交通事故で後遺障害12級の認定を受けるには、どのような通院日数や期間が必要なのでしょうか?被害者の方にとって、認定基準や適切な通院方法を理解することは非常に重要です。
特に、認定に必要な日数や期間を正しく把握して適切な証拠を揃えることが、後遺障害認定やその後の損害賠償請求において大きな影響を与えます。
本記事では、後遺障害12級に必要な通院日数や期間について詳しく解説しています。さらに、具体的な認定基準のポイントや認定事例にも触れています。
最終更新日:2025/1/16
Table of Contents
後遺障害12級に必要な通院日数
後遺障害12級の通院日数は傷病で異なる!
後遺障害12級の認定に必要な通院日数は、傷病の種類によって大きく異なります。むちうちや腰椎捻挫などの客観的所見に乏しい事案では、後述するように定期的な通院が求められます。
一方で、骨折のような明確な損傷を伴う事案では、通院日数が少なくても問題ありません。具体的に、それぞれで必要な通院日数は、以下の項を参照してください。
1. むちうちと腰椎捻挫は毎月10日以上
むちうちや腰椎捻挫が後遺障害12級に認定されるためには、6ヶ月後の症状固定まで、毎月10日以上の通院が必要です。
むちうちや腰椎捻挫は客観的な所見に乏しいので、通院日数が多いことが、症状が続いていることの客観的証拠になると考えられているからです。
2. 骨折や靭帯損傷では毎月2日以上
骨折や靭帯損傷の後遺障害12級認定では、一般的に毎月2日以上の通院が問題ないケースが多いです。
骨折や靭帯損傷は、客観的な画像検査で明確な所見があるため、通院日数で症状が続いていることを証明する必要はないからです。
後遺障害12級に必要な通院期間は6ヶ月以上
後遺障害12級の認定には、通院期間が6ヶ月以上必要です。具体的には、むちうちなどの神経症状の場合、通院日数が60日以上であることが目安とされています。
通院期間が6ヶ月未満であったり、通院頻度が低すぎると、後遺障害に認定されないので注意が必要です。
後遺障害12級の認定基準
後遺障害14級は、症状が医学的に証明されていなくても認定されるケースがあります。
しかし、後遺障害12級の認定には、医学的検査や客観的な証拠によって、症状の存在を証明することが求められます。
この違いのため、後遺障害12級と14級の間には、認定の難易度に大きな差があるとされています。
なお、後遺障害12級には1号から14号までの等級があり、こちらに記載しているように、具体的な認定基準が定められています。
<参考>
後遺障害が12級に認定されるポイント|交通事故の医療鑑定
むちうちの後遺障害12級認定ポイント【弁護士必見】
後遺障害12級と14級の違い
自賠責保険の後遺障害では、12級と14級で認定基準が大きく異なります。14級9号は「局部に神経症状を残すもの」とされ、症状が医学的に証明されなくても認定されます。
一方、12級13号は「局部に頑固な神経症状を残すもの」とされ、症状が医学的検査や客観的な証拠によって証明される必要があります。
具体的には、身体所見と画像所見の両方において、後遺症の存在を証明できる必要があります。両方の条件をクリアするハードルは極めて高いです。
14級の条件+身体所見と画像所見の完全一致が必要
後遺障害12級の認定には、14級の条件に加えて、身体所見と画像所見の完全な一致が求められます。
具体的には、MRI検査で明確な異常所見が確認されて、その所見が自覚症状と一致していることが必要です。それ以外にも、深部腱反射が消失もしくは低下している必要があります。
<参考>
むちうち後遺症が首の痛みだけで後遺障害認定される?|交通事故の医療鑑定
医師意見書の重要性
後遺障害12級の認定では、身体所見や画像所見が後遺症と完全に一致する必要があります。各科の専門医以外が、自賠責保険の判断に対して論理的に主張するのは、極めて難しいのが実情です。
特に、後遺障害12級に認定されず、異議申し立てする事案では、医師意見書が非常に重要な役割を果たします。
後遺障害12級が認定されず、お困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
<参考>
後遺障害12級の認定事例
【12級6号】手首骨折の後遺障害認定事例
事案サマリー
- 被害者:42歳
- 初回申請:非該当
- 異議申立て:12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)
歩行中に自動車に衝突されて橈骨遠位端骨折を受傷しました。初回申請で非該当でしたが、手首の痛みが強く日常生活への影響が大きいため、弊社に相談がありました。
弊社の取り組み
手首の痛みを精査する目的で、3テスラのMRIを再施行しました。MRIでは、TFCC損傷の所見がありました。
手の外科専門医(整形外科専門医)による意見書を作成しました。自賠責保険は手関節のTFCC損傷の存在をみとめ、12級13号を認定しました。
【12級7号】足首骨折の後遺障害認定事例
事案サマリー
- 被害者:60代男性
- 認定等級:12級13号
本件は症状固定前の時点で相談を受けた事例です。
弊社の取り組み
提出資料のレントゲン検査では変形の残存や関節症性変化を窺わせる所見はあるものの(赤丸部)、明確な他覚的所見には至らないと判断しました。この点をクリアするために、CT検査の追加撮像を提案しました。
CT検査では関節面の陥凹と変形が残存していることが確認できたため(黄丸部)、後遺障害認定で非常に有益な所見となりました。
【12級13号】眼窩底骨折の後遺障害認定事例
事案サマリー
- 被害者:30歳
- 傷病名:眼窩底骨折
- 被害者請求:14級9号
- 異議申立て:12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)
バイク乗車中に自動車と衝突して受傷しました。左頬部のしびれと知覚障害が残りましたが、被害者請求では14級9号に留まりました。
弊社の取り組み
改めて画像検査を精査したところ、CT検査で神経管周囲にfree airを認めました。大学病院の耳鼻科医師(助教)による画像鑑定報告書を添付して異議申し立てしたところ、12級13号が認定されました。
<参考>
【医師が解説】眼窩底骨折の後遺症が等級認定されるヒント|交通事故
【12級13号】むちうちの後遺障害認定事例
事案サマリー
- 被害者:46歳
- 初回申請:非該当
- 異議申立て:12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)
交通事故後に頚部痛と右頚部から母指にかけて放散する痛みが持続していました。痛みのため、1年以上通院、治療を余儀なくされましたが、症状は改善しませんでした。初回申請時には非該当と判定されました。
弊社の取り組み
診療録を詳細に確認すると、受傷直後から頚椎椎間板ヘルニアに特徴的な「スパーリング徴候陽性」と複数箇所に記載されていました。
MRIで、C5/6レベルに椎間板ヘルニア(矢印)を認め、患者さんの上肢痛(右母指にかけての放散痛)は椎間板ヘルニアが圧迫しているC6神経根の知覚領域と完全に一致していました。
脊椎脊髄外科指導医が診療録を確認して、初回申請時に見落とされていた身体所見を記載した医師意見書を作成しました。異議申立てを行ったところ12級13号が認定されました。
【12級13号】鎖骨骨折の後遺障害認定事例
事案サマリー
- 被害者:48歳
- 事前認定:14級9号
- 異議申し立て:神経障害として12級13号が認定
弊社の取り組み
鎖骨骨幹部骨折に対して、プレート固定術が施行されましたが痛みが残りました。
単純X線像(レントゲン検査)では骨癒合しているように見えるため、事前認定では14級9号にとどまりました。
弊社でCT検査を追加施行することを提案したところ、骨幹部に遷延癒合を確認できました。
術後に痺れが残存した鎖骨上神経障害も加味された可能性もありますが、神経障害として12級13号が認定されました。
【12級13号】腰椎捻挫の後遺障害認定事例
事案サマリー
- 被害者:46歳
- 初回申請:非該当
- 異議申立て:12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)
交通事故後に腰痛と右下肢に放散する痛みが持続していました。痛みのため、半年以上通院を余儀なくされましたが、症状は改善しませんでした。初回申請時には非該当と判定されました。
弊社の取り組み
弊社に相談があり、診療録を詳細に確認すると、受傷直後から腰椎椎間板ヘルニアに特徴的な「ラセーグ徴候陽性」と複数箇所に記載されていました。
MRIで、L4/5レベルに椎間板ヘルニア(矢印)を認め、患者さんの右下肢痛は椎間板ヘルニアが圧迫しているL5神経根の知覚領域と一致していました。
脊椎外科専門医が診療録を確認したところ、初回申請時に見落とされていたため、これらの所見を丁寧に医師意見書に記載しました。
初回申請時には、腰椎MRI画像で確認できる椎間板ヘルニアの所見が軽視されていたため、読影所見の補足も行いました。異議申立てを行ったところ12級13号が認定されました。
【12級13号】脛骨高原骨折の後遺障害認定事例
事案サマリー
- 事案背景:事前認定は14級9号でしたが、後遺症との乖離があるため医療相談を受けました
- 受傷機序:高所からの転落により受傷
- 自覚症状:右膝関節の痛み、小走り時の跛行
- 画像所見:脛骨骨折部に陥凹変形を疑う所見あり(自賠責保険は「良好な整復癒合」と評価)
等級スクリーニングを実施したところ、骨折部にわずかな変形が残存している可能性がありました。被害者に追加でCTを受けていただいたところ、脛骨外側関節面に変形を認めました(赤丸)。
弊社の取り組み
自賠責保険の審査結果に対する反論および後遺障害の蓋然性を主張する医師意見書を作成して異議申立てを行いました。
事前認定では「骨折や半月板損傷は認められるものの、鏡視下観血的整復術が施行され、良好な整復癒合が認められる」として14級9号の認定にとどまっていましたが、異議申し立てでは12級13号が認定されました。
自賠責保険の後遺障害12級認定で弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、交通事故で残った後遺症が、自賠責保険で後遺障害12級に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニングは、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニングの有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニングを承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
自賠責保険の後遺障害12級認定でお悩みの被害者の方へ
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。
後遺障害12級で請求できる損害賠償金
自賠責保険で後遺障害12級に認定されると、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を請求できます。
後遺障害慰謝料とは
交通事故で後遺障害が残ってしまった精神的苦痛に対する補償金です。後遺障害慰謝料は、下の表のように後遺障害等級によって異なります。
後遺障害等級 | 後遺障害慰謝料 |
1級 | 2800万円 |
2級 | 2370万円 |
3級 | 1990万円 |
4級 | 1670万円 |
5級 | 1400万円 |
6級 | 1180万円 |
7級 | 1000万円 |
8級 | 830万円 |
9級 | 690万円 |
10級 | 550万円 |
11級 | 420万円 |
12級 | 290万円 |
13級 | 180万円 |
14級 | 110万円 |
後遺障害12級の後遺障害慰謝料の相場は?
後遺障害12級の慰謝料は、算定基準によって異なります。自賠責基準では94万円 、弁護士基準では290万円が相場とされています。弁護士基準は裁判所の判例を基にしており、最も高額な基準とされています。
後遺障害逸失利益とは
後遺障害が残ると、労働能力が低下してしまいます。労働能力が低下したために失うであろう収入の不足分に対する補償金です。
後遺障害逸失利益は、交通事故被害者の年収、年齢をベースにして、後遺障害等級に応じた労働能力喪失率と労働能力喪失期間で決まります。後遺障害逸失利益は、以下の計算式で算出されます。
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数
後遺障害12級の後遺障害逸失利益の相場は?
後遺障害12級の労働能力喪失率は14%とされています。逸失利益の具体的な金額は、被害者の年齢や収入によって異なります。
例えば、25歳男性のケースでは、労働能力を14%失ったことによる症状固定~67歳までの減収額が、約1,841万円とされるケースもあります。
後遺障害12級の通院日数でよくある質問
通院10回の慰謝料はいくらですか?
通院回数が10回の場合、慰謝料の金額は算定基準によって異なります。自賠責基準では、1日あたり4,300円が支払われます。ただし、通院日数が2日(通院期間10日)の場合、慰謝料額は17,200円となります。
一方、弁護士基準では、通院期間1ヶ月(30日)で軽傷の場合19万円、重傷の場合28万円が基準となります。これを日割り計算すると、通院10日の場合、軽傷で約6万3,000円、重傷で約9万3,000円となります。
後遺障害12級は難しいですか?
後遺障害12級の認定は、骨折では比較的可能性がありますが、むちうちや打撲などでは認定が難しいとされています。
12級13号は、痛みなどの神経症状があり、その原因となる骨や筋肉の異常が、MRI検査で証明できる場合に認定されます。
まとめ
後遺障害12級の認定に必要な通院日数は、傷病によって異なります。むちうちや腰椎捻挫では、毎月10日以上の通院が必要で、症状固定まで6ヶ月以上が目安です。
一方、骨折や靭帯損傷は月2日以上でも認定されやすいです。12級認定には、身体所見や画像所見と後遺症が完全に一致していることが求められます。
特に、むちうちなどでは医学的証明が重要で、客観的証拠の提出が欠かせません。後遺障害12級では、医師意見書が認定成功の鍵となります。
後遺障害12級が認定されるハードルは高いです。自賠責保険の後遺障害12級が認定されず、お困りの事案があればこちらからお問い合わせください。
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