交通事故で脛骨高原骨折を受傷して、長期にわたる治療やリハビリに取り組んだのに、後遺障害等級が「非該当」と判断されたら納得できませんね。
実際、膝の痛みや可動域制限など日常生活に支障が出ているにもかかわらず、後遺障害に認定されないケースもあります。こうした状況で、有効な手段となるのが「異議申し立て」です。
ただし、異議申し立ては単に不満を伝える場ではなく、医証や手順の整備が求められる専門的なプロセスです。
本記事では、脛骨高原骨折で後遺障害等級に不服がある方に向けて、異議申し立ての具体的な流れや成功のポイント、よくある疑問点をわかりやすく解説しています。
最終更新日: 2025/7/26
Table of Contents
脛骨高原骨折で非該当になる理由
脛骨高原骨折の後遺障害認定基準
脛骨高原骨折後の後遺障害は、「神経障害」「機能障害」があり、それぞれの状態に応じた等級が定められています。
1. 神経障害(痛みやしびれ)
等級 | 認定基準 |
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
神経障害では、画像や検査結果によって、膝関節面の不整が医学的に証明できると、12級13号が認定されます。
12級13号が認定されなくても、症状が医学的に説明可能であれば、14級9号に認定される可能性があります。
2. 機能障害(膝を動かしにくい)
等級 | 認定基準 |
8級7号 | 下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの |
10級11号 | 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの |
12級7号 | 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの |
たとえば、膝の可動域が健側の2分の1以下に制限されているケースは10級11号、4分の3以下であれば12級7号の認定が考えられます。
非該当と判断されやすいケース
非該当とされる主なケースは、膝関節の可動域が十分保たれていたり、骨癒合が良好で痛みなどの後遺症が医学的に証明できないケースです。
手術や治療の成果で、膝の動きに大きな制限が残らないと、認定は14級9号もしくは非該当となりやすいです。
また、後遺障害診断書に十分な記載がなかったり、症状固定時に画像検査が実施されていないと、後遺症の存在や程度を医学的に証明できず、非該当と判断される可能性が高まります。
脛骨高原骨折の異議申し立て手順ガイド
異議申し立ての流れと必要書類
脛骨高原骨折の後遺障害等級認定に納得できなければ、異議申し立てが可能です。
一般的な流れは、まず現在の認定理由を読み込み、必要書類として「異議申立書」と新たな医師の診断書、検査画像、医師意見書などの添付資料を準備します。
異議申立書には法令で定められた様式はありませんが、保険会社や自賠責損害調査事務所に請求すれば、参考様式を入手できることがあります。
異議申し立ての申請先
異議申し立ての書類は、保険会社または損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所へ提出します。資料の充実が、認定されるカギとなります。
異議申し立ての費用と時間は?
異議申し立て自体に費用はかかりませんが、追加の医療資料や診断書発行には実費が必要です。
審査期間は通常2~3ヶ月程度ですが、提出書類の内容や追加調査の有無で変動します。判定まで長期化する場合もあるため、早めの準備と根拠ある資料の提出が重要です。
効果的な異議申し立てのための準備
効果的な異議申し立てには、前回認定で不足していた資料・医学的根拠を精査して補うことが重要です。
例えば、新たな画像検査や主治医による詳細な診断書を取得して、症状や障害が医学的に裏付けられるようにします。
医療照会や病院への追加検査依頼も有効です。弁護士などの専門家のアドバイスを活用すると、より説得力のある申立書を作成できます。
脛骨高原骨折の異議申し立て成功のポイント【弁護士必見】
非該当の原因を分析
脛骨高原骨折の後遺障害認定で「非該当」とされる主な原因は、痛みや可動域制限が医学的に立証できなかったり、後遺障害診断書の記載内容が不十分なケースです。
特に、症状固定時期の画像検査が無かったり、医学的根拠に乏しい後遺障害診断書では、非該当になりやすいです。
<参考>
後遺障害の異議申し立て成功のポイント|交通事故の医療鑑定
後遺障害の認定条件をクリアする
認定条件を満たすためには、膝関節の痛みや可動域制限の存在を、画像検査などで客観的に示す必要があります。
「機能障害」は画像検査で明白な原因を特定できる必要があります。「神経障害」も画像所見があれば有利です。
異議申し立てでは新たな医証が必須
異議申し立てで成功するには、初回申請では出せなかった新たな医療証拠(画像検査、診断書、医師意見書、画像鑑定など)の提出が不可欠です。
前回の審査で、後遺障害認定基準に足りなかった要素を、新たな医証で補強するイメージです。症状の具体性や継続性を裏付ける医証を揃えることが認定への近道となります。
尚、新たな医証の添付が無ければ、異議申し立てで認定される可能性は無いことに注意が必要です。
<参考>
脛骨高原骨折の後遺障害認定ポイント
脛骨高原骨折で後遺障害認定されるには、それぞれの後遺障害の認定基準をクリアする必要があります。
脛骨高原骨折の後遺症が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事でも紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
脛骨高原骨折(プラトー骨折)の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故
脛骨高原骨折の異議申し立て成功事例【12級13号】
事例サマリー
- 被害者:30歳代
- 初回申請:14級9号
- 異議申立て:12級13号
高所からの転落により受傷しました。初回申請で14級9号の認定を受けましたが、症状との乖離があるため、弊社に医療相談を依頼されました。
弊社の取り組み
弊社で調査したところ、骨折部にわずかな変形が残存している可能性がありました。被害者に追加CT撮像を受けていただいたところ、脛骨外側関節面の変形が残存する画像所見が得られました(赤丸)。
後遺障害の蓋然性を主張する医師意見書を作成し、異議申し立てを行ったところ、12級13号が認定されました。
脛骨高原骨折の後遺障害認定で弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、交通事故で残った脛骨高原骨折の後遺症が後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
脛骨高原骨折の後遺障害認定でお悩みの被害者の方へ
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。
脛骨高原骨折の異議申し立てでよくある質問
後遺障害等級が非該当だったのはなぜですか?
脛骨高原骨折の後遺障害等級が非該当にされる主な理由は、膝関節の可動域制限や神経症状を、医学的に証明できないケースです。
手術や治療によって関節の動きがほぼ回復している、あるいは痛み・しびれなどの自覚症状だけで画像検査などによる裏付けがないと、後遺障害認定基準を満たさず非該当となります。
異議申し立てで等級が上がる可能性はありますか?
初回申請で提出した資料が不十分であった場合には、異議申し立てを通じて等級が上がる可能性は十分あります。
新たに実施した画像検査で異常所見が見つかったり、医師意見書などの追加資料の提出によって客観的根拠が強化されると、14級から12級などに上がるケースがあります。
膝の痛みや可動域制限が続いているのに、12級13号にもならないのはなぜ?
膝の痛みや可動域制限が継続していても、12級13号の認定には「症状の医学的証明」が必須です。
痛み・しびれといった神経症状について、12級13号が認定されるには、CTやMRIなどで神経障害の原因となる器質的異常(関節面の不整など)が確認できるなど、医学的に証明される必要があります。
ありがちなのは、症状固定時期の画像検査が実施されておらず、痛みの原因を証明できないケースです。
医学的根拠が得られないと、たとえ症状が残っていても14級や非該当となります。
主治医が「治っていない」と言っているのに非該当となるのはおかしくない?
主治医が治癒を認めていないケースでも、後遺障害の等級認定は、診断書や画像資料などの客観的医学的証拠に基づいて判断されます。
主治医の見解は診断書だけに留まるため、医学的根拠や異常所見が検査で確認できなければ、審査側は等級認定に至らず非該当と判断する場合が多いです。
主治医の協力で詳細な追加資料を整えることで、異議申し立ての成功率が高まります。
症状固定後に手術をしたが、再申請や異議申し立ては可能?
症状固定後に新たな手術を受けた場合でも、再申請や異議申し立ては可能です。
再手術や追加治療により状態が変化した場合は、再度医師の診断書や画像資料を用意して、「新たな事実発生」として後遺障害等級認定の再申請、または異議申し立てを行うことができます。
まとめ
脛骨高原骨折の後遺障害等級が「非該当」とされる主な理由は、膝の可動域制限や神経症状が医学的に証明されていないことです。
画像や検査で裏付けがないと、たとえ痛みやしびれがあっても等級認定は難しくなります。
異議申し立てでは、新たな画像検査や医師意見書などを提出して、症状の医学的根拠を示すことが成功のカギです。
脛骨高原骨折の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で承ります。
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