交通事故後に強い不安や抑うつ、PTSDなどの非器質性精神障害に悩まされていても、後遺障害が「非該当」や想定より低い等級になるケースが少なくありません。
なぜなら、画像検査で確認できる器質的な損傷がなく、自覚症状中心のため、医学的証拠が不足しやすいからです。
しかし、異議申し立てによって、診断書の補強や受診経過を示す資料を追加すれば、後遺障害認定の見直しにつながる可能性があります。
本記事では、非器質性精神障害が非該当となる典型的な理由、異議申し立ての流れや必要書類、成功のために押さえるべき医証の準備方法を解説しています。
最終更新日: 2025/9/20
Table of Contents
非器質性精神障害が非該当になる理由
非器質性精神障害で非該当と判断されやすいケース
非器質性精神障害は、事故の瞬間に死の恐怖を感じる状況でなければ、非該当と判断されやすいです。
治療期間が短かったり、症状が重篤でなく今後回復の見込みが高いケースも、後遺障害に認定されにくいです。
また、非精神科専門医による診断・治療では、後遺障害として取り扱われないケースが多いです。
非器質性精神障害の後遺障害認定基準
等級 | 認定基準 |
9級10号 | 通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため就労可能な職種が相当な程度に制限されるもの |
12級13号 | 通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため多少の障害を残すもの |
14級9号 | 通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため軽微な障害を残すもの |
後遺障害として認定されるには、抑うつ状態、不安、意欲低下などの精神症状のうち一つ以上が持続して、日常生活や就労に明らかな支障があることが必要です。
後遺障害等級は9級、12級、14級に分かれ、日常生活で助言や援助を要する頻度や、就労の制限度などを8つの能力項目で評価します。
<参考>
非器質性精神障害の後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
非器質性精神障害の異議申し立て手順ガイド
異議申し立ての流れと必要書類
異議申し立ては、後遺障害認定の結果に納得できない場合に、再審査を求める手続きです。
異議申立書が必須で、新たな診断書やカルテ、医師意見書などの追加資料も効果的です。
ポイントは、単なる不満ではなく、新たな医学的根拠や事故後の症状に関する客観的証拠を揃えることです。
非器質性精神障害の異議申し立ての申請先
異議申し立ては、事前認定の場合は任意保険会社を通じて、自賠責被害者請求の場合は自賠責保険会社に申請します。
最終的には、損害保険料算出機構に再審査が送付されて、同機構が審査結果を通知します。
異議申し立ての費用と時間は?
異議申し立ての手続き自体は無料ですが、診断書取得や各種検査の費用、郵送料がかかります。費用は1~5万円程度が目安です。
異議申し立ての結果が通知されるまでの期間は2~4ヶ月ですが、症状や審査内容によっては6ヶ月程度かかる可能性もあります。
非器質性精神障害の効果的な異議申し立て準備
効果的な異議申し立てには、後遺障害認定基準に足りない要素を補うための、新しい医学的資料(診断書、カルテ、医師意見書)が重要です。
非器質性精神障害の異議申し立てのポイント【弁護士必見】
非器質性精神障害が非該当になる原因を分析
非器質性精神障害が非該当になる主な原因として、診断書や医証が不十分であることや、精神科専門医による一貫した治療が確認できないケースが挙げられます。
また、認定基準を満たす症状や生活障害が具体的に説明されていないと、非該当になる傾向があります。
<参考>
後遺障害の異議申し立て成功のポイント|交通事故の医療鑑定
非器質性精神障害の後遺障害認定条件をクリア
後遺障害認定には、精神科専門医による治療を長期にわたって受け、診断書やカルテに精神症状(抑うつ、不安、意欲低下等)が明記されていることが重要です。
さらに、日常生活や就労への支障があることを詳細に記載した医師意見書や具体的な行動記録が、後遺障害認定条件のクリアにつながります。
異議申し立てでは新たな医証が必須
非器質性精神障害の異議申し立ての成功には、後遺障害認定基準を満たすための新たな医証が必要不可欠です。
具体的には、追加の画像検査、第三者による医師意見書、画像鑑定報告書などです。
新たな医証がない異議申し立ては、後遺障害認定に結びつきにくいです。足りない検査や診断記録を補う医学的資料を集めることが重要です。
<参考>
非器質性精神障害の後遺障害認定ポイント
非器質性精神障害の後遺症が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事でも紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
非器質性精神障害の後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
非器質性精神障害の後遺障害認定で弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、交通事故で発症した非器質性精神障害の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
非器質性精神障害の後遺障害認定でお悩みの被害者の方へ
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。
非器質性精神障害の異議申し立てでよくある質問
非器質性精神障害は、なぜ非該当と判断されやすいのか?
非器質性精神障害は、客観的な画像所見や検査結果が無く、症状の証明が困難なため、非該当になりやすいです。
特に、精神科専門医が治療していないと非該当になりやすいです。事故以外の発症要因も考慮されるため、因果関係の立証が重要です。
どのような資料を追加すれば異議申し立てで有利になるか?
新たな診断書、詳細に治療経過が記載されたカルテ、精神科専門医による医師意見書などが有効です。
また、頭部打撲後であれば、神経心理学的検査などで医学的根拠を補強すると有利になります。
<参考>
神経心理学的検査は高次脳機能障害の等級認定ポイント|後遺障害
非器質性精神障害の異議申し立てで症状の因果関係はどう証明するのか?
非器質性精神障害と事故との因果関係は、事故状況や発症時期、精神科専門医の受診履歴を詳細に記載することで主張します。
他の要因がないことや精神症状が事故後に顕著となったことを説明して、事故と症状の関係性を明確にする必要があります。
非器質性精神障害の等級はどのように判断されるのか?
等級は9級、12級、14級に分類され、症状の重篤度と社会生活・労務への支障度で認定されます。
日常生活で助言や援助を要する頻度や、就労の制限度などを8つの能力項目で評価します。
<参考>
非器質性精神障害の後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
非器質性精神障害が改善途中でも後遺障害として認められるのか?
症状が改善傾向であれば、後遺障害に認定されません。治療によって、症状に大きな改善が見込めなくなった時点で症状固定となり、後遺障害が審査されます。
非器質性精神障害は、精神症状だけでなく身体症状(頭痛・不眠など)も評価されるか?
身体症状が精神障害に関連していると認められれば、後遺障害の評価対象になります。
頭痛や不眠などが診断書に明記されており、日常生活への影響を説明できれば、認定の根拠となります。
まとめ
非器質性精神障害は、客観的な画像や検査結果が乏しく、症状の証明が難しいため非該当と判断されやすい障害です。
特に、精神科専門医による診療がなかったり、症状が軽度・回復見込みが高いと、後遺障害に認定されにくくなります。
後遺障害に認定されるには、抑うつや不安などの症状が長期にわたり続き、日常生活や就労に明確な支障があることが必要です。
等級は9級・12級・14級に区分されて、異議申し立てでは新たな診断書や医師意見書などの医学的根拠を補強することが成功の鍵となります。
非器質性精神障害の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で承ります。
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