交通事故で脛骨高原骨折を負って治療したのに、後遺障害が非該当になった…。その結果に納得できない思いを抱えている方は少なくありません。
膝の痛みが残っている、正座や階段がつらい、以前のように仕事や日常生活が送れない。それでも非該当になるケースは実際に多く存在します。
しかし、脛骨高原骨折の後遺障害等級は、一度決まったら終わりではありません。
後遺障害の認定基準を正しく理解して、不足している医証を補い、適切な手続きを踏めば、等級変更が認められる可能性は十分にあります。
本記事では、脛骨高原骨折の等級変更を成功させるための具体的な方法やポイントまで、順を追って分かりやすく解説しています。
最終更新日: 2025/12/18
Table of Contents
脛骨高原骨折の後遺障害を等級変更するポイントとは?
脛骨高原骨折が非該当になる4つの原因
脛骨高原骨折の後遺障害が非該当になる原因として、主に以下のような4つが挙げられます。
- レントゲン検査だけで骨癒合が良好と判断される
- 痛みや可動域制限に画像的根拠がない
- 後遺障害診断書の記載内容が不十分
- 症状固定までの期間が6ヶ月未満
後遺障害が非該当になった原因を把握する
脛骨高原骨折の等級変更を成功させるには、まず非該当になった原因を正確に把握することが不可欠です。
自賠責保険から届く等級認定結果通知書には、以下のような具体的な原因が記載されています。
- 自覚症状を裏付ける客観的な医学的所見に乏しい
- 症状の推移から将来においても回復が困難とは捉えがたい
いずれも定型文ではあるものの、おおよその原因は把握できます。非該当の原因を分析して、前回申請で不足していた医学的根拠を収集します。
画像所見の乏しさ、身体所見と画像所見の不一致など、どの要素が問題なのかを特定することで、異議申し立てでの対応方針が明確になります。
弁護士であれば通院状況は判断できますが、医学的な不足点については、後遺障害認定基準を熟知した整形外科専門医の助言が必要です。

認定基準を満たすための医証を取得する
異議申し立てを実質的な後遺障害認定審査の俎上に乗せるためには、新たな医証の提出が必須です。
具体的には、追加のCT画像検査を実施して、脛骨外側関節面の変形や関節面の陥凹などの画像所見を得ることが有効です。
レントゲン検査だけでは不明瞭だった膝関節面の所見が、CT検査によって明確になることがあります。
また、整形外科専門医による医師意見書も重要です。医師意見書では、画像所見と症状の関連性、後遺症が残る蓋然性を医学的に解説します。
画像鑑定報告書は画像所見に基づく評価であるのに対して、医師意見書は画像検査、診療録、身体所見などを総合的に考慮した評価となります。
前回審査で画像所見が不足していた場合は画像鑑定報告書が、因果関係の立証が必要な場合は医師意見書が適しています。
<参考>
自賠責保険に異議申し立てする
必要な医証を揃えたら、自賠責保険に異議申し立てを行います。異議申し立て自体に費用はかかりませんが、追加の医証には実費が必要です。
異議申し立てでは、異議申立書に加えて、新たに実施した画像検査、医師の診断書、医師意見書、画像鑑定報告書などの添付資料を準備します。
審査期間は通常2~3ヶ月程度ですが、提出書類の内容や追加調査の有無で変動します。
効果的な異議申し立てには、前回認定で不足していた医学的根拠を補うことが重要です。
例えば、画像所見で関節面の不整像が認められたら、膝痛が他覚的に証明されているとして、14級や12級に等級変更されるケースもあります。
前回申請で提出した資料が不十分であった場合には、異議申し立てを通じて後遺障害等級が上がる可能性は十分あります。
尚、脛骨高原骨折が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事で詳しく紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
脛骨高原骨折(プラトー骨折)の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故
等級変更できなければ裁判を検討する
異議申し立てでも脛骨高原骨折の等級変更が認められなかった場合、裁判を検討することになります。
裁判では、医師意見書や画像鑑定報告書を医学的証拠として提示することができます。
裁判所は、専門医の見解を重視する傾向があるため、画像検査や診療録に基づいた医学的整合性の解説は、訴訟戦略で重要な役割を果たします。
ただし、裁判には時間と費用がかかるため、専門家と相談しながら慎重に判断する必要があります。
脛骨高原骨折の等級変更をサポートするサービス
法律事務所向けのサービス
弊社では、交通事故で受傷した脛骨高原骨折の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
被害者向けの弁護士紹介サービス【無料】
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
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脛骨高原骨折の等級変更でよくある質問
なぜ脛骨高原骨折なのに後遺障害が非該当になるのですか?
脛骨高原骨折の後遺障害が非該当になる主な理由は、膝関節の可動域制限や神経症状を医学的に証明できないためです。
痛みや可動域制限が残っていても、レントゲン検査で骨癒合していると画像検査の裏付けがないとされて、等級認定は難しくなります。
また、後遺障害診断書の記載が不十分な場合や、症状固定までの期間が短い場合も非該当になりやすいです。
後遺障害認定は書類審査によって判断されるため、申請内容に不備があると非該当になりやすいのが実情です。
異議申し立てをすれば等級が変更される可能性はありますか?
初回申請で提出した資料が不十分であった場合には、異議申し立てを通じて等級が上がる可能性は十分あります。
新たに実施した画像検査で異常所見が見つかったり、医師意見書で客観的根拠が補強されると、14級から12級などに上がるケースもあります。
実際に、追加CT撮像で脛骨外側関節面の変形が確認されて異議申し立てした結果、14級9号から12級13号に認定された事例も存在します。
ただし、いったん認定された結果を覆すことは容易ではないため、前回審査の際に提出できなかった新たな医学的資料を補充する必要があります。
どの後遺障害等級が認定される可能性がありますか?
脛骨高原骨折では、症状の程度によって、複数の後遺障害等級が認定される可能性があります。
機能障害としては、関節の用を廃した場合に8級7号、可動域が半分以下になったら10級11号、4分の3以下になったら12級7号が認定されます。
神経症状としては、画像検査で症状を証明できれば12級13号、画像所見が無くても、治療状況から14級9号が認定される可能性があります。
さらに、骨の変形障害や下肢の短縮障害が認められる場合もあります。実際の事例では、10級、12級、14級になることが多いです。
膝の痛みだけでも後遺障害は認められますか?
膝の痛みだけでも、医学的根拠があれば後遺障害に認定される可能性があります。
痛みやしびれといった神経症状については、画像検査で証明できれば12級13号、症状の一貫性と医学的説明ができれば14級9号が認定されます。
ただし、症状が重く慢性的に続いていることが認定のポイントになります。画像所見やその他の客観的な医学的所見があることが重要です。
可動域制限が軽度でも等級変更は可能ですか?
可動域制限が軽度でも、その他の医学的根拠を補強することで等級変更が可能な場合があります。
例えば、画像検査で関節面の不整や変形が認められ、それが痛みや機能障害の原因として医学的に説明できる場合です。
重要なのは、症状と画像所見の整合性を示して、後遺障害認定基準との適合性を医学的に主張することです。
後遺症が軽度だからといって諦めず、専門家に相談して適切な医証を準備することが重要です。
主治医の診断書は書き直してもらうべきですか?
後遺障害診断書の記載内容が不十分な場合は、主治医に書き直してもらうことを検討すべきです。
後遺障害認定の審査は、後遺障害診断書に記載された内容に基づき行われるため、記載が不十分だと後遺障害に認定されない可能性があります。
例えば、医師に骨癒合の状態を確認して、診断書を書き直してもらった結果、適切な後遺障害等級が認定された事例もあります。
ただし、診断書の書き直しは主治医の協力が必要なため、弁護士とともに主治医と面談して詳しく説明することが効果的です。
追加で CT 画像を撮り直したら、等級が変わりますか?
追加のCT検査で、等級が変わる可能性は十分にあります。レントゲン検査では不明瞭だった所見が、CT検査で明確になることがあるためです。
実際に、非該当だった事例でも、追加のCT検査で関節面の陥凹の残存が認められて、12級13号が認定されたケースも存在します。
CT検査は骨折部の詳細な評価に有効で、関節面の不整、陥凹、変形癒合などを確認できます。
ただし、CT画像だけでなく、医師意見書や画像鑑定報告書と組み合わせて異議申し立てすることが、等級変更の成功率を高めるポイントです。
主治医が「治っていない」と言っているのに非該当とされるのはおかしくないですか?
主治医が「治っていない」と言っているのに非該当とされる理由を知るには、後遺障害認定の仕組みを理解する必要があります。
後遺障害認定は、画像所見や神経学的所見の他覚的所見に基づいて判断されるため、後遺症を客観的に証明できない場合は、非該当となります。
医師意見書と画像鑑定の違いは何ですか?異議申し立てではどちらが必要ですか?
医師意見書や画像鑑定は、どちらも医師が作成する医証ですが、その内容は大きく異なります。
画像鑑定は「画像検査に基づく後遺症の評価」であり、レントゲン、CT、MRIなどの画像所見と後遺症との関連性を簡潔に述べるものです。
一方、医師意見書は、画像所見だけでなく、診療録、身体所見、臨床経過などから総合的に後遺症の存在を説明します。
後遺障害が非該当になった原因が画像所見の乏しさであれば、画像鑑定が有効になる可能性があります。
一方、事故と後遺症の因果関係や、医学論文を引用した医学的な解説が必要な事案では、医師意見書が望ましいでしょう。
画像鑑定は医師意見書と比べて安価であり、画像所見のみで後遺症の原因を説明できる事案に適しています。
まとめ
脛骨高原骨折は、骨癒合が良好と判断されたり、痛みや可動域制限を裏付ける画像所見が無いと、非該当になりやすい傷病です。
等級変更を目指すには、非該当理由を正確に分析して、追加のCT検査や医師意見書などの新たな医証を整えることが重要です。
これらの新たに取得した医証を添付して異議申し立てを行えば、14級や12級へ等級変更される可能性があります。
脛骨高原骨折の後遺障害認定でお困りなら、こちらからお問い合わせください。初回の法律事務所様は無料で等級スクリーニングを承ります。
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