くなります。
症状が分かりにくい
高次脳機能障害は、記憶・注意・感情・社会性などの障害が中心なので、一見すると後遺症が分かりにくいケースがあります。
審査時に、日常生活や職場での状況が十分に伝わっていないと、実態より軽い等級評価になりやすいです。
日常生活状況報告書の記載内容が不十分
高次脳機能障害では、本人の自覚症状が乏しいのが特徴です。このため、家族などの第三者が記載する日常生活状況報告書が重視されています。
日常生活状況報告書では生活上の変化や苦労のエピソードを記載しますが、内容が不適切だと過小評価されるので注意が必要です。
<参考>
日常生活状況報告の書き方とポイント|高次脳機能障害の後遺障害
主治医に丸投げしている
多くの医師は日常診療に注力しており、自賠責保険の後遺障害認定基準には詳しくないことが一般的です。
このため、主治医に丸投げしていると、後遺障害診断書や医学的意見の記載内容が不十分になってしまい、低い等級認定になるリスクがあります。
<参考>
神経系統の障害に関する医学的意見|高次脳機能障害の後遺障害
脳出血の異議申し立ての方法と進め方
異議申し立ての具体的な流れと必要書類
脳出血による後遺障害の異議申し立ては、まず不服の内容を整理して、異議申立書を作成します。
必要書類には、異議申立書、医師の診断書、新たな医療資料や生活状況報告などが含まれます。
異議申し立てで効果的な追加資料は?
新たな神経心理学的検査、画像検査(MRI、CT)、医師意見書など、予想された後遺障害等級に足りない医証を提出する必要があります。
日常生活動作の変化や就労状況を示す資料も後遺障害認定で重要視されるため、幅広く揃えることが望まれます。
異議申し立ての費用と時間は?
異議申し立て自体に手数料は不要ですが、医療書類発行などで数千円程度の実費がかかります。
弁護士などの専門家への依頼する場合は、別途で費用がかかります。更に、詳細な医師意見書が必要なケースでは、20万円以上かかるケースもあります。
審査に要する期間は、一般的に3~6ヶ月程度ですが、事案によってはもう少しかかる場合もあります。
<参考>
医療鑑定の費用と相場はどれぐらい?|交通事故、遺言能力鑑定
脳出血の異議申し立てが認められるポイント【弁護士必見】
後遺障害等級が低く評価された原因を検討する
予想よりも低い後遺障害等級と判断される主な理由には、後遺障害診断書の記載内容の不備、症状に見合った神経心理学的検査が実施されていないなどが挙げられます。
こうした原因を正しく見極めて、その対策を立てることが、異議申し立てを成功させるための第一歩となります。
<参考>
高次脳機能障害の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
脳出血の後遺障害認定条件をクリアする
脳出血後の後遺障害認定には、四肢麻痺や高次脳機能障害などによる、日常生活動作(ADL)の明らかな制限が必要です。
画像検査や神経心理学的検査と障害状況が一致して、かつ後遺障害診断書や医学的意見に、後遺症の程度が具体的かつ詳細に記載されていることが、認定条件クリアの鍵となります。
<参考>
神経系統の障害に関する医学的意見|高次脳機能障害の後遺障害
異議申し立てでは新たな医証が必須
異議申し立てで成功するには、初回申請では出せなかった新たな医療証拠(追加実施した神経心理学的検査、診断書、医師意見書、画像鑑定など)の提出が不可欠です。
新たな医証を添付せずに、単に異議申し立てを行っただけでは、等級変更が認められる可能性は極めて低いとされています。
<参考>
脳出血の異議申し立てを成功させるためのポイント
脳出血による高次脳機能障害で適切な後遺障害認定を受けるためには、他の傷害とは異なる戦略が必要になります。詳細に関しては、こちらのコラム記事を参照していただければ幸いです。
<参考>
高次脳機能障害の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
脳出血の異議申し立て成功事例【5級2号】
事案サマリー
- 被害者:40歳代 男性
- 初回申請:7級4号
- 異議申立て:5級2号
頭部外傷による左側の脳出血に対して、緊急手術が行われた案件です。外科的治療によって幸い救命することはできましたが、後遺症として高次脳機能障害が残ってしまいました。
弊社の取り組み
高次脳機能障害として後遺障害認定のため弊社にご依頼頂き、画像検査を確認したところ脳出血を指摘でき、無事等級認定に至ることができました。
頭部CT
左側頭部に凸レンズ型の硬膜外血腫を認めます(左図 赤矢印)。
左側頭骨に骨折を認めます(赤矢印)
右側の側頭葉に脳挫傷を認めます(赤矢印)
頭部MRI(T2*WI)
頭部CTでは明らかな異常所見がみられない部位でも、頭部MRI(T2*WI)では微小出血を低信号域(黒色)として検出することができました(右図 赤矢印)。
脳出血の後遺障害認定で弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、脳出血が後遺障害に等級認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
脳出血の後遺障害認定でお悩みの被害者の方へ
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。
脳出血の異議申し立てでよくある質問
異議申し立てをする前に確認すべきポイントは?
まず、等級通知理由や診断書の記載内容、提出した医証や日常生活状況報告書の不備がないかを確認しましょう。
特に非該当となった根拠や、申請内容に医療的・生活的な証拠が十分盛り込まれているかが重要なチェックポイントです。
<参考>
日常生活状況報告の書き方とポイント|高次脳機能障害の後遺障害
脳出血と事故との因果関係が否定されて非該当になりました。どう対応すればいい?
事故と脳出血の因果関係が否定されたら、受傷時の状況を精査しましょう。第三者医師による医師意見書で、因果関係を補強できる可能性もあります。
高次脳機能障害が残っているのに、軽く見られている気がします。
高次脳機能障害は外見からは分かりづらいため、後遺症に応じた追加の神経心理学的検査や、新たな診断書を添付することを検討しましょう。
家族や第三者の証言も有効で、日常生活や社会活動への具体的な支障をしっかり記録しましょう。
どこに相談すればいいですか?
異議申し立てや後遺障害の相談は、経験豊富な弁護士に相談することをおすすめします。どの弁護士が適切か分からない場合には、弊社で紹介することも可能です。
まとめ
脳出血による後遺障害等級は、ADL(日常生活動作)や社会復帰の状況に応じて認定されます。
高次脳機能障害や身体麻痺などの障害が残った場合、1級〜12級の等級がつく可能性がありますが、検査や書類が不十分だと本来より低い等級になることがあります。
異議申し立てでは、新たな画像検査や神経心理学的検査、医師意見書を提出することが重要で、成功には専門的な準備と証拠の強化が不可欠です。
脳出血の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で承ります。
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