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鎖骨骨折の変形治癒とは?治療法や後遺障害認定ポイントも解説

鎖骨骨折は比較的よく見られる骨折の1つですが、その治癒過程で「変形治癒」という状態になることがあります。

 

骨折部分がずれたまま治癒することにより、形状が元と異なる状態が残るこの現象は、多くの方にとって不安の種となるでしょう。

 

特に、変形が日常生活や機能にどのような影響を与えるのか、後遺症が残るリスクがあるのか気になる方も多いはずです。

 

本記事では、鎖骨骨折の変形治癒の定義や原因、リスクに加え、予防策や治療法、さらに後遺障害等級認定のポイントについて詳しく解説しています。

 

この記事を通じて、変形治癒に関する正しい知識を得て、自分の状態や今後の対応についての理解を深めていただければ幸いです。

 

 

最終更新日: 2025/1/28

 

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鎖骨骨折の変形治癒とは

変形治癒の定義

鎖骨骨折の治癒過程で、骨片が正常な位置に戻らず、ずれたまま骨が癒合することを「変形治癒」と呼びます。

 

変形治癒では、鎖骨の形状が元の状態と異なるため、外見上の変形が残る可能性があります。

 

 

変形治癒が発生する原因

変形治癒の主な原因は、骨折部分のずれが大きく、整復(骨の位置を正しく戻すこと)が不十分な場合や、固定が適切に行われなかったケースです。

 

特に、鎖骨の外側部分(鎖骨遠位端骨折)は平らな形状をしており、折れた場合に骨がくっつきにくい特徴があります。

 

 

変形治癒が身体に与える影響

変形治癒が生じると、外見上の変形だけでなく、肩幅が狭くなるなどの影響が出ることがあります。

 

また、骨片の重なりや短縮により、肩関節の可動域が制限される可能性もあります。

 

 

Deformity healing of clavicle fractures

 

 

鎖骨骨折の変形治癒を予防する方法

粉砕骨折や鎖骨遠位端骨折は手術療法を選択する

鎖骨骨折の変形治癒を予防するためには、骨折の種類や程度に応じた適切な治療法の選択が重要です。

 

特に、鎖骨骨幹部の粉砕骨折や鎖骨遠位端骨折では、骨片のずれが大きく、保存療法では十分な整復が難しい場合があります。

 

このようなケースでは、手術療法を選択することで、骨片を正しい位置に固定し、変形治癒のリスクを低減できます。

 

 

保存療法はクラビクルバンドを常用する

保存療法を選択する場合、クラビクルバンド(鎖骨バンド)を使用して鎖骨を適切な位置に固定することが推奨されます。

 

クラビクルバンドによって、骨片のずれを防ぎ、正しい位置での癒合を促進します。

 

 

ある程度骨がつくまで腕を挙げない

鎖骨骨折後、骨が十分に癒合するまでの間、過度な腕の挙上は避けるべきです。医師の指示に従い、適切な期間、安静を保つことが重要です。

 

特に、腕を90度以上挙げると鎖骨に負担がかかり、骨片のずれや痛みを引き起こして、骨癒合しなくなる可能性があります。

 

 

鎖骨骨折でずれたままだとどうなる?

鎖骨骨折後、骨片のずれが残ったままだと、変形治癒や偽関節と呼ばれる状態になることがあります。

 

変形治癒による鎖骨の形状変化だけであれば、外観上の違和感以外に大きな支障はありません。

 

しかし、鎖骨が短縮して治癒した場合には、肩幅が狭くなるなどの影響が出ることがあります。

 

また、偽関節になったら、肩を動かす時の痛みや、肩の可動域制限の原因になる可能性があります。

 

<参考>
偽関節・遷延治癒の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定

 

 

 

nikkei medical

 

 

鎖骨骨折の後遺障害

 

鎖骨骨折では、神経障害、機能障害、変形障害の3つの後遺障害が認定される可能性があります。

 

 

変形障害(偽関節、鎖骨の出っ張り)

12級5号: 鎖骨に著しい変形を残すもの

 

鎖骨の変形は手術をすれば改善するため、変形そのもので等級認定されるケースは多くありません。一方、手術を施行しても骨折部が十分に癒合しない症例を散見します。

 

全く骨癒合していない状態を偽関節、一部分だけしか骨癒合していない状態を遷延治癒と呼びます。いずれも「鎖骨に著しい変形を残すもの」として12級5号に認定される可能性があります。

 

保存的治療を選択した場合は、手術症例と比較して偽関節や遷延治癒に至る可能性が少し高くなります。このような症例でも「鎖骨に著しい変形を残すもの」として12級5号に認定される可能性があります。

 

また、鎖骨の変形そのものでも「鎖骨に著しい変形を残すもの」として12級5号に認定される可能性があります。

 

この場合の「著しい変形」とは衣服を脱いで裸の状態になったとき、明らかに骨が変形していると分かる状態のことを意味します。

 

 

<参考>
偽関節・遷延治癒の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定

 

 

神経障害(痛みやしびれ)

等級

認定基準

12級13号

局部に頑固な神経症状を残すもの

14級9号

局部に神経症状を残すもの

 

12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの

 

骨が部分的にしかついていない場合(遷延治癒)では、変形障害(12級5号)ではなく、12級13号が認定されるケースがあります。

 

<参考>
偽関節・遷延治癒の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定

 

 

14級9号:局部に神経症状を残すもの

 

鎖骨骨折の手術を受けた場合、必ずといっていいほど出現するのが鎖骨上神経障害です。手術によって鎖骨上神経が切断されるため、手術痕の足側に感覚障害を起こす症例を多く経験します。

 

しかし、患者さん本人が自覚されていない場合があり、見逃されやすい障害です。症状がある場合には、「局所に神経症状を残すもの」として第14級9号が認定されるケースが多いです。

 

 

 

機能障害(肩を動かしにくい)

鎖骨骨折における機能障害とは、肩関節の可動域制限です。特に、肩に近い骨折ほど、肩関節の機能障害が出現しやすくなります。

 

しかし、鎖骨骨折は肩関節と直接関係のない部位の骨折です。そのため、交通事故と機能障害との因果関係が問われるケースを多く経験します。

 

肩関節の機能障害が残存した場合、以下のような後遺障害等級が認められる可能性があります。

 

等級

認定基準

8級6号

上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの

10級10号

1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

12級6号

1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

 

8級6号: 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの

 

肩関節が強直またはこれに近い状態にあるものです。これに近い状態とは、自動(自分で動かすこと)で健側(ケガをしていない側)の可動域の10%程度以下に制限された状態です。

 

<参考>
自動運動と他動運動の違いで後遺障害に差も|交通事故の医療鑑定

 

 

10級10号: 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

 

肩関節の関節運動が、健側の1/2以下の可動域に制限されているものです。

 

 

12級6号: 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

 

肩関節の関節運動が、健側の3/4以下の可動域に制限されているものです。

 

<参考>

 

 

 

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鎖骨骨折の後遺障害認定ポイント【弁護士必見】

 

交通事故による鎖骨骨折で後遺症が残った場合、自賠責保険から次の後遺障害のいずれかに認定されることがあります。

 

  • 神経障害
  • 機能障害
  • 変形障害

 

 

これらの後遺障害は、それぞれ異なる系列に分類されるため、併合できるケースもあります。しかし、「通常派生する関係」とされる場合には、1つの系列としてしか認定されないこともあります。

 

 

鎖骨骨折の後遺障害認定では、さまざまなポイントやピットフォールがあります。興味のある方は、こちらのコラム記事をご参照ください。

 

 

<参考>

 

 

 

nikkei medical

 

 

【12級13号】鎖骨骨折の後遺障害認定事例

事案サマリー

  • 被害者:48歳
  • 事前認定:14級9号
  • 異議申し立て:神経障害として12級13号が認定

 

 

弊社の取り組み

鎖骨骨幹部骨折に対して、プレート固定術が施行されましたが痛みが残りました。

 

単純X線像(レントゲン検査)では骨癒合しているように見えるため、事前認定では14級9号にとどまりました。

 

弊社でCT検査を追加施行することを提案したところ、骨幹部に遷延癒合を確認できました。

 

術後に痺れが残存した鎖骨上神経障害も加味された可能性もありますが、神経障害として12級13号が認定されました。

 

 

clavicle fracture

 

 

鎖骨骨折の変形治癒の後遺障害認定で弊社ができること

弁護士の方へ

弊社では、鎖骨骨折の変形治癒が後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。

 

 

等級スクリーニング

 

現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。

 

等級スクリーニングは、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。

 

等級スクリーニングの有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニングを承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。

 

<参考>
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

 

 

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医師意見書

 

医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。

 

医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。

 

医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。

 

弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。

 

<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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画像鑑定報告書

 

交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。

 

画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。

 

画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。

 

弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。

 

<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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鎖骨骨折の変形治癒の後遺障害認定でお悩みの被害者の方へ

弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。

 

また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。

 

もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。

 

 

Traffic accident patient

 

 

尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。

 

弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

 

 

 

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鎖骨骨折の変形治癒で請求できる損害賠償金

 

鎖骨骨折の変形治癒が後遺障害に認定されると、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を請求できます。

 

 

鎖骨骨折の後遺障害慰謝料とは

交通事故で鎖骨骨折の変形治癒が残ってしまった精神的苦痛に対する補償金です。後遺障害慰謝料は、下の表のように後遺障害等級によって異なります。

 

 

後遺障害等級

後遺障害慰謝料

1級

2800万円

2級

2370万円

3級

1990万円

4級

1670万円

5級

1400万円

6級

1180万円

7級

1000万円

8級

830万円

9級

690万円

10級

550万円

11級

420万円

12級

290万円

13級

180万円

14級

110万円

 

 

鎖骨骨折の後遺障害逸失利益とは

鎖骨骨折で後遺障害が残ると、労働能力が低下してしまいます。労働能力が低下したために失うであろう収入の不足分に対する補償金です。

 

後遺障害逸失利益は、交通事故被害者の年収、年齢をベースにして、後遺障害等級に応じた労働能力喪失率と労働能力喪失期間で決まります。鎖骨骨折の後遺障害逸失利益は、以下の計算式で算出されます。

 

 

基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数

 

 

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鎖骨骨折の変形治癒でよくある質問

鎖骨骨折は手術をしなくても治る?

鎖骨骨折は、保存療法(手術を行わない治療法)でも治癒します。特に、骨片のずれが少ない場合や、骨折の部位・程度によっては、保存療法が適応されることが多いです。

 

しかし、骨片のずれが大きい場合や、粉砕骨折など複雑な骨折では、手術療法が推奨されることがあります。

 

 

鎖骨骨折でプレート除去をしないとどうなる?

鎖骨骨折の治療で使用されるプレートは、骨の固定を目的としています。骨が十分に癒合した後も、プレートを体内に残しておくことは可能です。

 

しかし、金属アレルギーや感染のリスク、転倒してプレートに接した部位が骨折する可能性などがあります。

 

 

鎖骨骨折は全治何ヶ月ですか?

鎖骨骨折の治癒期間は、骨折の種類や治療法、個人の回復力によって異なります。

 

一般的には、骨の癒合には約6〜8週間を要しますが、完全な機能回復やスポーツ復帰にはさらに時間がかかることがあります。

 

 

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鎖骨骨折の変形治癒のまとめ

 

鎖骨骨折後、骨がずれたまま癒合することを「変形治癒」と言います。変形治癒では鎖骨が元の形状と異なり、外見上の変形や肩の動きが悪くなる可能性があります。

 

主な原因は、骨の位置が正しく戻らないことや固定不足です。予防には、手術療法やクラビクルバンドでの固定、適切な安静が重要です。

 

放置すると偽関節が生じ、痛みや肩の動きに影響を与える可能性があります。適切な治療選択が、その後の生活の質を左右します。

 

鎖骨骨折の変形治癒が後遺障害が認定されず、お困りの事案があればこちらからお問い合わせください。

 

 

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