交通事故後、足に痛みやしびれが残り、思うように走れなくなった…。そんな状況に不安を感じている方は少なくありません。「このまま走れないままなのか?」「後遺症として認定されるのか?」と悩む方も多いでしょう。
事故による後遺症が原因で走れなくなっても、適切なリハビリや治療を受けることで症状が改善する可能性があります。また、後遺障害として認定されることで、慰謝料や逸失利益といった補償を受けられることもあります。
本記事では、交通事故で「走れない」という後遺症に直面した際に取るべき対処法、後遺障害認定の流れやポイント、さらには補償の相場について詳しく解説しています。事故後の不安を少しでも軽減して、適切な手続きを進められるように、ぜひ参考にしてください。
最終更新日: 2025/3/28
Table of Contents
交通事故の後遺症で走れない時にするべきこと
後遺障害認定を受ける
交通事故後、治療を続けても症状が改善しないと、後遺障害認定を受けることで、適切な補償を受けられる可能性があります。
後遺障害認定を受けると、被害者には後遺障害慰謝料や逸失利益などの賠償金が支払われます。
「走れない」後遺障害の種類
「走れない」状態を引き起こす後遺障害には、主に下肢に関するものと脊髄損傷による麻痺があります。具体的には、以下のような後遺障害が挙げられます。
- 下肢の機能障害(関節の動きが悪くなる)
- 下肢の変形障害(偽関節も含む)
- 下肢の短縮障害(下肢の長さが短くなる)
- 脊髄損傷による身体性機能障害(麻痺)
後遺障害認定を受ける流れ
後遺障害認定を受けるには、主に2つの方法があります。1つは被害者自身が申請手続きを行う「被害者請求」、もう1つは相手方の保険会社に申請手続きを任せる「事前認定」です。
被害者請求の場合、後遺障害診断書やレントゲン画像などの必要書類を準備して、自賠責保険会社や損害保険料率算出機構に提出します。
その後、書類の審査を経て後遺障害等級の認定を受けます。手間がかかりますが、被害者請求のほうが適正な後遺障害等級を得られる可能性が高いです。
交通事故で走れない時に認定される後遺障害等級
機能障害(関節の可動域制限)
等級 | 認定基準 |
8級7号 | 下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの |
10級11号 | 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの |
12級7号 | 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの |
8級7号:1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
- 関節がほとんと動かない状態(関節可動域が10%以下)
- 人工関節を挿入して、関節可動域が2分の1以下に制限された状態
10級11号:1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
- 関節可動域が2分の1以下に制限された状態
12級7号:1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
- 関節可動域が4分の3以下に制限された状態
変形障害(骨が治癒しなかった)
12級8号:長管骨に変形を残すもの
- 大腿骨または脛骨の骨端部に癒合不全を残すもの
短縮障害(下肢が短くなった)
等級 | 認定基準 |
8級5号 | 1下肢を5センチメートル以上短縮したもの |
10級8号 | 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの |
13級8号 | 1下肢を1センチメートル以上短縮したもの |
いずれも下肢の長さはSMDで計測します。SMD(Spina Malleollar Distance:棘果長)は、下肢の長さの計測法のひとつです。骨盤にある上前腸骨棘から足関節の内果(内くるぶし)までの距離をメジャーを用いて計測します。
何らかの原因で通常の手術を施行できず、切除関節形成術(ガードルストーン手術)となった場合には3~5cm以上の短縮もありえます。
<参考>
脚長差(短縮障害)の評価はSMDが妥当?|交通事故の後遺障害
身体性機能障害
等級 |
認定基準 |
1級1号 |
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの |
2級1号 |
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの |
3級3号 |
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの |
5級2号 |
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
7級4号 |
神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
9級10号 |
神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの |
12級13号 |
局部に頑固な神経症状を残すもの |
脊髄損傷で、四肢麻痺や対麻痺(下半身不随)が残ると、身体性機能障害として総合評価されます。詳細を知りたい方は、以下のコラムを参照してください。
<参考>
脊髄損傷の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
交通事故で走れなくなった時の後遺障害認定ポイント
ここまで見てきたように、交通事故後に走れなくなった原因は多岐に及びます。単に「走れなくなった」と主張するだけでは、後遺障害に認定されません。
走れなくなった原因を明確にしたうえで、その原因と交通事故との因果関係を証明する必要があります。
特に多発外傷では傷病名が多数記載されているため、どの傷病名が後遺症の原因になっているのか判然としないケースも散見します。
交通事故後に走れなくなって、お困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
交通事故の後遺障害認定で弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、交通事故の後遺障害認定でお困りの事案に対応するため、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニングは、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニングの有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニングを承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
交通事故の後遺障害認定でお悩みの被害者家族の方へ
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。
走れない後遺障害で慰謝料はいくらもらえる?
後遺障害慰謝料とは
交通事故で後遺障害が残ってしまった精神的苦痛に対する補償金です。後遺障害慰謝料は、下の表のように後遺障害等級によって異なります。
後遺障害等級 | 後遺障害慰謝料 |
1級 | 2800万円 |
2級 | 2370万円 |
3級 | 1990万円 |
4級 | 1670万円 |
5級 | 1400万円 |
6級 | 1180万円 |
7級 | 1000万円 |
8級 | 830万円 |
9級 | 690万円 |
10級 | 550万円 |
11級 | 420万円 |
12級 | 290万円 |
13級 | 180万円 |
14級 | 110万円 |
後遺障害慰謝料の相場は?
後遺障害慰謝料の相場は、後遺障害等級によって異なります。例えば、12級7号の場合、慰謝料の相場は約290万円、14級9号の場合は約110万円です。
等級が高いほど慰謝料の金額も高くなります。また、弁護士基準を用いることで、より高額な慰謝料を受け取ることができる場合もあります。
後遺障害逸失利益とは
後遺障害が残ると、労働能力が低下してしまいます。労働能力が低下したために失うであろう収入の不足分に対する補償金です。
後遺障害逸失利益は、交通事故被害者の年収、年齢をベースにして、後遺障害等級に応じた労働能力喪失率と労働能力喪失期間で決まります。後遺障害逸失利益は、以下の計算式で算出されます。
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数
後遺障害慰謝料の相場は?
後遺障害逸失利益の相場は、後遺障害等級や被害者の年収によって異なります。交通事故後に走れなくなった際は、後遺障害12~14級が想定されます。
この際には、年収または平均賃金の5%から14%を数年から最大10年分として計算されます。例えば、12級7号の場合、労働能力喪失率は14%、14級9号の場合は5%とされています。
交通事故で走れない後遺障害でよくある質問
交通事故でよくある後遺症は?
交通事故後、治療を続けても完全に回復せず、身体や精神の機能に不完全な状態が残ることを「後遺症」と呼びます。
代表的な後遺症としては、むちうちによる首の痛み、腰痛、頭痛、関節の痛み、手足のしびれ、耳鳴り、めまい、強い倦怠感などが挙げられます。
事故で足が後遺症になるのはどんな症状ですか?
交通事故による足の後遺症としては、骨折後の関節可動域の制限、神経損傷によるしびれや麻痺、筋力低下、慢性的な痛みなどが考えられます。これらの症状が残ると、歩行や日常生活に支障をきたすことがあります。
正座ができない後遺障害は?
交通事故後、膝関節の可動域が制限されて、正座が困難になる場合があります。このような場合、後遺障害等級が認定される可能性があります。
まとめ
交通事故で走れなくなった場合、まず「後遺障害認定」を受ける必要があります。認定されると、精神的苦痛に対する「後遺障害慰謝料」や、将来の収入減少を補う「逸失利益」がもらえます。
走れない原因は、下肢の機能障害や脊髄損傷などがあり、後遺障害等級は症状によって8級〜14級に分かれます。認定の申請は、自分で行う「被害者請求」と保険会社に任せる「事前認定」があり、適切な書類提出が重要です。
交通事故の後遺症で走れなくなって、お困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
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