交通事故で肋骨を骨折したものの、治療後も胸の痛みや呼吸のしづらさが残っているのに、後遺障害の等級認定では「非該当」とされるケースは少なくありません。
肋骨骨折は一般的に数ヶ月で自然治癒すると考えられており、後遺症が残らないと判断されがちだからです。
しかし、実際には胸郭の変形や呼吸機能の低下、慢性的な疼痛などが生活に支障を与えるケースもあります。
納得できない結果に対して「異議申し立て」が可能です。異議申し立てでは、初回申請で不足していた医学的資料を補い、症状の実態を客観的に示すことが成功のカギとなります。
本記事では、肋骨骨折で異議申し立てを検討している方に向けて、非該当になりやすい理由、手続きの流れ、成功のポイントまで分かりやすく解説しています。
最終更新日: 2025/9/11
Table of Contents
肋骨骨折が非該当になる理由
肋骨骨折で非該当と判断されやすいケース
肋骨骨折が後遺障害「非該当」とされる最も一般的なケースは、骨癒合して外見上の変形や明らかな障害が残らないケースです。
肋骨は身体の表層にあるものの、外部から目立つ変形が残るケースは多くありません。
レントゲン検査で変形があっても、裸の状態で外部から変形を確認できなければ、後遺障害認定基準を満たしません。
また、痛みや違和感が残っていても、医学的には後遺症とされないケースが多く、審査では非該当になる事例が大半です。
肋骨骨折の後遺障害認定基準
肋骨骨折の後遺障害認定基準では、主に「変形障害」が問題となります。12級5号が、該当する後遺障害等級です。
12級5号「著しい変形」とは、外観から明確に変形が分かるケースを指しており、画像診断のみでの変形は対象外です。
複数本の肋骨に変形が残っていても、肋骨全体で「1部位の変形」として扱われるため、等級の併合認定はありません。
骨折に伴う痛みや神経症状が医学的に認められれば、14級や12級が認定されるケースもありますが、認定のハードルは高いのが現実です。
肋骨骨折の異議申し立て手順ガイド
異議申し立ての流れと必要書類
肋骨骨折の異議申し立ては、新たな医学的資料(追加の診断書、画像検査、カルテ、医師意見書、画像鑑定報告書等)を収集して、異議申立書とともに提出します。
異議申立書には、異議の趣旨・理由を記載します。後遺障害認定基準に沿った明確な根拠や新資料の添付が重要です。
肋骨骨折の異議申し立ての申請先
申請先は、初回申請が事前認定の場合は加害者側の任意保険会社、被害者請求の場合は加害者側の自賠責保険会社となります。
資料を提出すると、損害保険料率算出機構に送付されて、後遺障害が再審査されます。
異議申し立ての費用と時間は?
異議申し立ての費用は基本的に無料ですが、追加の診断書取得などに実費が必要です。弁護士に依頼すると別途費用が発生します。
審査期間は2~4ヶ月が一般的ですが、資料が多かったり複雑な事案では、半年ほどかかるケースもあります。
肋骨骨折の効果的な異議申し立て準備
効果的な異議申し立てには、後遺症の存在を証明する医学的な根拠を客観的に示すことが重要です。
痛みや変形を具体的な画像検査で証明したり、医師意見書や画像鑑定報告書を添付することで、後遺障害認定の可能性が高くなります。
肋骨骨折の異議申し立て成功のポイント【弁護士必見】
肋骨骨折が非該当になる原因を分析
肋骨骨折の異議申し立てを成功させるためには、等級通知書に記載されている非該当理由を精査する必要があります。
肋骨骨折が非該当とされる主な原因は、骨癒合して変形が外見上明らかでないケースです。
痛みや違和感が残っていても、画像検査や診断書で医学的根拠が示されていなければ非該当となります。
<参考>
後遺障害の異議申し立て成功のポイント|交通事故の医療鑑定
肋骨骨折の後遺障害認定条件をクリア
肋骨骨折の後遺障害認定条件は、「変形障害」と「神経障害」が中心です。変形や痛みの持続性が、医学的に明確であることが重要です。
具体的には、裸になった時に客観的に変形が判別できる場合(12級5号)や、偽関節などで痛みが持続する場合(14級9号)が該当します。
肋骨骨折の異議申し立てでは新たな医証が必須
肋骨骨折の異議申し立ての成功には、後遺障害認定基準を満たすための新たな医証が必要不可欠です。
具体的には、追加の画像検査や診断書、第三者による医師意見書、画像鑑定報告書などです。
新たな医証がない異議申し立ては、後遺障害認定に結びつきにくいです。足りない検査や診断記録を補う医学的資料を集めることが重要です。
<参考>
肋骨骨折の後遺障害認定ポイント
肋骨骨折の後遺症が後遺障害認定されるポイントは、こちらのコラム記事でも紹介しています。是非、参照していただきたいと思います。
<参考>
肋骨骨折の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
肋骨骨折の後遺障害認定で弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、交通事故で受傷した肋骨骨折の後遺症が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
肋骨骨折の後遺障害認定でお悩みの被害者の方へ
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。
肋骨骨折の異議申し立てでよくある質問
肋骨骨折は後遺障害等級に認定されにくいのですか?
肋骨骨折は骨が癒合して外見から変形が分からないケースが多く、後遺障害等級(12級5号)に認定される事例は少ないです。
一般的には、神経障害の14級9号が現実的ですが、偽関節などの画像所見が必要です。
レントゲンやCTで癒合後に異常が見えないと異議申し立ては不利ですか?
画像検査で異常所見が見られないと、後遺障害認定は難しいです。異議申し立てしても、非該当が覆らないケースがほとんどです。
胸郭の変形はどのように証明すればよいですか?
肋骨骨折の変形障害では、裸体で撮影した写真や健側との比較で変形が明らかであれば、後遺障害に認定される可能性があります。
場合によっては、3D-CTなどの客観的データを準備して、画像資料をもとに変形障害を主張します。主観的な訴えのみでは認定されません。
痛みが残っているだけでも異議申し立てできますか?
痛みやしびれが残っているだけでも異議申し立ては可能ですが、後遺障害に認定されるかは自覚症状の一貫性と医学的根拠次第です。
一般的には、画像検査で偽関節を証明できないと、14級9号に認定されないケースが多いです。
異議申し立てでは何を追加提出すればよいですか?
追加するべき資料は、新たな診断書や画像検査、医師意見書、画像鑑定報告書、変形の客観的証拠(マクロ写真)などです。
異議申し立てでは、後遺障害認定基準を満たすことを証明する医証の提出が成功への鍵です。
まとめ
肋骨骨折では、骨折部が自然に骨癒合して、外見上の変形が残らないケースが多いです。
痛みや違和感だけでは医学的に後遺症と認められにくいため「非該当」と判断されやすいです。
後遺障害が認められるのは、裸の状態で明確に変形が分かる場合(12級5号)や、偽関節などで痛みがある場合に限られます。
異議申し立てを行う際は、新たな診断書や画像検査などの医学的資料を追加提出して、後遺症が存在する根拠を示すことが重要です。
肋骨骨折の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。尚、初回の法律事務所様は無料で承ります。
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