「しびれ」は、交通事故でよく見かける後遺症のひとつです。むちうちや腰椎捻挫だけではなく、「しびれ」は手足のケガでも発症します。
「しびれ」は交通事故の後遺症として一般的ですが、必ずしも自賠責保険で後遺障害に認定されるわけではありません。
本記事は、「しびれ」が後遺障害に認定されるヒントとなるように作成しています。
最終更新日: 2024/5/29
Table of Contents
「しびれ」で認定される後遺障害等級
自賠責保険では、「しびれ」の症状で認定される後遺障害には14級9号と12級13号があります。この2つの後遺障害等級では、14級9号に認定されるケースが圧倒的に多いです。
後遺障害14級に認定される「しびれ」
自賠責保険の用語では、「しびれ」のことを神経症状と言います。しびれは「局部に神経症状を残すもの」として14級9号に認定されます。
しかし、しびれがあれば必ず後遺障害14級9号に認定されるわけではありません。むしろ、ほとんどのケースが非該当になっているのが現実です。
<参考>
【日経メディカル】初回認定率は約5%!自賠責保険の厳しい現実
後遺障害12級に認定される「しびれ」
しびれは後遺障害12級13号に認定されるケースもあります。12級13号は「局部に頑固な神経症状を残すもの」です。
12級13号と14級9号の違いは「頑固な」というフレーズです。具体的には、MRI検査やレントゲン検査で客観的に後遺症の存在を証明する必要があります。
しびれの原因となる傷病
しびれを発症するケガはたくさんあります。代表的な傷病は以下のごとくですが、ほとんどの外傷でしびれを発症する可能性があります。
しびれを発症するケガとして最も多いのは「むちうち」でしょう。それ以外にも腰椎捻挫や骨折でもしびれを残す可能性があります。
当然、脊髄損傷、神経損傷、頭部外傷では、しびれを発症する可能性があります。しかし、これらの傷病では、しびれ以外の後遺症が後遺障害の対象になるケースが多いです。
【弁護士必見】しびれの後遺障害14級認定ポイント
しびれで後遺障害14級9号に認定される具体例
前述のように、しびれがメインの症状である事案では、後遺障害14級9号認定を目標とするケースがほとんどです。
しびれが後遺症となるケガでは、むちうちが最も多いです。14級9号は、むちうちの後遺症に悩む人の現実的な救済手段として重要なのです。
しかし14級9号と言えども、決して後遺障害認定のハードルは低くありません。むしろほとんどの事案は、非該当になるという重い現実があります。
14級9号の後遺障害認定基準は「局部に神経症状を残すもの」です。12級13号の「頑固な」が無いだけでほぼ同じ文言です。
後遺障害認定基準を翻訳すると「画像所見や神経学的所見などの他覚所見によって客観的に証明できないが、事故形態や治療経過などから、症状の存在を医学的に推定できるもの」となります。
具体的には、以下のような事案が14級9号に認定される典型的なケースだと考えています。
後遺障害14級9号の具体例
症状
- 右頚部痛
- 右上肢の痛みとしびれ
MRI検査
- C5/6の椎間板変性と正中型の椎間板ヘルニアを認める
- 右椎間孔の狭窄は明らかではない
神経学的所見
- スパーリングテスト(Spurling test)陽性
- ジャクソンテスト(Jackson test)陽性
- 右上肢の深部腱反射(腕橈骨筋反射)正常
通院頻度
- 毎月10回以上通院
- 通院期間が6ヵ月以上
後遺障害14級9号は、ひとつでも条件が欠けると認定されないのではなく、総合点で何点以上であれば認定しましょうという感覚です。
<参考>
【医師が解説】後遺障害が14級に認定されるには?ポイントを紹介
後遺障害14級9号の認定ポイント
後遺障害14級9号は「救済等級」と呼ばれており、交通事故被害者の窮状がある程度考慮されます。
感覚的に言うと、後遺障害12級13号は減点方式で、1点でも減点対象があると後遺障害に認定されません。
一方、後遺障害14級9号は絶対にクリアするべき基準があるものの、加点方式に近い総合判定のイメージです。
つまり、最低限の認定基準をクリアしていれば、減点対象が少しぐらいあっても、他の項目で著しく高い点数があれば総合判定で認定されます。
審査側担当者の感覚的な部分もあるので、12級13号よりも14級9号の認定確率を予測する方が難しいと感じています。
逆に言うと、後遺障害14級9号は総合判定なので、対策次第で認定される可能性があります。非該当でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
「しびれ」で後遺障害14級9号が認定された事例
事案サマリー
- 被害者:60歳
- 初回申請:非該当
- 異議申立て:後遺障害14級9号(局部に神経症状を残すもの)
交通事故後に頚部痛と両手のしびれを自覚されていました。受傷から半年間通院されましたが、頚部痛と両手のしびれは改善せず、後遺障害診断書が作成されましたが、非該当と判定されたため、弊社に相談がきました。
弊社の取り組み
MRI検査を脊椎脊髄外科専門医が読影したところ、頚椎後縦靭帯骨化症が存在していることが明らかになりました。診療録を確認すると、受傷当日から首の痛みと両手のしびれが記載されていました。
身体所見、画像所見および診療経過について、医師意見書を作成して異議申立てを行ったところ14級9号が認定されました。
まとめ
「しびれ」は、交通事故でよく見かける後遺症のひとつです。むちうちや腰椎捻挫だけではなく、「しびれ」は手足のケガでも発症します。
しびれを発症する代表的な傷病は以下のごとくで、最も多いのはむちうち(頚椎捻挫)です。
後遺障害14級9号は、基本となる認定基準をクリアしていれば、それ以外の条件が多少足りなくても、総合判定で後遺障害が認定される傾向にあります。
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