交通事故でケガを負った場合、後遺障害14級が認定されるために必要な通院日数や通院期間はあるのでしょうか?
結論から言うと、医療機関への通院日数は合計60日以上、通院期間は6ヶ月以上です。
本記事は、年間1000例の交通事故事案を取り扱っている医療鑑定医師が、後遺障害14級が認定される通院日数や通院期間について説明しています。
最終更新日: 2024/11/4
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後遺障害14級が認定される通院日数
医療機関のみなら60日以上
病院や開業医(クリニック)に通院しているケースでは、60日がおおよその目安になります。
もちろん、60日以上通院したからと言って、自動的に後遺障害14級9号が認定されるわけではありません。
逆に、通院日数60日以上は最低限の条件だと考えましょう。これ以下の通院日数では後遺障害14級9号に認定される可能性は極めて低くなります。
医療機関+整骨院は80日以上
よくありがちなのは、非常に混雑している整形外科開業医を避けて、整骨院(接骨院)をメインにして施術を受けているパターンです。
しかし、自賠責保険は整骨院や接骨院での施術を、医療機関(病院や開業医)と同等には見ていません。
あくまでも、整骨院(接骨院)は医療機関の治療を緊急避難的に補完するものというスタンスです。
このため、医療機関のみの60日を大幅に上回る80日程度の通院が必要と思われます。
しかも、医療機関への通院が15~20日程度必要です。そして医療機関には月1日程度しか受診しておらず、それ以外は整骨院の施術で済ませているケースは、ほとんど非該当になります。
<参考>
【医師が解説】整骨院に行かない方がいいのか|交通事故の後遺障害
週3回の通院日数が実臨床と自賠責保険の最適解
弊社ではこれまで数千例の交通事故事案に取り組んできましたが、医療機関(病院や開業医)への通院日数には、実臨床と自賠責保険のベストミックスが存在すると考えています。
その通院日数とは週3日です。これぐらいの頻度が、治療面でも自賠責保険の後遺障害認定においても最適解ではないでしょうか。
<参考>
【医師が解説】交通事故にあったら毎日通院した方がいいのか?
むちうちの後遺障害14級とは
14級9号:局部に神経症状を残すもの
むちうちの主な症状は、後頚部痛や手の痛み・しびれです。これらの症状は、自賠責保険用語で「神経症状」と言います。
むちうちでは、12級13号と14級9号に認定される可能性があります。このうち、12級13号は非常に条件が厳しいため、むちうちで後遺障害に認定される事案のほとんどは14級9号です。
局部に神経症状を残すものとは、局部=頚部や上肢に、神経症状=痛みやしびれを残すものという意味です。
後遺障害認定基準の解説
14級9号の後遺障害慰謝料は、12級13号と比べて低いものの、後遺障害等級認定の確率は各段に高いです。このため、むちうちの後遺症に悩む人の現実的な救済手段として14級9号は重要です。
しかし14級9号と言えども、決して後遺障害に等級認定されるハードルは低いわけではありません。むしろほとんどの事案は、14級9号にも認定されず非該当になるという重い現実があります。
14級9号の自賠責認定基準は「局部に神経症状を残すもの」です。12級13号の「頑固な」が無いだけでほぼ同じ文言です。
自賠責認定基準をかみ砕いて翻訳すると「画像所見や神経学的所見などの他覚所見によって客観的に証明できないが、事故形態や治療経過などから、症状の存在を医学的に推定できるもの」となります。
14級9号の具体例
症状
- 左頚部痛
- 左上肢の痛みとしびれ
頚椎MRI
- C5/6の椎間板変性と正中型の椎間板ヘルニアを認める
- 左椎間孔の狭窄は明らかではない
神経学的所見
- スパーリングテスト(Spurling test)陽性
- ジャクソンテスト(Jackson test)陽性
- 左上肢の深部腱反射(腕橈骨筋反射)正常
上記のような事案が14級9号の典型例です。もちろん、14級9号の自賠責認定基準はこれだけではありません。
12級13号のように、どれかひとつの条件でも抜けると等級認定されないというわけではなく、総合点で何点以上であれば14級9号に等級認定しましょう、といったニュアンスです。
後遺障害14級が認定されるポイント
事故規模が大きい
後遺障害14級が認定されるためには、事故の規模が大きいことが重要です。例えば、高速道路での自動車事故や大規模な交通事故が該当します。軽微な事故では認定が難しい傾向にあります。
事故直後から6ヵ月以上通院している
通院期間としては、医療機関のみの場合にも、整骨院併用の場合でも、6ヶ月以上が必須です。弊社では、通院期間のデッドラインは5.5ヶ月と考えています。詳細は以下の記事を参照してください。
<参考>
【医師が解説】整形外科のリハビリはいつまで通う?|交通事故後遺症
通院日数が毎月10回以上ある
前述のように、毎月10回以上の通院が必要です。通院頻度が低いと、症状が軽いと判断される可能性があります。定期的な通院が後遺障害認定のポイントです。
受傷後から症状が一貫して継続している
受傷後から一貫して症状が継続していることが重要です。途中から症状が出現したり、通院を中断したりすると、後遺障害認定が難しくなります。
症状が重くて常時性がある
症状が重く、常時性があることが必要です。例えば「起床時に痛い」「長時間立っていると腰が痛くなる」などは、常時性が無いとみなされます。
画像所見と身体所見が合っている
画像所見と身体所見が一致していることが重要です。MRI検査やレントゲン検査などの画像検査で異常が確認できると、後遺障害認定の可能性が高まります。
【弁護士必見】後遺障害14級は通院回数だけではない
ご存知の弁護士は多いと思いますが、14級9号の自賠責認定基準において通院日数は最低限の条件に過ぎません。
通院日数をクリアしていることは必要最低限であり、この条件をクリアしていても多くの事案は非該当になります。
通院日数は、約20項目近くある自賠責認定基準の入り口の条件に過ぎません。実際の後遺障害14級認定のためには、更に高いレベルでの検討と対策が必要なのです。
<参考>
【医師が解説】頚椎捻挫の後遺症と後遺障害認定ポイント|医療鑑定
後遺障害14級認定で弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、後遺障害14級に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニングは、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニングの有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニングを承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
後遺障害14級認定でお悩みの被害者の方へ
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。
後遺障害14級でよくある質問
後遺障害認定の申請方法は?
申請方法には「事前認定」と「被害者請求」の2つの方法があります。事前認定は保険会社が手続きを代行し、被害者請求は自分で必要書類を揃えて申請します。後遺障害診断書や診療報酬明細書、交通事故証明書などが必要です
後遺障害14級の慰謝料相場は?
後遺障害14級の慰謝料は、自賠責保険基準では32万円、裁判基準では110万円が一般的です。
これに加えて、入通院慰謝料も請求可能です。慰謝料の額は、通院日数や治療内容、症状の一貫性などによって変動します。
後遺障害14級に認定されない時の対処法
後遺障害が非該当になったら、異議申し立てを行います。この際、交通事故専門の弁護士に相談することをお勧めします。
何度か異議申し立てしても後遺障害が認定されない場合には、自賠責紛争処理制度を利用することも可能です。ただし、自賠責紛争処理制度は一度しか利用できません。
異議申し立てや自賠責紛争処理制度を利用しても非該当のままであれば、最終的に裁判に持ち込むことも検討する必要があります。
まとめ
後遺障害14級が認定されるために必要な通院日数や通院期間は、医療機関への通院日数は合計60日以上、通院期間は6ヶ月以上です。
一方、医療機関と整骨院を併用する場合には、80日以上の通院日数が必要と考えられています。
しかし、14級9号の自賠責認定基準において通院日数は最低限の条件に過ぎません。後遺障害14級認定のためには、更に高いレベルでの検討と対策が必要です。
後遺障害14級認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
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