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大腿骨骨折の仕事復帰までの期間やリハビリは?|交通事故の後遺障害

大腿骨骨折を経験した方にとって、仕事復帰は大きな目標であり、不安も多いものです。大腿骨骨折の種類や手術方法によって、回復期間やリハビリテーションの内容も異なります。

 

「いつ頃仕事に戻れるのか?」「リハビリはどのように進めればよいのか?」「もし長期間休んだ場合、収入面は大丈夫だろうか?」といった疑問や不安を抱える方は少なくありません。

 

本記事では、大腿骨骨折から仕事復帰までの平均的な期間、効果的なリハビリ方法、さらには交通事故で受傷した際の後遺障害等級についても詳しく解説しています。

 

 

最終更新日: 2025/3/21

 

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大腿骨骨折から仕事復帰までの平均的な期間

 

大腿骨骨折からの仕事復帰期間は、骨折の種類や治療法、個人の回復力によって異なります。

 

以下に、主要な大腿骨骨折のタイプ別に、平均的な仕事復帰期間を解説します。

 

 

大腿骨頚部骨折(骨接合術)

大腿骨頚部骨折に対する骨接合術は、骨折部位をピンやスクリューで固定する方法です。若年者では、大腿骨頭壊死症の併発を防ぐため、一定期間の免荷が必要です。

 

この手術後、リハビリテーションを経て、通常3~4ヶ月での仕事復帰が期待されます。ただし、骨癒合の状態や個人差により、復帰時期は前後する可能性があります。

 

 

大腿骨頚部骨折(人工骨頭置換術)

骨折部のズレ(転位)が大きいなど、骨接合術が適さないケースでは、人工骨頭置換術が選択されます。

 

この手術後のリハビリは比較的早期に開始され、約2~3ヶ月での仕事復帰が一般的です。しかし、脱臼のリスクがあるため、特定の動作に注意が必要です。

 

 

大腿骨転子部骨折

転倒などで生じる大腿骨転子部骨折は、骨接合術が主な治療法です。術後のリハビリを含めて、約3~4ヶ月での仕事復帰が目安とされています。骨癒合の進行状況や全身状態により、復帰時期は変動します。

 

 

大腿骨骨幹部骨折

大腿骨の中央部分である骨幹部の骨折は、高エネルギー外傷で発生することが多く、髄内釘固定術が一般的です。

 

術後のリハビリ期間を含め、約4~6ヶ月での仕事復帰が期待されます。しかし、骨癒合不全や感染症のリスクも考慮する必要があります。

 

 

femoral fracture

 

 

大腿骨顆上骨折

膝関節に近い大腿骨顆上部の骨折は、プレートやスクリューでの固定術が行われます。術後のリハビリを経て、約4~5ヶ月での仕事復帰が一般的です。膝関節の可動域制限や筋力低下を防ぐため、適切なリハビリが重要です。

 

 

大腿骨顆部骨折

膝関節面を含む大腿骨顆部の骨折は、関節面の整復と固定が必要で、手術後のリハビリ期間を含め、約5~6ヶ月での仕事復帰が目安とされています。関節の安定性や可動域の回復が重要なポイントとなります。

 

以上の期間は一般的な目安であり、個人の健康状態や職種、リハビリテーションの進捗状況によって異なる場合があります。医師と相談して、無理のない復帰計画を立てることが重要です。

 

 

thigh pain

 

 

大腿骨骨折後のリハビリテーション

リハビリテーションのスケジュール

リハビリテーションは、患者の状態や骨折の程度により異なりますが、一般的には以下のような段階で進められます。

 

1. 急性期(手術直後)

痛みや炎症が強い時期で、ある程度の安静が必要です。しかし、離床に関しては、手術翌日になるケースが多いです。

 

2. 回復期

痛みが和らぎ、炎症が落ち着いてきたら、股関節や膝関節の可動域訓練や歩行訓練などのリハビリテーションを開始します。

 

3. 維持期

機能回復を維持して、筋力訓練やバランス感覚の改善などの再発防止のためのリハビリテーションを行います。

 

 

筋力強化と柔軟性向上のためのリハビリテーション

筋力強化と柔軟性向上は、リハビリテーションの重要な要素です。具体的な方法として、以下のようなトレーニングが推奨されます。

 

1. 筋力強化

大腿四頭筋やハムストリングスなどの下肢の主要な筋肉を鍛えるリハビリテーションを行います。

 

2. 柔軟性向上

関節可動域訓練やストレッチングを通じて関節の可動域を広げて、関節や筋肉の柔軟性を高めます。

 

 

基本的な歩行訓練とバランスの練習

歩行能力の回復とバランス感覚の向上は、日常生活への復帰に直結します。リハビリテーションでは、以下のような訓練が行われます。

 

1. 歩行訓練

平行棒や杖、歩行器などの補助器具を使用して、正しい歩行パターンを習得します。

 

2. バランス練習

片足立ちやバランスボードを用いて、身体の安定性を高めます。

 

 

自宅でできるリハビリテーション

自宅でのリハビリテーションは、病院でのリハビリテーションと並行して行うことで、回復を促進します。以下のようなリハビリテーションが推奨されます。

 

1. 自重を利用した筋力トレーニング

スクワットやランジ(lunge)など、自分の体重を利用して筋力を鍛えます。

 

2. ストレッチング

日常的に柔軟性を高めるためのストレッチを行います。

 

 

リハビリテーションは、医師や理学療法士の指導のもと、個々の状態に合わせて進めることが重要です。

 

無理のない範囲で継続的に取り組むことで、早期の社会復帰と生活の質向上が期待できます。

 

 

 

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仕事復帰後の注意点

大腿骨骨折から仕事復帰を果たした後、再発防止と健康維持のために以下の点に注意することが重要です。

 

 

1. 継続的なリハビリテーション

仕事復帰後も、筋力強化や柔軟性向上のためのリハビリテーションを継続することが推奨されます。これにより、再度の骨折リスクを低減して、身体機能の維持・向上が期待できます。

 

 

2. 適切な業務内容の選択

仕事復帰直後は、過度な負荷がかかる作業や長時間の立ち仕事は避けるべきです。可能であれば、デスクワークや軽作業など、身体への負担が少ない業務から始めて、徐々に通常の業務に戻すことが理想的です。

 

 

3. 職場環境の整備

滑りやすい床や段差など、転倒のリスクがある環境は再骨折の原因となります。職場の安全対策を確認し、必要に応じて環境の改善を行いましょう。

 

 

4. 定期的な受診

定期的に医師の診察を受けて、骨の状態を確認することが重要です。

 

 

大腿骨骨折で考えられる後遺障害

 

交通事故で受傷した大腿骨骨折に後遺症が残ると、以下のような後遺障害に認定される可能性があります。

 

 

機能障害

等級

認定基準

8級7号

下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの

10級11号

1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

12級7号

1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

 

8級7号:1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの

  • 股関節がほとんと動かない状態(関節可動域が10%以下)
  • 人工関節を挿入して、関節可動域が2分の1以下に制限された状態

 

 

10級11号:1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

  • 関節可動域が2分の1以下に制限された状態

 

 

12級7号:1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

  • 関節可動域が4分の3以下に制限された状態

 

 

 

神経障害(痛み)

等級

認定基準

12級13号

局部に頑固な神経症状を残すもの

14級9号

局部に神経症状を残すもの

 

12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの

  • 画像所見などで痛みの原因を証明できるもの

 

 

14級9号:局部に神経症状を残すもの

  • 画像所見で痛みの原因を証明できないものの、治療内容などから痛みの存在を類推できるもの

 

 

 

変形障害(骨が治癒しなかった)

12級8号:長管骨に変形を残すもの

  • 大腿骨または脛骨の骨端部に癒合不全を残すもの

 

 

 

短縮障害(下肢が短くなった)

等級

認定基準

8級5号

1下肢を5センチメートル以上短縮したもの

10級8号

1下肢を3センチメートル以上短縮したもの

13級8号

1下肢を1センチメートル以上短縮したもの

 

いずれも下肢の長さはSMDで計測します。SMD(Spina Malleollar Distance:棘果長)は、下肢の長さの計測法のひとつです。骨盤にある上前腸骨棘から足関節の内果(内くるぶし)までの距離をメジャーを用いて計測します。

 

 

<参考>
脚長差(短縮障害)の評価はSMDが妥当?|交通事故の後遺障害

 

 

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大腿骨骨折の後遺障害認定ポイント【弁護士必見】

 

大腿骨骨折は、多くの場合、大きな外力が加わることで発生するため、被害者はその深刻さから「重症」だと認識しがちです。

 

確かに、大腿骨骨折は重大な外傷であることに間違いはありません。しかし、それが必ずしも自賠責保険の後遺障害認定基準を満たす後遺症を残すとは限りません。

 

むしろ、外傷の程度と比較すると、大腿骨骨折は後遺症が残りにくい傾向があります。その理由の一つとして、近年の治療技術の進歩が挙げられます。

 

50年前であれば、重度の後遺症が残る可能性が高かった骨折であっても、現代の医療技術では後遺症のリスクを大幅に軽減できるようになったのです。

 

このため、外傷の大きさの割には、大腿骨骨折は後遺障害に認定されにくい傷病です。この点には注意が必要でしょう。

 

大腿骨骨折の後遺障害認定のポイントは、こちらのコラムで詳述しています。興味のある方は参照いただければ幸いです。

 

<参考>
大腿骨骨折の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定

 

 

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大腿骨骨折の後遺障害認定で弊社ができること

弁護士の方へ

弊社では、交通事故で受傷した大腿骨骨折が後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。

 

 

等級スクリーニング

 

現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。

 

等級スクリーニングは、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。

 

等級スクリーニングの有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニングを承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。

 

<参考>
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

 

 

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医師意見書

 

医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。

 

医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。

 

医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。

 

弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。

 

<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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画像鑑定報告書

 

交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。

 

画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。

 

画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。

 

弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。

 

<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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大腿骨骨折の後遺障害認定でお悩みの被害者の方へ

弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。

 

また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。

 

もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。

 

 

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尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。

 

弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

 

 

 

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まとめ

 

大腿骨骨折の仕事復帰期間は、骨折の種類や治療法、個人の回復力によって異なります。

 

  • 大腿骨頚部骨折(骨接合術):3~4ヶ月
  • 大腿骨頚部骨折(人工骨頭置換術):2~3ヶ月
  • 大腿骨転子部骨折:3~4ヶ月
  • 大腿骨骨幹部骨折:4~6ヶ月
  • 大腿骨顆上骨折:4~5ヶ月
  • 大腿骨顆部骨折:5~6ヶ月

 

 

個人差やリハビリテーション状況によって仕事復帰の時期は変わります。医師と相談しながら無理のない復帰を目指しましょう。

 

交通事故で受傷した大腿骨骨折の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

 

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