交通事故で高次脳機能障害を負ったにもかかわらず、「非該当」や「思ったより低い等級」という結果に悩む家族は少なくありません。
高次脳機能障害の認定基準は複雑で、医師の診断書や神経心理学的検査の内容、日常生活状況報告など、多くの要素が結果を左右します。
そのため、「どこが問題だったのか」「どうすれば等級変更につながるのか」が分かりにくいのが現実です。
本記事では、高次脳機能障害の等級変更が可能となる条件や基準を、専門的な視点から分かりやすく解説しています。
等級変更のポイントを理解して、適切な医証の準備から異議申し立てまでの流れを把握するためのガイドとして、ぜひ参考にしてください。
最終更新日: 2026/2/15
Table of Contents
- 1 高次脳機能障害の後遺障害等級を変更するポイントとは?
- 2 高次脳機能障害の後遺障害認定サポート
- 3 高次脳機能障害の後遺障害が非該当でよくある質問
- 3.1 非該当だったが、本当に等級変更(認定)される可能性はあるのか?
- 3.2 初回で非該当になる理由として多いのは何か?どこが問題になるのか?
- 3.3 高次脳機能障害の異議申し立てでは、どのような資料を追加すれば認定されやすくなるのか?
- 3.4 高次脳機能障害の診断基準と、後遺障害認定の評価基準はどう違うのか?
- 3.5 神経心理学検査(WAIS、WMS、TMTなど)はどの程度重視されるのか?
- 3.6 画像(MRI・CT)で明らかな異常がなくても等級認定されるのか?
- 3.7 家族による日常生活状況の記録(日常生活報告書)は、どの程度評価されるのか?
- 3.8 主治医が高次脳機能障害に詳しくないが、その場合どうすればよいのか?
- 3.9 高次脳機能障害の異議申し立ては専門家(弁護士・医療鑑定会社)に依頼した方がよいのか?
- 3.10 高次脳機能障害の異議申し立てをする場合、診断書を新しく取得し直すべきですか?
- 4 まとめ
- 5 関連ページ
- 6 資料・サンプルを無料ダウンロード
高次脳機能障害の後遺障害等級を変更するポイントとは?
高次脳機能障害の等級認定に必須の3条件
高次脳機能障害が後遺障害に認定されるためには、以下の3点をすべて満たす必要があります。
- 事故直後の意識障害を確認できる
- 画像検査で脳の損傷を確認できる
- 脳外傷の傷病名がある
特に、自賠責保険の認定実務では、画像所見と事故当初の意識障害の有無が極めて重視されます。
これらが1つでも欠けていると「高次脳機能障害には該当しない」と判断されて非該当になります。
高次脳機能障害の後遺障害等級に影響する3つの資料
高次脳機能障害が、後遺障害に認定されても安心できません。実際の後遺症の程度よりも、低い等級に認定される可能性があるためです。
予想よりも後遺障害等級が低くなる理由は、以下に挙げる資料の記載内容や結果が、後遺症の実態に合わないからです。
- 神経心理学的検査
- 神経系統の障害に関する医学的意見
- 日常生活状況報告書
高次脳機能障害では、被害者本人に病識がないため、家族が具体的な生活能力の低下を詳細に報告しないと、審査側に正しく評価されません。
<参考>
高次脳機能障害の認定基準は2ステップが分かりやすい|交通事故の医療鑑定
非該当や予想より低い等級になった理由を調べる
認定結果に納得がいかない場合、まずは「後遺障害等級認定票」を取り寄せて、認定理由を確認することが第一歩です。
ここには「画像上、明らかな異常が認められない」「意識障害の期間が短い」など、審査側が判断に至った根拠が記載されています。
非該当や予想よりも低い等級に留まった理由を分析せず、やみくもに異議申し立てしても結果は変わりません。
どの認定基準に満たなかったのかを特定して、それを覆すための新たな医学的証拠が準備できるかを検討する必要があります。

後遺障害認定基準をクリアするための医証を集める
高次脳機能障害で等級変更を狙うには、認定基準を満たす医証(医学的証拠)の収集が不可欠です。
例えば、初期の画像検査で見逃された微細な損傷や、時間の経過とともに出現した脳萎縮を証明するため、事故直後と現在の画像を精査します。
また、WAIS-IVやWMS-Rなどの神経心理学的検査を追加実施して、認知機能や記憶力の低下を数値として客観的に示すことも有効な手段です。
高次脳機能障害は、必要な医証が多く、判断軸も多岐に渡るため、脳神経科専門医による医師意見書や画像鑑定報告書が必要なケースも多いです。
<参考>
異議申し立てする
新たな医証や資料が揃ったら、自賠責保険に対して「異議申し立て」を行います。これは一度出された結果に対する再審査の請求です。
以前と同じ資料を出すだけでは結果は覆らないため、認定基準を満たしていない点を補う、新しい医証を添付します。
「なぜ前回の認定判断が誤りなのか」を医学的かつ論理的に主張する異議申立書の作成が成功の鍵を握ります。
尚、高次脳機能障害が後遺障害に認定されるポイントは、こちらのコラム記事で詳しく紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
高次脳機能障害の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
結果が変わらなければ裁判を行う
異議申し立てでも結果が変わらない場合、最終的な手段として裁判(訴訟)を検討します。
裁判所の認定基準は、自賠責保険の基準よりも柔軟な場合があり、自賠責保険で非該当とされた事案でも、後遺障害を認めるケースがあります。
ただし、裁判は時間と費用がかかるため、見通しについて弁護士と慎重に相談して、医学的に勝算があるかを見極めた上で進めることが重要です。
高次脳機能障害の後遺障害認定サポート
弁護士向け専門サポート
弊社では、交通事故で受傷した高次脳機能障害が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的データ量をベースにしています。整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくため、初回事務所様は無料で承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した専門医が作成します。作成前に検討項目を共有して、クライアントと意見書の内容を擦り合わせます。
必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックで、意見書の質を担保しています。
弊社は、数千におよぶ医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例があります。是非、弊社の医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの画像検査や資料を精査して、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では、事案の分析から画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
被害者への弁護士紹介サービス
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解のほどお願いいたします。

高次脳機能障害の後遺障害が非該当でよくある質問
非該当だったが、本当に等級変更(認定)される可能性はあるのか?
非該当からの変更は簡単ではありませんが、可能性はあります。画像所見無しとされたケースでも、脳萎縮が証明されたケースも存在します。
諦める前に、非該当理由を精査して、不足していた医学的証拠を新たに提示できる余地がないか、専門家に相談して検討することをお勧めします。
初回で非該当になる理由として多いのは何か?どこが問題になるのか?
最も多い理由は「画像所見がない」または「事故直後の意識障害が軽微である」という点です。
高次脳機能障害の後遺障害認定システムは、脳への物理的ダメージを重視するため、単に性格が変わったという症状だけでは認定されません。
高次脳機能障害の異議申し立てでは、どのような資料を追加すれば認定されやすくなるのか?
認定の可能性を高めるには、客観的な「数値」と「画像」、そして具体的な「生活実態」の資料が重要です。具体的には、以下のような資料です。
- 脳の微細な損傷を指摘する専門医の画像鑑定
- 認知機能を数値化する神経心理学的検査
- 職場の同僚や家族が作成した日常生活状況報告
これらの資料を組み合わせて、多角的に後遺症の存在を立証することが求められます。
高次脳機能障害の診断基準と、後遺障害認定の評価基準はどう違うのか?
臨床現場での「診断」と、損害賠償実務における「認定」には大きな違いがあります。
医師が「高次脳機能障害」と診断しても、自賠責保険の認定基準(画像所見や意識障害の要件)を満たさなければ後遺障害に認定されません。
治療のための診断は症状を重視しますが、後遺障害認定は「事故との因果関係」と「客観的証拠」が厳格に求められます。
医師の診断書があるからといって、必ずしも後遺障害に認定されるわけではない点に注意が必要です。
神経心理学検査(WAIS、WMS、TMTなど)はどの程度重視されるのか?
非常に重視されます。画像検査が脳の器質的損傷を示すのに対して、神経心理学検査は機能的な低下を客観的に示す唯一の手段だからです。
画像所見が微妙でも、神経心理学検査の結果が著しく低く、かつ生活状況と整合性が取れていれば、障害の存在を裏付ける強力な根拠となります。
画像(MRI・CT)で明らかな異常がなくても等級認定されるのか?
MRI・CT検査などで画像所見が全くない場合、後遺障害認定のハードルは極めて高くなります。
しかし、一見異常がないように見えても、「びまん性軸索損傷」のように、数ヶ月後の画像で脳萎縮が判明するケースがあります。
異常なしと言われても諦めず、脳神経科専門医に画像鑑定を依頼することで、新たな所見が見つかって認定につながる可能性もあります。
家族による日常生活状況の記録(日常生活報告書)は、どの程度評価されるのか?
極めて高く評価されます。高次脳機能障害は、本人も自覚がないことが多いため、家族の報告書が「唯一の症状の証拠」になることが多いです。
「以前と比べて怒りっぽくなった」「約束を忘れる」といった具体的なエピソードは、実際の後遺症の重さを補完する重要な資料です。
主治医が高次脳機能障害に詳しくないが、その場合どうすればよいのか?
脳神経外科の主治医は、必ずしも高次脳機能障害の専門ではありません。むしろ、急性期病院の医師は、外傷が専門であることが多いです。
その場合、主治医に相談して、脳神経内科やリハビリテーション科、精神科などの高次脳機能障害に詳しい医師を紹介してもらうのが最善です。
または、セカンドオピニオンとして高次脳機能障害の専門外来を受診して、そこで適切な検査や診断書作成を依頼することも検討してください。
高次脳機能障害の異議申し立ては専門家(弁護士・医療鑑定会社)に依頼した方がよいのか?
強く推奨されます。異議申し立ての成功率は一般的に低く、医学的な専門知識がないまま申請しても、結果を覆すのは困難です。
弁護士や医療鑑定会社は、認定基準の細部を熟知しており、不足している検査の提案や異議申し立てのサポートが可能です。
複雑な高次脳機能障害の案件こそ、プロの力を借りるメリットが大きいと言えます。
高次脳機能障害の異議申し立てをする場合、診断書を新しく取得し直すべきですか?
はい、多くの場合で必要になります。以前の診断書が認定に至らなかった原因である可能性が高いため、そのまま再提出しても意味がありません。
不足していた検査結果を追記してもらったり、症状の記載をより具体的に修正してもらった「新たな診断書」や「意見書」を取得すべきです。
医師に高次脳機能障害の後遺障害認定基準のポイントを伝えた上で、現状を正確に反映した書類を作成してもらうことが重要です。
まとめ
高次脳機能障害の後遺障害等級を変更するには、認定基準を正しく理解して、必要な医証を揃えることが欠かせません。
特に、画像検査の所見、神経心理学検査の結果、日常生活状況報告書などは等級に大きく影響します。
非該当や低い等級になった場合は、まず認定理由を分析して、不足している医学的証拠を補うことが重要です。
画像検査の比較や追加の神経心理学検査、専門医による医師意見書・画像鑑定は等級変更の有力な材料になります。
適切な医証を基に異議申し立てを行い、それでも認定されない場合は裁判という選択肢もあります。
高次脳機能障害の後遺障害認定でお困りなら、こちらからお問い合わせください。初回の法律事務所様は無料で等級スクリーニング®を承ります。
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