交通事故による脳挫傷では、症状が残っているにもかかわらず、後遺障害が非該当、または低い等級と判断されることがあります。
その結果に納得できず、「等級変更は本当に可能なのか」と疑問を抱く方も少なくありません。
実際には、評価が低くなった理由を正しく分析して、必要な医証を追加することで後遺障害等級が変更された例も存在します。
脳挫傷は画像所見だけでなく、記憶障害や注意障害などの症状評価が重要となるため、後遺障害認定の判断が分かれやすい傷病です。
本記事では、脳挫傷の後遺障害等級が変更される条件や基準を整理して、ポイントを分かりやすく解説しています。
最終更新日: 2025/12/21
Table of Contents
- 1 脳挫傷を後遺障害等級をスムーズに変更する方法とは?
- 2 脳挫傷の後遺障害認定サポートで当社が提供できること
- 3 脳挫傷の後遺障害が非該当でよくある質問
- 3.1 なぜ脳挫傷があるのに「後遺障害非該当」になったのですか?
- 3.2 脳挫傷で後遺障害等級が変更される可能性は本当にありますか?
- 3.3 異議申し立てでは何を追加すれば等級変更が認められやすくなりますか?
- 3.4 MRIやCTで脳挫傷が写っていれば等級認定されるのではないのですか?
- 3.5 高次脳機能障害と診断されていなくても異議申し立ては可能ですか?
- 3.6 記憶障害や注意力低下があるのに評価されなかったのはなぜですか?
- 3.7 主治医が協力的でない場合、異議申し立ては不利になりますか?
- 3.8 弁護士や専門家に依頼しないと等級変更は難しいですか?
- 3.9 初回で非該当になる理由として最も多いのは何か?
- 3.10 MRI・CT検査で明らかな異常がなくても等級認定されるのか?
- 3.11 画像検査と神経心理学検査の両方が必要なのか?
- 3.12 家族による日常生活状況報告書はどの程度評価されるのか?
- 4 まとめ
- 5 関連ページ
- 6 資料・サンプルを無料ダウンロード
脳挫傷を後遺障害等級をスムーズに変更する方法とは?
脳挫傷の後遺障害が認定されるための3条件
脳挫傷による高次脳機能障害が、後遺障害に認定されるためには、以下の3つの条件を全て満たす必要があります。
- 受傷時の意識障害が無い
- 症状固定期に脳損傷の画像所見が無い
- 頭部外傷の傷病名が無い
特に高次脳機能障害は目に見えにくいため、事故直後の意識レベルや、MRI検査での脳挫傷痕や脳室拡大などの客観的な証拠が重要視されます。
これらの証拠が揃っていないと、症状があっても「非該当」とされることが多くあります。
脳挫傷の後遺障害等級が低くなる3つの原因
高次脳機能障害が後遺障害に認定されても、実際に残っている後遺症の重さに比べて、低い後遺障害等級にとどまるケースがあります。
想定よりも等級が低く認定されてしまう背景には、以下の資料や検査結果が、実際の後遺症の状態を十分に反映していないことが挙げられます。
- 神経心理学的検査
- 神経系統の障害に関する医学的意見
- 日常生活状況報告書
高次脳機能障害の場合、被害者本人に病識が乏しいことも少なくないので、家族が障害を詳細に報告しないと審査側に正しく評価されません。
<参考>
高次脳機能障害の認定基準は2ステップが分かりやすい|交通事故の医療鑑定
非該当や低い等級になった原因を調べる
等級変更を目指す第一歩は、なぜ前回の認定でダメだったのか、その理由を正確に知ることです。
「後遺障害等級認定票」という書類を取り寄せ、そこに書かれている認定理由を詳しく分析します。
「画像所見が認められない」のか「事故との因果関係が不明」なのか、理由によって対策が全く異なります。
理由を突き止めずに闇雲に異議申し立てしても、結果が変わる可能性は低いため、まずは冷静な分析が必要です。

脳挫傷の認定基準を満たすための医証を集める
認定理由を覆すためには、新たな医学的証拠(医証)が必要です。具体的には、以下のような医証です。
- 新たな画像検査
- 新たな診断書
- 追加の神経心理学的検査
- 医師意見書
- 画像鑑定報告書
特に、脳の微細な損傷を捉えるためのより詳細な画像検査や、記憶力や注意力を測る追加の神経心理学的検査の実施などが重要です。
また、高次脳機能障害の後遺障害認定基準に足りない点を補うために、医師意見書や画像鑑定報告書などを取得することを検討します。
<参考>
自賠責保険に異議申し立てを行う
新たな医証が揃ったら、自賠責保険に「異議申し立て」を行います。これは「新しい証拠に基づいて再審査してください」という手続きです。
異議申し立て書には、前回の認定理由に対する具体的な反論と、それを裏付ける医学的根拠を論理的に記載します。
単に「辛いから等級を上げてほしい」という感情論ではなく、あくまで医学的な事実に基づいて主張することが成功のポイントです。
尚、脳挫傷が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事で詳しく紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
脳挫傷の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
結果が変わらなければ訴訟を検討する
異議申し立てを行っても納得のいく結果が得られない場合は、最終手段として裁判所への訴訟提起を検討します。
自賠責保険の審査は書面主義で画一的ですが、裁判では裁判官が個別の事情を考慮して判断してくれます。
実際、自賠責保険では否定された後遺障害等級が、裁判で認められるケースも珍しくありません。
ただし、訴訟には時間と費用がかかるため、弁護士と相談しながら、費用対効果を見極めて慎重に進める必要があります。
脳挫傷の後遺障害認定サポートで当社が提供できること
弁護士向け専門サポート
弊社では、交通事故で受傷した脳挫傷の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
被害者への弁護士紹介サービス
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

脳挫傷の後遺障害が非該当でよくある質問
なぜ脳挫傷があるのに「後遺障害非該当」になったのですか?
脳挫傷がある=後遺障害認定、とは限りません。後遺障害として認められるには、客観的な証拠で機能障害が残ると証明される必要があります。
たとえ、脳に傷があっても、麻痺や高次脳機能障害などの具体的な症状が医学的に証明できなければ非該当になります。
特に、高次脳機能障害は、画像検査だけでなく、行動の変化や認知機能の低下を検査数値で示す必要があります。
脳挫傷で後遺障害等級が変更される可能性は本当にありますか?
はい、可能性は十分にあります。初回の審査は提出された書類のみで行われるため、重要な情報が漏れていることがよくあるからです。
例えば、家族しか知らない家庭内での異常行動や、詳細な検査結果を新たに追加することで、審査側の判断が覆ることがあります。
実際に、適切な追加資料を提出して異議申し立てを行った結果、非該当から上位等級へ変更された事例は数多く存在します。
異議申し立てでは何を追加すれば等級変更が認められやすくなりますか?
効果的なのは、追加の画像検査や神経心理学的検査、日常生活状況報告書の追記・修正、医師意見書や画像鑑定報告書などです。
日常生活状況報告書では、被害者の家族が「事故前と比べてどう変わったか」を具体的にエピソードを交えて記述します。
医師意見書では、画像所見や神経心理学的検査の結果と、現在の症状の因果関係を、専門的な視点で補強します。
MRIやCTで脳挫傷が写っていれば等級認定されるのではないのですか?
画像に写っているだけでは不十分です。認定されるには、画像上の損傷場所と、実際に起きている症状が医学的に一致している必要があります。
例えば、記憶を司る部分に傷があるのに、記憶障害の症状がなければ認定されません。
逆に、画像上の傷が小さくても、それに対応する重篤な症状があり、詳細な検査でそれが裏付けられれば認定の可能性があります。
高次脳機能障害と診断されていなくても異議申し立ては可能ですか?
高次脳機能障害の診断名がついていなくても、症状があれば異議申し立ては可能です。しかし、成功率は低くなります。
このため、まずは脳神経科やリハビリテーション科の専門医にセカンドオピニオンを求めて、正式な診断を受けることを強くお勧めします。
主治医が高次脳機能障害に詳しくないケースもあります。専門医による適切な診断名を得てから異議申し立てを行うのが、等級認定への近道です。
記憶障害や注意力低下があるのに評価されなかったのはなぜですか?
ご家族や本人の訴えだけでは、証拠として不十分だと判断された可能性があります。
記憶障害や注意力低下を客観的に証明するには、「WAIS-IV」や「WMS-R」といった専門的な神経心理学的検査の数値データが不可欠です。
また、日常生活でどのようなミスをしたか、具体的なエピソードが日常生活状況報告書に欠けていたことも考えられます。
検査結果と具体的な生活実態の両方が揃って初めて、適正に評価されるようになります。
主治医が協力的でない場合、異議申し立ては不利になりますか?
主治医の協力がないと不利になるのは事実ですが、対策はあります。諦めずに、弁護士や医療鑑定会社などの専門家の力を借りることが重要です。
弁護士や専門家に依頼しないと等級変更は難しいですか?
ご自身で行うことも可能ですが、難易度は非常に高いと言えます。確実性を高めたいのであれば、専門家のサポートを受けるのが賢明です。
異議申し立てで等級を覆すには、医学と認定基準の両方の知識を駆使して、前回の審査の誤りを論理的に指摘しなければならないからです。
どの検査を追加すべきか、書類にどのような表現を使うべきかといった戦略は、経験豊富な弁護士や医療鑑定会社のノウハウが必要です。
初回で非該当になる理由として最も多いのは何か?
最も多い理由は、事故直後の意識障害の程度が軽かったり、症状固定時期における画像所見の乏しさです。
MRI・CT検査で明らかな異常がなくても等級認定されるのか?
画像上の異常がなくても認定される可能性はゼロではありませんが、極めてハードルは高いです。
この場合、事故直後に重度の意識障害があったことや、神経心理学的検査で明らかな異常値が出ていることを総合的に証明する必要があります。
画像がない分、それ以外の証拠を徹底的に積み重ねる必要があり、専門的な戦略が不可欠になります。
画像検査と神経心理学検査の両方が必要なのか?
はい、原則として両方必要です。画像検査は「脳のどこが壊れているか」を証明し、神経心理学的検査は「その結果、どのような機能が低下しているか」を証明します。
どちらか片方だけでは、原因と結果の因果関係が完全には証明できず、非該当や低い等級に認定される原因となります。
家族による日常生活状況報告書はどの程度評価されるのか?
高次脳機能障害の審査において、この報告書は極めて重要です。家族が書く具体的なエピソードは、障害の重さを判断する貴重な材料になります。
抽象的な表現ではなく、「何がどうできなくなったか」を詳細に書くことで、評価が大きく変わります。
まとめ
脳挫傷の後遺障害等級は、適切な証拠が不足すると非該当や低い等級にとどまることがあります。
特に、高次脳機能障害は目に見えにくく、事故直後の意識障害の程度、画像所見、神経心理学的検査結果、日常生活状況報告書の内容が重要です。
等級変更を目指すには、後遺障害等級認定票で非該当理由を分析して、不足する医証を補ったうえで異議申し立てを行う必要があります。
医学的根拠に基づく主張が不可欠で、専門家の支援により認定が覆る可能性もあります。
脳挫傷の後遺障害認定でお困りなら、こちらからお問い合わせください。初回の法律事務所様は無料で等級スクリーニングを承ります。
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