交通事故で負った骨折が後遺障害認定されない理由にはいくつかあります。そして適切に対処すれば、後遺障害が認定されるケースも少なくありません。
本記事は、骨折が後遺障害認定されない理由と適切な対処法を理解するヒントとなるように作成しています。
最終更新日:2023/3/5
Table of Contents
骨折が後遺障害認定されない理由
骨癒合良好とされて後遺障害認定されない
骨折が後遺障害認定されない理由として最も多いのは、骨癒合良好とされて非該当になるケースでしょう。
たしかに、骨折してもほとんどの事案は骨癒合します。しかし、骨癒合すれば後遺症が残らないということにはなりません。
交通事故との因果関係を否定されて後遺障害認定されない
交通事故との因果関係を否定されて後遺障害認定されない事案も散見されます。最も多いのは、胸腰椎圧迫骨折で陳旧性が疑われる事案です。
一方、弊社では、手関節の舟状骨骨折が陳旧性骨折であるとされて非該当になった事案を、何例か取り扱った経験があります。
<参考>
【医師が解説】舟状骨骨折の後遺症が等級認定されるヒント|交通事故
骨折が後遺障害認定されない事案の対処法
骨癒合良好で後遺障害認定されない事案の対処法
最初にするべきことは骨折後遺症の原因精査
骨癒合良好とされて骨折が後遺障害認定されない事案では、後遺症(痛みや関節可動域制限など)の原因が何なのかを精査する必要があります。
骨折の後遺症は7種類ある
骨折の後遺症は、以下のように7種類あります。
- 骨折部の痛みやしびれ
- 関節の動きが悪くなる
- 背中が丸くなる
- 背骨の動きが悪くなる
- 骨の変形
- 骨がつかない
- 脚が短くなった
それぞれの症状の詳細や具体例は以下のリンク先にまとめています。必要に応じて参照してください。
<参考>
【医師が解説】骨折の後遺症の種類は?しびれもある?|交通事故
骨折後遺症の原因が永続することを証明する
骨折後遺症の原因が判明すれば、その原因が永続するものなのかを検討します。例えば、関節内骨折で関節面に段差を残して骨癒合した事案では、後遺症の原因は永続します。
骨折後遺症の原因が永続することを主張するためには、医師意見書や画像鑑定報告書が有効なケースが多いです。
<参考>
交通事故との因果関係を否定された事案の対処法
交通事故との因果関係を否定されて後遺障害認定されない事案では、自賠責保険が以下の理由を主張するケースが多いです。
- 事故前からの陳旧性骨折
- 交通事故後に受傷した私病
事故前からの陳旧性骨折
このパターンで最も多いのは、胸椎圧迫骨折や腰椎圧迫骨折でしょう。事故直後からの画像所見の推移を精査して、新鮮骨折なのか陳旧性骨折なのかを判断します。
レントゲン検査やCT検査だけでも判断できるケースが多いです。MRI検査でSTIRが撮像されていれば、さらに有効な画像所見になります。
交通事故後に受傷した私病
このパターンで最も多いのは、手や足の小さな骨の骨折でしょう。多発外傷では、大きなケガに目が行きがちです。一方、手足の骨折は腫れが少なく当初は気付かれないケースが多いです。
受傷から2週間以上経過してから見つかった骨折は、交通事故との因果関係を問われます。受傷時の画像検査や診療録の精査が、交通事故との因果関係証明の決定打になる可能性があります。
【弁護士必見】骨折が後遺障害認定されない事案のポイント
後遺症の原因精査が最も重要
これまで見てきたように、骨折が後遺障害認定されない理由で最も多いのは、骨癒合良好という理屈で後遺障害を否定されるケースです。
このパターンが適正な後遺障害が認定されるためには、残っている後遺症の原因を精査することが最も重要です。
後遺障害の見落としが多発している
骨折後の後遺症は多岐に渡るため、後遺障害の見落としが多発しています。このため、骨折の事案では、実臨床と自賠責認定基準の両方を熟知した整形外科専門医が、後遺障害の漏れが無いかをダブルチェックすることが望ましいでしょう。
骨折後に痛みや可動域制限が残ったにもかかわらず、非該当や想定よりも低い後遺障害等級になってお困りの事案があればこちらからお問い合わせください。
まとめ
骨折が後遺障害認定されない理由には、骨癒合良好とされて後遺障害認定されないケースと、交通事故との因果関係を否定されて後遺障害認定されないケースの2パターンがあります。
骨癒合良好とされて後遺障害認定されないケースでは、まず後遺症の原因を精査します。原因が特定されたら、後遺症が永続することを証明する必要があります。
交通事故との因果関係を否定されて後遺障害認定されないケースでは、画像所見の推移や、受傷時の画像検査や診療録を精査します。
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