交通事故で肘関節を骨折した被害者の中には、症状が残っているのに後遺障害として認められなかったと感じている方も少なくありません。
こうしたとき、医学的根拠を詳述する「医師意見書」が有効です。医師意見書は、異議申し立ての結果を左右する重要な文書です。
本記事では、肘関節骨折の医師意見書に記載される内容や取得方法、活用のポイントを分かりやすく解説しています。
後遺障害の認定を覆したい方や、異議申し立てで医学的な裏付けを強化したい方にとって、実務的なヒントが得られる内容です。
最終更新日: 2025/10/31
Table of Contents
基礎からわかる!肘関節骨折と医師意見書の重要性
肘関節骨折の基本:症状と発生状況
肘関節骨折は、転倒や交通事故などで強い外力が加わって起こり、橈骨頭骨折や上腕骨顆上骨折など部位により症状が異なります。
疼痛、腫脹、運動制限が主症状で、関節面の変形や肘関節の可動域制限が残存することも多いです。
<参考>
肘関節骨折の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
「医師意見書」の役割と意義
医師意見書は、一般的な診断書よりも医学的見解を詳細に示す文書であり、交通事故や労災認定、訴訟などでの判断材料となります。
専門医が骨癒合状態、可動域制限、疼痛の持続性を客観的に記述することで、後遺症の有無や程度を裏付ける根拠資料となります。
肘関節骨折の意見書に必須の記載事項
肘関節骨折に関する医師意見書には、主に以下のような内容が記載されるケースが多いです。
- 傷病名
- 治療経過
- 後遺症の種類や重症度
- 症状固定時期
- 画像検査の結果
- 肘関節骨折と後遺症の因果関係
これら以外にも、肘関節骨折の後遺障害認定基準を満たしていることを、医学論文なども引用して解説します。
診断書とはどう違う?意見書の特異性
診断書は事実を証明する書類であるのに対して、医師意見書は「医学的所見に基づく見解・評価」を述べる文書です。
単なる診断結果にとどまらず、可動域制限の原因や痛みの永続性、今後の機能予後など、専門的判断を含める点が特徴です。
このため、医師意見書は異議申し立て、訴訟、保険会社との示談交渉でも、当方の主張を裏付ける重要な証拠になります。

後遺障害認定を左右する!医師意見書が重視される理由
肘関節骨折の「後遺症」を医学的に裏付け
骨癒合後にも可動域制限や疼痛が残る場合、医師意見書で後遺症の存在とその医学的根拠を裏付けることが可能です。
特に、関節内骨折では、関節裂隙狭小化や骨棘形成などが画像検査で認められ、可動域制限の原因が明確になりやすいです。
医師意見書で後遺症の医学的根拠を提示することで、肘関節骨折が後遺障害に認定される可能性が上がります。
後遺障害認定基準に合わせた意見書の構成と主張
医師意見書では、肘関節骨折の後遺障害認定基準に則って、後遺症の原因を医学的に解説します。
また、日常生活への支障を具体的に述べることで、実態に即した後遺障害認定が得られやすくなります。
異議申し立てや訴訟における「証拠力」
前回認定で後遺障害が非該当になっても、医師意見書で医学的根拠を補強すれば、等級判断が覆ることがあります。
特に、画像所見、治療経過の一貫性、疼痛の医学的説明などがそろうと、当方の主張を裏付ける証拠となります。
勝率を高める!肘関節骨折の医師意見書の活用戦略
「異議申し立て」で認定結果を覆す具体策
異議申し立てでは、新たな医証が無いと再審査の俎上に乗りません。具体的には、新たな画像検査、診断書、医師意見書などが必要です。
そして、医学的根拠と具体的な身体所見を整合させた医師意見書を提出することで、等級判断が変わる可能性があります。
保険会社との「示談交渉」で優位性を確保
後遺症を医学的に解説した医師意見書は、当方の主張の裏付けになるため、保険会社との示談交渉を有利に進められます。
裁判・調停での「医学的根拠」としての提示方法
裁判や調停で争われる際、整形外科専門医によって作成された医師意見書は、医学的証拠として重視されます。
画像所見や身体所見、治療経過と、後遺症の因果関係が詳細に解説されるため、裁判官の判断を左右する重要な役割を果たします。
最短で取得!肘関節骨折の医師意見書入手ガイド
意見書作成の依頼から受け取りまでの流れ
肘関節骨折の医師意見書の取得は、まず相談書、診断書、画像検査、診療報酬明細などの必要資料を準備して、医療鑑定会社に依頼します。
見積金額の了承後、医師意見書の骨子案(検討項目)が提案されます。骨子案に問題が無ければ、約4週間で初稿(医師意見書案)が提出されます。
医師意見書案に問題が無ければ、費用を支払います。入金確認後に医師意見書の原本が発送される流れが一般的です。
意見書作成のために用意すべき情報と資料
肘関節骨折の異議申し立てで使用する医師意見書の作成には、以下のような書類や資料が必要です。
- 相談書(依頼時にお渡しします)
- 画像検査
- 後遺障害診断書
- 診断書
- 診療報酬明細(レセプト)
- 損害確認報告書 / 事故現場実況見分調書 / 車の損傷写真 など
- 後遺障害等級結果連絡書
- 診療録(カルテ)
症状や治療経過、日常生活の支障程度が分かる資料が多いほど、医師意見書の信頼性が高まります。
医師意見書作成にかかる費用
概要 | 価格 |
整形外科 | 23万円 |
脳神経外科、脳神経内科 | 29万円 |
耳鼻科、眼科、歯科など | 29万円 |
精神科 | 31万円 |
訴訟加算(整形外科) | 4万円 |
訴訟加算(その他の科) | 1万円 |
多部位加算(3部位以上) | 3万円/数 |
特急対応加算 | 2万円 |
難事案加算 | 6万円~ |
反論意見書 | -5万円 |
医師意見書の作成に必要な料金は、基本料金をベースとして以下の要素で変動します。
- 診療科目
- 訴訟事案
- 顧問契約の有無
- 弁護士特約の有無
- 納品時期
整形外科領域における一般的な事案では、20万円台の料金負担で各領域の専門医による医師意見書の作成が可能です。
弊社の医師意見書作成にかかる、加算や割引などの詳細は、こちらをご確認ください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
医師意見書作成にかかる期間の目安
肘関節骨折の医師意見書を取得するまでの期間は依頼内容によります。一般的には4週間ほどで初稿(医師意見書案)が納品されます。
医師意見書案への修正依頼に、専門医が対応するのにかかる期間は、1~2週間のケースが多いです。
後遺障害認定を成功させる肘関節骨折の評価ポイント
肘関節骨折が、適切な後遺障害等級に認定されるには、以下のような後遺障害認定基準をすべて満たす必要があります。
- 事故と症状に整合性がある
- 後遺症と各種検査が一致している
- 事故後から症状固定まで症状が続いている
- 常に後遺症が存在している
シンプルに見えますが、すべてをクリアしている事案は少ないです。また、これら以外にも、たくさんの後遺障害認定基準が存在します。
医師意見書の価値は、後遺障害認定基準に足りていない要素を補強して、後遺障害の蓋然性を主張する点にあります。
この目的を達成するためには、医師意見書を受任する医療鑑定会社が、後遺障害認定基準を知り尽くしている必要があります。
肘関節骨折が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事で詳しく紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
肘関節骨折の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
肘関節骨折の後遺障害認定サポート体制
弁護士向けサービス内容
弊社では、交通事故で受傷した、肘関節骨折の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
被害者向け弁護士紹介サービス
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

肘関節骨折の医師意見書でよくある質問
可動域制限はどのように評価・記載してもらうのが望ましいですか?
可動域制限は、角度計による正確な測定が必須で、日本整形外科学会の基準に準拠して記録する必要があります。
骨癒合が完了している場合でも後遺障害は認められる可能性がありますか?
骨癒合後でも、関節拘縮、疼痛、神経麻痺などの後遺症が残る場合は、後遺障害に認定される可能性があります。
特に、可動域制限や疼痛の存在は、症状固定後も続く後遺症として、後遺障害の対象になります。
レントゲンやCT・MRI画像の所見も意見書に含めるべきですか?
画像所見は、後遺症の存在や程度の客観的証拠となるため、医師意見書には必ず含める必要があります。
特に、骨癒合状態、関節面の不整、スクリュー位置、軟部組織損傷などを説明する記載が、後遺障害の実態を示す重要資料になります。
疼痛の訴えを意見書に反映してもらうにはどうすればいいですか?
疼痛は主観的症状ですが、画像所見と身体所見(圧痛部位など)の関連性を意見書に記載すると、当方の主張を裏付ける証拠になります。
手術を受けてプレートやスクリューを入れた場合、その情報はどう扱われますか?
手術で内固定を行った場合、金属プレートやスクリューの位置・残存有無が記載されます。
プレートやスクリューの干渉による可動域制限や疼痛があれば、後遺障害の要素として、医師意見書に反映してもらうことが重要です。
可動域が日によって違う場合はどうすればいいですか?
可動域に変動があるのは、日常診療でよく見かける現象です。医師意見書では、可動域が日によって違うのは珍しくない旨を記載します。
異議申し立てで意見書が重視されるポイントはどこですか?
異議申し立てでは、可動域や疼痛の後遺障害認定基準との整合性、画像検査の裏づけが重視されます。
医師の独自見解だけではなく、後遺障害認定基準に即した説明がされているかが、異議申し立て成功の鍵となります。
まとめ
肘関節骨折は、転倒や交通事故などの強い衝撃で発生して、橈骨頭骨折や上腕骨顆上骨折などの部位によって症状が異なります。
主症状として痛みや腫れ、関節の動きに制限が残る場合も多く、後遺障害につながることが少なくありません。
医師意見書は診断書よりも詳細な医学的見解を示す文書で、骨癒合、可動域制限、疼痛の持続性などを客観的に記載します。
医師意見書は、後遺障害認定や保険会社との示談交渉、訴訟などの場面で非常に重要な役割を果たします。
肘関節骨折の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で承ります。
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