交通事故コラム詳細

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交通事故と視力低下の因果関係を証明するポイント|医療鑑定

交通事故に遭って、失明や視力低下をきたすことは珍しくありません。交通事故で視力が低下したら、自賠責保険で後遺障害認定される可能性があります。

 

視力低下の等級は、その症状の種類や重さによって決まります。また、視力低下が後遺障害に認定されるためには、交通事故と視力低下の因果関係を証明する必要があります。

 

本記事は、視力低下の種類や検査と、視力低下が後遺障害に認定される条件を理解するヒントとなるように作成しています。

 

 

最終更新日:2024/9/1

 

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交通事故後によく見られる視力低下の症状

失明

失明は、眼球を失ったケースや、光の明暗が全くわからない、あるいはかろうじて区別できる状態を指します。明暗の区別は、以下の視力で判断されます。

 

  • 光覚弁: 暗い部屋で照明を点滅させ、明暗を区別できる視力
  • 手動弁: 目の前で手を動かし、その方向を判断できる視力

 

 

視力低下

視力低下の主な症状は、「ものがぼやける」「目がかすむ」「二重に見える」「視野に幕がかかる」などです。

 

 

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視力低下を証明する方法

交通事故による視力低下の診断方法

スリット検査と直像鏡検査

 

スリット検査は、細隙灯顕微鏡という装置を使って眼球を調べる方法です。細隙灯からの細い光を眼球に当てて、顕微鏡で拡大します。

 

結膜、角膜、前房、虹彩、瞳孔、水晶体、硝子体などの各組織を直接観察して、異常がないか確認します。

 

直像鏡検査は、直像鏡を使って眼底部を直接観察して異常を探す検査です。

 

 

網膜電図(ERG)

 

スリット検査や直像鏡検査で異常が見つからないケースでは、網膜電図(ERG)などの電気生理学的検査を施行します。

 

網膜電図は、網膜の光に対する反応を記録して異常を検出する検査です。

 

光が目に入ると、網膜の光受容器細胞が刺激を受け、脳に電気信号を送ります。網膜電図は、この電気信号を検出します。

 

 

視覚誘発電位検査(VEP)

 

視神経損傷が視力低下の原因の場合には、視覚誘発電位検査(VEP)を行って網膜から後頭葉に至る視覚伝達路の異常をチェックします。

 

視覚誘発電位検査は、視覚的な刺激を与え、それに対する脳の反応(電位)を測定して異常を確認する方法です。外部からの視覚刺激に対して、脳がどのように反応するかを検査します。

 

 

万国式視力表による視力検査

 

視力低下の度合いは、万国式試視力表を使って評価されます。この視力表は、さまざまな向きの「ランドルト環」やアラビア数字などで構成されています。

 

 

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眼球の外傷による視力低下

眼球外傷による視力低下が後遺障害として認定されるには、交通事故の外傷による客観的な所見で視力障害が証明される必要があります。

 

眼球外傷による視力障害は、前眼部、中間透光体、眼底部の検査で確認します。前眼部と中間透光体の異常はスリット検査で調べ、眼底部の異常は直像鏡検査で確認します。

 

これらの検査で、前眼部、中間透光体、眼底部のいずれかに損傷が見つかった場合、その結果を後遺障害診断書に添付します。

 

 

視神経損傷による視力低下

視神経損傷による視力低下が後遺障害として認定されるには、交通事故の外傷による客観的な所見で視力障害が証明される必要があります。

 

視覚誘発電位検査(VEP)を行って、網膜から後頭葉に至る視覚伝達路に異常がないかを確認します。この検査では、光刺激を与えて後頭葉の脳波を誘発して、その動きを記録します。

 

 

むちうち(頚椎捻挫)による視力低下

むちうち(頚椎捻挫)が原因となって、視力低下が起こるケースもあります。しかし、むちうちと視力低下の因果関係を証明するのは非常に難しいです。

 

弊社の経験でも、むちうちを原因とした視力低下が、後遺障害に認定されたケースは存在しません。

 

 

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【弁護士必見】交通事故と視力低下の因果関係を証明するポイント

むちうちの視力低下は後遺障害に認定されない

むちうちは首の痛みがメインですが、それ以外にも頭痛、めまい、耳鳴り、眼精疲労、視力低下などの症状が出ることがあります。

 

むちうちに視力低下を伴った状態は、バレリュー症候群と言います。バレリュー症候群は、むちうちに自律神経失調症状を合併した状態です。

 

むちうち(バレリュー症候群)による視力低下が、後遺障害に認定されるケースはほとんど存在しません。

 

むちうちに関しては、視力低下よりも首の痛みや腕の痛み・しびれなどの神経症状で後遺障害認定を目指す方が良いでしょう。

 

 

<参考>

 

 

 

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交通事故と視力低下の因果関係の証明には眼や頭部の外傷が必須

スリット検査、網膜電図、視覚誘発電位検査などで視力低下の存在を証明しても、それだけでは後遺障害に認定されません。

 

交通事故による視力低下が後遺障害に認定されるためには、視力低下の原因となった眼や頭部への外傷が必須です。

 

具体的には、眼球外傷の存在や、CT検査やMRI検査で脳挫傷などの頭部外傷が証明される必要があります。

 

 

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経時的に悪化する視力低下は加齢性変化とみなされやすい

弊社に相談される事案では、受傷時から少しずつ視力が悪化したため、交通事故との因果関係を否定されて非該当になったケースが多いです。

 

それらの事案の多くは、加齢や私病による視力低下です。しかし、中には交通事故による外傷のために視力が悪化した事案も散見します。

 

このような事案では、眼科専門医による医師意見書が必要です。交通事故と視力低下の因果関係が否定されてお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

 

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Traffic accident patient

 

 

視力低下の後遺障害認定で弊社ができること

弁護士の方へ

弊社では、交通事故による視力低下が後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。

 

 

等級スクリーニング

 

現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。

 

等級スクリーニングは、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。

 

等級スクリーニングの有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニングを承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。

 

 

<参考>
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

 

 

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医師意見書

 
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。

 

医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。

 

医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。

 

弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。

 

 

<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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画像鑑定報告書

 

交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。

 

画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。

 

画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。

 

弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。

 

 

<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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交通事故による視力低下でお悩みの被害者の方へ

弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。

 

また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。

 

もし、後遺障害で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。

 

尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。

 

 

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眼のケガで認定される後遺障害等級

視力障害

視力の後遺障害は、矯正視力(眼鏡やコンタクトレンズで矯正した視力)で審査されます。視力障害で考えられる後遺障害とその等級は、以下のとおりです。

 

等級

認定基準

1級1号

両眼が失明

2級1号

1眼が失明、もう1眼は視力が0.02以下

2級2号

両眼の視力が0.02以下

3級1号

1眼が失明、もう1眼は視力が0.06以下

4級1号

両眼の視力が0.06以下

5級1号

1眼が失明、もう1眼は視力が0.1以下

6級1号

両眼の視力が0.1以下

7級1号

1眼が失明、もう1眼は視力が0.6以下

8級1号

1眼が失明し、または1眼の視力が0.02以下

9級1号

両眼の視力が0.6以下

9級2号

1眼の視力が0.06以下

10級1号

1眼の視力が0.1以下

13級1号

1眼の視力が0.6以下

 

 

調節機能障害(目のピントが合わない)

眼はカメラのレンズのように、見たい距離に応じて網膜上に焦点を合わせる機能を持っています。この機能を調節機能といいます。

 

等級

認定基準

11級1号

両眼の眼球に著しい機能調節障害を残すもの

12級1号

1眼の眼球に著しい調節機能障害を残すもの

 

目の調節機能障害(ピントが合わない)は、アコモドポリレコーダーという調節機能検査装置で検査します。

 

「著しい調整機能障害を残すもの」は、反対側の眼よりも調整機能が1/2以下に減少したものをいいます。

 

ただし、人は加齢によって眼の調節機能が減少します。このため、55歳以上では調整機能障害として認定されません。

 

 

<参考>
【医師が解説】事故後の目がぼやける症状は後遺症?|医療鑑定

 

 

運動障害

注視野が減じたもの

 

眼球は、6本の眼筋によってスムーズに動きます。眼筋が麻痺すると眼がずれてしまい、注視野が狭くなったり複視が残ります。

 

等級

認定基準

11級1号

両眼の眼球に著しい運動障害を残すもの

12級1号


1眼の眼球に著しい運動障害を残すもの

 

「眼球に著しい運動障害を残すもの」は、眼球の注視野が1/2以下に減少したものをいいます。

 

 

複視

 

複視とは、1つの物が二重に見える状態です。両眼で見たときに二重に見える「両眼複視」が一般的ですが、片眼で見たときに二重に見える「単眼複視もあります。複視の後遺障害認定では、「両眼複視」が対象となります。

 

等級


認定基準

10級2号

正面を見た場合に複視の症状を残すもの

13級2号

正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの

 

 

<参考>
【医師が解説】複視が後遺障害認定されるポイント|医療鑑定

 

 

視野障害

視野とは、片眼で一点を見ている時に見える範囲です。視野が小さくなると後遺障害に認定されます。

 

等級

認定基準

9級3号

両眼に半盲症、視野狭窄または視野変状を残すもの

13級2号

1眼の半盲症、視野狭窄または視野変状を残すもの

 

視野の異常は、大きく分けて狭窄、半盲、視野変状の3種類があります。視野狭窄は視野が狭くなることで、半盲症は視野の右半分や左半分が見えなくなる状態です。

 

視野変状には,視野欠損と暗点があります。視野欠損は視野が不規則に失われているもの、暗点は視野の中に見えない部分があるものです。

 

 

まぶたの欠損障害

等級

認定基準

9級4号

両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

11級3号

1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

13級4号

両目のまぶたの一部に欠損を残し、又はまつげはげを残すもの

14級1号

1眼のまぶたの一部に欠損を残し、又はまつげはげを残すもの

 

「まぶたに著しい欠損を残すもの」は、目を閉じたときに、まぶたで角膜を完全に覆えないものをいいます。

 

「まぶたの一部に欠損を残すもの」は、目を閉じたときに。まぶたで角膜を完全に覆えるものの、白目が露出している状態です。

 

 

まぶたの運動障害

等級

認定基準

11級2号

両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの

12級2号

1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの

 

「まぶたに著しい運動障害を残すもの」は、以下のいずれかの状態が該当します。

 

  • まぶたを開けた時に、まぶたが完全に瞳孔を覆ってしまうもの
  • まぶたを閉じた時に、角膜を完全に覆えないもの

 

 

<参考>
【医師が解説】目とまぶたの後遺障害とは?|交通事故の医療鑑定

 

 

外傷性散瞳

外傷性散瞳とは、目を打った後に瞳孔が広がったままになる状態です。

 

瞳孔の光に対する調整能力が失われたり弱まったりするため、まぶしさを感じて生活が困難になる後遺症を引き起こします。

 

 

<参考>
【医師が解説】外傷性散瞳の後遺障害認定ポイント|医療鑑定

 

 

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まとめ

 

交通事故で視力が低下したら、自賠責保険で後遺障害認定される可能性があります。しかし、後遺障害に認定されるためには、交通事故と視力低下の因果関係を証明する必要があります。

 

交通事故と視力低下の因果関係を証明するためには、視力低下の原因となった眼や頭部への外傷が必須です。具体的には、眼球外傷の存在や、CT検査やMRI検査で脳挫傷などの頭部外傷が証明される必要があります。

 

 

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