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【医師が解説】打撲でも病院に行くべきか|交通事故の後遺障害

「打撲でも病院に行くべきか」は、私たち整形外科医がよく訊かれる質問のひとつです。結論から申し上げると、ごく軽度の打撲以外は病院で診察を受けるべきでしょう。

 

そして打撲の原因が交通事故である場合には、ごく軽度の打撲であっても受傷してからすぐに病院に行く方が良いです。

 

本記事は、現役の整形外科医が、打撲でも病院に行くべき理由について説明しています。

 

 

最終更新日:2024/4/19

 

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打撲とは骨折や靭帯損傷に至らなかった状態

 

転倒したり身体を物にぶつけると、大きな力のためにその部分の組織が損傷します。組織の損傷が、骨折や靭帯損傷には至らなかった状態が打撲です。

 

一般的に打撲は軽傷と思われがちです。しかし、単に初診時に骨折や靭帯損傷が発見されなかっただけのケースもあるので注意が必要です。

 

 

 

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打撲の症状は1ヵ月以上続くこともある

 

大きな外力が加わった部位の皮下組織が傷ついて内部出血するため、痛みや腫れが出現します。多くのケースで、皮膚の下に青黒い出血斑が出現します。

 

打撲による痛みや腫れは、1~2週間で症状が軽快する人が多いですが、1ヵ月以上続くケースもあります。皮下出血斑が消えるまでは、2~3週間かかることが多いです。

 

 

打撲の診断はレントゲン検査で行う

 

打撲した部分の状態に応じて、レントゲン検査で骨折の有無を確認します。場合によっては、CT検査やMRI検査を実施することもあります。

 

打撲(皮下血種)の診断目的でMRI検査を実施することはありませんが、靭帯損傷や骨折が無くても皮下血種を認めることが多いです。

 

 

打撲に対する治療はRICE処置が基本

 

痛みや腫れが強い場合にはRICE処置を行います。RICE処置とは、Rest(安静)、Icing(冷却)、 Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字から名付けられました。

 

軽度の打撲なら、包帯で打った部位を圧迫固定すると1~2週間で治ります。

 

 

打撲でも病院に行くべき3つの理由

 

特に交通事故で受傷した打撲を放置してはいけない理由には、以下の3つがあります。

 

  • 本当に打撲なのかは検査しなければ分からない
  • 事故との因果関係を否定される可能性がある
  • 後遺症が残っても後遺障害に認定されない

 

 

本当に打撲なのかは検査しなければ分からない

本当に骨折や靭帯損傷が無いのかは、整形外科専門医にしか判断できません。整骨院(接骨院)はもちろんのこと、外科医であっても正確な診断は困難です。

 

局所の痛みや腫れが軽度であっても、ずれの無い骨折や靭帯損傷が発見されるケースは後を絶ちません。一度は整形外科専門医の診察を受けることを強く推奨します。

 

 

事故との因果関係を否定される可能性がある

交通事故に遭ってから2週間ほど病院に行かなかった場合には、仮に骨折や靭帯損傷があっても、保険会社から事故と無関係な治療とみなされる可能性があります。

 

しかし、交通事故から2週間も病院に行っていない事実は変えようがありません。交通事故に遭ったら、すぐに病院に行きましょう。

 

 

後遺症が残っても後遺障害に認定されない

打撲をしっかり治療しても、痛みや腫れなどの後遺症が残る可能性があります。

 

その場合には、自賠責保険に後遺障害申請しますが、受傷してから3日以内に受診していないと、後遺障害に認定される可能性が著しく低下します。

 

自賠責保険の後遺障害認定の観点からも、交通事故に遭ったらすぐに医療機関を受診する必要があります。

 

 

<参考>

 

 

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打撲で病院に行くべき時期

受傷当日が望ましい

打撲でも病院に行くべき3つの理由で説明したように、打撲で病院行くべき時期は、受傷当日から3日目までが必須です。診療時間内であれば、受傷当日が望ましいでしょう。

 

 

夜間や祝祭日の事故では翌日

夜間や祝祭日の事故の場合には、軽い症状なら救急外来を受診するほどではありません。しかし、翌日には必ず受診するようにしましょう。

 

 

症状が強い場合には救急外来

痛みや腫れなどの症状が強い場合には、夜間や祝祭日の事故であっても救急外来を受診せざるを得ないでしょう。

 

 

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打撲の治療は整形外科と整骨院(接骨院)どちらがよい?

整形外科が圧倒的におすすめ

単純比較であれば、整形外科に通院するべきです。医学的にも、自賠責保険の後遺障害認定確率からも、整形外科への通院が圧倒的に有利です。

 

しかし、整形外科は医療機関なので数が少なく、診療時間が短いです。このため、忙しい人では通院しにくいケースも考えられます。

 

整形外科が近くに無かったり、診療時間内の通院が難しい場合には、整骨院(接骨院)での施術も選択肢のひとつです。

 

 

整骨院(接骨院)でも整形外科通院が必要

整骨院(接骨院)に行く場合には注意点があります。それは整形外科への通院も併用することです。

 

整骨院(接骨院)のみでは、保険会社から打ち切り対象になりやすいです。また後遺症が残ったとしても、自賠責保険で後遺障害に認定される可能性はゼロです。

 

 

<参考>
【医師が解説】整骨院に行かない方がいいのか|交通事故の後遺障害

 

 

 

nikkei medical

 

 

まとめ

 

打撲でも病院に行くべきかは悩むところですが、ごく軽度の打撲以外は病院で診察を受けるべきでしょう。

 

そして打撲の原因が交通事故である場合には、ごく軽度の打撲であっても受傷してからすぐに病院に行く方が良いです。

 

打撲でも病院に行くべき3つの理由には、以下の3つがあります。

 

  • 本当に打撲なのかは検査しなければ分からない
  • 事故との因果関係を否定される可能性がある
  • 後遺症が残っても後遺障害に認定されない

 

 

打撲で病院に行くべき時期は、受傷当日が望ましいです。打撲の治療は整形外科を強く推奨します。

 

 

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